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Drug Atlas · C6 Antivirals / 抗ウイルス薬 · 必修

アタザナビル

atazanavir

分類
Antivirals / 抗ウイルス薬
商品名(日本)
レイアタッツ
商品名(EU)
Reyataz
科目
Pharmacology
トピック
C6: Antiretroviral agents
標的微生物
HIV-1
副作用
黄疸皮疹
監視検査値
ビリルビン
影響検査値
ビリルビン
相互作用
ピモジドボノプラザンラベプラゾール

🧠 全体像:は構造上(PI、「-navir」)で、と違って単独でも実際に使われる数少ないPIの一つである。他のPIと一線を画すのは・消化器毒性が比較的軽いという利点だが、その代償としてUGT1A1(酵素)の阻害による無症候性の・黄疸がほぼ必発する。もう一つの弱点はと同じ酸性環境依存ので、日本の添付文書は(と)を禁忌に、米国の添付文書は用量制限と時間差投与に置いていた——同じ薬理現象に対するの強さが国で違う典型例である。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 特徴的な副作用 との関係
自身が 消化器毒性が強くフルドーズは使われない 特筆すべき酸依存性の記載はない
治療歴のある患者では併用を推奨1 無症候性の・黄疸がほぼ必発、 日本の添付文書は(を含む)を禁忌、米国は用量・時間差の制限にとどまる21

⭐ 「=阻害による黄疸」「酸が無いと溶けない」の2点セットで覚える。 どちらも他のPIには無い、この薬に固有の弱点である。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='atazanavir'>アタザナビル</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='human immunodeficiency virus'>HIV</span>プロテアーゼの<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='active site'>活性部位</span>に結合し阻害"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Gag-Pol polyprotein'>Gag-Polポリタンパク質</span>の<br>切断が起こらない"]
    B --> C["未成熟・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='non-infectious'>非感染性</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='virion'>ウイルス粒子</span>が産生される"]
    D["塩基性で水にほとんど溶けない化合物"] -.->|"胃内が酸性であるほど溶解・吸収が進む"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acid secretion inhibitor'>酸分泌抑制薬</span>併用で血中濃度が低下"]
    F["肝でUGT1A1(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bilirubin conjugation'>ビリルビン抱合</span>酵素)を阻害"] --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='unconjugated bilirubin'>非抱合型ビリルビン</span>が蓄積"]
    G --> H["無症候性の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Hyperbilirubinemia'>高ビリルビン血症</span>・黄疸"]

💡 抗ウイルス作用(プロテアーゼ阻害)そのものは他のPIと同じ。 を特徴づけるのは薬理標的の外側にある2つの副次的性質――のpH依存とUGT1A1阻害――で、どちらも構造上の副産物である。

薬物動態

項目 値・特徴
塩基性で水にほとんど溶けない。胃内pHが低いほど溶解・吸収が進む13
食事の影響 カプセル・経口散剤は食事とともに服用する必要がある1
治療歴のある成人では100mg併用が推奨される1
代謝 主に

適応

他のと併用して感染症の治療に用いる。米国添付文書では生後3か月・体重5kg以上から適応がある1。

⚠️ 日本の記述は現行の電子添文で検算できない。 2026年9月時点で、PMDAの医療用医薬品情報で硫酸塩(薬効分類番号6250023)を引いても収載品目が0件で、レイアタッツの電子添文は取得できない。本ノートの日本側の記述は、最後の使用上の注意改訂指示(2022年9月)2とインタビューフォーム(2020年4月改訂第12版)3に基づく。国内の現行の扱いを述べる必要があるときは、この2文書より新しい資料を当たること。

用法・用量

PO、食事とともに投与する。治療歴のある成人では300mg+100mgを1日1回併用するのが標準的1。実際の用量・併用レジメンは施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ 日本の添付文書はプロトンポンプを禁忌に置いていた。 最後の使用上の注意改訂指示(2022年9月)が示す禁忌欄の「次の薬剤を投与中の患者」には、プロトンポンプ(、ランソプラゾール、、、塩)とアスピリン・ランソプラゾール配合剤、アスピリン・配合剤が含まれる2。⚠️ は日本の添付文書では独立の区分ではなく、この括弧の中に置かれている——「とが別々に禁忌に挙がっている」と読むと原文とずれる。など著しい低胃酸状態が持続する場合も同じ理由で作用が減弱しうる3
  • の側の記載は、薬剤によって残っているものと消えているものがある。 (タケキャブ)の現行の電子添文は、2.2で「硫酸塩、塩を投与中の患者」を禁忌とし、10.1で抑制作用による低下を機序として挙げている4。⚠️ 一方、(パリエット)の現行の電子添文にの記載は無く、としてはだけがに残っている5。⚠️ 同じ相互作用について、側の記載が薬剤ごとに割れている——側だけを見て「日本ではすべてのが今も禁忌」と読まない
  • ⭐ 同じ薬理現象でもの強さは日米で違う。 米国添付文書ではは禁忌ではなく、治療歴のない患者では20mg相当までとし本剤/服用の約12時間前に投与、治療歴のある患者では併用は推奨されないという段階的な扱いにとどまる1。禁忌にしていたのは日本の添付文書であり、(米国でもが禁忌)とは事情が異なる
  • ・、リファンピシン、、経口・、、なども(CYP3A・UGT1A1を介した重篤な相互作用のため)。日本の禁忌欄はさらに・類・・・ブロナンセリン・アゼルニジピン(配合剤を含む)・・・・+を挙げていた12。日本では重度の肝障害も禁忌3
  • 米国添付文書にの節は無く1、日本の添付文書にも「」欄は置かれていなかった3
  • ⚠️ 無症候性のがUGT1A1阻害により高頻度にあらわれる。 治療歴のない成人でグレード3-4のが35〜47%、中等度〜重度の黄疸が2%以上で報告される1。投与中止で回復するが、美容上の観点から他の抗療法への切り換えを検討することがある3
  • 心電図でを示すことがあり、無症候性の1度房室ブロックが5.9%で観察された。のある患者には慎重投与とする1

副作用

頻度 内容
高頻度 無症候性の
注意 黄疸(美容上の理由で切替を検討することがある)、皮疹(投与開始3週間以内が多い)、
重篤・まれ 重度の発疹、腎結石・、房室ブロック

まとめ

  • 構造上は(「-navir」)。抗ウイルス機序は他のPIと同じで、単独でも実際に使われる数少ないPIの一つ。
  • UGT1A1(酵素)を阻害し、無症候性の・黄疸がほぼ必発(治療歴のない患者でグレード3-435〜47%)。
  • 塩基性で水に溶けにくく、胃内pHが低いほど溶解・吸収が進む。日本の添付文書はプロトンポンプ(を含む)を禁忌に置き、米国は用量制限・時間差投与にとどめていた。側の電子添文には今もがとして残るが、側には残っていない。
  • 食事とともに服用が必須。治療歴のある患者ではによるが推奨される。
  • ・に注意。・との併用も禁忌。

出典

  1. 1.REYATAZ- atazanavir capsule, gelatin coated (label)(U.S. National Library of Medicine DailyMed(FDA承認添付文書)・2017)枠組み警告(boxed warning)の節が存在しないこと。米国添付文書ではプロトンポンプ阻害薬は禁忌ではなく、治療歴のない患者ではオメプラゾール20mg相当を超えず本剤/リトナビル投与の約12時間前に服用すること、治療歴のある患者では併用は推奨されないと記載されていること。禁忌がリファンピシン・イリノテカン・経口ミダゾラム・トリアゾラム・アルフゾシン・麦角誘導体・ロバスタチン・シンバスタチン・インジナビル・シサプリド・ピモジド・セイヨウオトギリソウ・ネビラピン・肺高血圧症用量のシルデナフィル・(リトナビル併用時の)ルラシドンであること。UGT(UDP-グルクロン酸転移酵素)阻害に関連した無症候性の間接(非抱合型)ビリルビン上昇が生じること。治療歴のない成人でグレード3-4の高ビリルビン血症が35〜47%の患者で観察され、中等度から重度の黄疸が2%以上で報告されること。アタザナビルの溶解性はpH上昇とともに低下すること。PR間隔延長が一部の患者で認められ、無症候性の1度房室ブロックが5.9%で観察されたこと。カプセル・経口散剤は食事とともに服用する必要があること。治療歴のある成人ではリトナビル100mg併用が推奨されること。3か月齢以上・体重5kg以上の患者に適応があること閲覧 2026-09-08
  2. 2.別紙2【薬効分類】625 抗ウイルス剤【医薬品名】アタザナビル硫酸塩【措置内容】以下のように使用上の注意を改めること。(令和4年9月13日薬生安発0913第6号)(厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課(医薬品医療機器総合機構掲載)・2022)日本のアタザナビル硫酸塩製剤に対する最後の使用上の注意改訂指示であり、改訂後の「2. 禁忌」の当該項が「次の薬剤を投与中の患者」としてリファンピシン、イリノテカン塩酸塩水和物、ミダゾラム、トリアゾラム、ベプリジル塩酸塩水和物、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、エルゴメトリンマレイン酸塩、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩、ピモジド、シンバスタチン、ロバスタチン(国内未発売)、ロミタピドメシル酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、ブロナンセリン、アゼルニジピン、オルメサルタンメドキソミル・アゼルニジピン、ルラシドン塩酸塩、リバーロキサバン、グラゾプレビル水和物、グレカプレビル水和物・ピブレンタスビル、プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、ボノプラザンフマル酸塩)、アスピリン・ランソプラゾール、アスピリン・ボノプラザンフマル酸塩、セイヨウオトギリソウを列挙すること(ボノプラザンは日本の添付文書では独立した区分ではなく「プロトンポンプ阻害剤」の括弧内に置かれていること)、この改訂でリオシグアトが併用禁忌から併用注意へ移されたことを確認した閲覧 2026-09-08
  3. 3.レイアタッツカプセル150mg・レイアタッツカプセル200mg 医薬品インタビューフォーム(2020年4月改訂第12版、添付文書に基づく)(ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社・2020)「警告内容とその理由」欄に「該当資料なし」と明記され、枠組み警告に相当する記載がないこと。禁忌(次の薬剤を投与中の患者)にプロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール・ランソプラゾール・ラベプラゾール・エソメプラゾール・ボノプラザンフマル酸塩)とシンバスタチン・ロバスタチン等が含まれること。UGT阻害により無症候性の非抱合型ビリルビン上昇が高頻度にあらわれ、黄疸・黄疸眼により他の抗HIV療法への切り換えを考慮することがあると記載されていること。投与によりPR間隔の延長を示すことがあり、第一〜三度房室ブロックの報告があること。無酸症等著しい低胃酸状態が持続する状態では本剤の血中濃度が低下し作用が減弱するおそれがあると明記されていること閲覧 2026-08-10
  4. 4.タケキャブ錠10mg・タケキャブ錠20mg(ボノプラザンフマル酸塩)添付文書(2026年7月改訂第7版)(武田薬品工業株式会社(PMDA承認の医療用医薬品添付文書)・2026)タケキャブの禁忌(2.2)にアタザナビル硫酸塩・リルピビリン塩酸塩を投与中の患者の2剤が含まれ、いずれも本剤の胃内pH上昇作用により吸収が低下するためであること閲覧 2026-08-10
  5. 5.パリエット錠5mg・パリエット錠10mg(ラベプラゾールナトリウム)添付文書(エーザイ株式会社(PMDA承認の医療用医薬品添付文書)・2026)2026年7月改訂(第5版)の全文で、2.2の禁忌および10.1の併用禁忌に挙がる抗HIV薬がリルピビリン塩酸塩のみであり、アタザナビルの記載が1件も無いことを確認した(同一版をPMDAの電子添文 2329028F1023_1_36 でも突き合わせ、いずれも0件)閲覧 2026-09-08