Pulmonology

Pulmonology · 05

気管支誘発試験と薬理学的スパイロメトリー

Bronchial provocation testing and pharmacospirometry

前提:正常
呼吸器:気道部(気道上皮・平滑筋)肺気量・死腔・肺胞換気
症状
気管支攣縮
検査値
スパイロメトリーメサコリン誘発試験

🧠 全体像は「収縮しやすさ」を、は「拡張しうる変化」を調べる。どちらも喘息を支持するが、陽性だけで喘息確定、陰性だけで完全否定とはならない。

メサコリン誘発試験

適応

喘息が疑われるが通常のが正常または診断的でない場合に、を評価する。基礎FEV₁が予測値の60%未満または成人で1.5 L未満、3か月以内の心筋梗塞・脳卒中、コントロール不良の高血圧、既知の、再現性のあるができない場合は禁忌・延期を検討する。妊娠・授乳中と使用中も、に固有のである。1

手順と判定

  1. 基礎を測定する。
  2. 対照後、を段階的に吸入する。
  3. 各段階でFEV₁を測り、基礎値から20%低下させる)を求める。装置とプロトコルを厳密に規定できる場合は)も使えるが、装置間で比較しやすいの推奨指標である。1
  4. 終了後に吸入短時間作用性β₂刺激薬(short-acting beta₂ agonist: SABA)を投与し、FEV₁が回復するまで確認する。

20%低下はを示すが、COPD、気道感染後などでも陽性となる。適切な下で症状が現在または直近にある時期の陰性結果は活動性喘息の可能性を大きく下げるが、症状のない時期、拮抗薬の不足、間接刺激だけに反応する運動選手などでは偽陰性がありうる。などは標準化した指示に従い、喫煙は1時間、飲酒は4時間避ける。通常量のには臨床的に有意な影響は認められていない。1 重篤なへ備え、酸素、SABA、蘇生設備を準備する。アドレナリンやを通常の解除薬とはしない。

気管支拡張薬反応試験

手順

  1. 投薬前のFEV₁・FVCを品質基準に沿って測定する。
  2. などまたはで投与する。
  3. SABAでは通常10〜15分後(ではより長く待つ)に再測定する。
  4. FEV₁とFVCの変化を、検査目的に応じた基準で評価する。

一般的な肺の解釈では、/ 2022はFEV₁またはFVCの変化を予測値に対する割合で表す基準へ更新した。反応の判定は検査目的や疾患別指針で異なるため、用いた基準を結果に明記し、単一の閾値だけで喘息を確定・除外しない。2

両検査の比較

問い 気道は収縮しやすいか 既存の狭窄が可逆的か
主な対象 喘息疑いだが通常検査が非診断的 がある患者
陽性指標 FEV₁ 20%低下を生じる(装置・手順を規定した場合は FEV₁またはFVCの有意な増加(目的により基準を区別)
注意 偽陽性、誘発性 陰性でも喘息を否定しない
flowchart TD
  A["喘息を疑う症状"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='spirometry'>スパイロメトリー</span>"]
  B --> C{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='airflow limitation (airflow obstruction)'>気流閉塞</span>あり?"}
  C -->|"あり"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bronchodilator response test'>気管支拡張薬反応試験</span>"]
  D --> E{"有意な改善?"}
  E -->|"あり"| F["可変性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='airflow limitation'>気流制限</span>を支持"]
  E -->|"なし"| G["喘息以外・固定性閉塞・検査時期を再評価"]
  C -->|"なし/非診断的"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='methacholine challenge test'>メサコリン誘発試験</span>を検討"]
  H --> I{"FEV₁が20%低下?"}
  I -->|"はい"| J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='airway hyperresponsiveness'>気道過敏性</span>を支持"]
  I -->|"いいえ"| K["活動性喘息の可能性は低下"]

まとめ

  • 誘発試験は、拡張薬反応試験は可逆性を評価する。
  • 後はSABAで回復を確認し、緊急対応設備を準備する。
  • 反応は、一般的な肺機能解釈と喘息診断で基準の目的が異なる。
  • 検査結果を症状の変動、ピークフロー、炎症所見、治療反応と統合する。

出典

  1. 1.ERS technical standard on bronchial challenge testing: general considerations and performance of methacholine challenge tests(European Respiratory Society・2017)PD20を標準指標とする理由、禁忌・事前準備、安全管理、結果解釈閲覧 2026-08-02
  2. 2.ERS/ATS technical standard on interpretive strategies for routine lung function tests(European Respiratory Society / American Thoracic Society・2022)一般的な気管支拡張薬反応をFEV1またはFVCの予測値に対する10%超の変化で表す基準閲覧 2026-08-02