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Drug Atlas · A16 Hypnotics / 睡眠薬

ブロチゾラム

brotizolam

分類
Hypnotics / 睡眠薬
商品名(日本)
レンドルミン
科目
PharmacologyClinical Pharmacology
トピック
A16: Benzodiazepines11: Sedative-hypnotics, anxiety and insomnia
承認適応
不眠障害・ナルコレプシー
禁忌疾患
緑内障重症筋無力症
副作用
傾眠めまい錯乱前向性健忘
解毒薬
フルマゼニル

🧠 全体像:ブロチゾラムは、日本でに用いられるので、1回0.25 mgを就寝前に飲む。半減期は約5〜7時間と、型のとのフルのちょうど間にある。そのため寝つきの悪さにもにも効き、0.25 mgでは翌朝への持ち越しも比較的少ない。構造は厳密にはベンゾジアゼピン環の環をに置き換えたチエノトリアゾロジアゼピンだが、と副作用はベンゾジアゼピンと共通で、依存・健忘・転倒への注意も同じ型である。

薬効群の中での位置づけ

薬 の目安 位置づけ
約3時間 型。に
ブロチゾラム 約7時間(日本の電子添文)1。海外の文献では約5時間23 〜。との両方に
フル 約21時間
約16〜48時間 。持ち越しが問題になる

💡 ブロチゾラムの分類が資料で揺れるのは、半減期が境界にあるためである。 日本の電子添文は約7時間、1988年の総説は約5時間でこれを「中間」と呼んでいる3。臨床のトピックもに置き、に入れる分類もあると注記している。同総説は、中間という半減期のおかげで早朝のを起こさず、睡眠維持にも使える点を特徴に挙げている。

機序

flowchart TD
    A["ブロチゾラムがGABA-A受容体の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='benzodiazepine binding site'>ベンゾジアゼピン結合部位</span>に作用"] --> B["GABAを介した抑制性の伝達が増強"]
    B --> C["視床下部・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='limbic system'>大脳辺縁系</span>の活動が抑えられる"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypnosis'>催眠</span>・鎮静・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anxiolysis'>抗不安</span>・抗けいれん作用"]
    D --> E["入眠までの時間の短縮<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='nocturnal awakening'>中途覚醒</span>の減少"]

日本の電子添文は、中枢神経系の代表的な物質であるGABAを介して、情動をつかさどる視床下部やを抑制するとしている。やと共通の作用の幅をもつが、・・抗けいれん作用は強く、筋弛緩作用は比較的弱い(動物)1。筋弛緩作用が比較的弱いといっても、高齢者ではなどの副作用が出やすいため、少量から始める点は他のベンゾジアゼピンと変わらない。

睡眠への作用は次のとおりである1。

  • ではが15〜30分で発現し、7〜8時間で消失する。
  • 終夜で、入眠時間が短縮し、の時間が減る。とレム睡眠にはほとんど影響しない。
  • 神経症や精神生理学的の患者では、入眠が改善し、が減り、が増える。

薬物動態

項目 内容
吸収 速やか。で最高到達まで約1.5時間1
約70%(健康な若年成人、との比較)2
分布 全身に速やかに分布し、血液脳関門と胎盤を通過する()1。は0.66 L/kg2
代謝 主にCYP3A4。主はのとジアゼピン環の1
排泄 96時間までに尿中64.9%、糞中21.6%(外国人データ)1
約7時間(日本の電子添文)。海外のでは経口で5.1±1.2時間2

⭐ 代謝がCYP3A4である点はと同じだが、の扱いが違う。 は、などのやHIVがである。ブロチゾラムの電子添文では、・・は併用注意にとどまり、禁忌欄に薬剤名は並ばない1。同じ酵素で代謝される薬でも、どの併用を禁忌にするかは添付文書ごとに異なるので、一般化して覚えず、薬ごとに確かめる。

適応

  • :就寝前に服用する1。
  • 麻酔:手術前夜の就寝前、または麻酔前に使う1。

国内のの成績(有効以上の割合)は、が64.6%(712/1,103例)、麻酔が手術前夜63.5%・麻酔前58.6%、全体で63.5%である1。

用法・用量

用途 用量
1回0.25 mgを就寝前に
麻酔 手術前夜は0.25 mgを就寝前、麻酔前は0.5 mg

年齢・症状・疾患に応じて増減する。投与は1回30日分が限度である1。

  • 就寝の直前に服用する。 就寝後に一時的に起きて仕事などをする可能性がある夜は服用させない。
  • (レンドルミンD錠)の電子添文も別に公開されている。
  • 本剤の影響が翌朝以後に残ることがあるので、自動車の運転など危険を伴う機械の操作は避けさせる。

禁忌・注意

日本の電子添文の禁忌は2項目だけである1。

禁忌 理由
急性閉塞隅角緑内障 でが上がり、症状が悪化するおそれ
重症筋無力症 筋弛緩作用で悪化するおそれ
  • 呼吸機能が高度に低下している患者(・肺気腫・・の急性期など):治療上やむを得ない場合を除き投与しない。炭酸ガスナルコーシスを起こすおそれがある。
  • 電子添文が注意を促す背景:心障害(悪化のおそれ)、脳の障害(作用が増強するおそれ)、肝・(代謝・排泄が遅れるおそれ)、衰弱患者。
  • 高齢者:少量から始め、などの副作用に注意する。
  • 妊婦:有益性が危険性を上回る場合に限る。の妊娠中の使用で奇形児の報告が多いとのがある。新生児に・・呼吸抑制・などが起こりうる。授乳は避ける。
  • 併用注意:アルコール(や倦怠感が増強し、本剤のクリアランスが下がって半減期が延びる)、系薬・などの、、CYP3A4(・・)は血中濃度を上げ、CYP3A4誘導剤(リファンピシンなど)は下げる。
  • 連用による依存を避けるため、漫然とした継続投与は避ける。中止するときは徐々に減量する。

副作用

区分 内容
よくみられる(0.1〜5%未満) 残眠感・眠気、、、めまい、頭痛、だるさ・倦怠感
まれ(0.1%未満) ・興奮・気分不快・・いらいら感、AST・ALT・γ-GTP・Al-P・LDHの上昇、軽度の脈拍数増加、・口渇・、発疹、、発熱、貧血
頻度不明 せん妄・振戦・・、下痢、紅斑、尿失禁、
重大な副作用 (0.1%)・黄疸、一過性・、依存性・(不眠・不安など)、呼吸抑制

主な副作用の頻度は、全体(1,701例)で、残眠感・ねむけ7.8%、2.9%、2.8%、だるさ2.7%、副作用の全体で12.6%であった1。

  • ・:十分に覚醒しないまま車を運転したり食事をしたりして、その出来事を覚えていない報告がある。少量から始め、就寝直前に服用する。
  • :1988年の総説は、中止時に軽いが起こりうるとしている3。
  • 過量:で拮抗できるが、使う前にその添付文書を読む。

まとめ

  • チエノトリアゾロジアゼピン系の。はベンゾジアゼピンと同じで、・・抗けいれん作用が強く、筋弛緩は比較的弱い(動物)。
  • 半減期は約5〜7時間で、とフルの中間にあたる。との両方に使う。
  • 用量は1回0.25 mgを就寝前。は15〜30分で出て7〜8時間で消える。
  • 代謝はCYP3A4。ただし日本の電子添文では、などはでなく併用注意である。
  • 禁忌はと重症筋無力症の2つ。・・依存に注意し、漫然と続けない。

出典

  1. 1.レンドルミン錠0.25mg 電子添文(日本ベーリンガーインゲルハイム/医薬品医療機器総合機構(PMDA)・2025)2025年10月改訂(第2版)の電子添文で、効能が不眠症と麻酔前投薬、不眠症の用量が1回0.25 mg就寝前、禁忌が急性閉塞隅角緑内障と重症筋無力症の2項目であること、血漿中濃度の消失半減期が約7時間・最高血漿中濃度到達が約1.5時間でCYP3A4が主に代謝すること、催眠作用が15〜30分で発現し7〜8時間で消失すること、国内臨床試験の有効率が不眠症で64.6%(712/1,103)、副作用発現率が12.6%(215/1,701)であることを確認した。閲覧 2026-11-06
  2. 2.Pharmacokinetics of brotizolam in healthy subjects following intravenous and oral administration(British Journal of Clinical Pharmacology(Jochemsen R ら)・1983)抄録(PMID 6661374)で、健康な若年成人にブロチゾラムを静脈内・経口投与した試験の結果として、分布容積0.66 L/kg、全身クリアランス113 mL/min、経口投与後の消失半減期5.1±1.2時間、バイオアベイラビリティ70±22%であることを確認した。全文は読んでいない。閲覧 2026-11-06
  3. 3.Brotizolam. A review of its pharmacodynamic and pharmacokinetic properties, and therapeutic efficacy as an hypnotic(Drugs(Langley MS, Clissold SP)・1988)抄録(PMID 3281819)で、ブロチゾラムがチエノトリアゾロジアゼピン誘導体であること、0.125〜0.5 mgの臨床試験でニトラゼパム・フルニトラゼパム・トリアゾラムと同程度に不眠を改善し、0.5 mgは一部の試験でフルラゼパム30 mgより優れていたこと、消失半減期が約5時間で短時間作用型のトリアゾラムと長時間作用型の中間にあたること、早朝の反跳性不眠を起こさず睡眠維持にも使えること、中止時に軽い反跳性不眠が起こりうることを確認した。全文は読んでいない。閲覧 2026-11-06