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Lab values · Published

呼気一酸化窒素濃度

Fractional exhaled nitric oxide

別名
FeNO呼気NOfractional exhaled nitric oxide
臓器系
呼吸器
科目
Pulmonology and Thoracic SurgeryInternal Medicine
トピック
呼吸器内科 20:気管支喘息内科学 L-16:気管支喘息
関連疾患
アスピリン増悪呼吸器疾患気管支喘息
影響する薬剤
テゼペルマブ

🧠 全体像:FeNOは、気道局所の活動性を映す唯一の非侵襲的な生理学的マーカーである。しかし「気道炎症を測れる」ことと「喘息を診断・除外できる」ことは別で、単独では喘息の確定にも除外にも使えない。を見るとも、中の細胞数を見るとも異なる軸を測っており、症状・気流変動・他のと組み合わせて解釈する。

何を測っているか

呼気中のNOは、の(iNOS、NOS2とも呼ばれる)が産生する。iNOSの発現は・が放出する・によって誘導されるため、FeNOは好酸球性気道炎症のとして使われる。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='type 2 helper T cell, Th2'>2型ヘルパーT細胞</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='type 2 innate lymphoid cell (ILC2)'>2型自然リンパ球</span>からの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='interleukin-4'>IL-4</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='interleukin-13'>IL-13</span>"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='airway epithelium'>気道上皮</span>のiNOS(NOS2)発現が誘導される"]
    B --> C["上皮でのNO産生が増加"]
    C --> D["呼気中に排出される"]
    D --> E["FeNOとして測定"]
検査 見ているもの この検査だけでは分からないこと
FeNO 気道局所の活動性 の有無・程度
とその可逆性 炎症の性質(好酸球性か否か)
中の(骨髄での産生を反映) 気道局所の炎症活動性そのもの

基準値と単位

単位はppb。測定条件が厳密で、呼出流量50 mL/sでの測定を標準とする(流量を変えると値そのものが変わる)1。

区分 成人・思春期 小児 意味
低値 25 ppb未満 20 ppb未満 ・ステロイド反応性ともにい
域 25〜50 ppb 20〜35 ppb 臨床文脈と併せて慎重に解釈する
高値 50 ppb超 35 ppb超 の存在。症状がある患者ではステロイド反応性が高い

は12歳未満で年齢による差が特に大きいとして年齢の考慮を強く推奨する1。(BTS・SIGNとの合同ガイドライン)が診断として用いる成人50 ppb以上・小児(5〜16歳)35 ppb以上は、この「高値」の範囲とおおむね一致する2。

高値の意味

高値は好酸球性気道炎症の存在を示唆し、症状のある患者ではへの反応性が高いことを示す1。ただし各学会での位置づけには差がある。はより前に測る初期検査として、成人50 ppb以上・小児35 ppb以上を喘息のに用いる2。一方は、やが使えないか結果が陰性のときに限り、高FeNOを2型喘息の診断を支持する補助的な所見として位置づける(単独の確定診断根拠にはしない)3。

(抗)など生物学的製剤の適応判断でもFeNOは使う。や維持使用と並び、FeNO 25 ppb以上が適応基準の一つに挙げられ、より高いFeNOは抗・抗TSLP製剤への反応性を予測する因子とされる4。

⚠️ 「反応性を予測する」と「治療で下がる」は別のことである。 FeNOは抗TSLP製剤を使うかどうかを決める側の指標であると同時に、使えば下がる側の指標でもある。テゼペルマブののは、TSLP遮断がFeNOを低下させ、⭐ 投与2週でほぼ最大の抑制に達して治療期間を通じて持続すると述べている(同じことが・IL-5・にも当てはまり、IgEだけは低下が緩やかである)5。💡 したがって治療開始後のFeNOを「もともとが無かった」と読み替えない——治療前のベースラインと分けて解釈する。

低値の意味

低値は・ステロイド反応性いずれも可能性が低いことを示すが、「喘息ではない」ことを意味しない。COPDや好中球性の表現型の喘息はを主体としないため、症状があってもFeNOは上昇せず、低値だけで喘息を除外してはならない3。症状があるのにFeNOが低い場合は、、非、、GERDなど他の原因も検討する。

⚠️ 測定上の注意

FeNOはの影響を強く受けるため、値を単独で信用しない。

  • 低下させるもの:喫煙(急性・慢性いずれも)、使用中、、運動直後
  • 上昇させるもの:、、を多く含む食事、
  • 測定の順番:強制呼出を伴うは気道の状態を一時的に変えるため、FeNOはより先に測定する
  • の手がかり:高用量投与下で本来下がるはずのFeNOが下がらない変化は、不良を疑う手がかりになる4

経時変化とモニタリング

単回値より、個人内のベースラインからの変化を重視する。は、50 ppbを超える値では20%以上、50 ppb未満の値では10 ppb以上の変化を、臨床的に意味のある増減の目安として提案する1。は、コントロール不良時にFeNOを再検し、上昇していれば不良か増量の必要性を考える運用を推奨する2。

一方、FeNO単独を指標に量を機械的に増減する戦略は、有効性を一貫して示せていないが複数あり、標準治療としては確立していない。FeNOは治療変更の判断材料の一つに留め、症状や増悪歴と合わせて評価する。

まとめ

  • FeNOはのiNOSが・刺激で産生するNOを測る、のである。
  • 標準呼出流量は50 mL/s。成人では25 ppb未満/25〜50 ppb/50 ppb超、小児では20/20〜35/35超が目安のである。
  • 高値はとステロイド反応性を示唆し、生物学的製剤の適応判断にも使われる。
  • 低値はの可能性が低いことを示すのみで、喘息を除外しない。やではFeNOは上がらない。
  • 喫煙、、、運動、食事、など多くのがあり、単回値だけで判断しない。
  • 単回値より個人内の推移を重視し、50 ppb超で20%以上、50 ppb未満で10 ppb以上の変化を意味のある変化とみなす。

出典

  1. 1.An Official ATS Clinical Practice Guideline: Interpretation of Exhaled Nitric Oxide Levels (FeNO) for Clinical Applications(American Thoracic Society(Am J Respir Crit Care Med 2011;184:602-615)・2011)成人・小児のFeNOカットオフ(低値・判断保留域・高値の3区分)、標準呼出流量50 mL/s、経時変化として意味のある幅(50 ppb超で20%以上、50 ppb未満で10 ppb以上)を確認した。閲覧 2026-08-03
  2. 2.Asthma: diagnosis, monitoring and chronic asthma management (BTS, NICE, SIGN)(National Institute for Health and Care Excellence(NICE)/ British Thoracic Society / SIGN・2024)FeNOを診断アルゴリズムの初期検査に位置づけ、成人50 ppb以上・小児(5〜16歳)35 ppb以上を診断基準とすること、コントロール不良時の再検が服薬アドヒアランス評価やICS増量判断に使えることを確認した。閲覧 2026-08-03
  3. 3.2026 Summary Guide for Asthma Management and Prevention(Global Initiative for Asthma(GINA)・2026)FeNOはスパイロメトリー・PEFが使えないか陰性のときに2型喘息の診断を支持する補助的位置づけであり、低値は喘息を除外しないこと、高FeNOが将来増悪リスク因子の一つとされることを確認した。閲覧 2026-08-03
  4. 4.Difficult-to-Treat and Severe Asthma in Adolescent and Adult Patients: Diagnosis and Management(Global Initiative for Asthma(GINA)・2026)抗IL-4Rαの適応基準の一つにFeNO 25 ppb以上が挙げられ、高FeNOが抗IL-4Rα・抗TSLPへの反応性予測因子とされること、高用量ICS下でのFeNO低下(FeNO抑制試験)がアドヒアランス不良の同定に使えることを確認した。閲覧 2026-08-03
  5. 5.Tezspire (tezepelumab) — Summary of Product Characteristics (Annex I)(European Medicines Agency・2025)「4.1 Therapeutic indications」がAsthma(高用量吸入ステロイド薬と他の長期管理薬を併用してもコントロール不良の重症喘息の成人及び12歳以上の青年への上乗せ維持療法)とChronic rhinosinusitis with nasal polyps(全身性ステロイド薬および/または手術で十分な疾患コントロールが得られない重症CRSwNPの成人患者への鼻噴霧用ステロイドとの併用による上乗せ療法)の2つであり、アスピリン増悪呼吸器疾患は適応として掲げられていないこと(AERD・NSAID-ERDが現れるのはWAYPOINT試験のベースライン特性の表と脚注だけで、CRSwNP試験の被験者の17%がNSAID-ERD/AERDを併存していたと記載されていること)、「4.2」で喘息が成人及び12歳以上に210mg4週ごと、CRSwNPが成人に210mg4週ごとであり、CRSwNPでは18歳未満の有効性・安全性が確立していないと明記されていること、「4.3」の禁忌が有効成分または添加剤への過敏症のみであること、「4.4」に急性増悪への使用禁止・ステロイドの急な中止の非推奨・過敏症反応(アナフィラキシー、発現が数日遅れることがある)・重篤な感染症・重篤な心事象(長期試験でプラセボ群より数値上多かったが因果関係は確立していない)・蠕虫感染(TSLPが一部の蠕虫感染への免疫応答に関与しうるため投与開始前に治療する)が置かれていること、「4.8」で最も高頻度の副作用が喘息では関節痛3.8%・咽頭炎4.1%、CRSwNPでは咽頭炎5.4%であり、副作用一覧が咽頭炎・過敏症(アナフィラキシー反応を含む、頻度不明)・発疹・関節痛・注射部位反応で構成され頭痛と背部痛を含まないこと(過敏症以外の4つはいずれも頻度区分common=1/100以上1/10未満)を確認した。あわせて「4.4」の重篤な心事象の項が、長期試験で観察されたのは「数値上の偏り(a numerical imbalance)」であって因果関係もリスク集団も確立していないとしたうえで、重篤な心事象が発現したら急性期が安定するまで投与を中止すること、重篤な心事象または重篤な感染症を発現した患者への再投与のデータは現時点で無いことを定めていることを逐語で確認した。2026-09-07に「5.1」の薬効薬理・薬力学を追加で確認し、TSLPの遮断が血中好酸球・気道粘膜下好酸球・IgE・FeNO・IL-5・IL-13という幅広いバイオマーカーとサイトカインを低下させると述べる一方で「the mechanism of action of tezepelumab in asthma and CRSwNP has not been definitively established」と作用機序が決定的には確立していないことを明記していること、210mg4週ごとの皮下投与が血中好酸球数・FeNO・IL-5濃度・IL-13濃度・血清IgE濃度をプラセボと比べてベースラインから低下させ、IgEを除いて投与2週でほぼ最大の抑制に達し治療期間を通じて持続すること(IgEの低下はより緩やか)、別の試験で気道粘膜下の好酸球数が89%減少し(プラセボは25%減少)その減少がベースラインの炎症バイオマーカーによらず一貫していたことを逐語で確認した。閲覧 2026-09-07