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Drug Atlas · B3 Hematopoietic growth factors / 造血因子製剤

遺伝子組換えヒトトロンボポエチン

recombinant human thrombopoietin

分類
Hematopoietic growth factors / 造血因子製剤
商品名(EU)
Tebiaoao (特比澳)
科目
Pharmacology
トピック
B3: Agents used in anemias
承認適応
免疫性血小板減少症(ITP)再生不良性貧血
副作用
血栓塞栓症
監視検査値
血小板数

🧠 全体像:遺伝子組換えヒト(rhTPO)は、この薬効群で唯一「内因性そのものを組換え技術で作った」薬である。・ヘトロンボパグ(に結合する低分子)や(に結合するだが構造は天然と別物)と違い、rhTPOは天然と99%相同・同じ結合部位()・同じ3系統のシグナル伝達(/STAT・RAS/MAPK・/AKT)をフルセットで使う。⚠️ 承認国は中国のみであり、日本の薬剤ではない——名称が「遺伝子組換えヒト」であることから日本特有の薬剤と誤解されやすいが、確認できた一次資料(中国のコンセンサス)は中国食品薬品監督管理局(CFDA)による承認のみを記載しており、日本・米国・での承認は確認できなかった。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 結合部位 シグナル伝達 承認国(確認できた範囲)
rhTPO (天然と同じ) /STAT・RAS/MAPK・/AKTの3経路すべて 中国のみ1
(Fc) /STAT中心 米・・日など多数
・ヘトロンボパグ /STAT活性化は弱くAKT経路は刺激しない1 は米・・日など多数、ヘトロンボパグは中国のみ
アバトロンボパグ 競合せずに作用 — 米・・日・中国

⭐ ASH 2026 は、rhTPOをアバトロンボパグ・・ヘトロンボパグ・と並ぶ「刺激薬」として互換に扱っている(副腎皮質ステロイド後になお追加治療を要する成人への推奨2a。強い推奨・確実性は中)2。⚠️ ただし実際に選べるかどうかは承認国で決まる。 rhTPOが未承認の地域では、この推奨は他の4剤の中から選ぶことを意味する。

機序

flowchart TD
    A["rhTPOを皮下注射(CHO細胞で産生した<br>全長<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glycosylation'>糖鎖付加</span>型<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thyroid peroxidase'>TPO</span>、天然型と相同性99%)"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thyroid peroxidase'>TPO</span>受容体の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='extracellular domain'>細胞外ドメイン</span>に結合<br>(天然<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thyroid peroxidase'>TPO</span>と同じ部位)"]
    B --> C["受容体の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='conformational change'>構造変化</span>"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Janus kinase'>JAK</span>/STAT・RAS/MAPK・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='phosphoinositide 3-kinase'>PI3K</span>/AKTの<br>3系統すべてを活性化"]
    D --> E["多能造血幹細胞・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='megakaryocyte progenitor cell'>巨核球前駆細胞</span>・<br>倍数体<span class='jp-term jp-term-diagram' title='megakaryocyte'>巨核球</span>の発育・成熟が促進される"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Thrombopoiesis'>血小板産生</span>が増加"]

💡 「天然型そのもの」であることの意味は、シグナル伝達がフルセットで動くということ。 経口小分子-RA(・ヘトロンボパグ)は/STATの活性化が弱くAKT経路を刺激しないのに対し、rhTPOは天然と同じ3経路すべてを使う1。後のは約40時間で、1日1回またはが可能である1。

適応

中国のコンセンサス(2023年版)による、CFDA。

領域 使いどころ
血液内科 ()(2014年承認)。300 U/kgを1日1回皮下注射し、14日間無効なら中止。重症の緊急治療では単独または・静注と併用する1
実体腫瘍の化学療法に伴う(CIT、2005年承認)。化学療法後に75×10⁹/L未満となった時点で300 U/kgを1日1回皮下注射し、100×10⁹/L以上または前値から50×10⁹/L以上の上昇で中止する。⚠️ CITへの適応を持つのは促血小板生成薬の中でrhTPOのみ——受容体作動薬(-RA)はいずれの国・地域でもCITの適応を取得していない1
血液内科(適応外の) 免疫抑制療法併用による重症の治療(15,000単位を週3回皮下注射)、後の不良(300 U/kgを1日1回皮下注射)、初期治療に反応しないの(300 U/kg/日×14日間)——いずれも中国コンセンサスが臨床研究の結果に基づき記載する使用法である1

用法・用量

適応により用量が大きく異なる。ITP:300 U/kg 1日1回皮下注射、14日間で無効なら中止する。CIT:75×10⁹/L未満から300 U/kg 1日1回開始し、100×10⁹/L以上または前値から50×10⁹/L以上上昇した時点で中止する。前回化学療法周期で2級以上の血小板減少・高出血リスクがあった場合は、次回化学療法終了後6〜24時間でとして投与する。(免疫抑制療法併用):15,000単位を週3回皮下注射する1。実際の用量・中止基準は施設のプロトコルで確認する。

禁忌・注意

⚠️ 確認できた一次資料はコンセンサスであり、な禁忌一覧(添付文書)は未確認。 以下は同コンセンサスが安全性管理として記載する内容1。

  • rhTPO・の注射では、薬剤に対する一過性の抗体が3〜10%に生じる。 大多数は結合抗体のみで薬効に影響しないが、ごく少数はとなり血小板反応が消失しうる。薬剤抗体が内因性とした例はこれまで報告されていない
  • ⚠️ が過度に上昇するのを避けるため、rhTPO治療中は100×10⁹/L以上で投与を一時中止する(は150×10⁹/L、経口-RAは250×10⁹/Lが目安)
  • で-RA全般に生殖毒性が示されており妊娠中の投与は推奨されないが、rhTPOは初期治療無効のに実際に使用され74.2%のが報告されている(有害事象は明らかでない)。投与中・中止後2週間は授乳を控える
  • ⭐ 臨床研究でrhTPOに薬剤関連のは発生しておらず、は肝機能の影響を受けない(アバトロンボパグと共通)。これは・ヘトロンボパグで頻度の高い//上昇と対照的である

副作用

頻度 内容
注意 薬剤結合抗体(3〜10%、多くは薬効に影響しない)
まれ による血小板反応の消失。の過度な上昇による血栓塞栓症(受容体作動薬全般に共通するリスクとして中止基準が設けられている)

まとめ

  • 促血小板生成薬の中で唯一、天然型と99%相同・同じに結合し、/STAT・RAS/MAPK・/AKTの3経路すべてを使う組換え蛋白製剤。
  • ⚠️ 確認できた承認国は中国(CFDA、2005年CIT・2014年)のみ——日本・米国・での承認は確認できなかった。「遺伝子組換えヒト」という名称から日本特有の薬剤と誤解しないこと。
  • 適応は・実体腫瘍のCIT(促血小板生成薬の中でCIT適応を持つのはrhTPOのみ)。・移植後不良・への使用は中国のコンセンサスに基づく。
  • 臨床研究で薬剤関連のが報告されておらず、が肝機能の影響を受けない点はアバトロンボパグと共通し、・ヘトロンボパグの肝毒性プロファイルと対照的。
  • の頻度は低く、内因性とのはこれまで報告されていない。
  • ⭐ ASH 2026 は他の4剤(アバトロンボパグ・・ヘトロンボパグ・)と並ぶ刺激薬としてrhTPOを互換に扱うが、実際に選択肢になるかは承認国次第である。

出典

  1. 1.促血小板生成药物临床应用管理中国专家共识(2023年版)[Chinese expert consensus on the clinical application of recombinant human thrombopoietin and thrombopoietin receptor agonist (2023)](中华医学会血液学分会(Chinese Society of Hematology, Chinese Medical Association)・2023)全文(オープンアクセス、CC BY)を取得して確認した。⚠️ **遺伝子組換えヒトトロンボポエチン(rhTPO)は中国食品薬品監督管理局(CFDA)が2005年に実体腫瘍化学療法に伴う血小板減少症、2014年に原発性免疫性血小板減少症(ITP)への使用を承認した中国の薬剤であり、この文献が対象とする5剤(rhTPO・ロミプロスチム・エルトロンボパグ・ヘトロンボパグ・アバトロンボパグ)のうち中国で承認されているのはこの5剤全てだが、日本・米国・EUでの承認は本文中に一切記載が無い**(エルトロンボパグはFDA・EMAが承認と明記される一方、rhTPOにはそのような記載が無い)こと。rhTPOはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で産生される全長糖鎖付加型TPOで天然型TPOとの相同性99%・分子量約90kD、TPO受容体の**細胞外ドメイン**に結合して構造変化を起こし、JAK/STAT・RAS/MAPK・PI3K/AKTの3経路すべてを活性化する(経口小分子TPO-RAはJAK/STAT活性化が弱くAKT経路を刺激しない、という対比が明記される)こと。皮下投与後の消失半減期が40.2±9.4時間で1日1回または隔日投与が可能であること。用法・用量は、ITPで300 U/kg1日1回皮下注射(14日間無効なら中止、重症ITPの緊急治療でIVIg・メチルプレドニゾロン静注と併用可)、化学療法誘発性血小板減少症(CIT)で血小板数75×10⁹/L未満から300 U/kg1日1回開始し100×10⁹/L以上または前値から50×10⁹/L以上上昇で中止、重症再生不良性貧血への免疫抑制療法併用で15,000単位を週3回皮下注射(3・6・9か月時の血液学的寛解率がそれぞれ42.5%・62.5%・67.5%)、造血幹細胞移植後の血小板生着不良で300 U/kg1日1回皮下注射、妊娠後期のITP(初期治療無効)で300 U/kg/日×14日間(奏効率74.2%、明らかな有害事象なし)であること。**臨床試験でアバトロンボパグとrhTPOは薬剤関連の肝機能異常が発生しておらず、薬物代謝が肝機能の影響を受けない**(エルトロンボパグ・ヘトロンボパグでは頻度の高いALT/AST/間接ビリルビン上昇が報告されるのと対照的)こと。rhTPOまたはロミプロスチムの注射で薬剤に対する一過性低力価抗体が3〜10%に生じるが大多数は結合抗体のみで薬効に影響せず、ごく少数が中和抗体で血小板反応の消失を来すものの、**薬剤抗体が内因性TPOと交差反応した例はこれまで報告されていない**ことを確認した閲覧 2026-09-22
  2. 2.American Society of Hematology 2026 Guidelines for Immune Thrombocytopenia (ITP)—Initial and Second-Line Therapy in Adults with Primary ITP(American Society of Hematology・2026)全57頁の本文PDFを取得して確認した。推奨2aは、副腎皮質ステロイド(±IVIG)による初回治療の後になお追加治療を要する成人の原発性ITPに血小板産生刺激薬を推奨し(強い推奨・エビデンスの確実性は中)、またはリツキシマブを提案する(条件付き推奨・確実性は低)。Explanations and other considerationsの段は、パネルがアバトロンボパグ・エルトロンボパグ・ヘトロンボパグ・ロミプロスチム・遺伝子組換えヒトトロンボポエチンのすべてを互換として扱ったと明記する。⚠️ 出版社サイトは今回も403で、読んだのはInternet Archiveに保存された出版社のFirst Edition版PDF(組版前の採択原稿、Tracking no ADV-2026-021269R1)であり、誌上版との異同は確認していない閲覧 2026-09-17