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Imaging findings · Published

下垂体後葉異所性

Ectopic posterior pituitary

別名
異所性下垂体後葉下垂体後葉の異所性ectopic posterior pituitary
臓器系
内分泌・代謝小児
科目
HistologyPhysiologyEmbryology
トピック
組織学 13.1:内分泌:下垂体生理学 7.1:視床下部-下垂体系。成長ホルモンとソマトメジン。発生学 6.1:胚子期(器官形成):外胚葉由来組織
関連疾患
視隔膜異形成症視神経低形成成長ホルモン分泌不全性低身長症

🧠 全体像:この所見のが答えるのは「高信号があるかないか」ではなく、高信号が本来の位置(内)にあるか、視床下部寄りにずれているかという一点である。異所性と確認できれば、それは孤立したではなく、であることを示す手がかりであり、・前葉の異常や正中構造のとの合併を疑う入口になる。決めるべき次の一手は初診時のホルモン評価にとどまらず、将来にわたって機能をどこまで追跡するかである。

所見の定義

の一般的な撮像条件・の原理・腫瘤性病変の評価はに譲り、本項は位置に限定した先天性所見を扱う。

正常なは、画像()で内に小さな類円形の高信号として写る。この高信号は、視床下部のにあるが合成した、AVP)とその)を含むが、軸索を伝ってを下り、)に貯留していることに由来する。

は、この高信号が内の本来の位置になく、の走行に沿ってなど、より頭側・視床下部寄りに存在する所見を指す。多くは、内の本来の位置に高信号が同時に欠けていることを伴う。は発生学的に床の下方陥入に由来する性の組織で、由来の前葉とは起源が異なる。正常発生ではニューロンの軸索がを下ってまで到達するが、この下降経路が先天的に絶たれると、組織は経路の途中に取り残され、より頭側で異所性の高信号として写る。

モダリティと写り方

・条件 役割
(薄いスライス・ 本体となる撮像法。の有無と位置を評価する
・造影 そのものの評価には寄与しないが、の低形成・の状態(菲薄化・途絶・肥厚)を明瞭にする
の走行、視神経・視交叉・など正中構造の随伴異常を評価する
の左右対称性と走行を確認する

⚠️ は加齢や撮像条件(体動、スライス厚、磁場強度)によっても目立ちにくくなることがある。「高信号が見えない」ことと「高信号が異所性である」ことは別の所見であり、異所性と呼ぶには本来の位置での欠如だけでなく、視床下部寄りの高信号そのものを同定する必要がある。

随伴所見と臨床的意味

は単独で見られることもあるが、次の3所見が揃えばという一つの症候群として扱う1

の3徴 内容
菲薄化(多くは1mm未満)または途絶
低形成・無形成
異所性(内の高信号が視床下部寄りへ移動、本項の所見)

を伴えばを疑う所見になる。の症例のうちMRIで下垂体が同定できたものでは、51%に下垂体のがみられ、の異所性は6%であった2

の異常・異常などな下垂体・脳正中を伴う患者は、初診時にであっても(GH以外にTSH・ACTH・ゴナドトロピンの脱落が追加される状態)へ進行しやすく、10代後半〜20代にかけて新たな欠乏が顕在化することがある13。「単独GHDだから追跡は不要」と判断せず、と確認できた時点で機能の生涯にわたる定期的な再評価を組み込む3

評価の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pituitary MRI'>下垂体MRI</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='T1-weighted imaging'>T1強調</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='unenhanced imaging'>非造影</span>・薄いスライス・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sagittal section'>矢状断</span>)で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='posterior pituitary bright spot'>後葉高信号</span>を確認"] --> B["過去画像があれば必ず比較"]
    B --> C{"高信号は本来の位置にあるか"}
    C -->|"あり・正常位置"| D["異所性なしと判定"]
    C -->|"本来の位置に欠如・視床下部寄りに高信号あり"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ectopic posterior pituitary'>下垂体後葉異所性</span>と判定"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pituitary stalk'>下垂体茎</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anterior pituitary'>下垂体前葉</span>の形態を確認"]
    F --> G{"茎の菲薄化・前葉低形成を伴うか"}
    G -->|"あり"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pituitary stalk interruption syndrome'>下垂体茎断裂症候群</span>として評価"]
    G -->|"なし"| I["孤発の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='posterior lobe'>後葉</span>異所性として経過を追う"]
    H --> J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='septum pellucidum'>透明中隔</span>・視神経など正中<span class='jp-term jp-term-diagram' title='structural aberration'>構造異常</span>の合併を確認"]
    I --> J
    J --> K["前葉ホルモン全系統を初診時に評価"]
    K --> L["単独GHDでも前葉機能を生涯にわたり定期的に再評価する"]

⚠️ 紛らわしいもの

  • 内の脂肪・出血・:いずれもT1で高信号になりうるが、は小さく類円形で後方の決まった位置に出現する。脂肪はで信号が消え、出血は時期により信号パターンが変化する点で区別する。
  • の嚢胞成分:しばしばT1高信号を示すが、鞍上部の腫瘤性病変であり、そのものの高信号とは形態が異なる。
  • 正常範囲内の位置のばらつきの位置は内でもわずかにがあり、軽度の偏位だけで異所性と読まない。
  • の「消失」と「異所性」は別の所見である。 消失はを示唆する所見だが、視床下部寄りに高信号そのものが同定できなければ異所性とは呼べない。両者を混同すると、の原因検索の方向性を誤る。

まとめ

  • は、画像で内にあるはずのが、などより頭側に位置する先天性所見である。
  • 高信号の由来は、視床下部のが作るAVP・を含むが、)に貯留していることにある。
  • とあわせての3徴を構成し、とも合併しうる。
  • として発症しても、異常を伴う場合は経年でへ進行しうるため、生涯にわたる前葉機能の再評価が必要である。
  • 高信号の「消失」()と「異所性」(本項)は別の所見であり、混同しない。

出典

  1. 1.Pituitary Stalk Interruption Syndrome(Cureus・2020)下垂体茎断裂症候群の画像診断基準が、菲薄化(多くは1mm未満)または途絶した下垂体茎・下垂体前葉の低形成または無形成・下垂体後葉異所性という3所見の組み合わせで定義されること、単独GH欠乏症として発症した患者が10代後半〜20代(第2〜3の十年期)にかけて複数下垂体前葉ホルモン欠乏症へ進行しうるため長期の経過観察が必要であることを確認した。閲覧 2026-08-04
  2. 2.Evolving pituitary hormone deficits in primarily isolated GHD: a review and experts' consensus(Molecular and Cellular Pediatrics・2020)下垂体茎欠如・下垂体後葉異所性・脳梁異常・空虚トルコ鞍・視隔膜異形成症スペクトラムなど下垂体・脳正中構造の器質的異常を伴う小児は複数下垂体前葉ホルモン欠乏症(CPHD)へ進行しやすいこと、器質性GH欠乏症の患者には下垂体機能の生涯にわたる内分泌学的モニタリングが推奨されることを確認した。閲覧 2026-08-04
  3. 3.Review of the MRI brain findings of septo-optic dysplasia(Clinical Radiology・2021)下垂体が同定できた視隔膜異形成症例のうち51%で下垂体の構造異常がみられ、そのうち6%が下垂体後葉高信号の異所性であったことを確認した。閲覧 2026-08-04