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Drug Atlas · B3 Hematopoietic growth factors / 造血因子製剤 · 必修

エルトロンボパグ

eltrombopag

分類
Hematopoietic growth factors / 造血因子製剤
商品名(日本)
レボレード
商品名(EU)
Promacta
科目
Pharmacology
トピック
B3: Agents used in anemias
承認適応
免疫性血小板減少症(ITP)再生不良性貧血
副作用
血栓塞栓症視力低下
監視検査値
血小板数ビリルビン
相互作用
ロスバスタチン水酸化鉄ポリマルトース
対象疾患
MYH9関連疾患

🧠 全体像:はと並ぶ受容体作動薬(-RA)だが、両者の違いは「経路」に尽きる。は注射用で、内因性と同じに結合するのに対し、は経口の低分子で、内因性とは異なる受容体のに結合してにシグナルを活性化する。この「経路の違い」が、通院頻度・・肝毒性という固有の副作用プロファイルの違いを生む。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 剤形・結合部位 特徴
経口・低分子。受容体のに結合 週1回通院が不要。肝毒性()ととのが固有の注意点
皮下注。(内因性と同じ部位)に結合 週1回皮下注射。のリスクが報告される

⭐ ASH 2026 は、初回の副腎皮質ステロイド(±)の後になお追加治療を要する成人の原発性に、刺激薬(受容体作動薬のほか遺伝子組換えヒトを含む薬効群)を推奨している(推奨2a。強い推奨・エビデンスの確実性は中)。 同じ場面でリツキシマブは提案にとどまる(条件付き推奨・確実性は低)1。💡 リツキシマブは、な服薬を避けたい患者や、刺激薬が禁忌・入手不能・できない患者で好ましいとされる1。

⚠️ 2019年版の「-RAをリツキシマブ・より優先する」という序列(推奨7〜9)は撤回された。 当時は3か月以上続き・無効の成人について、と-RAのいずれか(推奨7)、リツキシマブをより(推奨8)、-RAをリツキシマブより(推奨9)と、2剤ずつを突き合わせる形で条件付きに提案していた2。2026年版はこれらを推奨2a・2bで置き換え、を推奨2a・2bの選択肢には挙げていない1。

⚠️ とのどちらを選ぶかについて、2026年版は優劣を述べていない。 「どちらでもよい」とした2019年版の推奨6も撤回されており、2026年版の備考は承認されている刺激薬であればいずれを標準で用いてもよいとだけ述べる1。⭐ 2026年版のパネルは、アバトロンボパグ・・ヘトロンボパグ・・遺伝子組換えヒトの5剤を互換として扱ったうえで解析している——「との2剤だけを比べた結果、差が無かった」のではない1。したがって選択は、を希望するか、・との服用タイミング調整を許容できるか、肝機能などの個別事情で決める。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='eltrombopag'>エルトロンボパグ</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oral'>経口投与</span>される"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thyroid peroxidase'>TPO</span>受容体(c-Mpl)の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transmembrane domain, TMD'>膜貫通ドメイン</span>へ結合"]
    B --> C["内因性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thyroid peroxidase'>TPO</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='extracellular domain'>細胞外ドメイン</span>に結合)とは異なる部位から<span class='jp-term jp-term-diagram' title='allosteric'>アロステリック</span>に受容体を活性化"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Janus kinase'>JAK</span>-STAT・MAPK経路を介するシグナル伝達"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='megakaryocyte'>巨核球</span>の増殖・成熟が促進される"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Thrombopoiesis'>血小板産生</span>が増加"]

💡 内因性と同じ部位を取り合わないため、理論上は内因性とに働きうる。 一方でこの経口小分子という性質が、の過程でとを形成するという固有の弱点にもつながる——・カルシウム・と同時に服用すると吸収が約70%低下するため、前後2〜4時間の間隔をあけて服用する必要がある3。

適応

下表は米国添付文書(2025年6月改訂)の効能である。⚠️ 効能の範囲は国ごとに別の文書が決めている。 日本の電子添文・のでこれと同じ範囲かはここでは確認していない。

領域 使いどころ
血液内科 持続性・慢性の()で、ステロイド・免疫グロブリン・に反応不十分な1歳以上の患者。出血リスクを高める程度の血小板減少・病態がある例に限る3
血液内科 重症。2歳以上への標準的な免疫抑制療法との併用による一次治療と、免疫抑制療法に反応不十分な例への投与が、別々の効能として挙げられている3
消化器 C型に伴う血小板減少(基盤治療の開始・継続を可能にする目的)3

⚠️ 1.4項に効能の限定が2つ明記されている。 ①には適応が無い、②を用いないとの併用における有効性・安全性は確立していない3。⭐ ②のため、C型肝炎の治療がを含まないレジメン中心へ移った現在も、添付文書上のこの効能は基盤治療の枠に留め置かれたままである。

用法・用量

PO、1日1回。空腹時(食後2時間以上あけるか、食前1時間以上あけて)服用し、・カルシウム含有・乳製品などのとは前後2〜4時間あける3。東アジア系(日本人を含む)では体重補正後のが約50%高くなるため、初期用量を50%減量する3。(分類)がある場合も減量して開始する。実際の用量・増量幅は適応・年齢・肝機能で大きく異なるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ :重篤な肝毒性のリスク。 投与前・中は2週毎、その後は月1回、・・ビリルビン(フラクショネート)を測定し、基準値上限の3倍以上(もともと高値ならの3倍)に持続的に上昇する、または・肝不全徴候を伴う場合は中止する3
  • ⚠️ を正常化させることを目標にしない。 過度な血小板上昇は血栓塞栓症のリスクを高めるため、臨床的に必要な範囲(では概ね5万/μL以上)にとどめる3
  • との同時服用は吸収を約70%低下させるため、・・乳製品と2〜4時間あける3
  • 併用時はOATP1B1阻害により曝露が増加するため、50%減量を検討する3
  • の既往・リスクがある患者では投与前後の定期眼科検査を考慮する

副作用

頻度 内容
高頻度 頭痛、悪心、下痢、疲労、/上昇
注意 の発生・悪化(患者の7〜11%)3、血栓塞栓症(など、で特にリスク上昇)
重篤・まれ 重篤な肝毒性()、消化管出血

まとめ

  • と同じ-RAだが、経口・結合という点で剤形・結合部位が異なる。
  • ⭐ 第二選択の位置づけは2026年に書き換わった。 ASH 2026 は、初回のステロイド(±)後に追加治療を要する成人へ刺激薬(受容体作動薬と遺伝子組換えヒトを互換として扱う薬効群)を推奨(強い推奨・確実性は中)、リツキシマブを提案(条件付き・確実性は低)とする1。2019年版の推奨6〜9(-RA同士を同等とする推奨と、を含む序列)は撤回された。
  • 適応はに加え、(免疫抑制療法併用の一次治療と、免疫抑制療法に反応不十分な例)にも広がる。⚠️ 米国添付文書はを適応外と明記している3。
  • の肝毒性のため定期的な肝機能モニタリングが必須。とのにより服用タイミングの調整も必要。
  • を正常化させることを目標にせず、血栓塞栓症リスクを避けるため臨床的に必要な範囲にとどめる。

出典

  1. 1.American Society of Hematology 2026 Guidelines for Immune Thrombocytopenia (ITP)—Initial and Second-Line Therapy in Adults with Primary ITP(American Society of Hematology・2026)全57頁の本文PDFを取得して確認した。推奨2aは、副腎皮質ステロイド(±IVIG)による初回治療の後になお追加治療を要する成人の原発性ITPに血小板産生刺激薬(thrombopoietic agent)を推奨し(強い推奨・エビデンスの確実性は中)、またはリツキシマブを提案する(条件付き推奨・確実性は低)。そのRemarksは、承認されている血小板産生刺激薬であればいずれを標準開始用量で用いてもよく投与期間は臨床反応・毒性・血小板数の安定性で決めるとするだけで薬剤間の優劣を述べず、リツキシマブは慢性的な服薬を避けたい患者・血小板産生刺激薬が禁忌か入手できないか忍容できない患者で好ましいとする。Explanations and other considerationsの段は、2つの多群比較の設問でパネルがアバトロンボパグ・エルトロンボパグ・ヘトロンボパグ・ロミプロスチム・遺伝子組換えヒトトロンボポエチンのすべてを互換として扱ったと明記する。Table 1は2019年版の推奨6(TPO受容体作動薬を使うならエルトロンボパグかロミプロスチムのいずれか)と推奨7〜9(脾摘・TPO受容体作動薬・リツキシマブの序列)を撤回し本版の推奨2で置き換えたとする。⚠️ 出版社サイトは今回も403で、読んだのはInternet Archiveに保存された出版社のFirst Edition版PDF(組版前の採択原稿、Tracking no ADV-2026-021269R1)であり、誌上版との異同は確認していない閲覧 2026-09-17
  2. 2.American Society of Hematology 2019 guidelines for immune thrombocytopenia(American Society of Hematology・2019)PMC6963252の全文で推奨の番号・文言・強さを確認した。3か月以上続きステロイド依存またはステロイド無効の成人ITPについて、推奨6がTPO受容体作動薬を用いる場合にエルトロンボパグかロミプロスチムのいずれかを提案し、推奨9がTPO受容体作動薬をリツキシマブより、推奨8がリツキシマブを脾摘より優先することを提案していた(いずれも条件付き推奨・エビデンスの確実性は非常に低い)。⚠️ 推奨6〜9はいずれも2026年版で撤回され、推奨2a・2bへ置き換えられている閲覧 2026-09-08
  3. 3.PROMACTA (eltrombopag) Tablets and for Oral Suspension: Prescribing Information(U.S. National Library of Medicine DailyMed(Novartis添付文書)・2025)機序(TPO受容体の膜貫通ドメインへの結合)、肝毒性に関する枠組み警告とモニタリングスケジュール(投与前・調整中は2週毎・その後月1回のALT/AST/ビリルビン測定、フラクショネートビリルビン測定の理由)、多価陽イオン(鉄・カルシウム・アルミニウム・マグネシウム・セレン・亜鉛)とのキレート形成による吸収低下(約70%減)と2〜4時間の投与間隔、ロスバスタチンとの相互作用(OATP1B1阻害による曝露増加、50%減量推奨)、東アジア系での初期用量50%減量、白内障(ITP患者7〜11%)・血栓塞栓症(門脈血栓など)のリスクを確認した。あわせて2025年6月改訂の同ページ本文で、1項の効能が①ステロイド・免疫グロブリン・脾摘に反応不十分な1歳以上の持続性・慢性ITP、②インターフェロン基盤治療の開始・継続を可能にする目的でのC型慢性肝炎に伴う血小板減少、③重症再生不良性貧血(2歳以上への標準的免疫抑制療法との併用による一次治療と、免疫抑制療法に反応不十分な例への投与を別の文で挙げる)の3領域であること、1.4項の効能の限定が骨髄異形成症候群には適応が無いこと・インターフェロンを用いない直接作用型抗ウイルス薬との併用における有効性および安全性は確立していないことの2点であることを確認した閲覧 2026-08-10