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PELDスコア

PELD score

臓器系
肝胆膵小児
科目
Pediatrics
トピック
小児科 50:小児の胆汁うっ滞性肝疾患小児科 3-46:急性肝不全・急性肝炎
構成:検査値
ビリルビンプロトロンビン時間アルブミンクレアチニン
適用疾患
胆道閉鎖症

🧠 全体像は、の小児版にあたる優先順位付けのである。12歳未満の小児では、腎機能を主とする成人の指標だけでは重症度を測れない——発達途上の身体はと成長そのものが予後を左右するため、PELDは(ビリルビン・INR・アルブミン)に加えて「1歳未満かどうか」と「の有無」を組み込む。MELDと同じく中心でに算出できる点は共通するが、対象年齢・構成が異なるため、そのまま流用できない別の採点体系である。

目的と適用場面

目的は12歳未満の小児におけるの短期死亡リスクの推定と、の優先順位付けである。対象は肝硬変へ進行しうるなどの先天性・遺伝性の胆汁うっ滞性肝疾患、代謝性肝疾患によるで、移植登録時と中の定期再評価という場面で使う。

⚠️ )やでStatus 1A・1Bの基準を満たす患者は、の値によらず別枠で最優先される。PELDは慢性の経過をたどる患者の優先順位付けを目的とし、急性の重症度判定には使わない。

12歳以上18歳未満の登録者はPELDではなくMELD(成人と同じ算出式の変則版)を使う。年齢で区切って移行するため、思春期前後の患者でどちらの式を使うかを取り違えない。

構成要素と配点

原初のPELD(2002年に米国で優先順位に採用)は、ビリルビンアルブミンという3つのに、1歳未満かどうかとの有無を加えた5である1。779例のコホート(1995〜2000年に登録)から導出された2

採用時期の目安
原初のPELD ビリルビン、INR、アルブミン、1歳未満、 2002年
PELD Cr(現行) 上記+クレアチニン、年齢・の連続化、年齢調整項 2023年、米国のが0〜11歳の肝配分でPELDを置き換える形で承認3

原初のPELDが使う項目は次のとおり。

項目 反映する内容 点数への影響
ビリルビン 黄疸の程度 高いほど加点
INR(比) 凝固能低下 高いほど加点
アルブミン ・合成能低下 低いほど加点
1歳未満 乳児は同じでも死亡リスクが高い 該当すれば加点
年齢・性別基準に対し体重または身長がz < -2(2標準偏差以上下回る) 該当すれば加点

原初のは次式で算出する1

= 10 ×〔0.436×(1歳未満なら1、それ以外0)− 0.687×loge(アルブミン g/dL)+ 0.480×loge( mg/dL)+ 1.857×loge(INR)+ 0.667×(があれば1、なければ0)〕を四捨五入した整数値

⭐ 各項目を単純に足すのではなく、したを回帰係数で重み付けして統合する。手計算はせず、移植施設の計算ツールを使う。MELDと異なり6点のような下限は設けられておらず、がすべて正常に近い小児では点数が0点付近や負の値になりうる4

2023年に採用されたPELD Cr(現行)は、腎機能を反映しないという原初PELDの弱点を補うためクレアチニンを新たに加え、1歳未満・を段階的な連続に置き換え、成人のMELDと同水準の死亡リスクに揃えるための年齢調整項を追加した改訂版である1。⚠️ PELD Crの具体的な回帰係数は、参照した資料の間で記載が一致せず確認できなかったため本ノートには載せず、変更点の要旨にとどめる。実際の算出はOPTNまたは移植施設の計算ツールによる。

解釈とカットオフ

はMELDと同様に連続で、点数が高いほど短期死亡リスクが高く、移植の優先順位が上がる。のような固定の点数帯の代わりに、患者リストは次の順で優先される。

区分 内容
Status 1A )など最重症。によらず最優先
Status 1B など。Status 1Aに次いで優先
上記に該当しない患者を、(±)が高い順に並べる

⭐ 算出式で十分に代表されない病態(一部の代謝性肝疾患など)には、標準として全国のPELD移植時中央値が定期的に再計算されて割り当てられる。式の対象外となる個別事情は審査委員会が症例ごとに判定する4

💡 点数が低くても、反復する胆管炎・門脈圧亢進の合併症、の進行は移植紹介の理由になる。単一の数値を待って紹介を遅らせない。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 12歳以上の患者にはPELDではなくMELD(変則版)を使う。原初のPELDは18歳未満のコホートから導出されたが、実際の臓器配分では12歳を境にMELDへ切り替わる。12〜17歳での90日死亡の予測は、PELDのc統計量(0.852)が(0.893)を下回ったこともこの切り替えの背景にある3

⚠️ でStatus 1A・1Bの基準を満たす患者には、の値によらず最優先が与えられる。だけで移植のを判断しない。

⚠️ の加点基準は名目上z < -2だが、3か月刻みの年齢区分で運用されるため実際の閾値はより厳しくなりうる(「ギャップ」)。この基準の狭間に落ちる児(対象の17%)は、の加点を受けた児と同程度に実際の体格が悪いにもかかわらず加点されず、死亡率が1.78倍、移植後死亡率が1.55倍、有意に高い2

⚠️ 原初のPELDは腎機能(クレアチニン)を反映しないため、腎機能低下を伴う患者の死亡リスクを過小評価しうる。2023年のPELD Cr改訂はこの弱点を含めて是正する目的で導入された1

⚠️ MELDと同様、・生活の質・支援は反映しない。反復合併症が強い患者では点数が低くても紹介を検討する。

まとめ

  • は12歳未満の小児を対象に、ビリルビン・INR・アルブミン・1歳未満・という5で短期死亡リスクを算出し、の優先順位付けに使う。
  • MELDと異なり下限は設けられておらず、が正常に近い小児では点数が0点付近や負の値になりうる。
  • 2023年のPELD Cr改訂で腎機能(クレアチニン)が加わり、年齢・の連続化と年齢調整項が導入された。
  • のStatus 1A・1B該当例はによらず別枠で最優先される。
  • の加点基準は運用上z < -2より厳しくなりうる「ギャップ」があり、該当する児は加点されないまま死亡リスクが高い。
  • 12歳以上ではPELDでなくMELD(変則版)に切り替わる。

出典

  1. 1.Improving Liver Allocation: MELD, PELD, Status 1A and Status 1B(OPTN/UNOS(米国臓器分配ネットワーク)・2023)原初のPELD算出式(ビリルビン・INR・アルブミン・1歳未満・成長障害の係数、10倍して四捨五入する手順)、PELDは12歳未満・MELDは12歳以上という適用年齢の区分、2023年のPELD Cr改訂の内容(クレアチニンの追加、年齢・成長障害の連続変数化、成人のMELDと同水準のリスクに揃える年齢調整項の追加)、成長障害の加点基準の見直し、Status 1A・1Bの2023年改訂内容を確認した。閲覧 2026-08-10
  2. 2.Questions and Answers About Liver Allocation(HRSA(OPTN運営主体))PELDの標準例外点数が全国のPELD移植時中央値(定期的に再計算される)であること、算出式で代表されない病態は審査委員会が個別審査すること、PELDの点数域がMELDの6〜40という固定範囲と異なり同じ下限を持たないことを確認した。閲覧 2026-08-10
  3. 3.Impact of the Pediatric End-Stage Liver Disease (PELD) growth failure thresholds on mortality among pediatric liver transplant candidates(American Journal of Transplantation・2019)成長障害の定義(年齢・性別基準に対し体重または身長がz<-2)、PELDが2002年に1995〜2000年の779例のコホートから導出されたこと、名目上のz<-2という基準が3か月刻みの年齢区分で運用されるため実際の閾値がより厳しくなる「成長障害ギャップ」に該当する児(対象の17%)で待機死亡率が1.78倍、移植後死亡率が1.55倍、有意に高いことを確認した。閲覧 2026-08-10
  4. 4.MELD 3.0 for adolescent liver transplant candidates(Hepatology・2023)12〜17歳ではPELDでなくMELD/MELD 3.0が使われること、90日待機死亡の予測でPELDのc統計量(0.852)がMELD 3.0(0.893)を下回ったこと、PELD CrがUNOS理事会により0〜11歳の肝配分でPELDを置き換える形で承認されたことを確認した。閲覧 2026-08-10