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卵巣悪性腫瘍リスクアルゴリズム

ROMA

別名
Risk of Ovarian Malignancy AlgorithmROMAスコア
臓器系
生殖・産婦人科腫瘍
科目
Gynecology
トピック
婦人科 26:卵巣腫瘍の病因・臨床像・スクリーニング
構成:検査値
CA-125HE4
適用疾患
卵巣癌卵巣機能性嚢胞・良性腫瘍

🧠 全体像:ROMAは、超音波などですでにが見つかっている女性を、専門医へ紹介すべき高リスク群一般婦人科で経過を診てよい低リスク群に振り分けるためのツールである。無症状女性の卵巣癌スクリーニングではない——この適用範囲の限定が最初の前提になる1HE4CA-125の実測値と閉経状態だけをに入れる純粋なマーカー+閉経状態モデルであり、RMIのように超音波形態を採点に含めない。HE4というそのものの産生機序・偽陽性/偽陰性の詳細はHE4のノートに譲り、ここではアルゴリズムとしてのROMA——・限界——を扱う。

目的と適用場面

内容
目的 の悪性リスクを高リスク・低リスクの2群に層別化し、への紹介要否を判断する
対象 などでが確認され、手術を予定している女性2
使う場面 症状・腫瘤がある患者の術前評価。この場面でのHE4CA-125測定は「スクリーニング」ではなくであり、単独では解釈せずROMAに組み込む
評価しないもの 無症状・平均リスク女性への卵巣癌早期発見、良悪性の確定診断、組織型、術式そのもの

⚠️ 無症状・平均リスクの女性を対象にした卵巣癌スクリーニングとしては使わない。 (単独・併用とも)による無症状女性の卵巣癌早期発見は死亡率低下が証明されていない。米国のPLCO試験はCA-125固定によるスクリーニング群に追跡中央値12.4年で死亡率のを示さず、英国のUKCTOCS試験も14年追跡で死亡率減少が15%(95%CI −3〜30)にとどまり統計学的に有意でなかった(UKCTOCSで使われたのは連続CA-125測定を数理モデルで解釈するであり、ROMAとは別のアルゴリズムである)。FDAが承認したROMAを含むは、これらの無症状スクリーニングの手段としてではなく、画像ですでにが確認された女性を低リスク・高リスクに分類する目的で承認されている1

構成要素と配点

構成要素はHE4・CA-125・閉経状態の3つだけであり、年齢も超音波所見も含まない。 閉経前と閉経後で異なるを使う点が構造上の要点である2

まずHE4・CA-125の実測値をし、閉経状態に応じた(PI)を求める。

閉経状態 (PI)の式
閉経前 PI = −12.0 + 2.38×LN(HE4) + 0.0626×LN(CA-125)
閉経後 PI = −8.09 + 1.04×LN(HE4) + 0.732×LN(CA-125)

PIを次の式で(PP、%)に変換する2

PP = 100 × exp(PI) / (1 + exp(PI))

💡 閉経前・閉経後で係数がまったく異なり、とくにCA-125の重みは閉経後で10倍以上大きい。閉経状態は単なる補正項ではなく、どちらのを使うかを決めるである。

解釈とカットオフ

PPを閾値と比較し、高リスク・低リスクに分ける。

閉経状態 アッセイ添付文書の 検証コホートのによる
閉経前 12.5% 16.6%(感度67.5%・特異度91.5%)
閉経後 14.4% 35.9%(感度79.0%・特異度89.5%)

⚠️ 添付文書の値と検証論文自身が導いた値は大きく異なる。 添付文書のは特異度75%を確保するよう選定されたものであり、この値を検証した論文が自コホート(骨盤腫瘤が疑われ手術を予定した389例、良性228例・悪性161例)ので導いた最良は、閉経前16.6%・閉経後35.9%で、とくに閉経後は添付文書の2倍以上に達する2アッセイの版・測定系・施設によっても変わりうるため、ある測定系で得た数値をそのまま別の測定系のに当てはめてはならない。使う施設のアッセイに対応するを確認する。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 無症状女性への卵巣癌スクリーニングに使わない。(適用場面は前節を参照)症状がある患者、または既知のがある患者での・専門医紹介の判断が用途である。

⚠️ で偽陰性になりうる。 はHE4を高発現するとは由来が異なり上昇しにくく、検証コホートでもに限るとHE4・CA-125を含む全マーカーの診断精度が有意に低下した2も同様にHE4・CA-125を高発現しない組織型であり、ROMAが低リスクでもこれらの組織型を除外したことにはならない。

⚠️ 閉経前ではCA-125の偽陽性が多い。 でCA-125が上昇しやすく、閉経前のほうが閉経後より特異度が落ちる。HE4はこれらの良性疾患で上がりにくいためROMAに組み込む意味があるが、詳細はHE4のノートを参照。

⚠️ HE4は腎機能低下があるとになる。 eGFRが低下するほどHE4が上昇するため、腎機能を確認せずにROMAの数値を解釈しない。腎機能以外の非腫瘍性の上昇要因はHE4のノートにまとめている。

⚠️ 単独で手術適応を決めない。 ROMAは紹介要否を層別化するツールであり、確定診断やそのものを与えない。・<a href=“/scores/iota-models” class=“wikilink” data-goes-to=“モデル”>など画像形態評価と組み合わせて解釈する。

他のリスク評価とROMAは位置づけが異なる。

中心となる情報 構成要素
ROMA マーカー中心 HE4CA-125・閉経状態(超音波所見を含まない)
RMI マーカー+粗い超音波スコア 超音波所見を5項目の粗いスコアに単純化したもの×CA-125実測値×閉経スコアの積
画像中心 超音波形態所見をで記述し0〜5の6カテゴリーへ集約したもの(CA-125を含まない)

⚠️ どれか1つの評価法がほかより一貫して優れているという合意はない。 実務では単独の指標に頼らず、マーカーと画像形態評価を組み合わせて判断する。

まとめ

  • ROMAは、が既に見つかっている女性を高リスク・低リスクに層別化しへの紹介要否を判断する術前ツールであり、無症状女性のスクリーニングではない。
  • 構成要素はHE4・CA-125実測値・閉経状態の3つのみで、超音波所見・年齢は含まない。閉経前後で異なるを使い、した実測値からPIを求め、PPへ変換する。
  • アッセイ添付文書の(閉経前12.5%・閉経後14.4%)と検証論文自身のによる(閉経前16.6%・閉経後35.9%)は大きく異なり、測定系をまたいで数値を流用できない。
  • での偽陰性、閉経前でのCA-125偽陽性、腎機能低下によるHE4という限界があり、単独では手術適応を決めず・<a href=“/scores/iota-models” class=“wikilink” data-goes-to=“モデル”>など画像評価と組み合わせる。
  • RMI(超音波の粗いスコア×CA-125×閉経状態)・(画像中心)とは位置づけが異なり、どれか1つが一貫して優れているという合意はない。

出典

  1. 1.HE4 and CA125 as a diagnostic test in ovarian cancer: prospective validation of the Risk of Ovarian Malignancy Algorithm(British Journal of Cancer・2011)ROMAの閉経前・閉経後別の予測指数(PI)回帰式(閉経前PI=−12.0+2.38×LN(HE4)+0.0626×LN(CA125)、閉経後PI=−8.09+1.04×LN(HE4)+0.732×LN(CA125))とPI→PP(予測確率、%)への変換式、アッセイ添付文書のカットオフ(閉経前12.5%・閉経後14.4%、特異度75%を確保するよう選定)、この検証コホート自身のROC解析による至適カットオフ(閉経前16.6%[感度67.5%・特異度91.5%]・閉経後35.9%[感度79.0%・特異度89.5%])、対象集団(骨盤腫瘤が疑われ手術を予定した389例、良性228例・悪性161例)、および粘液性癌に限るとHE4・CA125を含む全マーカーの診断精度が有意に低下したことを確認した閲覧 2026-08-04
  2. 2.The Role of the Obstetrician–Gynecologist in the Early Detection of Epithelial Ovarian Cancer in Women at Average Risk (Committee Opinion No. 716)(American College of Obstetricians and Gynecologists(ACOG)/Society of Gynecologic Oncology(SGO)・2017)無症状・平均リスク女性への卵巣癌早期発見(経腟超音波・腫瘍マーカー単独/併用)は死亡率低下が証明されていないという結論、米国のPLCO試験(追跡中央値12.4年、CA125固定カットオフ35 U/mL+経腟超音波)が死亡率のベネフィットを示さなかったこと、英国のUKCTOCS試験の14年追跡で卵巣癌リスクアルゴリズム(連続CA125測定を数理モデルで解釈する、ROMAとは別のアルゴリズム)を用いた多モダリティスクリーニングによる死亡率減少が15%(95%CI −3〜30、P=.1)にとどまり統計学的に有意でなかったこと、およびFDAが承認したROMAを含む複数マーカーパネル(文献にVan Gorpらの本検証論文を含む)は無症状女性のスクリーニングとしてではなく画像で付属器腫瘤が確認された女性を低リスク・高リスクに分類する目的で承認されていることを確認した閲覧 2026-08-04