組織学

組織学 · 3.5

結合組織:軟骨

Connective tissue — Cartilage

応用トピック
骨軟部の画像診断膝関節軟骨・半月板損傷と関節鏡の原則

🧠 軟骨3種類は「コラーゲンの型×追加成分」で覚える。 (最も一般的)=のみ、=+弾性線維(曲げても戻る)、=I型コラーゲン主体(+の中間)。さらに「があるか」「1つの腔()にが何個入っているか」という2つの副軸を重ねると3者を完全に区別できる。

軟骨組織の基本構造:軟骨単位

軟骨組織はとそれが産生するからなる。は単独または集団(2〜8個)で、基質中の小腔=に収まっている。

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='isogenous group'>軟骨細胞集団</span>"]
  A --> B["莢膜:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chondrocytes'>軟骨細胞</span>を直接取り囲む、酸性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sulfation'>硫酸化</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='proteoglycan'>プロテオグリカン</span>が濃縮し強い好塩基性"]
  B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='territorial matrix'>領域基質</span>:集団周囲、同じく好塩基性"]
  C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Chondron'>軟骨単位</span>=<span class='jp-term jp-term-diagram' title='isogenous group'>軟骨細胞集団</span>+莢膜+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='territorial matrix'>領域基質</span>"]
  D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='interterritorial matrix'>間領域基質</span>:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Chondron'>軟骨単位</span>間を埋める"]
  • (不活動型):を産生しない
  • (活動型):を産生する。軟骨周辺部では扁平な楕円形、深部では円形になり、1個のから分裂した細胞が最大8個までの集団(, chondron)を作る

軟骨膜

を除くすべてのは、というの層で覆われる。

  • 主に線維芽細胞からなり、(軟骨形成層, stratum chondroblasticum)の線維芽細胞はへ分化する前駆細胞を含む(=, stratum fibrosum)
  • 軟骨組織は・無神経であり、栄養は血管をもつから拡散して深部のへ届けられる(02-1-classificationの上皮の栄養供給と同じ原理)

⚠️ 経由という説明はには当てはまらない。 にはが無い(上の「を除く」がまさにそれ)ので、栄養供給経路も別で、主に()からの拡散でまかなわれる。ヒト軟骨に2.8 MPa・1 Hzの歩行様周期荷重をかけた実験では、尿素・ヨウ化ナトリウムのような小さい溶質の輸送速度は荷重の「ポンプ作用」でほとんど変わらず(グルコース・酸素という主要栄養素はこの小溶質に当たる)、のような大きい溶質でのみ脱着が30〜100%速くなった——つまりの栄養は運動によるポンプではなくが主役である1。マウスとヒトの滑膜関節を実測すると滑膜の表面積との表面積が強く正相関し(マウスで r=0.96)、成熟がに栄養を依存することを裏づける2。

軟骨の3型

コラーゲンの型 II型 II型 I型が主体
追加成分 なし 弾性線維(要・フクシン染色, 00-2-staining) なし(+の混在)
あり(を除く) 常にあり なし
内の細胞数 2〜8個 1〜2個 1〜2個
主な分布 関節面、気道(鼻・喉頭・気管・気管支, 11-1-conducting-portion)、、 耳介、耳管、 、、、・腱の付着部

⭐ は成人において関節面・気道の壁・・の(縦方向の骨成長を可能にする)に分布する——最も普遍的な軟骨型であり、他の2型(・)は「に何かが追加/置換された特殊型」という位置づけで覚えると整理しやすい。

💡 だけがをもたない理由は、がそもそも独立した軟骨というよりとの移行的な混合組織だから——やのように、強い圧迫と可動性の両方が必要な部位に特化している。

まとめ

  • は・莢膜・からなり、好塩基性の強いこれらの構造がと対比される。
  • (、あり、無神経)が最も一般的で、関節面・気道・・に分布する。ただしだけはをもたず、栄養をではなくからの拡散で得る。
  • はに弾性線維が加わった型で、耳介・耳管・に分布する。
  • はI型コラーゲンが主体でをもたず、・・に分布する。

出典

  1. 1.Influence of cyclic loading on the nutrition of articular cartilage(Annals of the Rheumatic Diseases・1990)関節軟骨は無血管で、栄養は主に滑液からの拡散で細胞へ運ばれる。ヒト大腿骨頭軟骨片に2.8 MPa・1 Hzの歩行様周期荷重を加えても、尿素やヨウ化ナトリウムのような小溶質(グルコース・酸素もこれに当たる)の輸送速度は有意に変わらず、血清アルブミンのような大溶質でのみ脱着速度が30〜100%増加した閲覧 2026-08-24
  2. 2.Correlation between the surface area of synovial membrane and the surface area of articular cartilage in synovial joints of the mouse and human(Surgical and Radiologic Anatomy・2008)マウス後肢(膝・足・第1中足趾節)とヒト屍体の滑膜関節で、滑膜の表面積と関節軟骨の表面積に強い正の線形相関(マウスで r=0.96、95%CI 0.90–0.98)が認められ、成熟した関節軟骨の栄養が滑液に依存するという概念を支持する閲覧 2026-08-24