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成人虫垂炎スコア

Adult Appendicitis Score

別名
AAS
臓器系
消化器
科目
SurgeryInternal Medicine
トピック
外科学 O/29:急性虫垂炎の診断と治療内科学 L-48:急性虫垂炎外科学 S-25:急性虫垂炎
構成:症状
腹痛圧痛筋性防御
構成:検査値
白血球数C反応性蛋白
適用疾患
急性虫垂炎

🧠 全体像:(AAS)は、フィンランドの829例の前向きデータから作られた、成人の虫垂炎のである。症状・所見に加え、・・を段階評価し、性別・年齢と症状のまで配点に組み込んだ点が特徴で、「高・中間・低」の3群に分ける。とともに、成人の臨床予測として強く推奨されている(1A)。12

目的と適用場面

内容
目的 虫垂炎の可能性を3群に層別化し、画像検査の要否を選別する。不要なCTを減らす
対象 虫垂炎が疑われる成人(疾患は)
使う場面 救急外来での初期評価。症状のが分かる状況で使う
評価しないもの 確定診断。小児(成人用のスコアである)、妊婦での症状・所見のみの診断

構成要素と配点

項目 基準 点
痛 あり 2
痛みの移動 あり 2
の圧痛 男性・50歳以上の女性 3
16〜49歳の女性 1
軽度 2
中等度または高度 4
(×10⁹/L) 7.2以上10.9未満 1
10.9以上14.0未満 2
14.0以上 3
62%以上75%未満 2
75%以上83%未満 3
83%以上 4

(mg/L)は症状ので表が変わる。1

症状が24時間未満 点 症状が24時間以上 点
4以上11未満 2 12以上53未満 2
11以上25未満 3 53以上152未満 2
25以上83未満 5 152以上 1
83以上 1

💡 表に載っていない範囲(各の下限未満)は加点されない。は高すぎると点が下がる非な配点で、原著の表のとおりである。原著は、の女性で診断が特に難しいことを背景に挙げ、性別と症状のを組み込んだ点が従来のスコアにない新しさだと述べている。

解釈とカットオフ

群 点数 意味
高確率 16点以上 特異度92.7%。虫垂炎患者の58.0%がここに入る
中間 11〜15点 虫垂炎を除外も確定もできない
低確率 10点以下 原著では虫垂炎が6.3%で、は無かった

18点以上はさらに特異度が高く(97.6%、11.5)、11点以上の感度は95.9%(特異度54.2%)であった。1 導入後の検証(908例)でも、高リスク群の特異度は93.3%、低リスク群の虫垂炎の割合は7%で、は原著データの18.2%から8.7%に下がった。3

画像検査との組み合わせでは、低確率群でが9〜16%と低く、陽性所見が出てもCT後75%・超音波後42%にとどまる。低確率群では画像の価値が限られる。高確率群はが75〜79%で、CT陽性後は99%に達する。4 WSES 2020は、40歳未満の高リスク例(AAS 16点以上など)ならCTを省略してへ進んでよいと弱く提案している(2B)。2

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 高確率でも虫垂炎でない例がある。 原著では高確率群227例のうち28例(約12%)が虫垂炎でなかった。16点以上は特異度が高いが、確定診断ではない。1

⚠️ 症状のが分からないと、を採点できない。 24時間未満と以上で配点表が違う。1

⚠️ の低下は、原著データとの比較である。 同時期の対照群を置いた比較ではない。3

⚠️ 小児・妊婦では単独で診断しない。 AASは成人の前向きデータから作られた。WSES 2020は、小児で臨床スコアのみでの診断に反対し、妊婦で症状・所見のみで診断しないことを提案している(いずれも弱い推奨)。2

⚠️ 最も成績が良いスコアとは限らない。 開発集団ではAASの(0.882)がAIR(0.810)・Alvarado(0.790)を上回ったが、英国の研究(5,345例)では女性でAAS、男性でAIRが最良だった。2 やAIRと使い分け、単独で手術を決めない。

⚠️ ガイドラインは改訂されている。 本稿の推奨はWSES 2020年版による。2025年版が公表されているが、個別の推奨文は確認できていない。5

まとめ

  • AASは痛・痛みの移動・圧痛・に、・・を段階評価して加える成人の。
  • 圧痛の配点は性別・年齢で、の配点表は症状の(24時間)で変わる。
  • 16点以上は高確率(特異度約93%)、11〜15点は中間、10点以下は低確率で、低確率群では画像の価値が限られる。
  • 成人の臨床予測として強く推奨されるが、確定診断にはならない。小児には用いず、妊婦では症状・所見のみで診断しない。

出典

  1. 1.A new adult appendicitis score improves diagnostic accuracy of acute appendicitis--a prospective study(BMC Gastroenterology(Sammalkorpi HE, Mentula P, Leppäniemi A)・2014)原著。Europe PMCの全文XML(PMC4087125)のTable 2で配点(右下腹部痛2、痛みの移動2、右下腹部の圧痛3または1、筋性防御は軽度2・中等度以上4、白血球数・好中球比率・C反応性蛋白の段階配点)と圧痛の注(男性と50歳以上の女性は3点、16〜49歳の女性は1点)を、829例の前向き研究で、16点以上が高確率群(特異度92.7%)、11〜15点が中間、10点以下が低確率群であること、18点以上で特異度97.6%、ROC曲線下面積がAAS 0.882・AIR 0.810・Alvarado 0.790であることを確認した。閲覧 2026-10-30
  2. 2.Diagnosis and treatment of acute appendicitis: 2020 update of the WSES Jerusalem guidelines(World Journal of Emergency Surgery(WSES;Di Saverio S, Podda M, De Simone B, et al.)・2020)Europe PMCの全文XML(PMC7386163)で確認した。AIRとAASを臨床予測の指標として強く推奨(1A)、40歳未満の高リスク例(AIR 9〜12点・Alvarado 9〜10点・AAS 16点以上)でCTを省略して診断的腹腔鏡へ進んでよい(弱い推奨、2B)、小児で臨床スコアのみでの診断に反対(弱い推奨、2C)、妊婦で症状・所見のみで診断しないことを提案(弱い推奨、2C)、右腸骨窩痛5,345例の英国154施設の研究で15のモデルのうち女性ではAAS(8点以下を切り点、特異度63.1%、見逃し率3.7%)が最良だったことを記載する。閲覧 2026-10-30
  3. 3.The Introduction of Adult Appendicitis Score Reduced Negative Appendectomy Rate(Scandinavian Journal of Surgery(Sammalkorpi HE, Mentula P, Savolainen H, Leppäniemi A)・2017)2つの大学病院でAASを導入した908例(虫垂炎432例)の前向き検証で、高リスク群が虫垂炎患者の49%を特異度93.3%で拾い、低リスク群の虫垂炎の割合が7%であったこと、組織学的な陰性虫垂切除率が原著のデータの18.2%から8.7%に下がったこと(原著データとの比較)を抄録で確認した。閲覧 2026-10-30
  4. 4.Performance of imaging studies in patients with suspected appendicitis after stratification with adult appendicitis score(World Journal of Emergency Surgery(Sammalkorpi HE, Leppäniemi A, Lantto E, Mentula P)・2017)画像検査を受けた822例を、AASで高・中間・低確率群に分けて検討した。検査前確率が低確率群で9〜16%、高確率群で75〜79%、CTが陽性だったときの検査後確率が高99%・中間91%・低75%、超音波が陽性だったときが95%・91%・42%であり、低確率群では画像検査の価値が限られることを抄録で確認した。閲覧 2026-10-30
  5. 5.Diagnosis and Treatment of Acute Appendicitis: 2025 Edition of the World Society of Emergency Surgery Jerusalem Guidelines(JAMA Surgery(WSES;Podda M, Ceresoli M, De Simone B, et al.)・2026)2025年版が公表されていること、成人・小児・妊婦・高齢者などを対象にGRADEで推奨を示し、臨床リスクスコアと画像が診断精度を高め陰性虫垂切除を減らすとすることを抄録で確認した。誌面は購読制で未取得のため、AASに関する個別の推奨は確認できていない。閲覧 2026-10-30