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悪性リスク指数(RMI)

Risk of Malignancy Index

別名
RMI
臓器系
生殖・産婦人科腫瘍
科目
Gynecology
トピック
婦人科 24:卵巣機能性嚢胞婦人科 26:卵巣腫瘍の病因・臨床像・スクリーニング
構成:症状
腹水
構成:検査値
CA-125
適用疾患
卵巣機能性嚢胞・良性腫瘍

🧠 全体像は、を持つ女性を診た一般婦人科・へ紹介すべきかを判断するための指標である。良悪性を確定するでも、病期・重症度を測るスコアでもない。超音波所見・閉経状態・CA-125実測値を足し合わせるのではなく掛け合わせるという構造上の特徴があり、配点の異なるI〜IVの版が存在する。

目的と適用場面

内容
目的 の悪性リスクを層別化し、への紹介要否を判断する
対象 などでが確認された女性
使う場面 症状・腫瘤・腹水がある患者、または偶発的に腫瘤が見つかった患者の術前評価。この場面でのCA-125測定は「スクリーニング」ではなくであり、単独では解釈せずRMIに組み込む
評価しないもの 良性・悪性の確定診断、組織型、術式そのもの

構成要素と配点

RMIは項目を足し合わせるスコアではなく、3つの因子の積である。

RMI = U(超音波スコア)× M(閉経スコア)× CA-125実測値

以下はRCOGが臨床使用を推奨するRMI Iの配点である1

U:超音波スコア

次の5所見のうち該当する数を数える——、両側性、腹水

該当0所見 該当1所見 該当2所見以上
0点 1点 3点

M:閉経スコア

閉経前 閉経後
1点 3点

💡 閉経後は「無月経が1年以上続く」または「50歳以上で子宮摘出後」と定義する1

CA-125

使い方
U/mLの実測値をそのまま3因子の積に組み込む(段階的な点数化はしない)

U・M・CA-125を掛け合わせた値がRMIの合計点である。

⚠️ RMIにはI〜IVの版があり、UとMの重み付け・が版によって異なる。 本ノートはRCOGが用いるRMI Iを基準に記載する。

U(超音波) M(閉経) 追加因子
RMI I(Jacobs, 1990) 0/1/3点 1/3点 なし 200
RMI II(Tingulstad, 1996) 1/4点 1/4点 なし 200
RMI III(Tingulstad, 1999) 1/3点 1/3点 なし 200
RMI IV(Yamamoto, 2009) 1/4点 1/4点 腫瘍径S(7cm未満=1点、7cm以上=2点) 450

RMI II〜IVはUの区切り自体もRMI Iと異なり、「0〜1所見/2所見以上」の2段階でしか分けない。RMI Iの「0/1/2所見以上」という3段階の区切りとは所見数の分け方が違う点に注意する2

解釈とカットオフ

RMI I 対応
200未満 悪性リスク低。一般婦人科での経過観察・管理を継続しうる
200以上 悪性リスク増加。への紹介を検討する2

⭐ RMI Iスコア200での卵巣悪性腫瘍検出能は、系統的レビューでプールされた感度78%(95%CI 71–85%)・特異度87%(95%CI 83–91%)である。これは閉経前女性に限った集団の値ではなく、卵巣悪性腫瘍が疑われる女性全般の値である1。この数字は「200を境に確実に振り分けられる」ことを意味しない——悪性の5人に1人強を見逃しうる一方、良性の1割強を紹介対象に含めうる閾値である。

💡 ACOG(米国)とSOGC(カナダ)の閉経前女性のに関するガイドラインは、RMIとは別に「CA-125 > 200 U/mL」「腹水」「・遠隔転移の所見」「の乳癌・卵巣癌家族歴」のいずれかがあれば医への紹介とする基準を用いる。ただしこの基準を検証した最の研究では、卵巣癌の閉経前女性の30%が高リスクと判定されなかったと報告されている1。配点の構造は異なるが、単一の閾値だけに頼らず複数所見を統合するというはRMIと共通する。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 十分に検証されているのはRMI I・IIのみとされる。 RMI III・IVはより新しい版だが、RMI I・IIほど検証が蓄積していない1。「版が新しいほど優れている」とは限らない。

⚠️ 閉経前女性ではCA-125の偽陽性が多い。 などでCA-125が上昇しやすく、閉経前ではRMIの特異度が閉経後より落ちる。

⚠️ ではCA-125が上昇せず、RMIが低値でも偽陰性になりうる。 これらの組織型はCA-125を産生しにくい、または産生量が少ない。

⚠️ RMI単独で手術適応・術式を決めない。 RMIは専門紹介要否を層別化するツールであり、確定診断やそのものを与えない。

RMIはROMAとも位置づけが異なる。は超音波形態を0〜5の6段階に標準化した画像中心の評価で、CA-125を含まない。ROMAはCA-125とHE4という2つのを組み合わせたマーカー中心の評価で、超音波所見を含まない。RMIはその中間にあり、超音波所見を粗いスコアに単純化したうえでCA-125実測値・閉経状態と掛け合わせる。単独の指標がほかより一貫して優れているという合意はなく、実務では形態評価(・<a href=“/scores/iota-models” class=“wikilink” data-goes-to=“モデル”>)と組み合わせて用いる。

まとめ

  • RMIはを持つ女性のへの紹介要否を判断する指標であり、確定診断でも重症度評価でもない。
  • RMI = U(超音波スコア)× M(閉経スコア)× CA-125実測値という積で計算し、加算式ではない。
  • I〜IVの版があり、U・Mの重み付け・が異なる。RMI I〜IIIは200、RMI IVは450がで、これを超えれば専門紹介を検討する。
  • RMI I ≥200での感度・特異度はそれぞれ78%・87%(プールされた系統的レビュー)で、単独で確実に振り分けられるわけではない。
  • 閉経前でのCA-125偽陽性、での偽陰性という限界があり、・ROMAなど他の評価法と組み合わせて解釈する。

出典

  1. 1.Management of Suspected Ovarian Masses in Premenopausal Women (Green-top Guideline No. 62)(Royal College of Obstetricians and Gynaecologists(RCOG)/British Society for Gynaecological Endoscopy(BSGE)・2011)RMI Iの計算式(RMI = U×M×CA-125)、超音波スコアU(該当所見0=0点・1=1点・2〜5=3点)と閉経スコアM(閉経前1点・閉経後3点、閉経後の定義)の配点、系統的レビューがプールしたRMI Iスコア200での感度78%(95%CI 71–85%)・特異度87%(95%CI 83–91%)、「RMI I・IIのみ十分に検証されている」という位置づけ、およびACOG(米国)とSOGCの閉経前女性向け紹介基準(CA-125>200 units/mL・腹水・腹腔内/遠隔転移所見・第一度近親者の乳癌/卵巣癌家族歴)とその検証研究で閉経前卵巣癌の30%が高リスクと判定されなかったこと閲覧 2026-08-04
  2. 2.Comparison of four malignancy risk indices in the detection of malignant ovarian masses(Journal of Gynecologic Oncology・2011)RMI I〜IVの版ごとの超音波スコアU・閉経スコアMの重み付けの違い(RMI IIはU・Mとも1/4点、RMI IIIはU・Mとも1/3点だがUの区切りは0〜1所見/2所見以上の2段階)、RMI IVで追加される腫瘍径スコアS(7cm未満=1点・7cm以上=2点)、および各版のカットオフ(RMI I〜IIIは200、RMI IVは450)を確認した閲覧 2026-08-04