Urology

Urology · U-11

急性腎障害と慢性腎不全

Acute and chronic renal failure

前提:病態
急性腎不全の原因と全身的影響慢性腎不全の原因と定義
疾患
急性腎障害慢性腎臓病慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)
症状
乏尿無尿

🧠 全体像は数日〜数週間単位でGFRが急速に低下する病態で、原因は)・腎性(腎)・(尿路閉塞)の3系統に分けて考える。泌尿器科では特に(結石・腫瘍・などによる閉塞)が重要で、閉塞解除により改善し得る。一方、は腎構造・機能異常が3か月以上持続する状態で、原因・GFR・のCGA分類で評価する。

急性腎障害

  • 数日〜数週間という急速な経過でGFRが低下する病態。
  • 乏尿を伴うことが多く、はまれ。
  • の上昇は、GFRの急激な低下に対して数日遅れて出現する点に注意する。

病因による3分類

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='AKI'>急性腎障害</span>"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prerenal'>腎前性</span>"]
    A --> C["腎性(renal/intrinsic)"]
    A --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='postrenal'>腎後性</span>"]
    B --> B1["体液喪失:出血、下痢、嘔吐、熱傷"]
    B --> B2["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cardiogenic'>心原性</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='septic shock'>敗血症性ショック</span>"]
    B --> B3["糸球体<span class='jp-term jp-term-diagram' title='autoregulation'>自己調節</span>機能の破綻"]
    C --> C1["糸球体疾患"]
    C --> C2["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tubular injury'>尿細管障害</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute tubular necrosis, ATN'>急性尿細管壊死</span>:虚血性・敗血症性・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='toxic'>中毒性</span>)"]
    C --> C3["間質性腎炎(薬剤性・感染性)"]
    C --> C4["血管病変:血管炎、塞栓、血栓、腎動<span class='jp-term jp-term-diagram' title='venous occlusion'>静脈閉塞</span>"]
    D --> D1["尿路内外の腫瘍"]
    D --> D2["結石、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='blood clot'>血塊</span>"]
    D --> D3["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='benign prostatic hyperplasia (BPH)'>前立腺肥大</span>、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='stricture'>尿道狭窄</span>"]
分類 機序 代表的な
血行動態の変化によりが不足し、GFRが低下する 乏尿、低血圧、
腎性 糸球体・尿細管・間質・血管そのものの障害 原因によって多様(血尿、蛋白尿など)
尿路の閉塞。泌尿器科診療で特に重要 閉塞部位より上流の水腎症、閉塞解除で改善しうる

症状

  • ・乏尿
  • 浮腫、、呼吸困難( → 肺水腫)
  • を伴う場合:、悪心
  • 代謝性アシドーシスを伴う場合:
  • 意識障害、悪心・嘔吐

合併症

  • 尿毒性毒素の蓄積
  • 電解質・体液バランス異常
  • 異常
  • 消化器・内分泌・血液・神経・循環器・感染症関連の合併症

診断

  • 検査:BUN・クレアチニン、CBC、電解質、pH、尿酸、尿量・尿蛋白・尿・尿浸透圧・、尿沈渣(円柱、、結晶)
  • 画像:US、X線、CT、MRI

AKIの診断基準(KDIGO)

クレアチニン基準と尿量基準は混同せずに評価する。現行のKDIGO基準では、次の3基準のいずれかを満たせばAKIと定義される。

基準 内容
48時間以内に ≥0.3mg/dL(≥26.5μmol/L)上昇
の相対的上昇 直近7日以内にベースラインの1.5倍以上に上昇
6時間にわたり尿量 <0.5mL/kg/h(乏尿の一般的な目安は<400〜500mL/24h)

💡 は腎機能低下から数日遅れて上昇するため、上記3基準のうち尿量基準はより早期にAKIを検知できる。

治療

  • AKI:閉塞の解除(結石除去、など)で尿の流出を確保することが最優先。
  • ・腎性AKIは原因(体液管理、原疾患治療、剤の中止など)に応じた治療を行う。

慢性腎不全

  • eGFR60 mL/min/1.73 m²未満、または、尿沈渣、病理・画像異常などの腎障害マーカーが3か月以上持続する状態。G1・G2は腎障害マーカーがなければCKDではない。
  • 毒素・体液・電解質の蓄積 →
  • は、尿毒素蓄積と体液・電解質・酸塩基・内分泌異常によるであり、BUNやクレアチニンの単一閾値では定義しない。

病因

  • 糖尿病(DM)
  • 高血圧
  • 糸球体疾患

症状

  • 、悪心、嘔吐
  • 、水分貯留、
  • 、けいれん

診断

  • 代謝性アシドーシス、貧血、

CKDの重症度分類

腎機能を「正常機能に対する%」で表す旧来の簡易分類ではなく、現行のKDIGO分類ではGFR区分(G1〜G5、G3はG3aとG3bに分割)と区分(A1〜A3)を組み合わせた2軸評価(CGA分類)を用いる。

GFR区分 GFR(mL/min/1.73m²) 意味
G1 ≥90 正常または高値
G2 60〜89 軽度低下
G3a 45〜59 軽度〜中等度低下
G3b 30〜44 中等度〜高度低下
G4 15〜29 高度低下
G5 <15 腎不全(

区分(A1:正常〜軽度増加、A2:中等度増加、A3:高度増加)と組み合わせることで、心への進行リスクをより正確に評価できる。

区分 UACR(mg/g) 意味
A1 30未満 正常〜軽度増加
A2 30〜300 中等度増加
A3 300超 高度増加

治療

原疾患への対応を中心に、全身管理を行う。

  • 体液・電解質管理を行い、Na制限、必要時、高K血症・代謝性アシドーシスへのを行う。
  • 糖尿病などの基礎疾患を治療し、標準化測定で可能なら120 mmHg未満を目標とする。
  • 非糖尿病A3、糖尿病A2〜A3ではACE阻害薬またはARBを用い、開始・増量後2〜4週でクレアチニンとKを確認する。ACE阻害薬とARBは併用しない。
  • 2型糖尿病でeGFR20 mL/min/1.73 m²以上、またはeGFR20以上かつUACR200 mg/g以上、または心不全を伴う成人CKDではSGLT2阻害薬を用いる。
  • はCa、リン、PTHの推移を統合して治療する。透析前成人へを一律投与せず、G4〜G5で重度かつ進行性のなどに限って検討する。
  • 貧血は鉄欠乏・出血などを除外してから鉄・ESAを個別化し、ESAでHbを11.5 g/dL以上に維持しない。
  • G5では腎移植、を早めに共有する。透析開始はeGFRだけでなく、、治療抵抗性の体液・電解質・酸塩基異常、栄養悪化で判断する。

💡 の合併症・管理の詳細(電解質異常、糸球体疾患各論、腎移植など)は内科腎臓病領域のノートも参照するとより体系的に理解できる(AKI・CKDの(内科))。

まとめ

  • AKIは・腎性・に分類し、泌尿器科では(閉塞性)の鑑別と閉塞解除が特に重要である。
  • AKIの診断はKDIGO基準(48時間で血清Cr ≥0.3mg/dL上昇、7日でベースラインの1.5倍、または6時間で尿量<0.5mL/kg/h)に基づく。の上昇は腎機能低下より遅れる。
  • CKDは3か月以上持続する腎構造・機能異常で、原因、GFR区分(G1〜G5)、区分(A1〜A3)を組み合わせて評価する。
  • 治療は原因治療、RAS阻害薬・SGLT2阻害薬による進行抑制、体液・電解質・合併症管理が中心である。G5では透析・移植・を共有し、透析開始をeGFR単独で決めない。