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Disease Atlas · 生殖・産婦人科 · 腫瘍

Sertoli-Leydig細胞腫

Sertoli-Leydig cell tumor

別名
卵巣アンドロブラストーマandroblastoma
臓器系
生殖・産婦人科腫瘍
科目
Obstetrics and Gynecology (Gynecology)Pathology
トピック
婦人科 26:卵巣腫瘍の病因・臨床像・スクリーニング病理学 C/75:卵巣腫瘍
上位概念
卵巣癌
鑑別疾患
アンドロゲン産生腫瘍妊娠黄体腫莢膜細胞腫
症状
高アンドロゲン症
検査値
血清テストステロン

🧠 全体像:(旧称androblastoma)は、精巣の Sertoli 細胞・Leydig 細胞に相当する成分から成る卵巣ので、若年女性(好発は20〜30歳代)に多い。核心はが予後をそのまま決めるという一点にある——高分化型はほぼ良性である一方、・網状パターン・成分を伴う型は悪性可能性が跳ね上がる。テストステロン産生による男性化が特徴的だが、実際に男性化を呈するのは一部にとどまり、腹部膨満・疼痛といった非特異的症状で見つかることの方が多い。

病態

(SLCT)は卵巣のの一種で、精巣の()・間質()に相当する成分から構成される。全の0.5%に満たない稀な腫瘍で、好発年齢は20〜30歳代(中央値31歳、15〜71歳の報告あり)である1。

⭐ 分類では高分化・中分化・低分化の3型に分けられ、このが悪性可能性・予後を規定する最大の因子である。別の悪性可能性は、高分化で0%、中分化で約11%、低分化で約59%とされる1。パターンや成分(腺管、骨格筋、軟骨など)を伴う腫瘍は、とは独立した予後不良因子として扱われる2。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Sertoli-Leydig cell tumor'>Sertoli-Leydig細胞腫</span>"] --> B["高分化型"]
    A --> C["中分化型"]
    A --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='poorly differentiated type'>低分化型</span>"]
    B --> E["悪性可能性 ほぼ0%<br>DICER1非依存的"]
    C --> F["悪性可能性 約11%<br>DICER1<span class='jp-term jp-term-diagram' title='somatic mutation'>体細胞変異</span>を高頻度に伴う"]
    D --> G["悪性可能性 約59%<br>DICER1<span class='jp-term jp-term-diagram' title='somatic mutation'>体細胞変異</span>を高頻度に伴う"]
    C --> H["網状パターン・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='heterologous'>異種</span>成分を伴うと<br>予後がさらに悪化"]
    D --> H

💡 なぜでDICER1変異の有無が分かれるのか。 DICER1はmicroRNA成熟に関わる酵素をコードする遺伝子で、そのはほぼすべての中分化・低分化SLCTに認められる一方、高分化型ではDICER1非依存的に発生すると考えられている2。つまり「高分化型」と「中分化型以下」は単なる程度の差ではなく、発生機序自体が異なる可能性がある2つのグループとして理解できる。DICER1変異は・などを来すDICER1症候群(家族性)の一部としても生じうる。

臨床像

診断

血清テストステロン高値は男性化を伴う症例で参考になる所見である1。画像検査(・)でのとして描出されるが、大多数(95%以上)は単側性でFIGO stage Iにとどまる2。確定診断は摘出標本の病理組織診断により、・網状パターン・成分の有無を評価することがの決定に直結する。

治療

手術が治療の基本である。のある若年女性でstage IA・高分化型であれば、患側のみで対側卵巣・子宮を温存するが選択できる。中分化・、網状パターン、成分を伴う高リスク例では、術後(レジメン:・・シスプラチン)が検討される。⭐ が最大のであり、高分化型は摘出のみで良好な経過をたどる一方、は再発・転移のリスクを念頭に置いた経過観察が必要になる1。

まとめ

  • は稀な卵巣ので、20〜30歳代に好発する。
  • ⭐ (高分化・中分化・低分化)が悪性可能性を規定する主因子で、高分化0%・中分化約11%・低分化約59%。網状パターン・成分の合併はさらなる予後不良因子。
  • 中分化・ではDICER1がほぼ必発で、高分化型とは発生機序が異なる可能性がある。
  • 男性化はこの腫瘍の特徴だが必発ではなく、腹部膨満・疼痛で見つかることも多い。(閉経後に多い)との年齢層の違いが鑑別の手がかりになる。
  • 治療は手術が基本。高リスク例では術後化学療法が検討される。

出典

  1. 1.Ovarian Sertoli-Leydig Cell Tumors: Epidemiological, Clinical and Prognostic Factors(Revista Brasileira de Ginecologia e Obstetrícia (Thieme)・2019)卵巣Sertoli-Leydig細胞腫(SLCT)は全卵巣腫瘍の0.5%未満を占める稀な腫瘍で、好発年齢は20〜30歳代(本コホートの中央値31歳、range 15〜71歳)であること。症状を呈した患者のうち腹部膨満・腹痛が多く、男性化徴候は16.7%、不正性器出血は16.7%にとどまったこと。分化度別の悪性可能性は高分化0%、中分化11%、低分化59%であり、分化度が予後を規定する主要因子であること。本コホートでは全例がFIGO stage IAで単側性、手術(摘出)で治療され再発を認めなかったこと。閲覧 2026-09-05
  2. 2.Sertoli-Leydig Cell Tumour and DICER1 Mutation: A Case Report and Review of the Literature(Case Reports in Obstetrics and Gynecology・2018)SLCTの95%以上が単側性・FIGO stage Iで、中分化または低分化であること。DICER1体細胞変異はほぼすべてのSLCTに認められ、特に中分化・低分化腫瘍に多いこと(高分化型はDICER1非依存的とされる)。網状(retiform)パターンや異種成分(heterologous elements、粘液性腺管・骨格筋・軟骨など)を伴う腫瘍は予後不良因子であること。閲覧 2026-09-05