Neurology

Neurology · G1-03

回転性めまいと浮動性めまいの鑑別診断

G1-03: Differential diagnosis of vertigo and dizziness

前提:正常
平衡感覚の生理学。味覚と嗅覚。頭部:耳

🧠 全体像:めまいは症状の総称であり、まず回転・傾斜のである回転性めまい(vertigo)か、かを分ける。急性持続性の前庭症候群では末梢性に見えても脳卒中を見逃さない。

症候を言語化する

患者の訴え 主な機序・鑑別
回転・揺れ・傾斜の 障害または脳幹・小脳病変
立ちくらみ・目の前が暗い 不整脈などの失神前状態
末梢神経障害、小脳/錐体路障害、薬剤、など
持続する非回転性めまい 不安、持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)、薬剤、代謝疾患など

問診と初期評価

、頭位・との関係、再発性、難聴/、頭痛、・嚥下障害・失調・、服薬を確認する。神経診察、歩行評価、眼振、頭位変換試験、心血管評価と起立時血圧を組み合わせる。

⚠️ 持続するに、/眼振、正常な、強い歩行失調やがあれば中枢性を疑い脳卒中診療へ進む。HINTSは急性で持続する眼振を伴う前庭症候群を、訓練を受けた診察者が評価するときに限り有用で、短い反復性頭位めまいへのスクリーニングには用いない。

flowchart TD
    A["めまいの訴え"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='duration'>持続時間</span>・誘因・神経症候を確認"]
    B --> C["頭位で数秒〜1分の反復発作"]
    C --> D["Dix-Hallpike:BPPVを評価"]
    B --> E["急性持続性めまい・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='spontaneous nystagmus'>自発眼振</span>"]
    E --> F["歩行・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neurological findings'>神経所見</span>・適応を満たすHINTS"]
    F --> G["中枢性所見なら脳卒中として緊急画像/治療"]
    B --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='presyncope'>失神前感</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='palpitations'>動悸</span>・起立で誘発"]
    H --> I["心電図・起立時血圧・代謝要因を評価"]

末梢性前庭疾患

疾患 時間軸・特徴 診断と治療の要点
頭位変換で数秒〜1分の反復性回転性めまい。通常は難聴なし ではDix-Hallpikeでを伴う一過性上向き眼振。(Epley法)が基本で、の常用は避ける
Ménière病 20分〜12時間の反復性めまい、の片側低〜感音難聴/ 聴力検査で確認し他疾患を除外。・薬物/治療は個別化する。古い資料のや予防的鎮静薬の一律使用は標準ではない
急性持続性の強いめまい、悪心、。原則として難聴なし 脳卒中を除外後、短期のと早期。長期の抑制薬は代償を妨げる

BPPV:耳石と頭位眼振

を動かす病態、に付着する病態で、三すべてに起こりうる。後、変性、特発性が背景となる。

Dix–Hallpike法 典型的所見
座位で頭を検査側へ45°回し、頸部を約20°伸展して仰臥位へ速やかに倒す 数秒の後に増強・減衰する上向き眼振とめまい。起こすと眼振が反転する。持続する眼振やは中枢性を考える

Epley法は頭位を順に変えてへ戻す。Semont法は臥位から反対側へすばやく移すである。難治例では診断再確認、リハビリテーション、まれに選択的神経切断等を専門的に検討する。は嘔吐の対症療法に限る。

Ménière病と前庭神経炎を深める

疾患 病態・診断 急性期/長期対応
Ménière病 によるが想定される。反復する自然発作、聴力検査での感音難聴、またはを統合し、原因が判明する場合はMénière症候群として扱う 急性期は安静・。塩分、、飲酒、ストレスを含む誘因を評価し、利尿薬等の予防治療やは耳鼻科で個別化する
ウイルス性または感染後炎症が想定され、急性期は1〜5日続く重い回転性めまい、悪心・嘔吐、患側へのを来す 慢性期には数日〜数週の感・向きが残り得る。、眼・頭・・立位・歩行を含む前庭訓練を進める

中枢性めまいと非前庭性めまい

病態 重要な手がかり
脳卒中 突然発症、、構音/嚥下障害、、著しい失調、頭痛、危険因子
反復性めまいと片頭痛の特徴(光/、頭痛など)。は典型的でない
視覚症状、運動/、進行性経過など
・不整脈 立位での、失神。心電図と起立時評価
低血糖、貧血、脱水、薬剤 発汗・空腹、全身、体液喪失、・鎮静薬・など

非前庭性めまいを漏らさない

分類 具体的な手がかり
心血管 は立位で血圧低下、抗高血圧薬・脱水・高齢で起こりやすい。不整脈(心房細動等)は心拍出量低下と失神を来し、血管迷走神経性失神は情動・長時間立位で心拍数・血圧が急低下する
代謝・全身 低血糖は発汗・混乱・失神、貧血は低下による・脱力、脱水は循環血液量低下による立ちくらみを起こす
不安・パニック・では、発汗、を伴う。慢性めまいは非回転性で持続し、心理的要因と関連しうる
薬剤・耳毒性 β遮断薬・利尿薬などの、ベンゾジアゼピン等の鎮静薬、アミノグリコシド・等のを服から探す

末梢性と中枢性の眼振・神経所見

所見 末梢性を支持 中枢性を支持
脳神経・小脳徴候 局在徴候は通常なく、軽いはありうる 、構音/嚥下障害、、重度失調、明らかな局在徴候。
眼振 多くはの水平〜で、で軽減しうる 、純粋(下向き眼振(downbeat)を含む)、純粋で増悪。
聴覚症状 難聴・を伴いうる 原則まれだが、の新規難聴はも除外する。
めまい・悪心 回転感と悪心・嘔吐が強いことが多い 回転感は軽いこともあるが、強さだけで除外できない。

⚠️ HINTSは持続するで訓練を受けた診察者が用いる検査であり、短いめまい・症状に機械的に適用しない。

まとめ

  • 時間軸と誘因が最も強い鑑別の軸である。
  • BPPVは頭位誘発性の短時間発作で、で治療する。
  • 急性持続性めまいでは、末梢性と見えても小脳・を除外する。