Anesthesiology

Anesthesiology · B-16

麻酔科学III:静脈麻酔薬

Anesthesiology III.: Intravenous anesthetics

前提:病態
静脈麻酔薬・周術期薬剤
前提:正常
神経細胞の生理学・シナプス伝達とその調節
疾患
薬剤の血管外漏出

🧠 全体像は、脳への迅速な分布で意識を消失させ、と代謝で効果が減弱する。どの薬も「注射したら麻酔が完了」ではなく、鎮痛・・自律神経反応抑制を別に補い、気道・換気・循環を直ちに支えられる準備が必要である。

全身麻酔の構成要素

要素 目的 主な薬剤・方法
・健忘 意識と記憶を抑える 、ベンゾジアゼピン、
鎮痛 を抑える オピオイド、、局所・
手術操作を可能にする
自律神経反応抑制 頻脈・高血圧などを抑える 十分な鎮痛・、短時間作用薬

薬の多くは鎮痛作用を持たない。で意識がなくても、手術への鎮痛は別に必要である。

薬物動態の要点

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bolus'>静脈内急速投与</span>"] --> B["血流の多い脳へ分布"]
    B --> C["迅速な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='loss of consciousness'>意識消失</span>"]
    C --> D["筋・脂肪へ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='redistribution'>再分布</span>"]
    D --> E["単回投与の効果消失"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hepatic metabolism (liver metabolism)'>肝代謝</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='renal excretion (renal elimination)'>腎排泄</span>"]
  • 単回後の覚醒は、薬の完全排泄より脳から筋・脂肪へので起こる。
  • ではが飽和し、蓄積とが覚醒を左右する。
  • 高齢、、心拍出量低下、ショックでは脳へ届く有効濃度が高くなりやすく、少量をゆっくりする。
  • オピオイド、ベンゾジアゼピン、の併用にはがあり、薬必要量と血圧・換気を大きく変える。

主要薬剤の比較

薬剤 主な作用・利点 主な・注意点
GABA-A作用、迅速な導入・覚醒、 低血圧・無呼吸、注入時痛、長期高用量で
低下 低血圧・呼吸抑制、蓄積、・動脈内
循環抑制が比較的少ない 、悪心、注入時痛、一過性、鎮痛なし
NMDA拮抗、+鎮痛、気管支拡張、交感神経刺激 、悪心、、眼振。枯渇例ではが表面化
ベンゾジアゼピン、・健忘・抗けいれん 発現・覚醒がより遅い、呼吸抑制、低血圧、蓄積・せん妄

プロポフォール

健康な成人の導入量は概ね1.5〜2.5 mg/kgだが、これは固定処方ではない。高齢者、、ショック、心機能低下、オピオイド併用では大幅に減量し、効果を見ながらする。

  • で血圧が低下し、・無呼吸を起こす。
  • 覚醒が速くPONVを減らすため、に適する。
  • 鎮痛作用はなく、痛い処置には別の鎮痛が必要である。
  • 長時間・高用量持続時は代謝性アシドーシス、、高K血症、心不全を伴うに注意する。

チオペンタール

の導入では概ね3〜5 mg/kgを用いるが、循環不全・高齢では減量する。率、、頭蓋内圧を低下させる一方、も下げ得るためを保証しない。

  • で脂肪へ蓄積し覚醒が遅れる。
  • を誘発し得るため禁忌である。
  • 強いアルカリ性の溶液で、では組織障害、動脈内では虚血を来す。

エトミデート

導入量は概ね0.2〜0.3 mg/kgで、が乏しい患者でも血圧低下が比較的少ない。ただし無呼吸を起こし得るため気道準備は同じである。

  • 11β-を阻害し、単回投与でも一過性を生じる。
  • 敗血症患者を含め、単回導入が死亡率を増加させるとして一律に禁忌とする根拠は確立していない。循環安定性という利益とを個別に比較する。
  • による鎮静には用いない。

ケタミン

を生じ、静注導入では概ね1〜2 mg/kgを用いる。鎮痛にはより少量をする。

  • 自発呼吸と気道反射が比較的保たれやすいが、無呼吸、誤嚥、は起こり得る。「気道管理不要」ではない。
  • 気管支拡張作用があり、重症喘息や循環不安定時に有用な場合がある。
  • 通常は交感神経刺激で心拍数・血圧を上げるが、が枯渇したショックでは直接により低血圧となり得る。
  • 頭蓋内圧上昇患者でも換気と血行動態を適切に管理すれば一律禁忌ではない。

ミダゾラムと拮抗

  • 、健忘、鎮静、抗けいれんに有効だが鎮痛作用はない。
  • オピオイドとの併用で呼吸抑制がに増える。高齢、OSA、肝腎機能低下では少量ずつ投与する。
  • はベンゾジアゼピン作用を拮抗するが、が短くがあり、慢性ベンゾジアゼピン使用や混合中毒では離脱性けいれんを誘発し得る。

安全な導入

  1. 患者、手術、同意、アレルギー、絶食、気道計画を確認する。
  2. 酸素、吸引、器具、挿管器具、救急薬を準備する。
  3. ECG、血圧、SpO2を監視し、換気開始後はを用いる。
  4. を行い、患者のに合わせて薬剤を分割・する。
  5. 後は気道開通、換気、血圧を直ちに確認し、低血圧の原因を治療する。

まとめ

  • の単回効果消失は主にで、では蓄積が重要となる。
  • は迅速で的だが、低血圧・無呼吸を起こすため患者別に減量する。
  • は循環抑制が少ない一方で一過性があり、一律に排除せず利益とリスクを比較する。
  • は鎮痛と気管支拡張を持つが、気道・循環合併症がないわけではない。
  • どの導入薬でも、投与前に酸素化・換気・気道救済・循環治療を準備する。