小児科学

小児科学 · 33

顔面神経麻痺

Facial nerve palsy

前提:正常
頭頸部:咽頭(鰓)装置(第2弓=顔面神経)
疾患
ベル麻痺(末梢性顔面神経麻痺)

🧠 全体像:では、まず額が保たれる中枢性麻痺と、額・を含む顔面半側全体の末梢性麻痺を分ける。末梢性ではを即日開始し、Bell麻痺と決めつけず、、耳疾患、、外傷、腫瘍などを病歴と診察で選別する。

中枢性と末梢性

所見 中枢性() 末梢性(核・)
障害側 病変の反対側 病変と同側
額のしわ寄せ 比較的保たれる 低下・消失
比較的保たれる 不完全〜不能
口角 反対側病変で下垂 同側で下垂
随伴所見 、、、他の脳神経徴候 、、、など

額は両側性皮質支配を受けるため、中枢性では典型的に額が保たれる。ただし脳幹の病変では末梢性パターンを示す。

原因

  • Bell麻痺(急性、片側性、原因不明の末梢性麻痺)
  • 感染:Lyme、、、、中耳炎・
  • 外傷:、、医原性
  • 炎症・:Guillain–Barré症候群、など
  • 腫瘍:角、顔面神経、耳下腺の腫瘍
  • 中枢性:脳卒中、脱髄、腫瘍、炎症

両側性、反復性、、他の脳神経/、、重い・水疱、外傷歴は非特発性を示唆する。

診察

「を上げる・額にしわを寄せる」「強くする」「歯を見せる」「口笛・頬を膨らませる」を左右比較する。耳介・外耳道の水疱、中耳、、耳下腺、皮疹、ダニ曝露、四肢も確認する。

顔面神経は運動以外に分泌、2/3の味覚、を担うため、病変部位により、、を伴う。やは選択例で局在評価を補助するが、緊急のを遅らせない。

検査

典型的な急性片側Bell麻痺ではルーチンの血液検査・画像は不要。Lyme・旅行歴・ダニ曝露・・両側麻痺では血清学的検査を行う。Lymeが疑われる場合は専門科へ相談し、血清学だけで完結させず、による髄液炎症所見と特異抗体産生の評価を検討する。1 緩徐進行、再発、他の神経徴候、腫瘤、外傷、改善不良ではなどと耳鼻科/神経科評価を行う。

治療

角膜保護

不全があれば、夜間、適切な眼瞼閉鎖/を行う。眼痛、充血、、は評価とする。

原因別

原因 治療の考え方
Bell麻痺 小児は率が高く、ステロイド利益の根拠は成人より弱い。発症72時間以内、とくに重症例で・地域指針に沿って検討2
適切な抗菌薬を年齢・神経症状に応じて投与。上、Lymeの・となるでは、抗菌薬へのステロイド併用を行わない1
抗ウイルス薬+ステロイドを早期に専門科と検討
中耳炎/ 抗菌薬、必要時耳鼻科的ドレナージ
中枢性・腫瘍・外傷 原疾患治療、緊急画像・専門科介入

まとめ

  • 額温存は中枢性、額とを含む同側顔面全体の麻痺は末梢性を示唆する。
  • 末梢性麻痺では原因確定前からを開始する。
  • Bell麻痺はで、両側性・反復性・進行性・他神経徴候は精査対象である。
  • Lyme検査と抗菌薬は疫学・曝露に基づき、ステロイドは原因と小児での根拠を踏まえ個別判断する。

出典

  1. 1.Guidelines for diagnosis and treatment in neurology - Lyme neuroborreliosis(2025)Lyme神経ボレリア症の診断における血清・髄液評価と、診断基準上の疑診・確診例の顔面神経麻痺では抗菌薬へのステロイド併用を勧めないことを確認した。閲覧 2026-08-13
  2. 2.Efficacy of Prednisolone for Bell Palsy in Children: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Multicenter Trial(2022)小児Bell麻痺の大多数は無治療でも回復し、発症72時間以内のプレドニゾロンが1か月時点の完全回復を有意に改善しなかったことを確認した。閲覧 2026-08-13