臨床薬理学

臨床薬理学 · 11

鎮静催眠薬と不安・不眠症の薬物療法

Sedative-hypnotics, anxiety and insomnia

前提:病態
ベンゾジアゼピン非ベンゾジアゼピン系抗不安薬・睡眠薬

🧠 全体像:鎮静薬は、同じ薬でも量を増やすにつれて「不安を和らげる→鎮静→眠らせる」と作用が深まる。主役は-A受容体を強めるベンゾジアゼピンとだが、健忘・転倒・依存・が避けられないため、の第一選択は薬ではなくに対するである。薬は二番手・短期間(4週以内が原則)で使い、系以外の選択肢(、、鎮静性抗うつ薬)の位置づけを押さえる。

睡眠覚醒障害の全体像

睡眠は、診断分類上、次の10群に分けられる。このノートの薬物療法は主にを対象にするが、ほかの障害は「薬を出す前に除外すべきもの」または「薬で悪化するもの」として重要である。

睡眠 薬との関係
が第一選択、薬は補助
障害 薬の翌日への持ち越しと区別する
が原因。は使わない
呼吸関連睡眠障害(など) ⚠️ ベンゾジアゼピンは上気道の筋緊張と呼吸反応を下げ、無呼吸を悪化させる
睡眠 の主な対象
からの(・) で複雑な睡眠行動が誘発されうる
ベンゾジアゼピン中止時のレム睡眠のでが増える
レム睡眠 やを使う(パーキンソン病と認知症も参照)
鉄欠乏やドパミン系の治療が中心。抗ヒスタミン薬で悪化しうる
物質・医薬品誘発性睡眠障害 原因薬・アルコール・の見直しが先

鎮静催眠薬の3つの作用

作用 定義
作用 や精神機能を損なわずに、不安を選択的に和らげる
覚醒水準・自発的な活動・精神的な集中を低下させる
睡眠障害で入眠と睡眠の維持を助け、できるだけ完全な睡眠をもたらす
flowchart TD
  A["少量"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anxiolysis'>抗不安</span>"]
  B --> C["鎮静"]
  C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypnosis'>催眠</span>"]
  D --> E["全身麻酔"]
  E --> F["昏睡・呼吸抑制"]
  G["ベンゾジアゼピンは<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ceiling effect'>天井効果</span>があり<br>単独では昏睡まで進みにくい"] -.-> E
  H["バルビツレート・アルコールは<br>用量とともに際限なく深くなる"] -.-> F

💡 「の連続体」として理解する。 ・鎮静・は別々の薬の性質というより、同じ薬の用量の違いである。ベンゾジアゼピンはがあるときにチャネルのを上げるだけなので効果に天井があり、単独の過量ではに至りにくい。一方、アルコールやオピオイドと重なると天井が外れ、致死的な呼吸抑制が起こる。

薬の分類

flowchart TD
  A["鎮静<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypnosis'>催眠</span>薬"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gamma-aminobutyric acid'>GABA</span>-A受容体の調節薬"]
  A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gamma-aminobutyric acid'>GABA</span>系以外"]
  B --> B1["ベンゾジアゼピン"]
  B --> B2["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Z-drugs'>Z薬</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='zolpidem'>ゾルピデム</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='zaleplon'>ザレプロン</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='zopiclone'>ゾピクロン</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='eszopiclone'>エスゾピクロン</span>"]
  C --> C1["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='melatonin'>メラトニン</span>MT1・MT2受容体作動薬"]
  C --> C2["鎮静性抗うつ薬"]
  C --> C3["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='orexin'>オレキシン</span>1・2受容体拮抗薬"]
  C --> C4["第一世代<span class='jp-term jp-term-diagram' title='H1 receptor antagonist'>H1受容体拮抗薬</span>"]
  C --> C5["吉草根エキス"]

GABA-A受容体の調節薬

ベンゾジアゼピン

  • 最もよく使われる鎮静薬で、・鎮静・の3作用をもつ。
  • -A受容体のα・γ2サブユニットの境界にあるベンゾジアゼピン結合部位に結合し、によるのを増やす。拮抗薬はである。
  • 個々のベンゾジアゼピンの基本的な作用に大きな差はなく、違いは主に(半減期・代謝)から生じる。

として使われるベンゾジアゼピンは、で次のように分けられている。

薬 補足
、シノラゼパム、(米国のみ承認)、フルラゼパム(米国・英国) フルラゼパムはの半減期が非常に長く、一般的な分類ではにあたる
ブロチゾラム 半減期は数時間で、に入れる分類もある
、(日常生活の不安から生じる睡眠障害には推奨しない) の半減期はの範囲で、一般的な分類ではにあたる

💡 半減期が臨床像を決める。 は翌朝への持ち越しが少ない代わりに、後の早朝のや日中の不安(不安)、依存・が出やすい。やをもつ薬は、夜間の覚醒やに効くが、翌日の眠気・が残り、高齢者では蓄積して転倒・せん妄の原因になる。

⚠️ フルの乱用。 強力なと健忘作用のため、乱用や、飲み物に混入する犯罪への悪用が問題になり、多くの国で流通が厳しくされている。注射剤が路上薬物として出回り、正規に登録された医薬品から抜き取られて使われることも指摘されている。

ベンゾジアゼピンの副作用

副作用 内容・背景
服用後の出来事を覚えていない。学習能力の低下につながる可能性も指摘されている
高齢者の 過量や蓄積による可能性がある
興奮・・攻撃性。高齢者で多い
生理的でない睡眠と 睡眠構造を変える。として長く使ったあと中止すると、不眠・レム睡眠の増加・がする
翌日の鎮静(として使った場合)。睡眠時無呼吸では危険
依存 程度は比較的軽いが存在する。を起こしうる(半減期の短い薬で目立つ)。中止時にの不安
耐性 とくに抗てんかん作用で強い

古典的なの整理では、「それでもベンゾジアゼピンは比較的安全な薬で、・を悪化させるのは高用量のとき、またはそれらの臓器に既存疾患がある場合に限られる」とされる。

⚠️ 「比較的安全」には条件がある。 が広いのは単独使用の話である。オピオイド・アルコール・ほかのとの併用、や睡眠時無呼吸、高齢者では、呼吸抑制・転倒・骨折・交通事故の危険が大きくなる。長期使用後は急に中止せず、数週〜数か月かけてする(急な中止は・不安、重い場合は痙攣を起こす)。

💡 抗てんかん作用の耐性が強いことは、薬の使い分けに直結する。 ベンゾジアゼピンはの急性期には第一選択だが()、慢性期の維持療法には向かない。

Z薬

-A受容体のベンゾジアゼピン結合部位に作用するが、化学構造はベンゾジアゼピンと異なる非の薬である。

  • 用量では睡眠段階の長さへの影響が小さく、ベンゾジアゼピンより耐性と依存を起こしにくい。
  • 健忘の報告はベンゾジアゼピンより少ないが、覚醒したまま夢を見ているような状態が起こりうる。
薬 特徴
、 短い(半減期1〜2時間) 鎮静・入眠作用が強い。に
、 中間 主にとして使う。睡眠維持にも

💡 に筋弛緩作用が少ない理由。 は-A受容体のうちα1サブユニットを含むものに強く結合し、α2・α3への親和性は低く、α5にはほとんど結合しない1。鎮静・はα1、と筋弛緩は主にα2・α3が担うと考えられているため、は「眠らせるが筋肉はゆるめにくい」。やとしては使わない。

⚠️ 複雑な睡眠行動。 の「覚醒したまま見る夢」として知られてきた現象の実体は、完全に目覚めていない状態で歩き回る、車を運転する、調理するなどの行動が起こり、死亡を含む重篤な傷害が報告されている。米国の添付文書はとし、起きたら直ちに中止し、既往のある人には禁忌としている1。アルコール併用、過量、就寝直前以外の服用で起こりやすい。

GABA系以外の鎮静催眠薬

メラトニンMT1・MT2受容体作動薬

  • 睡眠障害、とくに睡眠に使う。
  • では入眠までの時間を短くし、やを起こさない。
薬 使いどころと注意 補足
(処方不要の3 mg製剤)、、55歳以上の短期使用(1〜2 mg) 55歳以上に使うのは2 mg
米国承認。副作用はまれにアナフィラキシー、重い中枢性副作用(・など) 欧州では承認されていない
の人の(も承認)。阻害薬・阻害薬との相互作用と説明されることが多い 相互作用の正確な形は下記を参照

⚠️ の適応と相互作用は正確に覚える。 米国の添付文書では、適応は成人の(有効性はの患者で示された)と、に伴う夜間睡眠障害である。相互作用は、などの強い阻害薬で曝露が大きく増えるため併用を避け、リファンピシンなどので曝露が大きく減るため併用を避ける2。「阻害薬と相互作用する」という説明はよく見かけるが、添付文書で併用を避けるよう求めているのは「」である。

💡 の人に非24時間型が多い理由。 網膜からの光刺激がのを毎日24時間に合わせ直している。光を感じられないとは本来の周期(24時間より少し長い)で進み、入眠時刻が毎日ずれていく。は、光の代わりに時計を合わせる信号として働く。

鎮静性抗うつ薬

  • そのものは適応に含まれないことが多いが、の強い抗うつ薬は(多くは少量で)入眠を促す。
  • 鎮静性抗うつ薬と考えられるのは次の3剤である。
薬 従来の分類と臨床上の位置づけ 鎮静の機序と注意
「」に分類されることがある。睡眠障害を伴ううつ病に短期間(約1週)で効く 薬理学的には拮抗とをあわせもつ薬で、とは別の群。H1・α1遮断で鎮静と、まれに
非定型。に使え、睡眠障害()があるとき特に有益。効果は通常1〜2週で現れる α2でノルアドレナリン・セロトニン放出を増やし、強いH1遮断で鎮静。少量ほど鎮静が目立つ。・体重増加
ドキセピン 三環系。米国は少量(3〜6 mg)を睡眠障害に承認。英国では不眠を伴ううつ病に適応 少量ではほぼ選択的なH1遮断薬として働き、睡眠維持を助ける。抗うつ用量では・心毒性

オレキシン1・2受容体拮抗薬

はから覚醒系を持続的に駆動する神経ペプチドである。この受容体を遮断すると「覚醒の維持」が外れて眠りやすくなる。

薬 承認・位置づけ
スボレキサント 拮抗薬の最初の薬。2015年に米国と日本で使用可能になったと説明されることが多いが、米国の承認は2014年(発売は2015年)
レンボレキサント 米国承認
(2022年)と米国が承認
  • 成人の重い睡眠障害の治療に使う。
  • 副作用はめまい、傾眠、。

💡 副作用がに似る理由。 はの脱落で起こる。拮抗薬はの働きを一時的に止めるので、やといった様の症状が出ることがあり、の患者には使わない。一方、系の薬と違って睡眠構造を大きく変えず、や依存が少ない。

第一世代H1受容体拮抗薬

  • 脂溶性で脳に入る第一世代のは、現在は睡眠を促す目的では推奨されない。
  • は、ハンガリーではゲル剤のみだが、英国ではとしても販売されている。

⚠️ 数日でに耐性ができ、(口渇・便秘・尿閉・せん妄・)と翌日の持ち越しが残る。高齢者と認知症の人では特に避ける。

吉草根エキス

  • 睡眠障害を和らげる植物療法薬。
  • 作用機序ははっきりしない。系との相互作用(ベンゾジアゼピンのようにγサブユニットではなく、に結合する可能性)、アデノシンA1受容体の刺激、5-HT1A受容体への結合など、多くの機序が報告されている。
  • 推奨されない。

不眠症の治療

治療の順序

  1. 原因を明らかにする:身体疾患(疼痛・頻尿・心不全・甲状腺機能亢進症)、精神疾患(うつ病・不安症)、ほかの睡眠障害、原因薬(ステロイド・・・アルコール)を探す。
  2. :、睡眠教育、生理的な指導、、法、法など。
  3. 薬物療法:二次的・補助的な治療として、短期間(長くても数週)に限る。
    • 中止するとが起こる。
    • 睡眠段階の変化、健忘、依存の問題がある(では少ない)。
flowchart TD
  A["不眠の訴え"] --> B["原因の検索<br>身体・精神疾患、ほかの睡眠障害、薬・嗜好品"]
  B --> C["原因があれば治療"]
  B --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic insomnia disorder'>慢性不眠症</span>"]
  D --> E["第一選択:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='insomnia'>不眠症</span>に対する<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cognitive behavioral therapy, CBT'>認知行動療法</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='stimulus control'>刺激制御</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sleep restriction'>睡眠制限</span>・認知療法・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sleep hygiene'>睡眠衛生</span>"]
  E --> F{"効果不十分または<br>利用できない"}
  F -->|"はい"| G["第二選択:薬物療法を短期間<br>原則4週以内"]
  G --> H["中止時は<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tapering'>漸減</span>し<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='rebound insomnia'>反跳性不眠</span>に注意"]
  F -->|"いいえ"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cognitive behavioral therapy, CBT'>認知行動療法</span>を継続"]

💡 が薬より優先される理由。 は「眠れないことへの不安」と「床の上で起きている時間の長さ」が悪循環を作って持続する。法(眠くなってから床に就き、眠れなければ床を出る)と法(床の上の時間を実際の睡眠時間まで縮める)は、この悪循環そのものを断つので、治療をやめても効果が続く。薬は服用中しか効かず、中止時にが起こる。

欧州ガイドラインの推奨:2017年版と2023年改訂版

次の要約表は欧州睡眠学会のガイドライン(2017年版)に基づく従来の整理である。2023年に改訂され、との位置づけが加わった。

治療 従来の要約表(2017年版に基づく) 2017年版の原文の推奨度 2023年改訂版(現行)
第一選択
に対する 併存症の有無を問わず、のすべての成人に(強い推奨、強いエビデンス) 強い推奨、高い質のエビデンス3 年齢・併存症を問わず第一選択。対面でもデジタルでもよい(A)4
第二選択(が無効か利用できないとき) 効果不十分なら薬物療法を提案できる(A)4
ベンゾジアゼピンと作動薬() 短期治療に有効、長期治療には推奨しない(強い推奨、低い質のエビデンス) 短期(4週以内)に有効(弱い推奨、中等度の質のエビデンス)3 短期(4週以内)に使える(A)。症例によっては利点と欠点を考えて長期使用も(B)4
鎮静性抗うつ薬 短期治療に有効、長期治療には推奨しない(強い推奨、低い質のエビデンス) 一部の抗うつ薬は短期に有効(弱い推奨、中等度の質のエビデンス)3 少量を短期(4週以内)に(B)4
記載なし 記載なし は短期に使える(A)。は3か月まで、症例によってはそれ以上(A)4
と運動療法 として有用かもしれない(弱い推奨、低い質のエビデンス) 有用性の判断にさらなる評価が必要(弱い推奨、低い質のエビデンス)3 の補助として有用でありうる(B)4
推奨しない
抗ヒスタミン薬 エビデンス不十分のため推奨しない(強い推奨、低い質のエビデンス) 推奨しない3 推奨しない(A)4
抗精神病薬 エビデンス不十分と副作用のため推奨しない(強い推奨、低い質のエビデンス) 推奨しない3 推奨しない(A)4
エビデンス不十分のため推奨しない(弱い推奨、低い質のエビデンス) 推奨しない3 は推奨しない(A)。は55歳以上で3か月まで使える(B)4
記載なし 記載なし 推奨しない(A)4
吉草根 エビデンス不十分のため推奨しない(弱い推奨、低い質のエビデンス) 植物療法薬として推奨しない3 植物療法薬として推奨しない(A)4
鍼、アロマセラピー、足の反射療法、ヨガ、瞑想的運動 エビデンス不十分のため推奨しない(弱い推奨、低い質のエビデンス) 鍼などの補完は推奨しない(弱い推奨、非常に低い質のエビデンス)3 —

従来の要約表の推奨度の表記は、2017年版のの推奨度と一致しない行がある(薬を「強い推奨・低い質」とする点など)。推奨の方向(第一選択・第二選択・推奨しない)は同じなので、学習ではこの区分を押さえ、推奨度は原典で確かめる。

⭐ 3つの数字で覚える。 が第一選択、ベンゾジアゼピン・・鎮静性抗うつ薬は4週以内、は3か月まで、は55歳以上で3か月まで。

不安への使い方

鎮静薬のうち不安に使うのは主にベンゾジアゼピンである。効果が数十分で現れるため、急性の強い不安やの頓用、抗うつ薬の効果が出るまでの数週間の橋渡しに向く。一方、耐性・依存・への影響があるため、やの長期治療の中心は抗うつ薬(など)とで、ベンゾジアゼピンは短期間にとどめる。病型ごとの治療はを参照。

⚠️ 高齢者への鎮静薬。 高齢者では代謝が遅く感受性が高いため、同じ量でも・転倒・骨折・せん妄・が起こりやすい。やをもつ薬は特に避け、使うなら最小量・最短期間とし、定期的に減量・中止を検討する。

まとめ

  • 鎮静薬は用量とともに→鎮静→と作用が深まる。ベンゾジアゼピンにはがあるが、アルコール・オピオイド併用で致死的な呼吸抑制が起こる。
  • ベンゾジアゼピンは-A受容体のを上げる。個々の薬の違いは主に半減期で、は・依存、は持ち越し・蓄積が問題になる。副作用は、高齢者の、、(レム睡眠増加・)、持ち越し、睡眠時無呼吸の悪化、依存、耐性(とくに抗てんかん作用)。
  • (・は短時間、・は中間)は耐性・依存が少ないが、複雑な睡眠行動でがある。はα1選択性で筋弛緩が少ない。
  • 系以外では、(、はで阻害薬とを避ける)、鎮静性抗うつ薬(・・少量ドキセピン)、(スボレキサント・レンボレキサント・)がある。と吉草根は推奨しない。
  • は原因検索→(第一選択)→薬物療法(第二選択・短期)の順。欧州ガイドライン2023では薬と鎮静性抗うつ薬は4週以内、は3か月まで、は55歳以上で3か月まで、抗ヒスタミン薬・抗精神病薬・・・植物療法薬は推奨しない。
  • 不安には、ベンゾジアゼピンを急性期や橋渡しに短期間使い、長期治療は抗うつ薬とが中心。
  • 睡眠障害の臨床は睡眠障害:と臨床管理と生理的睡眠と睡眠障害を参照。

出典

  1. 1.Zolpidem Tartrate Extended-Release Tablets, for oral use — full prescribing information(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed)・2025)openFDAが返す同じ set id の最新版(effective_time 2026-08-26)で、枠組み警告が睡眠時遊行・睡眠中の運転など完全に覚醒していない状態での複雑な睡眠行動で、死亡を含む重篤な傷害がありうるため出現したら直ちに中止すること、そうした行動の既往が禁忌であること、ゾルピデムがα1サブユニットを含むGABA-A受容体のベンゾジアゼピン結合部位に結合してクロライドチャネルの開口頻度を増やす正のアロステリック調節薬で、α2・α3よりα1への親和性が高くα5にはほとんど結合しないことを確認した。閲覧 2026-09-26
  2. 2.HETLIOZ (tasimelteon) capsules / HETLIOZ LQ oral suspension — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration / Vanda Pharmaceuticals・2026)openFDAが返す最新版(effective_time 2026-08-04)の添付文書本文で、タシメルテオンがメラトニンMT1・MT2受容体作動薬であること、カプセルの適応が成人の非24時間睡眠覚醒障害と16歳以上のSmith-Magenis症候群に伴う夜間睡眠障害であること、強いCYP1A2阻害薬(フルボキサミンなど)との併用は曝露が大きく増えるため避け、リファンピシンなどのCYP3A4誘導薬との併用は曝露が大きく減り効果が落ちるため避けることを確認した。閲覧 2026-09-26
  3. 3.European guideline for the diagnosis and treatment of insomnia(Journal of Sleep Research(欧州睡眠学会。著者 Dieter Riemann, Chiara Baglioni ら)・2017)抄録(PMID 28875581)で、成人の慢性不眠症の第一選択が不眠症に対する認知行動療法であること(強い推奨・高い質のエビデンス)、認知行動療法が十分に効かないか利用できないときに薬物療法を提案できること、ベンゾジアゼピン・ベンゾジアゼピン受容体作動薬・一部の抗うつ薬が短期(4週以内)の治療に有効であること(弱い推奨・中等度の質のエビデンス)、抗ヒスタミン薬・抗精神病薬・メラトニン・植物療法薬を推奨しないこと(強い〜弱い推奨・低い〜非常に低い質のエビデンス)、光療法と運動は有用性の判断にさらなる評価が必要なこと(弱い推奨・低い質のエビデンス)、鍼などの補完代替療法を推奨しないこと(弱い推奨・非常に低い質のエビデンス)を確認した。閲覧 2026-09-26
  4. 4.The European Insomnia Guideline: An update on the diagnosis and treatment of insomnia 2023(Journal of Sleep Research(欧州睡眠学会。著者 Riemann D, Espie CA ほか)・2023)抄録(PMID 38016484)で、成人の慢性不眠症には年齢・併存症を問わず対面またはデジタルの不眠症に対する認知行動療法が第一選択(A)で、効果が不十分なら薬物療法を提案できること(A)、ベンゾジアゼピン(A)・ベンゾジアゼピン受容体作動薬(A)・ダリドレキサント(A)・少量の鎮静性抗うつ薬(B)は短期(4週以内)に使え、症例によっては利点と欠点を考えて長期使用も始めうること(B)、オレキシン受容体拮抗薬は3か月まで、症例によってはそれ以上使えること(A)、徐放性メラトニンは55歳以上で3か月まで使えること(B)、抗ヒスタミン薬・抗精神病薬・速放性メラトニン・ラメルテオン・植物療法薬は推奨しないこと(A)、光療法と運動療法は認知行動療法の補助として有用でありうること(B)を確認した。閲覧 2026-09-26