Urology

Urology · N-08

進行前立腺癌の治療

Treatment of advanced prostate cancer

前提:病態
アンドロゲン・蛋白同化ステロイド・抗アンドロゲン薬・性機能作用薬抗がん薬III(トポイソメラーゼ阻害薬・紡錘体阻害薬)
疾患
前立腺癌

🧠 全体像:進行・の治療の根幹は、精巣からのアンドロゲン産生を抑えるである。ADTはがん細胞をするのではなく活動性を抑制するにとどまり、多くは数年でホルモン抵抗性()を獲得する。に対する骨修飾薬・、症状に応じた支持療法も治療の重要な柱となる。⚠️ 原資料が示す「まず単剤→抵抗性獲得後に化学療法・を追加する」という逐次的な治療戦略は、現行ガイドラインでは大きく更新されている点に注意して学習する。

ホルモン療法(アンドロゲン除去療法)

  • における第一選択治療。
  • (経口、1日1回)を先行投与し、LHRH投与開始後に一過性に生じるテストステロン上昇(現象)を抑える。
  • 数日後にLHRHを3か月ごとので開始する。
  • 一定期間、とLHRHを併用する状態をcomplete アンドロゲン 遮断(と呼ぶ。
  • はがん細胞をするのではなく活動性を低下させる治療であり、PSA値は最終的に0.02付近まで低下しうる。
  • :PSA値を3か月ごと、骨盤CTとを6か月ごとに評価する。
flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='advanced prostate cancer'>進行前立腺癌</span>の診断"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antiandrogen'>抗アンドロゲン薬</span>を先行投与(経口)"]
    B --> C["数日後にLHRH<span class='jp-term jp-term-diagram' title='agonist'>アゴニスト</span>開始(3か月ごとの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='depot injection'>デポ注射</span>)"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='complete androgen blockade'>完全アンドロゲン遮断</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antiandrogen'>抗アンドロゲン薬</span>+LHRH<span class='jp-term jp-term-diagram' title='agonist'>アゴニスト</span>併用)"]
    D --> E["PSA・骨盤CT・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bone scintigraphy'>骨シンチグラフィ</span>で定期評価"]
    E --> F{"3〜5年でホルモン抵抗性(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='castration-resistant'>去勢抵抗性</span>)を獲得"}
    F --> G["化学療法:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='docetaxel'>ドセタキセル</span>(1st line)→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cabazitaxel'>カバジタキセル</span>(2nd line)"]
    F --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='second-line hormonal therapy'>二次ホルモン療法</span>:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='abiraterone'>アビラテロン</span>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='enzalutamide'>エンザルタミド</span>"]

⚠️ この「単剤ADT→数年後に抵抗性が出てから化学療法・を追加する」という逐次的戦略は、現行の標準治療とは異なる。 2015年以降の複数の(STAMPEDE、LATITUDE、CHAARTED、ARCHES、TITAN、ENZAMET等)により、の診断時点から、ADTに加えて以下のいずれかを早期から併用することが標準治療として確立している。

つまり「になってから追加する」という原資料の位置づけは古く、現在はmHSPCの段階からADTと併用する第一選択治療の一部として扱われる。抵抗性獲得後(:CRPC)のは、初回に何を併用していたかによって個別化される。

化学療法・二次ホルモン療法(ホルモン抵抗性獲得後)

  • 開始後、多くは3〜5年でホルモン抵抗性()を獲得する。
  • 化学療法:が1st lineが2nd line
  • または(ただし、上記の通り現在はより早期に導入されることが多い)。

去勢抵抗性獲得後の分子標的治療:PARP阻害薬・PSMA標的療法

⚠️ 原資料には・PSMA標的療法の記載がないが、治療の現行標準として必須のため補足する。

  • など):BRCA1/BRCA2などの(HRR)関連遺伝子変異を有するmCRPCが適応。既にによるがある場合は単剤、未治療でBRCA1/2変異陽性の場合はの併用も一次治療の選択肢となる。適応判定のため、mCRPC患者には生殖細胞系列・体細胞のHRR遺伝子変異検査を行う。
  • PSMA標的療法(177Lu-PSMA-617など):PSMA PETで陽性が確認されたmCRPCに対する放射性リガンド療法。当初は化学療法およびARPI既治療例に承認されたが、その後化学療法を延期しうるARPI既治療例へも適応が拡大されている。

骨転移に対する治療

治療 内容
RANKリガンド阻害薬
ビタミンD・カルシウム補充を併用
放射線療法 、ラジウム223)

⚠️ (ラジウム223、Xofigo)のみで内臓転移のないに対する骨標的線治療薬として有効性が確立しているが、ERA-223試験の結果、との同時併用は骨折・死亡リスクを増加させることが示され、現在は併用中の投与は推奨されない。単独療法として、または他の治療歴のある症例に用いるのが現行の位置づけである。

支持療法

病態 対応
貧血 輸血
尿路閉塞による
脊髄病変(脊髄圧迫など) ステロイド投与+治療(緊急対応を要する)
完全尿閉
疼痛

まとめ

  • ADT(先行投与+LHRHによる)が治療の基盤である。
  • 現行標準治療は、転移性の段階からADT+ARPI(など)またはを早期併用する戦略であり、抵抗性獲得を待って追加する逐次的戦略ではない。
  • 獲得後は(1st line)→(2nd line)の化学療法や、未使用のARPIへの変更を検討する。
  • にはを用いるが、併用中は避けるべきとされている。