Surgery

Surgery · S-31

脾臓外科と後腹膜疾患の外科治療

Surgery of the spleen and retroperitoneum

前提:病態
脾臓・胸腺の疾患
疾患
後腹膜線維症脾摘後重症感染症

🧠 全体像:脾臓は免疫臓器であり、外傷では「損傷Grade」だけでなくで脾温存を判断する。が必要なら、被膜菌ワクチン、発熱時の即時受診、管理を生涯計画に組み込む。

脾臓の外科的役割

脾臓はの除去、被膜菌への抗体応答、血小板貯留に関与する。適応は、出血制御、の病態改善、感染・腫瘍のと、脾機能喪失の害を比較して決める。

主な適応

病態 手術を考える状況
外傷 蘇生に反応しない循環不安定、持続出血、非手術管理・塞栓不成功
内科治療不応・依存で、持続的寛解を目指す選択例
中等症~重症溶血、輸血依存、症候性脾腫。年齢と感染リスクを考慮
選択例。疾患別ガイドラインと血液内科評価が必須
膿瘍・嚢胞・腫瘍 経皮治療不適、症候性大型病変、悪性疑い、
左側門脈圧亢進 出血など選択例。原因と血行解剖を評価

外傷での脾温存

「AAST Grade IV~Vだから直ちに」という固定則は現行管理に合わない。が安定し、腹膜炎や他の緊急開腹適応がなければ、高Gradeでも監視下の非手術管理とを検討できる。造影剤、持続出血、輸血需要が塞栓判断の手掛かりとなる。

flowchart TD
    A["脾損傷"] --> B{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hemodynamics'>循環動態</span>と腹膜炎"}
    B -->|"不安定・腹膜炎"| C["緊急開腹"]
    C --> D["止血不能なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='splenectomy'>脾摘</span>・可能なら温存"]
    B -->|"安定"| E["造影CTでGradeと血管損傷を評価"]
    E --> F{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='extravasation'>血管外漏出</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pseudoaneurysm'>仮性動脈瘤</span>・高リスク"}
    F -->|"あり"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='angiography'>血管造影</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='splenic artery embolization'>脾動脈塞栓</span>"]
    F -->|"なし"| H["厳密な観察と反復評価"]
    G --> H

手術ではが標準となることが多い。、悪性疑い、外傷・出血では開腹を選ぶ。部分や塞栓は十分な実質を残しを温存できるが、再出血・残存病変リスクを評価する。

脾摘前後の安全管理

ワクチン

  • 肺炎球菌髄膜炎菌ACWY・B、b型を接種歴・年齢・地域の最新スケジュールに従って行う。
  • では可能なら手術14日以上前に接種する。後は免疫反応と退院機会を考慮し、安定後の適切な時期に接種する。
  • 髄膜炎菌などは追加接種が必要で、毎年のも重要である。

生涯リスク

は急速に敗血症へ進み得る。発熱時は直ちに医療機関へ連絡し、培養と経験的抗菌薬を遅らせない。医療アラートカード・旅行時の計画、動物咬傷・マラリア対策を教育する。

だけで全例にアスピリンを投与しない。、門脈・脾静脈血栓、VTE、出血リスク、基礎疾患に応じて予防を個別化する。

後腹膜疾患

後腹膜には腎・副腎、尿管、膵の一部、十二指腸、大動脈・下大静脈、神経、リンパ節、脂肪組織がある。病変が大きくなるまで症状が乏しく、臓器・大血管との関係が手術難度を決める。

病態 主な介入
後腹膜肉腫 専門施設で画像・計画生検後、完全切除を目指す
副腎・腎病変 腹腔鏡・後腹膜鏡・ロボット支援または開腹
膿瘍 抗菌薬とCT/超音波ドレナージ。失敗・壊死なら手術
・血管病変 血管内修復または開腹再建
原因評価と薬物治療が中心。尿路閉塞には・剥離術
外傷 zone、、臓器損傷に応じ観察、塞栓、、開腹

後腹膜腫瘍手術の原則

  • 造影CT、必要時MRIで腫瘍と大血管・臓器・神経の関係をする。
  • 肉腫疑いの生検は専門チームと相談し、将来の切除範囲に含められる経路でを行う。安易なを避ける。
  • 断端陰性の切除を目標とするが、隣接臓器を無条件に切除せず、組織型・浸潤・機能損失を多職種で検討する。
  • 再発治療とを含め、肉腫専門施設で管理する。

まとめ

  • 脾外傷の治療はGrade単独ではなくで決め、安定例では高Gradeでも塞栓を含む脾温存が可能である。
  • は被膜菌ワクチン、発熱時の即時抗菌薬評価、生涯教育を行う。
  • に対するアスピリンは一律投与しない。
  • 後腹膜腫瘍は計画生検から切除まで専門で設計する。