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Lab values · Published

骨髄培養

Bone marrow culture

別名
骨髄液培養
臓器系
感染症血液
科目
Medical Microbiology
トピック
微生物学 2/22:ブルセラ属
関連疾患
ヒストプラズマ症

🧠 全体像は「骨髄そのものの病気」を調べる検査ではなく、血流を介して(肝・脾・骨髄・リンパ節など、マクロファージが密に存在する組織)に定着した病原体を捕まえるための検査である。血液培養では拾いにくい細胞内寄生菌や、血中の菌量がわずかな菌血症に対して感度が高く、抗菌薬投与後でも感度が落ちにくい利点を持つ一方、という侵襲的な処置を要するためな第一選択にはならない。この検査で分からないこと——陰性は感染の除外にならず、皮膚常在菌の混入という汚染菌の問題も常に残る。

何を検出しているか・どう採るか

起因菌のような細胞内寄生菌や、抗酸菌・真菌は、血流に乗ったあとマクロファージに取り込まれて組織に定着しやすい。血液中の菌量がわずかでも、これらの組織に病原体が濃縮されていれば骨髄液の培養で検出できる——血液培養では捕まえにくい低菌量の菌血症・細胞内寄生菌に強い理由である。

  • :成人では、乳児では脛骨が標準的なである
  • 培養用の検体は、塗抹・染色(を含む)・病理(組織像評価)と同時に提出する——同じ穿刺で複数の情報を一度に得られる数少ない機会であり、後から取り直すのは容易ではない

血液培養との使い分け

項目 血液培養
感度 では単回50〜66%程度(流行地。渡航者では90%超)1 では80〜96%と培養法の中で最も高い1
抗菌薬投与後の残存感度 投与後に大きく低下しやすい 比較的保たれやすい1
所要日数 自動化システムで数日 一般細菌は同程度だが、抗酸菌・真菌は長期培養を要する
侵襲性 静脈穿刺のみで低い を要し高い
実施のしやすさ 反復採取が容易 反復しにくく、には行われない

どちらが優れているかは病原体・病期で変わる。 ではが血液培養より高感度とする報告(82.5%対血液培養45.6%)と、逆に血液培養の方が高感度とする報告が併存し、一律に優劣を決められない——ただし血液検体の方が採取が容易で低侵襲という実務上の利点は一貫している2

主な適応

は「まず行う検査」ではなく、血液培養だけでは診断がつかない場面で追加する検査として位置づけられる。

  • の精査:血液培養など侵襲度の低い検査で診断がつかないで検討される
  • :抗菌薬投与後でも感度が保たれやすく、血液培養が陰性でも臨床的疑いが強ければ追加する意義がある
  • 播種性結核:抗酸菌は増殖が遅く、長期培養を前提に提出する
  • 内臓型に広がった原虫を骨髄の組織・培養で確認する
  • など)
  • HIV等の免疫不全下の:HIV感染者のした報告では、の陽性率は26.85%(108例中29例)で、同定された病原体は・結核・Cryptococcus neoformansが中心だった——免疫不全者では播種性の真菌・抗酸菌感染がの主な収穫になる3

判定

  • 培養日数:一般細菌は数日で判定できるが、抗酸菌・真菌は数週間の長期培養が必要で、早期に陰性と判断してはならない
  • 汚染菌の考え方:骨髄自体は無菌部位に近いが、穿刺は皮膚を経由するため皮膚常在菌(など)の混入がありうる。単一セットのみで、かつ通常は病原性が低い菌が発育した場合は汚染を疑い、臨床像・他の検体との整合性で判断する

⚠️ 測定上の注意

  • 侵襲的でには行わない。 血液培養など低侵襲な検査で診断がつく場合はまで進まない
  • 培養用の検体を入り容器やホルマリンへ入れない。 は塗抹・染色用の検体に使うもので、ホルマリンは病理固定用——いずれも生きた病原体を殺してしまい、培養検体としては使えなくなる。培養用は専用の培養ボトル・培地へ直接提出する
  • 血小板減少がある患者では穿刺そのものにリスクを伴う。 穿刺前に凝固能・を確認する
  • 陰性でも除外にならない。 感度は100%ではなく、検体量不足・事前の抗菌薬投与の影響・培養条件が病原体に適さない場合などで偽陰性になりうる
  • )と併用する。 培養は感度が高くても数日〜数週間を要するため、迅速な診断が必要な場面ではを並行して提出し、培養の結果を待たずにを検討する

現在の位置づけ

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='disseminated infection'>播種性感染</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fever of unknown origin, FUO'>不明熱</span>を疑う"] --> B["血液培養を複数セット採取"]
    B --> C{"陽性か"}
    C -->|"陽性"| D["感受性結果に基づき治療"]
    C -->|"陰性だが臨床的疑いが強い"| E{"免疫不全・慢性経過・<br>特定病原体を疑うか"}
    E -->|"はい"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bone marrow culture'>骨髄培養</span>を追加<br>塗抹・染色・病理を同時提出"]
    E -->|"いいえ"| G["他の低侵襲検査を先に検討"]
    F --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nucleic acid amplification test'>核酸増幅法</span>も併用し<br>培養の結果を待たず<span class='jp-term jp-term-diagram' title='treatment strategy'>治療方針</span>を検討"]

血液培養が陰性のまま経過し、かつ事前に抗菌薬を投与された患者・免疫不全患者・慢性の経過をとる患者では、へ進む閾値が下がる——これらの状況はいずれも血液培養の感度が特に落ちやすい条件と重なるためである。

まとめ

  • で得た検体を培養し、血流を介してに定着した病原体を検出する検査で、細胞内寄生菌・低菌量の菌血症に強い
  • は成人で、乳児で脛骨。培養検体は塗抹・染色・病理と同時に提出する
  • 血液培養と比べて感度・抗菌薬投与後の残存感度で優れることが多いが、侵襲性が高く反復しにくい
  • 主な適応はの精査、、播種性結核・、内臓型、HIV等の免疫不全下の
  • 抗酸菌・真菌は長期培養を要し、早期の陰性判定は禁物。汚染菌の混入にも注意する
  • ⚠️ 侵襲的でには行わないこと、・ホルマリン容器を使わないこと、での穿刺リスク、陰性でも除外にならないこと、との併用に注意する

出典

  1. 1.Typhoid Fever(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)Evaluation節で、骨髄培養の感度は80〜96%と培養法の中で最も高く血液培養の単回感度50〜66%を上回ること、骨髄培養は発症から数週間経過しても発育がみられ事前の抗菌薬投与による影響を受けにくいこと、骨髄培養は侵襲性が高く日常的には用いられないことを確認した閲覧 2026-08-04
  2. 2.Laboratory Diagnosis of Human Brucellosis(Clinical Microbiology Reviews(Yagupsky P, Morata P, Colmenero JD)・2019)ブルセラ症における骨髄培養と血液培養の感度比較について、骨髄培養が血液培養を上回るとする研究(骨髄培養82.5%対血液培養45.6%)と逆の結果を示す研究の双方が存在し一律に優劣を決められないこと、血液検体の方が採取が容易で低侵襲という実務上の利点を持つこと、Brucella属菌の培養操作はクラスII安全キャビネットでの取り扱いを要し検査室内感染のリスクを伴うこと(検査室内感染は世界のヒトブルセラ症症例の2%を占める)、急性期は自動培養システムの通常5〜7日培養で検出できるが慢性・巣状感染では長期培養と盲目的継代培養を要することを確認した閲覧 2026-08-04
  3. 3.Predictive model for diagnostic yield of bone marrow examination in patients with HIV infection having fever of unknown origin(AIDS(Noiperm P, Saelue P)・2024)血液培養が少なくとも2日間陰性であることを不明熱の適格基準に含めたHIV感染者108例の骨髄検査で、骨髄培養の陽性率が26.85%(29例)であったこと、培養で同定された病原体の内訳がヒストプラズマ症14例(12.96%)・非結核性抗酸菌6例(5.56%)・結核4例(3.70%)・ペニシリウム症4例(3.70%)・Cryptococcus neoformans 1例(0.93%)であったことを確認した閲覧 2026-08-04