病態生理学

病態生理学 · P-2-3

消化管疾患 症例3

Gastrointestinal disease, Case 3

前提:病態
女性ホルモン調節の異常(機能性視床下部性無月経)
前提:正常
飢餓-摂食サイクルとその調節飢餓時の内分泌・代謝変化
疾患
脚気

🧠 全体像: 両親に勧められて受診した17歳女性。身長173 cm・体重46.7 kg(約15.6)なのに「さらに数kg減らしたい」と話し、毎日数時間の運動を続け、「母が大げさに反応している」と深刻さを認めない。鍵は 著明な・体重増加を妨げる行動・深刻さの の3点で、-TRの(・排出の記載がない制限型、上は重度)と読む。数か月の無月経はではなく低エネルギー状態の帰結として扱い、器質的疾患の除外と医学的安定性の評価、栄養再開時のへの備えを並行する。

症例提示

17歳女性が、両親に勧められてGPを受診した。母親は著明な体重減少を心配しているが、本人は「母が大げさに反応している」と述べる。本人は体調・睡眠は良好としているが、気分はあまり良くなく、月経は数か月来ていない。食欲は低下しているが、空腹時には食べるという。体重に不満があり、さらに数kg減らしたいと話す。長年バレエをしており、毎日数時間の運動を継続。母との関係は緊張しており、母があらゆることをコントロールしようとすると感じている。は身長173 cm、体重46.7 kg。

主要所見と解釈

引用 / 値 解釈
173 cm, 46.7 kg( ≈ 15.6) 著明なで、の基準を満たす。-TRの重症度区分では 15.0〜15.99が「重度」にあたり、本症例のはその範囲に入る。ただし17歳の本例は思春期にあたり、-TRは小児・思春期のを「最低限期待される体重を下回る」ことで定義している1
“体重に満足せず、さらに数kg減らしたい” にもかかわらず体重増加への強い恐怖を示し、の歪みを伴う
“母は過剰反応している … 自分は元気” 低下/重症度の
“数か月月経がない” ・低エネルギー状態による。ただし以降、無月経はの必須ではなく、随伴する内分泌的帰結として位置づけられる1
“長年のバレエ、毎日数時間運動” という体重コントロール行動
“母との関係が緊張 … コントロールされる” 本疾患でしばしばみられる・統制をめぐる葛藤

要点整理

  • (-TR)との対応:
    • 必要量に満たない摂取による著しい → 身長173 cm・体重46.7 kg( 15.6)
    • 体重増加への恐怖または増加を妨げる持続的行動 → 「さらに数kg減らしたい」、摂取制限、毎日数時間の運動
    • 体重・体型の自己認知の障害、深刻さの → 「母が大げさに反応している」「自分は元気」
  • 診断: (制限型:・排出行動の記載がなく、摂取制限とが中心。-TRは制限型を、主に食事制限・絶食・過剰な運動によって体重減少がもたらされる病像と説明している)、の重症度区分をそのまま当てはめると「重度」( 15.0〜15.99。思春期なので年齢・性別に応じた評価も併せて行う)1。
  • 中核所見: 著明な、体重増加への強い恐怖/の歪み、維持のための行動(摂取制限・)。
  • 鑑別・並行して行う評価: 心理社会的な特徴だけで確定せず、、糖尿病、セリアック病など吸収不良を来す消化器疾患、悪性腫瘍といったな体重減少・無月経の原因を除外する。血算・電解質・血糖・甲状腺機能・心電図(QT延長の評価を含む)などの医学的安定性の確認も並行して行う。
  • 内分泌的帰結: に伴う。慢性化すると骨密度低下・骨粗鬆症のリスクも上昇する。
  • 心理社会面: の乏しさ・、家族内の統制葛藤。
  • 病態生理: エネルギー不足により、月経・代謝・心血管など多臓器へ影響する。
  • のリスク: 状態から急速に栄養を再開するとが増加し、リン・カリウム・が細胞内へ移動する。このを中心とした電解質シフトが、浮腫・心不全・不整脈・低下・せん妄・けいれんを引き起こす。ASPEN 2020の合意定義では、カロリー再投与から5日以内にリン・カリウム・のいずれかが10〜20%低下=軽症、20〜30%=中等症、30%超あるいは臓器障害を伴えば重症、と階層化されている2。

出典

  1. 1.DSM-5-TR Diagnostic Criteria for Eating Disorders(American Psychiatric Association(InsideOut Instituteによる基準集の転載)・2022)神経性やせ症の診断基準(有意な低体重・体重増加への恐怖または増加を妨げる行動・体重体型の自己認知の障害)と、BMIに基づく重症度区分(軽度17以上・中等度16〜16.99・重度15〜15.99・最重度15未満)を確認した。無月経は基準に含まれない。小児・思春期では低体重を「最低限期待される体重を下回る」ことで定義し、制限型は主に食事制限・絶食・過剰な運動で体重減少がもたらされる病像であることも確認した(2026-09-24に再取得。旧URLは同機関の resource-library のページへ転送される)。閲覧 2026-09-24
  2. 2.ASPEN Consensus Recommendations for Refeeding Syndrome(American Society for Parenteral and Enteral Nutrition・2020)ASPEN 2020の合意定義では、再栄養症候群は「カロリー再投与から5日以内に、血清リン・カリウム・マグネシウムのいずれか1〜3項目が10〜20%(軽症)、20〜30%(中等症)、30%超低下、および/またはこれらの低下もしくはチアミン欠乏による臓器障害を伴う(重症)」ものと診断基準が階層化されていることを確認した。重症の定義にチアミン欠乏が明示的に含まれる点が要点である。閲覧 2026-08-14