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Drug Atlas · B8 Antianginal drugs / 抗狭心症薬 · 必修

トリメタジジン

trimetazidine

分類
Antianginal drugs / 抗狭心症薬
商品名(日本)
バスタレルF
商品名(EU)
Vastarel
科目
Pharmacology
トピック
B8: Drugs influencing the oxygen demand and oxygen supply of the heart. Drugs improving microcirculation
禁忌疾患
パーキンソン病
副作用
振戦めまい
対象疾患
慢性冠症候群(安定狭心症)

🧠 全体像:ほとんどのは心拍数・血圧・血管径を動かして需給バランスを変えるが、血行動態には一切手を触れず、心筋がエネルギーを作る「燃料」を脂肪酸からグルコースへ切り替えるという異色の機序を持つ。血圧・心拍数を下げられない/下げたくない患者への追加薬という位置づけと、EMAが安全性の懸念から使用を「追加治療のみ」に制限したという現在の立ち位置が、この薬を理解する2本の軸になる。

薬効群の中での位置づけ

系統 代表薬 需給への作用 血行動態
前負荷↓ 血圧↓・
②β遮断薬 心拍・収縮力↓ 血圧↓・心拍↓
③Ca拮抗薬 ↓・冠拡張 血圧↓
阻害 心拍のみ↓ 血圧不変
⑤代謝改善 需給を変えず効率↑ 血圧・心拍とも不変

だけが「血行を一切動かさない」薬である。 そのため単剤で使うことはなく、①〜④の薬で症状が残る、あるいは血圧・心拍が既に下げにくい患者に追加する形で使う。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='trimetazidine'>トリメタジジン</span>がミトコンドリアの<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='long-chain 3-ketoacyl-CoA thiolase'>長鎖3-ケトアシルCoAチオラーゼ</span>(3-KAT)を阻害"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fatty acid beta-oxidation'>脂肪酸β酸化</span>が抑制される"]
    B --> C["エネルギー基質が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glucose oxidation'>グルコース酸化</span>へシフト"]
    C --> D["同じ酸素消費あたりのATP産生効率が上がる"]
    D --> E["虚血下でも心筋のエネルギー効率が保たれる"]

💡 よりATP 1分子あたりのが多い。 虚血でが制限された状況では、この「燃費の悪い」から「燃費の良い」へ切り替えることで、同じ量でもより多くのATPを確保できる——これが「血行動態を変えずに需給バランスを間接的に改善する」というの発想である。

薬物動態

項目 値・特徴
吸収 経口で良好
代謝 ほとんど代謝を受けない
排泄 主に(未変化体)。重度では減量・禁忌となる
半減期 約6時間(製剤で1日2回投与が可能)
相互作用 CYPを介する代謝がほとんどないため、主要な薬物間相互作用が少ないという他のにはない特徴を持つ

適応

における追加治療。β遮断薬・Ca拮抗薬・など血行動態に作用する薬で症状が残る例、またはそれらが禁忌・の例にする。単独のとしては用いない。

用法・用量

成人は通常1回20 mg(速放製剤の場合)を1日3回、食後にする。製剤では1回35 mgを1日2回とする製剤もある。重度では減量または禁忌となるため腎機能を確認する。実際の用量は製剤・腎機能・年齢で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌パーキンソン病など運動障害の既往(を増悪させうる)
  • ⚠️ 2012年のEMA審査で様症状(振戦・)や転倒のリスクが確認され、これらの運動障害を禁忌とし、使用を「他の治療で効果不十分な場合の追加治療」に限定する添付文書改訂が行われた。 出典トピックが単に「禁忌」とのみ記す場合も、この経緯(ではなく追加治療という位置づけの明確化)まで押さえておくとよい
  • 重度では血中濃度が上昇するため減量・禁忌
  • 高齢者では運動障害の副作用が出やすいため特に注意する

副作用

頻度 内容
高頻度 消化器症状(悪心など)、めまい、頭痛
注意 様症状()、振戦・転倒(特に高齢者。多くは中止で可逆的)
重篤・まれ 血小板減少、睡眠障害

まとめ

  • 3-KATを阻害し、心筋のエネルギー基質を脂肪酸からグルコースへシフトさせる
  • 心拍数・血圧・など血行を一切変えない、の中で唯一の存在。
  • 適応は追加治療のみ。単独のではない。
  • CYP代謝をほとんど受けずが主体のため、薬物相互作用が少ない一方、では減量・禁忌となる。
  • 様の運動障害リスクからパーキンソン病・が禁忌で、2012年のEMA改訂で位置づけが「追加治療のみ」に限定された。