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小児臨床的脱水スケール

Clinical Dehydration Scale

別名
CDS
臓器系
小児
科目
Pediatrics
トピック
小児科 2-20:小児の体液平衡異常、重度脱水と輸液療法小児科 1-17:小児の下痢小児科 2-40:急性胃腸炎の原因と治療
構成:症状
傾眠眼窩陥凹口腔乾燥涙液分泌低下
適用疾患
ウイルス性胃腸炎脱水

🧠 全体像:Clinical Dehydration Scale(CDS)は、生後1か月〜3歳の児を主対象に、全身状態・眼・粘膜・涙という診察だけで完結する4項目を各0〜2点で採点し、合計0〜8点で脱水の程度を層別化するである。という最も信頼できる指標が測れない救急外来の初診時に、所見の組み合わせを数値へ変換する目的で作られたが、外部施設での再現性は原著ほど高くない点に注意する。

目的と適用場面

内容
目的 だけで小児の脱水程度を数値化し、治療前後の比較や施設間の記述を統一する
対象 生後1か月〜3歳(原著の検証対象)で、下痢・嘔吐による脱水が疑われる乳幼児
使う場面 救急外来・外来でのかの初期判断、治療反応の記録
評価しないもの そのもの(実測できないときの代替にすぎない)、電解質異常の種類・程度

構成要素と配点

⭐ 4項目、各0〜2点、合計0〜8点1

全身状態

0点 1点 2点
正常 口渇が強い・落ち着きがない、触れると 傾眠〜昏睡、四肢の力が抜け、・湿潤

0点 1点 2点
正常 軽度の陥凹 高度の陥凹

粘膜

0点 1点 2点
正常に出る 減少 消失(しても涙が出ない)

解釈とカットオフ

合計点 判定 対応
0点 脱水なし 経口摂取の継続を指導し、通常のフォローで足りる
1〜4点 軽度〜中等度の脱水 を中心に、頻回の再評価で反応を確認する
5〜8点 中等度〜高度の脱水 を含む積極的な補正を検討し、を継続的に監視する

他の小児脱水スコアとの関係

CDSと並んで「点数化された小児脱水評価」として使われるのがGorelick scoreで、脱水分類そのものを点数化しないWHOの方式とはが異なる。

CDS(Goldman) Gorelick score WHO分類
項目数 4項目 10項目(全身状態・・呼吸様式・・眼・涙・粘膜・尿量・心拍数・ 項目数を固定せず、複数所見の組み合わせで判定
配点 各0〜2点、合計0〜8点 各項目の異常の有無を数える 点数化せず「なし/中等度/高度」の3区分
対象年齢 生後1か月〜3歳 生後1か月〜5歳 年齢を区切らない
合計点で3群に層別化 3項目以上の異常で5%以上の脱水を感度87%・特異度82%で予測2 2つ以上の所見の一致で区分を決める3

💡 Gorelickは・呼吸様式・というの所見を含む分、CDSより重症寄りの徴候を拾いやすい設計になっている。CDSは4項目とも「診察して見て触れるだけ」で完結する分、より短時間で繰り返し評価しやすい。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ CDSはという脱水の基準そのものの代替にすぎない。治療前後の体重が測定できるなら、そちらを優先する。

⚠️ 独立コホートでの外部検証では、CDSとGorelick scoreはともに「fair」レベルの予測能(AUC 0.72・0.71)にとどまり、年齢層別の解析では統計的有意性を失った4。単一施設・205例という原著の検証コホートでの性能が、別施設でそのまま再現されるとは限らない。

⚠️ 検証対象は生後1か月〜3歳の急性胃腸炎児である。年長児や、胃腸炎以外が原因の体液喪失(熱傷、など)にそのまま外挿しない。

⚠️ 4項目とも診察者の判定であり、「軽度陥凹」と「高度陥凹」の境界のように、経験によって判定がばらつきうる。単独のスコアだけで補液方針を決めず、尿量・など他の所見と併せて評価する。

まとめ

  • CDSは生後1か月〜3歳を対象に、全身状態・眼・粘膜・涙の4項目を各0〜2点、合計0〜8点で採点する。
  • 0点は脱水なし、1〜4点は軽度〜中等度、5〜8点は中等度〜高度の脱水と解釈する。
  • 同じ「点数化された小児脱水評価」にはGorelick score(10項目の異常数)があり、WHO分類は点数化せず所見の組み合わせで区分する。
  • 外部検証では性能が原著ほど再現されておらず、が測定できるならそちらを優先し、CDSは単独の確定手段ではなく補助的な層別化ツールとして扱う。

出典

  1. 1.Validation of the Clinical Dehydration Scale for Children With Acute Gastroenteritis(Pediatrics (American Academy of Pediatrics)・2008)CDSが全身状態・眼・粘膜・涙の4項目を各0〜2点、合計0〜8点で採点し、0点=脱水なし・1〜4点=軽度〜中等度・5〜8点=中等度〜高度の脱水と解釈すること、対象が生後1か月〜36か月の急性胃腸炎児であることを確認した。閲覧 2026-08-02
  2. 2.Validity and Reliability of Clinical Signs in the Diagnosis of Dehydration in Children(Pediatrics (American Academy of Pediatrics)・1997)Gorelick scoreが10項目の臨床徴候(全身状態・橈骨脈拍・呼吸様式・皮膚緊張・眼・涙・粘膜・尿量・心拍数・毛細血管再充満時間)の異常の数を数える方式であり、3項目以上の異常で5%以上の脱水を感度87%・特異度82%で予測することを確認した。閲覧 2026-08-02
  3. 3.External Validation and Comparison of Three Pediatric Clinical Dehydration Scales(PLOS ONE・2014)独立コホートでの外部妥当性検証でCDSとGorelick scoreのAUCがそれぞれ0.72・0.71にとどまり年齢層別の解析では統計的有意性を失ったこと、WHO分類・臨床的直感のAUCは0.61とさらに低かったことを確認した。閲覧 2026-08-02
  4. 4.Pocket Book of Hospital Care for Children: Guidelines for the Management of Common Childhood Illnesses (2nd edition)(World Health Organization・2013)WHOの脱水分類が点数化せず「なし/中等度/高度」の3区分を臨床所見の組み合わせ(2つ以上の一致)で判定する方式であることを確認した。閲覧 2026-08-02