Traumatology

Traumatology · 05

骨折の臨床症状と診断

Clinical symptoms of fractures, diagnosis

前提:正常
生体力学I:応力–ひずみ線図と各領域骨とエナメル質の生体力学的特性総論:骨学総論

🧠 全体像:骨折は、加わった荷重が骨の耐荷重能を超えて骨構造が破綻した状態である。診断ではを見つけるだけでなく、、皮膚、神経血管、、関節面、の背景まで一続きに評価する。

骨折の分類

分類軸 特徴
原因 骨折 正常骨に外力が加わる
原因 腫瘍、、くる病、Paget病などで弱化した骨に軽微な外力で生じる
皮膚との交通 開放骨折 / 閉 骨折部と外界の交通の有無で分ける。骨の露出は必須ではない
/ 骨の全断面がしているか、一部が連続するか
骨片 3個以上の骨片を形成
骨片 一方の骨片が他方へ打ち込まれる
小児 皮質が破断し、反対側が変形して残る

骨折線と外力

方向・機序
長軸とほぼ平行
長軸にほぼ垂直。曲げやで生じる
長軸に対して斜め。圧迫と曲げの影響
捻転力によりに走る

転位は、長さ、角状変形、側方転位、回旋で表現する。単なる「ずれ」ではなく、どの方向にどれだけ失われたかを記載する。

臨床症状

一般症状

  • 局所痛、荷重・運動で増悪する疼痛
  • 腫脹・浮腫、皮下出血、圧痛
  • 機能喪失、
  • 変形、短縮、
  • 、皮膚のテント状緊張
  • 異常可動性、骨片間の

⚠️ 異常可動性やは診察でに誘発しない。疑わしい四肢は支持して動きを最小限にし、神経血管評価後に固定する。

部位から予測する所見

骨折 代表所見・合併損傷
骨折 肩痛、変形、挙上困難、
骨折 上腕痛・腫脹、による
手関節痛・腫脹、背側転位によるフォーク状変形
激しい大腿痛、短縮、腫脹、多量出血
脛骨・骨折 下腿痛、、皮膚障害、
骨盤骨折 、歩行困難、を認め得るが、のみでは除外できず、外傷文脈に応じて画像評価する1
、身長低下。神経障害とを除外

合併症を見逃さない診察

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='causation'>受傷機転</span>と全身状態を確認"] --> B["皮膚・創・変形を観察"]
    B --> C["脈拍・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='capillary refill'>毛細血管再充満</span>・皮膚温"]
    C --> D["末梢神経の感覚と運動"]
    D --> E["区画の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='engorgement (turgor)'>緊満</span>と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='passive (movement)'>他動</span>伸展痛"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='splint'>副子</span>固定"]
    F --> G["固定後に神経血管所見を再確認"]

では、損傷に不釣り合いな増悪痛、抵抗性疼痛、伸展痛、が重要である。は晩期所見であり、脈拍が触れても除外できない。

では・骨盤骨折後に低酸素血症、神経症状、点状出血を認め得る。開放骨折では感染予防より先に、早期抗菌薬と適切な手術治療を開始する。

画像診断

検査 主な用途
単純X線 第一選択。原則として互いに直交する2方向で、部位・・転位・関節面を評価。早期では偽陰性がある
CT 骨盤、脊椎、顔面、複雑骨折、関節内骨折、手術計画
MRI 骨折、・腱・筋損傷、の評価。X線陰性でもが疑われる場合の次検査2
超音波 小児骨折、、関節血腫の補助。がある
、多発病変、の評価。ではMRIを優先し、MRI不能時などに使い分ける2

撮影範囲は骨折部だけで決めず、では必要に応じて近位・遠位関節を含める。関節不安定性をみるストレス撮影は、急性期に無理に行わずが適応を判断する。

診断の組み立て

診断名には可能な範囲で、骨・部位、左右、開放/閉鎖、、転位、関節内進展、神経血管損傷を含める。軽微な外力、非典型部位、多発病変、、体重減少・がん既往、長期ステロイド使用がある場合は、だけでなく腫瘍・代謝性骨疾患によるを評価する。3

まとめ

  • 骨折診断は画像だけでなく、機転、皮膚、神経血管、区画の評価を含む。
  • 骨折形態は外力の方向と安定性を理解する手掛かりになる。
  • 異常可動性・を誘発せず、診察と固定の前後で神経血管所見を記録する。
  • X線2方向を基本とし、複雑骨折・不骨折・軟部に応じてCTやMRIを追加する。

出典

  1. 1.Diagnostic accuracy of physical examination for detecting pelvic fractures among blunt trauma patients: a systematic review and meta-analysis(World Journal of Emergency Surgery・2020)鈍的外傷の骨盤骨折は身体診察だけでは除外できず、外傷文脈と画像を統合すること閲覧 2026-08-09
  2. 2.ACR Appropriateness Criteria Stress (Fatigue-Insufficiency) Fracture Including Sacrum Excluding Other Vertebrae: 2024 Update(Journal of the American College of Radiology・2024)疲労・脆弱性骨折では単純X線を初期検査とし、陰性でも疑いが続く場合はMRIを次の検査として用いること閲覧 2026-08-09
  3. 3.Red flags to screen for malignancy and fracture in patients with low back pain: systematic review(BMJ・2013)病的骨折や悪性病変の評価では癌既往、年齢、ステロイド使用、外傷などの赤旗を組み合わせること閲覧 2026-08-09