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Disease Atlas · 全身 · 先天性疾患

口唇裂・口蓋裂

Cleft lip and palate

臓器系
全身
科目
Embryology
トピック
発生学 16.4:頭頸部の臨床相関発生学 16.3:頭頸部の顔面と口蓋
関連疾患
Treacher Collins症候群神経管閉鎖不全(二分脊椎・無脳症)
治療薬
葉酸
症状
伝音難聴
原因となる疾患
Stickler症候群

🧠 全体像は、それぞれ発生学的に独立した2つの癒合イベント——の癒合(上唇・左右の正中癒合(——の失敗によって生じる、頭頸部で最も頻度の高い群である。単独性のは多因子遺伝(環境因子+複数遺伝子)が背景にあることが多いのに対し、他の奇形を伴う症候性の(特に単独性)は染色体異常・を伴う頻度が高く、この違いが出生後の精査方針を左右する。

病態

の癒合不全(発生学16.3参照)により生じる。

病型 発生学的機序 臨床的特徴
(単独) の癒合不全 片側性・両側性いずれもとりうる。片側性は左側にやや多い
(単独) 左右どうし、またはの癒合不全 とは独立した病態で、症候性(他の奇形・症候群を伴う)の頻度が単独より高い
(合併型) 上記2つの癒合不全が同時に生じる 最も頻度が高い組み合わせ

は「別々のパズルのピースの脱落」であり、片方が単独で生じることも、両方が合併することもある。 この独立性を理解しておくと、単独例で症候群の合併を積極的に疑う臨床的判断につながる。

病因

  • 多因子遺伝(複数の感受性遺伝子+環境因子の組み合わせ)が非症候性の主な機序とされる。
  • 環境因子として、母体の喫煙、、葉酸欠乏、一部の(バルプロ酸など)曝露、糖尿病がリスクを高める。
  • 症候性の症例(特に単独)では、、Pierre Robin sequence(下顎低形成→→U字型という連鎖)などの一部として生じることがある。
  • 母体の周妊娠期葉酸摂取()は、(特に)の発症・再発リスクを一定程度低下させるとされ、の予防と並ぶ周妊娠期葉酸摂取の意義の一つである。

臨床像

  • 出生時に肉眼的に診断されることがほとんどで、近年はが指摘されることも増えている(単独は超音波での検出感度が低い)。
  • 哺乳障害が最も早期に問題となる。単独ではに軽度の影響を及ぼす程度のことが多いが、を伴うと口腔と鼻腔の間に陰圧を作れず、有効なができない。
  • 児では、によるの反復、それに伴うのリスクが高い。
  • による)は修復後も残存しうる。
  • Pierre Robin sequenceを伴う場合は、によるの最優先問題となる。

診断

  • ・触診)で口唇・の裂の範囲を評価する。(外見上は口蓋粘膜が連続しているが筋層に裂がある型)はで見逃されやすく、の分裂()、正中の透亮帯、後縁の陥凹が手掛かりになる。
  • 単独性か症候性かの鑑別のため、他の奇形(心疾患、の特徴)の有無を系統的に確認し、疑いがあれば染色体・遺伝学的検査(特に単独例での22q11.2欠失検査)を検討する。
  • Pierre Robin sequenceを伴う場合は、気道評価(内視鏡検査・睡眠時呼吸モニタリング)を出生後早期に行う。
flowchart TD
    A["出生時の口唇・口蓋の裂を確認"] --> B{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cleft palate'>口蓋裂</span>単独か"}
    B -->|"はい"| C["症候群合併を積極的に疑い、心・四肢等の系統的評価と遺伝学的検査を検討"]
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cleft lip'>口唇裂</span>単独/合併型"| D["哺乳評価・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='multidisciplinary team'>多職種チーム</span>へ紹介"]
    C --> E["下顎低形成・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glossoptosis'>舌下垂</span>があればPierre Robin sequenceとして気道評価を最優先"]
    D --> F["専門の哺乳指導・特殊乳首、必要時は<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tube feeding (enteral feeding)'>経管栄養</span>"]
    E --> F
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='multidisciplinary team'>多職種チーム</span>による手術時期・言語聴覚・耳鼻科フォローの計画"]

治療

の管理は形成外科・小児科・・歯科矯正科を含むで、生後から思春期以降まで長期にわたり継続する。

時期 主な介入
出生直後〜手術まで 専門的な哺乳指導(用特殊乳首など)、体重増加のモニタリング。を伴う症例(Pierre Robin sequenceなど)では体位管理・・重症例では/を検討
生後3〜6か月頃 (口唇・鼻の形態再建)
生後9〜12か月頃 (口腔と鼻腔を分離し、構音発達に間に合わせる)
学童期以降 裂への骨移植萌出前)、必要に応じたなどへの追加手術、言語療法
思春期以降 などの顎矯正手術、最終的な鼻・口唇の修正手術
  • 手術時期は施設・プロトコルにより幅があるが、を生後6か月まで、を生後12〜13か月までに修復するという目安が国際的な質指標として広く用いられている。これは、修復を構音発達が本格化する前に完了させる狙いによる。
  • 反復するに対しては、を積極的に検討し、難聴による言語発達への影響を最小化する。

まとめ

  • の、は左右(±)の癒合不全という、発生学的に独立した2つのイベントの失敗による。
  • 単独例は症候群(22q11.2欠失など)の合併頻度が高く、系統的な奇形評価を要する。
  • Pierre Robin sequenceではという連鎖によりの最優先問題となる。
  • 治療はによる長期管理で、を生後6か月、を生後12〜13か月までに修復するのが一般的な目安である。
  • 母体の周妊娠期葉酸摂取は発症・再発リスクの低減に寄与するとされる。