臨床薬理学

臨床薬理学 · 07

てんかん重積状態のABCDE評価と抗痙攣薬の臨床薬理

Status epilepticus, ABCDE assessment and anticonvulsants

前提:病態
抗てんかん薬・鎮痛補助薬ベンゾジアゼピン

🧠 全体像:は「時間との勝負」である。まずABCDEで気道・呼吸・循環を守り、低血糖を除外する(0〜5分)。発作が5分続いたらベンゾジアゼピンを十分量で投与し、2回で止まらなければ・フェニトイン・バルプロ酸のいずれかを静注する。それでも止まらなければ全身麻酔へ進む。どの薬をどの順で使うかは、作用機序と(効き始めの速さ・効果の持続・代謝経路・心血管への影響)から理解できる。

てんかん重積状態の位置づけ

痙攣性は、発作が5分以上続くか、意識が戻らないまま発作を繰り返す状態で、直ちに治療を始める神経救急である1。5分は「自然には止まりにくくなった」とみなして治療を始める時点であり、30分を超えると神経細胞の障害が問題になる。定義・病型・原因検索の詳細は、小児の救急治療は痙攣・の救急治療にまとめてある。このノートは、成人の急性期アルゴリズムを臨床薬理の視点で扱う。

時期 主な狙い 主な薬
0〜5分:初期対応 気道・酸素化・・血糖 ブドウ糖(低血糖時)
5〜15分:第一選択 発作を速く止める ベンゾジアゼピン
15分〜:第二選択 発作の再発を防ぎ、ベンゾジアゼピン不応を止める 、フェニトイン、バルプロ酸(無効なら)
難治性:第三選択 脳の電気活動そのものを抑え込む 全身麻酔(のうえ)

慢性期のの選び方・相互作用・経口避妊薬との関係はてんかんの薬物療法、妊娠中の扱いは妊娠中のとてんかんで扱う。

救急患者の初期評価:ABCDE

ABCDEは、器具を使わずに短時間で行う評価法である。生命をいちばん早く脅かすものから順に、気道→呼吸→循環→神経→その他と調べ、異常を見つけたらその場で是正してから次へ進む。

flowchart TD
  A["A 気道<br>空気の出入りと気道の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tumor cells'>脅威</span>"] --> A2{"異常あり?"}
  A2 -->|"はい"| A3["体位・吸引・気道補助具で<br>その場で是正"]
  A2 -->|"いいえ"| B["B 呼吸<br>回数・深さ・左右差・努力呼吸"]
  A3 --> B
  B --> C["C 循環<br>皮膚・脈・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='capillary refill time (CRT)'>毛細血管再充満時間</span>"]
  C --> D["D 神経<br>瞳孔・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Glasgow Coma Scale'>GCS</span>/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='alert, voice, pain, unresponsive'>AVPU</span>・左右差・血糖"]
  D --> E["E その他<br>体温・外傷・心電図・病歴"]
  E --> F["器具による評価を追加<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulse oximetry'>パルスオキシメトリ</span>・血圧・心電図モニター"]
  F --> G["状態が変われば<br>Aから再評価"]

💡 でABCDEを先に回す理由。 痙攣中は気道が閉じやすく、唾液・嘔吐物を誤嚥し、酸素消費が増えて低酸素になる。低血糖はそれ自体が痙攣の原因で、しかもブドウ糖で数分以内に治る。さらに、これから投与するベンゾジアゼピンやバルビツレートは呼吸抑制と低血圧を起こすので、投与前の呼吸・循環・意識のが要る。

A:気道

気道の評価は、気道の音を聞くことと気道のを見つけることの2つからなる。意識のない患者では、横から患者の頭側に位置し、口と鼻の前に耳を近づけて空気の流れを聞き・感じながら、胸郭の動きを見る。空気が流れているかだけでなく、その質を評価する。

所見 意味
があるのに空気が流れない
いびき様の音 軟部組織(舌根など)による
ゴボゴボという 上気道の液体(分泌物・血液・)による
固形の異物による

気道が今後危うくなる徴候にも注意する。

  • :舌のすす、口・鼻・口唇周囲の皮膚熱傷、口と鼻の周りの毛の焦げ
  • アレルギーが疑われる患者の嗄声(とくに増悪していくもの)
  • 意識のない患者の仰臥位(とくに中):と誤嚥の危険

やアレルギー患者の嗄声は、数分単位でへ進みうる所見である。

B:呼吸

評価項目 見方 警戒すべき所見
呼吸数 6秒間の呼吸数×10。熟練者は著しい増減を一目で判断できるが、異常なら正確に数える 9回/分未満または20回/分超(呼吸不全の可能性)
深さ・左右対称性 胸郭の動きを見る 浅い呼吸、左右差
呼吸パターン Biot呼吸、Cheyne-Stokes呼吸、など 異常パターンそのもの
チアノーゼ 中心性か末梢性かをで区別 重度の低酸素血症の(遅い)徴候。多くは下の所見を伴う
努力呼吸、の使用、 増加は。異常な減少はを意味し、の危険
(技能があれば4か所) 左右を比べる 呼吸音の消失した胸郭、喘鳴・・などの著明な、著明な左右差
呼吸パターン 特徴 想定する病態
Biot呼吸 不規則な呼吸と無呼吸が混在 脳幹(橋・延髄)の障害
Cheyne-Stokes呼吸 深さが漸増・し無呼吸を挟む周期 両側大脳・の障害、
深く規則的な大呼吸 代謝性アシドーシスの

病院前では胸郭の触診の条件が整わないことが多く、得られる情報も限られるため、省略するか、後で焦点を絞った診察として行ってよい。器具が使えればで補い、モニターを装着する。

⚠️ 「呼吸が楽そうになった」は改善とは限らない。 努力呼吸が続いたあとにが急に減るのはの徴候で、の直前であることがある。ベンゾジアゼピン投与後のも同じ目で見る。

C:循環

評価項目 見方 警戒すべき所見
皮膚(・触診) 色・温度・湿り気 蒼白・、、発汗
末梢脈の触知 触れるか。触れなければ直ちに中枢の脈を確認 末梢で触れない
脈拍数 6秒間の拍動数×10。次の段階でとモニターで正確にする 著しい頻脈・徐脈
脈の性状 充実しているか、かろうじて触れるか。整か不整か 微弱、不整
か胸骨を5秒間圧迫して離す 2秒を超えれば

器具が使えれば、血圧測定と心電図モニターで補う。

D:神経

  • 瞳孔:大きさの左右差を見る。1 mmを超える差はである。
  • :初回のGCSを正確に記録するか、で評価する。
    • できれば薬を投与する前に評価する(鎮静薬の影響と区別するため)。
    • 痛み刺激は眼窩上(眼窩上神経の出口)の圧迫で与える。
    • 常に最良の反応を記録し、それに基づいて判断する。
    • 変化はすべて丁寧に記録する。
  • 左右差:眼球の位置()、顔面の非対称、指示・痛み刺激に対する四肢の動きの左右差。
  • 血糖測定:意識障害・痙攣の患者では必ず行う。

初回評価では、詳しい感覚障害・運動障害までは調べられない。

反応
A 覚醒している
V 声に反応する
P 痛み刺激にのみ反応する
U 反応しない

💡 痙攣後のやは、焦点のある病変の手がかりになる。 に一過性の麻痺が残ることもあるが、左右差の記録は脳卒中・腫瘍・外傷などのを探す出発点になる。

E:環境・その他・全身の露出

  • 体温(触診または体温計):重度の低体温、高熱の可能性
  • 目的を絞った追加評価
    • の
    • 腹部の触診
    • 浮腫・の確認
    • 外傷患者として診ていない患者でも外傷を探す(痙攣に伴う転倒・・)
    • 分析
    • 周囲の環境の観察(薬の空き箱・毒物・源など)
    • (てんかんの既往、、飲酒、糖尿病、妊娠)

成人のてんかん重積:段階的治療

flowchart TD
  S["痙攣が5分以上<br>または意識が戻らず反復"] --> Z["0〜5分 初期対応<br>気道確保・拘束しない・酸素<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='IV access'>静脈路</span>・血糖測定"]
  Z --> G{"低血糖?"}
  G -->|"はい"| G2["10%ブドウ糖150〜200 mLを直ちに<br>栄養不良・飲酒では<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thiamine'>チアミン</span>を先に"]
  G -->|"いいえ"| B1["5〜15分 第一選択<br>ベンゾジアゼピン1回目"]
  G2 --> B1
  B1 --> W["5分待つ"]
  W --> Q1{"止まった?"}
  Q1 -->|"いいえ"| B2["ベンゾジアゼピン2回目"]
  Q1 -->|"はい"| R["原因検索と再発予防"]
  B2 --> Q2{"止まった?"}
  Q2 -->|"はい"| R
  Q2 -->|"いいえ"| L2["15分〜 第二選択を静注・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intraosseous administration'>骨髄内投与</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='levetiracetam'>レベチラセタム</span>・フェニトイン・バルプロ酸"]
  L2 --> Q3{"止まった?"}
  Q3 -->|"はい"| R
  Q3 -->|"いいえ"| L2b["別の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Second-line drugs:QAPL'>第二選択薬</span><br>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='phenobarbital'>フェノバルビタール</span>"]
  L2b --> Q4{"止まった?"}
  Q4 -->|"はい"| R
  Q4 -->|"いいえ"| L3["難治性:全身麻酔<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='rapid-sequence induction'>迅速導入</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='endotracheal intubation'>気管挿管</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intensive care'>集中治療</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='EEG monitoring'>脳波監視</span>"]

初期対応(0〜5分)

  • 気道を守り、患者を押さえつけない(拘束すると骨折・筋損傷を起こし、発作は止まらない)。
  • 気道補助具を考慮する。痙攣中は歯を食いしばるので、口に無理に物を押し込まない。
  • 酸素を投与する。
  • を確保する。
  • 血糖を測定し、低血糖なら10%ブドウ糖150〜200 mLを直ちに投与する。

⚠️ やが疑われる患者では、ブドウ糖の前か同時にを静注する(ブドウ糖負荷でが顕在化し、を誘発しうるため)。米国てんかん学会の指針も、成人で血糖60 mg/dL未満なら100 mgを静注してから50%ブドウ糖50 mLを静注するとしている2。低血糖以外にも、子癇、、のが重積の原因として多く、それぞれ追加の治療を要する。(解離性)のは痙攣性とよく似て見えることにも注意する1。

第一選択:ベンゾジアゼピン(5〜15分)

薬と用量 使う場面
・筋注 10 mg がまだ無いとき(病院前・病棟)
静注・ 0.1 mg/kg ・があるとき
静注・ 4 mgを急速静注 があるとき

1回目で止まらなければ5分待って、静注・の0.1 mg/kgまたは4 mgを繰り返す。

現行の指針もベンゾジアゼピンを第一選択とする点で一致しているが、細部には違いがある。

指針 第一選択の内容
英国 NG217(2026年更新) 地域では(代替に直腸)、と蘇生設備があれば静注。初回投与後5〜10分で止まらなければ2回目を投与する1
米国てんかん学会(2016年) 次の3つから1つを選ぶ。筋注(40 kg超は10 mg、13〜40 kgは5 mg、1回のみ)、静注(0.1 mg/kg、1回最大4 mg、1回まで反復可)、静注(0.15〜0.2 mg/kg、1回最大10 mg、1回まで反復可)。いずれも使えなければ静注15 mg/kg、直腸0.2〜0.5 mg/kg(最大20 mg)、・。十分量を1回で投与し、少量に分けない2

💡 薬の種類より「速く・十分量で」が効く。 の委員会は、ベンゾジアゼピン同士の効果の差より投与までの速さのほうが重要だと判断し、は場所(地域か病院か)で決まるとした1。筋注・のはを待たずに投与できる点が強みである。逆に、少量を何度も分けて投与すると有効濃度に届かず、見かけ上の「ベンゾジアゼピン不応」を作る。実臨床で投与量が不足しがちな点はのノートを参照。

⚠️ ベンゾジアゼピンの主な危険は呼吸抑制・低血圧・で、2回目の投与や、後に続くとの併用で強まる。と気道確保の準備をしてから投与する。

第二選択(15分〜)

かが必須で、必要に応じてへつなぐ。次のいずれかを投与する。

薬 用量・投与法 要点
60 mg/kg(最大4.5 g)を100 mLに溶かし10分で静注・ 準備と投与が速く、の副作用・相互作用が少ない
フェニトイン 20 mg/kg(最大2 g)、25〜50 mg/分で希釈せずに静注 ⚠️ 心電図監視が必須。・の危険があるため太いから
バルプロ酸 40 mg/kg(最大3 g)を100 mLに溶かし10分で静注 への影響は少ない。妊娠可能な女性・肝疾患では避ける(下記)

発作が続くときは、この中から別の薬を2剤目として静注するか、15 mg/kgを100 mg/分で静注する。

米国てんかん学会の指針も第二段階の用量を同じ水準で示している。20 mgフェニトイン換算量/kg(最大1,500 mg換算量)、バルプロ酸40 mg/kg(最大3,000 mg)、60 mg/kg(最大4,500 mg)をいずれも1回量で投与し、どれも使えなければ15 mg/kgを用いる2。

現行の根拠もこの3剤を同列に置く。ベンゾジアゼピン不応の痙攣性の小児・成人384例を比べたESETT試験では、60分時点で発作が止まり意識が改善したのは47%、45%、バルプロ酸46%で、どれが優れるとも劣るとも言えないまま無益性の基準で中止された。低血圧と挿管は群で、死亡は群で数値上多かったが、有意差はなかった3。も3剤のどれかを第二選択とし、そのうえでは投与が速く有害事象が少ない可能性があることを考慮するよう求めており、事実上の第一候補になりつつある1。

⭐ 「どれでも半分しか止まらない」ことを覚えておく。 ESETTの結果は、の選択より、第二段階へ進むのを遅らせないこと、無効ならすぐ次の段階へ進むことのほうが重要だという意味でもある。米国てんかん学会の指針も、第二・第三段階の治療は初期治療より効果が落ちるとしている2。

⚠️ フェニトイン静注の安全管理

項目 内容
成人で50 mg/分を超えない。速すぎると重度の低血圧と不整脈を起こす(枠付き)4
監視 投与中と投与後に心電図・血圧・呼吸を連続監視する
禁忌 、、2度・3度房室ブロック、Adams-Stokes症候群4
溶解液 ブドウ糖を含む輸液と混ぜるとする。希釈するなら
局所毒性 性で、漏出や末梢静注の後に投与部位より末梢の浮腫・・疼痛(パープルグローブ症候群)が数日遅れて出ることがある。筋注は吸収が不安定で局所毒性があるため行わない4

💡 フェニトインは「遅い」薬でもある。 70 kgの成人に20 mg/kgを50 mg/分で入れると、負荷だけで約30分かかる。10分で入るやバルプロ酸と比べ、発作が続く時間が延びる。水溶性のであるは速く投与でき局所毒性も少なく、ESETTでもフェニトイン系としてはこちらが使われた。なお負荷量は国と製剤で異なり、米国の添付文書では成人のに10〜15 mg/kgとしている4。用量は施設のプロトコルに従う。

⚠️ バルプロ酸を選ぶ前に確認すること。 催奇形性と出生児ののため、英国では妊娠可能な女性へのバルプロ酸にの安全対策が課されており、静注でも同じ注意が適用される1。肝障害、(とくにPOLG遺伝子変異)、では肝不全・の危険から避ける。

第三選択:難治性てんかん重積

を2剤使っても止まらない場合は難治性として扱い、で気道を確保し、全身麻酔の導入と維持を行う。は第三選択としてか全身麻酔をの指導下で考慮するとし1、米国てんかん学会の指針は麻酔量の・・ペントバルビタール・を監視下で用いることを挙げている2。

💡 監視が必要なのは、や麻酔薬で痙攣の動きが見えなくなっても、脳の発作活動(非痙攣性の重積)が続いていることがあるからである。

抗痙攣薬の作用機序による分類

は作用機序で大きく分けられ、の作用がどの発作型に効くかをある程度決める。1つの薬が複数の群にまたがることに注意する(バルプロ酸・など)。

flowchart TD
  X["神経細胞の過剰な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='synchronous firing'>同期発火</span>"] --> N["興奮を下げる"]
  X --> I["抑制を強める"]
  N --> N1["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='voltage-gated Na+ channel'>電位依存性Na⁺チャネル</span>遮断<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='repetitive firing'>反復発火</span>を抑える"]
  N --> N2["Ca²⁺電流の抑制<br>T型:視床の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='absence (seizure)'>欠神</span>回路<br>α2δ:伝達物質放出"]
  N --> N3["グルタミン酸受容体の抑制<br>NMDA型"]
  N --> N4["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='synaptic vesicle'>シナプス小胞</span>タンパクSV2Aに結合<br>放出の調節"]
  I --> I1["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gamma-aminobutyric acid'>GABA</span>-A受容体の増強<br>ベンゾジアゼピン・バルビツレート"]
  I --> I2["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gamma-aminobutyric acid'>GABA</span>の分解を阻害<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='gamma-aminobutyric acid'>GABA</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='transaminases'>トランスアミナーゼ</span>阻害"]
群 機序 代表薬 臨床での使いどころ
遮断薬 のNa⁺チャネルを安定化し、高頻度のを抑える。現在広く使われる薬の多くが程度の差はあれこの作用をもつ カルバマゼピン、、、フェニトイン、、バルプロ酸 ・
T型遮断薬 のT型は、てんかんに特徴的なの律動を作る。これを抑える
α2δサブユニット結合薬 のα2δサブユニットに結合し、の放出を減らす 、 難治性の焦点てんかん、
-A受容体の正の薬 ベンゾジアゼピンはチャネルのを増やす。バルビツレートはを延ばし、高用量ではが無くてもチャネルを開く 、、、、 で非常に広く使う
阻害薬 を分解する酵素を阻害し、内因性を増やす 難治性の、一部の()
グルタミン酸受容体に作用する薬 NMDA型に(部分的に)作用する 、 はの併用療法と一部のの。はと
タンパクSV2A結合薬 小胞タンパクSV2Aに結合し、小胞の機能を変えて伝達を調節する 効き始めが速くが良いため非常に広く使われる

💡 ベンゾジアゼピンとバルビツレートの違いはの違いになる。 ベンゾジアゼピンはがあるときのを上げるだけなので効果に天井がある。バルビツレートはを延ばし、高用量では無しでもチャネルを開くため天井がなく、呼吸抑制・低血圧が深くなる。重積でを後段に置くのはこのためである。

⚠️ 薬ごとの重い副作用の例

  • :と肝不全の危険があり、使用は限定的である(薬剤性も参照)。
  • :不可逆的ながあり、定期的なを要する。
  • :・攻撃性・抑うつ・・などの精神・行動面の副作用が知られる。臨床経験上、など薬物治療中の精神疾患を悪化させうるため、こうした患者では相対的に避ける。添付文書上は禁忌ではなく・注意の扱いであり、急性期に他剤が使いにくいときは利益と危険を比べて判断する。

急性期に使う主な薬の薬物動態と適応

薬 半減期 主な適応
、筋注、静注(も用いる) 2〜6時間 急性の痙攣。多くは・筋注
筋注、静注、直腸内 筋注60〜72時間、静注33〜45時間、直腸内45〜46時間 とCYP2C19。の消失はさらに長い 急性の痙攣。多くは直腸内
経口 17〜60時間 主にによる代謝(も) 一部のでの
静注、筋注 50〜120時間 CYP2C9など 急性の痙攣の第二選択
静注、経口 6〜8時間 血中での加水分解と(大部分は未変化体で尿中へ) 多くのと急性の痙攣
フェニトイン 静注、経口 (Michaelis–Menten型) 主にCYP2C9(一部CYP2C19)で水酸化→→排泄 急性の痙攣

表の読み方を薬ごとに押さえる。

  • :半減期が短く、効果が切れると発作が再発しうる。だから第一選択で発作を止めたら、長く効くへ橋渡しする。阻害薬(マクロライド、など)で作用が遷延する。
  • :脂溶性が高く速やかに脳へ入るが、脂肪組織へするため抗痙攣作用は半減期の長さほど続かない。一方でのがゆっくり消えるため、で蓄積し、遅れて・呼吸抑制が出る。
  • :経口の慢性期用で、急性期アルゴリズムには入らない。
  • :半減期が非常に長く、一度負荷すると長く効く。強力なで、併用薬の血中濃度を下げる。ベンゾジアゼピンの後に使うと呼吸抑制・低血圧が重なる。
  • :で代謝されないため薬物相互作用がほとんど無く、肝障害でも使いやすい。代わりになので、腎機能低下では減量する。
  • フェニトイン:下のが最大の特徴である。

💡 フェニトインはなぜ「の半減期」なのか。 フェニトインの(主にCYP2C9)は治療濃度域で飽和に近づく。飽和する前は投与量に比例して濃度が上がるが、飽和に近づくと処理しきれない分がたまり、少しの増量で血中濃度が不釣り合いに跳ね上がり、半減期も延びる。有効域は総濃度10〜20 µg/mL(遊離型1〜2 µg/mL)と狭い4。蛋白結合率が高いので、や腎不全では総濃度が低めでも遊離型が多く、中毒が出やすい。CYP2C9を阻害する薬が加わると濃度がする4。の計算は線形・を参照。

flowchart TD
  A["フェニトインの投与量を増やす"] --> B{"CYP2C9は飽和に近い?"}
  B -->|"いいえ<br>低濃度域"| C["濃度は投与量にほぼ比例して上昇"]
  B -->|"はい<br>治療濃度域付近"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='elimination rate'>消失速度</span>が頭打ち"]
  D --> E["少しの増量で濃度が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='surge'>急上昇</span><br>半減期も延長"]
  E --> F["眼振→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ataxia'>運動失調</span>→意識障害"]
  F --> G["増量は少しずつ<br>血中濃度で確認"]

まとめ

  • ABCDEは器具を使わず、生命を脅かす順に気道→呼吸→循環→神経→その他を評価し、異常はその場で是正する。呼吸数は9回/分未満・20回/分超、は2秒超、瞳孔差は1 mm超が警戒所見で、意識はかで最良の反応を投薬前に記録する。
  • の初期対応(0〜5分)は、拘束せず気道確保・酸素・・血糖。低血糖なら10%ブドウ糖150〜200 mL、栄養不良・飲酒ではを先に。
  • 第一選択はベンゾジアゼピン(・筋注10 mg、静注0.1 mg/kg、静注4 mg)。十分量を1回で、5分待って1回まで繰り返す。
  • 第二選択は60 mg/kg、フェニトイン20 mg/kg、バルプロ酸40 mg/kgのいずれか。有効性は同等(どれも約半数)で、速く投与でき副作用の少ないが選ばれやすい。フェニトインは50 mg/分以下・心電図監視・で禁忌、バルプロ酸は妊娠可能な女性と肝疾患で避ける。
  • それでも止まらなければ別のか、さらに全身麻酔(・監視)。
  • はNa⁺、Ca²⁺電流抑制(T型・α2δ)、系増強、抑制、SV2A結合で分類できる。
  • では、の短さ、のと、の長さと、のと相互作用の少なさ、フェニトインの代謝を押さえる。

出典

  1. 1.Epilepsies in children, young people and adults (NICE guideline NG217)(National Institute for Health and Care Excellence・2026)7.1節(最終更新2026年8月5日の版)で、5分以上続く痙攣性てんかん重積に蘇生と緊急治療を行うこと、地域では頬粘膜ミダゾラムまたは直腸ジアゼパム、静脈路と蘇生設備があれば静注ロラゼパムを第一選択とすること、低血糖・子癇・アルコール離脱などの基礎原因と服薬不遵守に注意し、非てんかん性(解離性)発作が痙攣性てんかん重積と似て見えることを念頭に置くこと(7.1.4〜7.1.6)、初回投与後5〜10分で止まらなければベンゾジアゼピンを2回目投与すること、2回で止まらなければ静注レベチラセタム・フェニトイン・バルプロ酸ナトリウムのいずれかを第二選択とし(バルプロ酸はMHRAの安全対策に従う)、レベチラセタムは投与が速く有害事象が少ない可能性を考慮すること、無効なら別の第二選択薬を試み、第三選択はフェノバルビタールまたは全身麻酔を専門家の指導下で考慮することを確認した。閲覧 2026-09-26
  2. 2.Evidence-Based Guideline: Treatment of Convulsive Status Epilepticus in Children and Adults: Report of the Guideline Committee of the American Epilepsy Society(American Epilepsy Society(Epilepsy Currents)・2016)本文で、治療を安定化期(0〜5分)・初期治療期(5分から開始し20分までに反応を判定)・第二治療期(20分から開始し40分までに判定)・第三治療期(40分以降)に分けること、初期治療は筋注ミダゾラム・静注ロラゼパム・静注ジアゼパムのいずれかを第一選択とし、十分量を1回で投与して少量に分割しないこと、再投与できるのは静注ロラゼパムと静注ジアゼパムを全量で1回だけであること、病院前では直腸ジアゼパム・鼻腔内ミダゾラム・頬粘膜ミダゾラムが妥当な代替であること、静注フェノバルビタールは有効だが投与速度が遅いため代替の位置づけであること、第二治療の選択肢(ホスフェニトイン・バルプロ酸・レベチラセタム)の間に優劣の明確な根拠がないこと、第二・第三治療は初期治療より効果が落ちること、第三治療期には第二選択薬の反復か脳波監視下の麻酔量のチオペンタール・ミダゾラム・ペントバルビタール・プロポフォールを考慮することを確認した。2026-09-26にPMC(PMC4749120)の治療アルゴリズム図(Figure 1)で、成人の血糖60 mg/dL未満ではチアミン100 mg静注ののち50%ブドウ糖50 mL静注、筋注ミダゾラム40 kg超10 mg・13〜40 kg 5 mg(単回)、静注ロラゼパム0.1 mg/kg(最大4 mg、1回反復可)、静注ジアゼパム0.15〜0.2 mg/kg(最大10 mg、1回反復可)、代替の静注フェノバルビタール15 mg/kg・直腸ジアゼパム0.2〜0.5 mg/kg(最大20 mg)、第二治療期のホスフェニトイン20 mg PE/kg(最大1500 mg PE)・バルプロ酸40 mg/kg(最大3000 mg)・レベチラセタム60 mg/kg(最大4500 mg)をいずれも単回投与とすることを確認した。閲覧 2026-09-26
  3. 3.Randomized Trial of Three Anticonvulsant Medications for Status Epilepticus(The New England Journal of Medicine・2019)抄録(PMID 31774955)で、ベンゾジアゼピン不応の痙攣性てんかん重積の小児・成人384例をレベチラセタム・ホスフェニトイン・バルプロ酸に無作為化し、60分時点の発作停止と意識改善がそれぞれ47%・45%・46%と同程度で、事前規定の無益性基準で中止されたこと、低血圧と挿管はホスフェニトイン群、死亡はレベチラセタム群で数値上多かったが有意差はなかったこと、登録例の10%が心因性発作だったことを確認した。閲覧 2026-09-26
  4. 4.PHENYTOIN SODIUM injection — Prescribing Information(Hikma Pharmaceuticals USA / DailyMed(U.S. FDA)・2022)米国添付文書(改訂表示は2022年12月)で、急速静注による心血管リスクの枠付き警告として成人の投与速度が50 mg/分を超えてはならず投与中・後の心監視が必要なこと、成人のてんかん重積の負荷量が10〜15 mg/kgであること、洞性徐脈・洞房ブロック・2度および3度房室ブロック・Adams-Stokes症候群が禁忌であること、ブドウ糖含有液と混ぜると沈殿すること、末梢静注後のパープルグローブ症候群、筋注は吸収が不安定で局所毒性があるため通常行わないこと、主にCYP2C9(一部CYP2C19)で代謝され飽和性の代謝のため阻害による相互作用を受けやすいこと、総濃度10〜20 µg/mL(遊離型1〜2 µg/mL)が有効域であることを確認した。閲覧 2026-09-26