病理学

病理学 · A/17

異栄養性石灰化

Dystrophic calcification and its organ manifestation

タグ
Mechanism / 機序High-yield / ポイント
疾患
マラコプラキア髄膜腫
画像所見
石灰化

🧠 全体像:は「血清Ca²⁺は正常なのに、死んだ・死につつある組織にだけCa²⁺が沈着する」現象で、代謝異常により全身の正常組織に沈着するとは対をなす概念——だからは必ず過去の壊死・傷害の痕跡(プラーク、弁、、巣)を示している。

定義

  • 組織へのCa²⁺塩(+微量のMg²⁺、Fe²⁺)の異常な沈着。
  • = 血清Ca²⁺は正常(正カルシウム血症)のまま、死んだ・死につつある組織に起こる — 転移性(、正常組織)と対照的。
  • ・のほか、・の巣にも起こる。過去の傷害を示し、臓器機能を障害しうる。

形態

  • 肉眼:白色の顆粒・塊。
  • 組織:好塩基性・無定形の細胞内/細胞外沈着。

発生機序(最終的にリン酸カルシウムとなる)

細胞外

  • 壊死細胞由来の内のCa²⁺ → 膜ホスファターゼがPO₄³⁻を遊離 → Ca²⁺と結合 → 結晶 → 伝播。

細胞内

  • Ca²⁺調節を失った死につつある細胞のミトコンドリアで始まる。

臓器別の所見・疾患

💡 ポイント: = 血清Ca²⁺正常で、傷害・壊死組織に起こる。古典的部位:、大動脈弁・、結核の、、そして(、漿液性、)。

まとめ

  • は血清Ca²⁺が正常なまま、死んだ・死につつある組織にCa²⁺塩が沈着する現象で、(+正常組織)と対比される。
  • ・のほか・の巣にも起こり、過去の傷害を示すとともに臓器機能を障害しうる。
  • 機序は細胞外(のCa²⁺+膜ホスファターゼ由来PO₄³⁻→)と細胞内(ミトコンドリアでの発生)に分けられる。
  • 代表病態は(の原因。加齢に伴い増えるが、受動的なではなく能動的に制御された疾患過程と捉え直されている)、の石灰化、の石灰化。
  • 結核の、、の、腫瘍の(甲状腺・・漿液性・)・()もの例。

出典

  1. 1.Calcific Aortic Valve Disease: Not Simply a Degenerative Process(Circulation(National Heart, Lung, and Blood Institute Aortic Stenosis Working Group)・2011)「大動脈弁石灰化は加齢に伴う受動的な変性である」という数十年来の理解に対し、脂質沈着・慢性炎症・骨化関連シグナル(Runx2・Msx2等)を伴う能動的に制御された疾患過程であることを示す組織学的・分子生物学的知見を確認した。加齢に伴い頻度が増えるが、加齢の不可避な帰結ではない。閲覧 2026-08-27
  2. 2.New relationships between breast microcalcifications and cancer(British Journal of Cancer・2010)110例から得た乳腺石灰化236個(浸潤癌112・上皮内癌64・良性60)をFTIR分光で解析すると、ハイドロキシアパタイト格子への炭酸イオン取り込み量は良性から上皮内癌、浸潤癌へと有意に低下し(P<0.001)、石灰化の化学組成が周囲組織の病理学的状態を反映することを確認した。閲覧 2026-08-27