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Drug Atlas · B35 Targeted cancer therapy / 分子標的薬 · 必修

ソニデギブ

sonidegib

分類
Targeted cancer therapy / 分子標的薬
商品名(EU)
Odomzo
科目
Pharmacology
トピック
B35: Drugs used in cancer treatment V (Small molecule signal transduction inhibitors. Retinoids)
承認適応
基底細胞癌
副作用
筋痙攣悪心味覚障害体重減少
対象疾患
母斑性基底細胞癌症候群

🧠 全体像は、に次いでに承認された2剤目のHedgehog経路阻害薬(SMO阻害薬)である。標的も適応も先行薬とほぼ重なるため、この2剤の理解は「同じ標的を狙う薬が複数ある理由」という視点で整理すると効率がよい——両薬を直接比較する試験は実施されておらずではがやや上回る傾向が示されたに過ぎない。そのため実地での使い分けは有効性の優劣よりも、適応範囲の違い(は転移例が適応外)と、催奇形性ゆえの避妊管理という共通のの中での実務的な判断に基づく。

薬効群の中での位置づけ

項目
標的 SMO(Smoothened) SMO(Smoothened)
適応 局所進行性のみ(外科的切除・放射線治療が適さない例、再発例) 局所進行性および転移性
用法・用量 200mgを空腹時に1日1回経口 150mgを1日1回経口
CYP3A4への依存 高い(主にCYP3Aで代謝される) 低い(代謝を受ける割合が小さい)
直接比較試験 なし(間接比較でがやや優位な傾向)

同じHedgehog経路阻害薬でも、の適応は「局所進行例」に限られ、転移性(または不応・不耐時の)の対象になる。 この適応範囲の非対称性は、後発薬である(BOLT試験)が転移例でのが低かった(8%程度)ことを反映している。

機序

flowchart TD
    A["正常状態:PTCH1がSMOを抑制"] --> B["Hedgehog経路はOFF"]
    C["PTCH1不活化変異またはSMO<span class='jp-term jp-term-diagram' title='activating variant (mutation)'>活性化変異</span><br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='basal cell carcinoma, BCC'>基底細胞癌</span>のほぼ全例に存在)"] --> D["SMOの抑制が外れ恒常的に活性化"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='GLI transcription factor'>GLI転写因子</span>群が核へ移行"]
    E --> F["増殖関連遺伝子群の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='induction of gene expression'>発現誘導</span>"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='basal cell carcinoma, BCC'>基底細胞癌</span>の発生・増殖"]
    H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sonidegib'>ソニデギブ</span>がSMOへ直接結合し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='conformational'>立体構造</span>を変化"] --> I["GLI活性化を遮断"]
    I --> J["Hedgehog経路シグナル停止→腫瘍縮小"]

💡 標的も阻害点もとほぼ同一。 どちらもSMOのを変化させての活性化を止める点で機序は共通しており、両薬の違いは主に・適応範囲・プロファイルにある。

薬物動態

項目 値・特徴
食事の影響 空腹時投与が必須(食前1時間または食後2時間以降)。との同時摂取でが大きく増加する
蛋白結合率 非常に高い
代謝 主にCYP3Aで代謝される——強力・中等度のCYP3A阻害薬/との併用は避ける1
分布 高い脂溶性により組織・脂肪組織へのが良好とされる
半減期 約28日と非常に長く、定常状態到達にも数か月を要する1

適応

領域 使いどころ
皮膚 外科的切除・放射線治療が適さない、または再発した局所進行性

承認用量(200mg)群の第2相BOLT試験では、局所進行性での中央判定によるは56%(95%CI 43-68)、転移性でのは8%にとどまり、42か月の長期解析でも新たな安全性シグナルは確認されなかった2転移性に含まれない点がとの実務上の重要な違いである。との直接比較試験はなく、ではがやや上回る傾向が示されたが、は重なり統計的に確定的な優劣ではない3

用法・用量

200mgを空腹時(食前少なくとも1時間、食後少なくとも2時間)に1日1回する。疾患進行または許容できない毒性が出るまで継続する。・CK上昇などの毒性に応じて・減量を検討する。実際の用法は施設のプロトコル・添付文書で確認する1

禁忌・注意

  • ⚠️ 催奇形性(:Hedgehog経路は胎児の骨格・中枢神経系などの発生に必須であり、で重篤な奇形が確認されている。妊娠中は投与しない。妊娠可能な女性は投与終了後少なくとも20か月、パートナーを妊娠させうる男性は投与終了後少なくとも8か月、有効な避妊を継続する
  • ⚠️ (CK)上昇・:CK上昇は61%と高頻度(Grade 3-4が8%)。はまれ(0.2%)だが重篤なため、筋痛・脱力・などの症状に注意する
  • ⚠️ CYP3Aを介した相互作用:強力なCYP3A阻害薬との併用は避ける。中等度阻害薬もやむを得ない場合に14日未満にとどめ、筋症状を中心に厳重に観察する。強力・中等度のCYP3Aを下げるため避ける1
  • ・精子提供の制限:投与中および投与終了後の各避妊期間中は・精子提供を避ける
  • ・体重減少・食欲低下が長期化するとに影響しうる

副作用

頻度 内容
高頻度 、脱毛、、疲労、悪心、下痢、体重減少、食欲低下、腹痛
注意 血清CK上昇(61%)、頭痛、嘔吐
重篤・まれ (0.2%)、催奇形性(妊娠中の曝露)

まとめ

  • に次いで承認された2剤目のHedgehog経路阻害薬(SMO阻害薬)。機序・標的はとほぼ同一。
  • 適応は局所進行性に限られ、転移例は承認対象外という点がとの最大の違い。
  • 直接比較試験はなく、ではがやや優位な傾向を示したが統計的に確定的ではない。
  • 催奇形性ゆえの長期避妊要件(女性20か月・男性8か月)はと共通する
  • CK上昇・で特に注意されるが、・脱毛など性の副作用プロファイルは両薬に共通する。

出典

  1. 1.ODOMZO (sonidegib) capsules — Highlights of Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration / Novartis・2023)胚・胎児毒性の枠組み警告、200mgを空腹時(食前1時間または食後2時間以降)に1日1回経口投与する用法・用量、血清クレアチンキナーゼ(CK)上昇が61%・横紋筋融解症が0.2%に生じたこと、女性は投与終了後少なくとも20か月・男性は少なくとも8か月の避妊が必要であること、筋痙攣54%・脱毛53%・味覚障害46%・疲労41%・悪心39%・下痢32%・体重減少30%などが高頻度の有害事象であること、主にCYP3Aで代謝され強力なCYP3A阻害薬との併用を避け中等度阻害薬も14日未満にとどめること・強力および中等度のCYP3A誘導薬との併用も避けること、消失半減期が約28日であることを確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.Long-term efficacy and safety of sonidegib in patients with advanced basal cell carcinoma: 42-month analysis of the phase II randomized, double-blind BOLT study(British Journal of Dermatology・2020)承認用量である200mg群において、局所進行性基底細胞癌での中央判定による奏効率が56%(95%CI 43-68)、転移性基底細胞癌での奏効率が8%であったこと、42か月時点の長期解析でも新たな安全性シグナルは確認されず、忍容性は管理可能な範囲にとどまったことを確認した閲覧 2026-08-10
  3. 3.A Matching-Adjusted Indirect Comparison of Sonidegib and Vismodegib in Advanced Basal Cell Carcinoma(Journal of Skin Cancer・2017)ソニデギブとビスモデギブの直接比較試験は実施されておらず、BOLT試験とERIVANCE試験の患者データを対象集団の特徴に合わせて補正する間接比較(MAIC)の結果、補正前後でソニデギブの奏効率(約56-57%)・無増悪生存期間中央値(22.1か月)がビスモデギブ(奏効率47.6%・無増悪生存期間中央値9.5か月)を上回る傾向を示したが、信頼区間は重なっており統計的に確定的な優劣ではないことを確認した閲覧 2026-08-10