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Drug Atlas · B35 Targeted cancer therapy / 分子標的薬 · 必修

ラゼルチニブ

lazertinib

分類
Targeted cancer therapy / 分子標的薬
商品名(日本)
ラズクルーズ
商品名(EU)
Lazcluze
科目
PharmacologyPulmonology and Thoracic Surgery
トピック
B35: Drugs used in cancer treatment V (Small molecule signal transduction inhibitors. Retinoids)呼吸器内科 32:肺癌の化学療法・免疫療法・分子標的療法
承認適応
非小細胞肺癌
副作用
皮疹爪囲炎血栓塞栓症下痢口内炎倦怠感錯感覚

🧠 全体像:ラゼルチニブは、と同じ第3世代・の高いEGFR-TKIである。作用機序・変異選択性の考え方はとほぼ共通だが、決定的な違いは「単剤での適応が無く、アミバンタマブ併用でしか承認されていない」こと。MARIPOSA試験でこの併用は単剤よりを有意に延長したが、有害事象による中止率も高い(10%対3%)——「併用で効果をする代わりに、抗体由来の副作用(・・皮膚障害)もされる」という構図を理解することが核心。

薬効群の中での位置づけ

項目 ラゼルチニブ
世代 (不可逆・) (不可逆・)
高い 高い(CNS-penetrantと明記される)1
単剤での適応 あり(一次治療の第一選択として確立)1 無し(アミバンタマブ併用でのみ承認)12
一次治療でのPFS(MARIPOSA試験) 16.6か月(対照群) 23.7か月(アミバンタマブ併用群、0.70)3
有害事象による全剤中止率 3% 10%(アミバンタマブ併用による分を含む)3

⭐ 「ラゼルチニブ=の代替」ではなく「ラゼルチニブ+アミバンタマブ=より効くが副作用も多い一次治療の選択肢」と覚える。 MARIPOSA試験にはラゼルチニブ単剤群(216例)も設定されていたが、これは治療構成要素(アミバンタマブの寄与分)を検証する目的であり、単剤治療としての承認には使われていない。

機序

flowchart TD
    A["EGFR<span class='jp-term jp-term-diagram' title='activating variant (mutation)'>活性化変異</span><br>(exon19欠失・L858R)"] --> B["EGFRチロシンキナーゼが<br>恒常的に活性化"]
    B --> C["下流のRAS-MAPK/PI3K-AKT経路が<br>持続的にON"]
    C --> D["腫瘍細胞の異常増殖・アポトーシス抑制"]
    E["ラゼルチニブが<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mutant'>変異型</span>EGFRの<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='ATP-binding site'>ATP結合部位</span>に不可逆的に結合"] --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mutant'>変異型</span>EGFRを選択的に阻害<br>(中枢神経系への<span class='jp-term jp-term-diagram' title='penetration'>移行性</span>が高い)"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='downstream signal'>下流シグナル</span>遮断→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='growth arrest'>増殖停止</span>"]
    H["アミバンタマブがEGFR・METの<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='extracellular domain'>細胞外ドメイン</span>に同時結合"] --> I["受容体レベルでも<span class='jp-term jp-term-diagram' title='downstream signal'>下流シグナル</span>を遮断"]
    I --> G
    G --> J["ラゼルチニブ単剤よりアミバンタマブ併用で<br>耐性化を遅らせる(MARIPOSA試験)"]

💡 細胞内(ラゼルチニブ:を)と細胞外(アミバンタマブ:受容体そのものを塞ぐ)という異なるを同時に叩くのがこの併用の理屈。 単独のEGFR-TKIでは避けられない(MET増幅など)の一部を、併用するアミバンタマブが受容体レベルで補う設計になっている。

薬物動態

主にCYP3A4で代謝される。強い・中程度のCYP3A4(リファンピシンなど)との併用は避ける1。アミバンタマブと同日投与する場合は、ラゼルチニブをアミバンタマブより先に投与する1。

適応・用法

⭐ EGFR exon19欠失・exon21 L858R変異陽性のの一次治療に、アミバンタマブ併用でのみ用いる。単剤での承認は米国・日本のいずれにも無い12。

MARIPOSA試験(未治療のEGFR exon19欠失・L858R陽性NSCLC 1074例を対象とした国際)では、アミバンタマブ+ラゼルチニブ群のが群を有意に上回った(23.7か月対16.6か月、0.70、95%信頼区間0.58-0.85)。は両群でほぼ同等(86%対85%)だったが、はアミバンタマブ+ラゼルチニブ群の方が長かった(25.8か月対16.8か月)。一方、有害事象による全剤中止率はアミバンタマブ+ラゼルチニブ群の方が高く(10%対3%)、効果のが毒性増加とセットで来ることを示している3。

用法・用量は米国・日本共通で240 mgを1日1回、食事の有無を問わずする。実際の用量・は施設のプロトコル・添付文書で確認する12。

禁忌・注意

  • 禁忌:米国添付文書は明確な禁忌を設定していない。日本の添付文書は本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者を禁忌とする12。
  • ⚠️ (アミバンタマブ併用時):日本の添付文書で肺塞栓症6.2%・4.5%。投与開始4か月間のが推奨される(アミバンタマブ由来のと共通)12。
  • ⚠️ 皮膚障害:日本の添付文書で発疹68.4%・31.4%と高頻度。日光暴露を避け、アルコールを含まないを使用するよう指導する12。
  • ⚠️ :日本の添付文書で31.8%2。
  • ⚠️ /:日本の添付文書で1.4%・1.2%。呼吸器症状の悪化があれば速やかに評価する2。
  • ⚠️ 重度下痢(1.9%)・心不全(1.0%)・(心筋梗塞0.5%、併用時)にも注意する(日本の添付文書)2。
  • 、にも注意する1。

副作用

頻度 内容
高頻度(アミバンタマブ併用、米国20%以上) 皮疹、()、(アミバンタマブ由来)、、浮腫、、血栓塞栓症、、倦怠感、下痢、便秘1
重大(日本添付文書) (31.4%)、(31.8%)、、2
注意 重度下痢、心不全、(心筋梗塞)

まとめ

  • ラゼルチニブは、と同じ第3世代・の高いEGFR-TKIだが、単剤での適応が無く、アミバンタマブ併用でのみ承認されているという点が最大の違い。
  • EGFR exon19欠失・L858R陽性の一次治療に、アミバンタマブ併用で用いる。240 mgを1日1回。
  • MARIPOSA試験でアミバンタマブ+ラゼルチニブは単剤よりを有意に延長した(23.7か月対16.6か月、HR 0.70)が、有害事象による中止率も高い(10%対3%)。
  • 副作用は皮膚障害(発疹・が高頻度)、(アミバンタマブ併用時にが推奨される)、、など、ラゼルチニブ自体の毒性とアミバンタマブ由来の毒性が重なる。
  • 機序はEGFRのへので、アミバンタマブが細胞外で受容体を塞ぐことと組み合わせ、耐性化を遅らせる設計になっている。

出典

  1. 1.LAZCLUZE (lazertinib) tablets, for oral use — full prescribing information(U.S. Food and Drug Administration / DailyMed・2024)米国添付文書(2024年8月改訂、初回承認2024年)を確認した。適応は「[[drugs/amivantamab|アミバンタマブ]]併用によるEGFR exon19欠失・exon21 L858R変異陽性局所進行/転移性非小細胞肺癌の一次治療」のみで、**単剤での適応は無い**。用法・用量は240 mgを1日1回、食事の有無を問わず経口投与。アミバンタマブと同日投与する場合はラゼルチニブをアミバンタマブより先に投与する。禁忌の設定はなし。警告として静脈血栓塞栓症(アミバンタマブ併用時、投与開始4か月間の予防的抗凝固療法を推奨)、間質性肺疾患/肺臓炎、皮膚障害(重症のざ瘡様皮膚炎を含む発疹)、眼毒性、胎児毒性を確認した。頻度20%以上の有害事象(アミバンタマブ併用時)は発疹、爪毒性、インフュージョンリアクション(アミバンタマブ由来)、筋骨格痛、浮腫、口内炎、静脈血栓塞栓症、錯感覚、倦怠感、下痢、便秘、COVID-19、出血、皮膚乾燥、食欲減退、掻痒、悪心、眼毒性。強い・中程度のCYP3A4誘導薬との併用は避けるべきとする相互作用も確認した。閲覧 2026-09-26
  2. 2.ラズクルーズ錠80mg/240mg 添付文書(独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)/ヤンセンファーマ株式会社・2026)日本の添付文書(2026年3月改訂第2版、2025年5月作成)を確認した。効能又は効果は「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」で、アミバンタマブとの併用でのみ承認されている。用法及び用量は[[drugs/amivantamab|アミバンタマブ]]併用において1回240 mgを1日1回経口投与。禁忌は本剤成分に対し過敏症の既往歴のある患者のみ。重大な副作用として間質性肺疾患(肺臓炎1.4%・間質性肺疾患1.2%)、静脈血栓塞栓症(併用時に肺塞栓症6.2%・深部静脈血栓症4.5%)、皮膚障害(発疹68.4%・ざ瘡様皮膚炎31.4%)、肝機能障害(31.8%)、重度下痢(1.9%)、心不全(1.0%)、動脈血栓塞栓症(併用時に心筋梗塞0.5%)を確認した。2025年3月にライブリバント(アミバンタマブ)との併用療法として製造販売承認を取得した。閲覧 2026-09-26
  3. 3.Amivantamab plus Lazertinib in Previously Untreated EGFR-Mutated Advanced NSCLC(New England Journal of Medicine・2024)MARIPOSA試験(未治療のEGFR exon19欠失・L858R陽性の局所進行/転移性NSCLC患者1074例を、アミバンタマブ+ラゼルチニブ群429例・オシメルチニブ群429例・ラゼルチニブ単剤群216例に2:2:1で無作為化した国際第III相試験)で、独立審査委員会評価の無増悪生存期間中央値がアミバンタマブ+ラゼルチニブ群23.7か月・オシメルチニブ群16.6か月(ハザード比0.70、95%信頼区間0.58-0.85、p<0.001)と有意に延長したこと、奏効率はそれぞれ86%・85%とほぼ同等だったが反応持続期間中央値はアミバンタマブ+ラゼルチニブ群25.8か月・オシメルチニブ群16.8か月であったこと、有害事象による全剤中止率がアミバンタマブ+ラゼルチニブ群10%・オシメルチニブ群3%であったことを、抄録(PMID 38924756)で確認した。ラゼルチニブ単剤群は治療構成要素(アミバンタマブの寄与)を検証する目的で設定された。閲覧 2026-09-26