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Disease Atlas · 皮膚 · 先天性疾患

眼皮膚白皮症

Oculocutaneous albinism

別名
白皮症白子症OCAalbinism
臓器系
皮膚眼科
科目
PathologyDermatologyPhysiology
トピック
病理学 A/16:炭粉沈着・リポフスチン・ヘモジデリン・メラニン沈着皮膚科 3-08:皮膚有棘細胞癌生理学 8.4:視覚の生理学
鑑別疾患
尋常性白斑
続発疾患
皮膚有棘細胞癌基底細胞癌
症状
眼振羞明視力低下

🧠 全体像は、メラニン合成経路にかかわる遺伝子のにより全身のが機能的にメラニンを作れなくなるの先天性疾患である。同じ「色が抜ける」病名でも、後天性の自己免疫でそのものが破壊される尋常性とは根本的に別の疾患であり、混同してはならない。臨床像は皮膚だけでなく眼(メラニンは網膜の発生・の形成にも必須)に及び、紫外線防御の徹底眼科的な視機能管理の両輪で生涯にわたり管理する。

白斑との違い——「作れない」か「壊される」か

OCAと尋常性は、どちらもを呈するが、機序・発症時期・分布・随伴所見のすべてが異なる別個の疾患である。

項目 尋常性
機序 メラニン合成遺伝子の(先天性) 自己免疫によるの破壊(後天性)
の数 正常に存在するが機能しない 破壊されて消失する
発症・分布 出生時から全身性・びまん性 生後に発症し境界明瞭な斑として局所〜に広がる
眼振・欠損を高頻度に伴う 通常伴わない
毛髪 全身の毛髪が白〜淡色 病変部の毛髪のみ白毛化することがある

⚠️ 」と「」は名前が似ているだけの別疾患である。 前者は生まれつきメラニンという色素そのものを作れない代謝性疾患、後者は色素を作る細胞が後天的に破壊される自己免疫疾患であり、経過も合併症ももまったく異なる。

病態・分類

正常なは、チロシンからなどの酵素を介してメラニンを合成し、周囲のへ受け渡す。OCAは、この合成経路にかかわる複数の遺伝子(TYROCA2TYRP1SLC45A2SLC24A5LRMDADCTなど)のいずれかが機能を失うことで生じ、ごとにOCA1〜OCA8の8亜型に分類される。いずれも非症候性のものはである1

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='melanocyte'>メラノサイト</span>は正常に存在"] --> B["チロシン→(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tyrosinase'>チロシナーゼ</span>等)→メラニンの合成経路が障害される"]
    B --> C["メラニン産生の欠如・低下"]
    C --> D["皮膚・毛髪の色素欠乏"]
    C --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='retinal pigment epithelium'>網膜色素上皮</span>のメラニン欠如"]
    E --> F["過剰な光の乱反射・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='visual pathway'>視覚路</span>の発生異常"]
    F --> G["眼振・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='iris'>虹彩</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='transillumination'>透光性</span>欠損・視交叉の誤交叉"]
    D --> H["紫外線防御機能の喪失"]
    H --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='skin cancer'>皮膚癌</span>リスクの著明な上昇"]

世界的に最多なのはTYR遺伝子異常によるOCA1(全体の約4割)で、活性を完全に欠き生涯にわたり色素を作れない重症型(OCA1A)と、活性が残存し年齢とともにわずかに色素が増えうる(OCA1B)に分かれる。OCA2遺伝子異常によるOCA2はサハラ以南アフリカで最多の亜型、SLC45A2遺伝子異常によるOCA4は日本で最多の亜型とされ、視力・構造が比較的保たれることが多い1

💡 同じ「OCA」でも亜型によって重症度の幅が大きい。 活性を完全に欠く型は生涯無色素だが、活性が部分的に残る型では加齢とともにわずかに色素が増え、皮膚色・色に幅が出る。この幅の広さが、遺伝子診断が確定診断に重要である理由になっている。

臨床像

皮膚症状

出生時から全身の皮膚・毛髪の色素が乏しく、白〜淡黄色の毛髪、白〜ピンクがかった皮膚を呈する。日光曝露に対する防御機能をメラニンに依存できないため、日焼けしやすく、正常な小児にみられる日光への慣れ(耐性獲得)が生じにくい。

眼症状

メラニンはの機能やの発生にも関与するため、OCAでは以下の眼所見を高頻度に伴う。

  • 眼振:加速相をもつ水平性の眼振が乳児期から出現する。
  • 低形成の発生異常。
  • 視交叉での誤交叉:本来交叉しないはずの視の一部が過剰に交叉し、両眼視・立体視に影響する。
  • 欠損の色素が乏しく、光を通してしまう。
  • を欠くため眼内で光が乱反射し、まぶしさとしてされる。
  • は全体で約7割、最重症型のOCA1ではほぼ全例にみられる1

⚠️ 網膜のは過剰な光刺激から細胞を守る役割を担う。OCAではこの層を実質的に欠くため、眼内での光の乱反射がそのままとして現れる。

皮膚癌リスク

紫外線防御の欠如は、単なる日焼けやすさにとどまらず、生涯にわたるリスクの著明な上昇を意味する。 サハラ以南アフリカの黒人アルビノを対象とした報告では、一般集団と比べての発生リスクが約1,000倍高く、頭頸部が最も高頻度に侵される部位で、多くが20代までに潜在的に致死的となりうるを発症し、正常色素を持つ人より再発率も高いとされる2より多い点は、(DNA修復自体が障害される疾患)とは異なるOCA特有の傾向として知られる。悪性黒色腫はメラニンという色素そのものを欠くため早期発見がより困難になる1

診断

診断は特徴的な皮膚・毛髪の色素欠乏と、乳児期からの眼振・などの眼所見を組み合わせた臨床診断を基本とし、確定・亜型分類にはを行う。の同定は、重症度の見通し・遺伝・(症候性が疑われる場合の)関連症候群の除外に役立つ。

⚠️ ・易感染性を伴う場合は、OCA類似の色素異常を呈する症候性の疾患(Hermansky-Pudlak症候群、Chediak-Higashi症候群など)を鑑別する。単なる色素異常として片付けず、や免疫不全の合併を示唆する病歴を確認する。

管理

根治療法はなく、生涯にわたる紫外線防御と定期的な・眼科が管理の中心となる。

  • 紫外線防御:SPF15以上の日焼け止めを2時間ごとに塗り直し、衣類・帽子・サングラスを着用する。屋外活動はピーク時間帯を避ける。
  • :毎年の診察で新規病変を早期に発見し、疑わしい病変は早期に生検・切除する1
  • 眼科的管理:屈折矯正、対策のレンズ、・眼振に対する評価を行う。
  • :外見の違いに伴うへの配慮、遺伝を行う。

まとめ

  • はメラニン合成経路の遺伝子異常によるの先天性疾患で、は存在するが機能しない。後天性の自己免疫でが破壊される尋常性とは別個の疾患であり、混同しない。
  • によりOCA1〜OCA8に分類され、世界的にはOCA1が最多、OCA2はサハラ以南アフリカで、OCA4は日本で最多の亜型である。
  • 状(色素欠乏、紫外線への脆弱性)に加え、眼振・低形成・視交叉での誤交叉・欠損・など特徴的なを高頻度に伴う。
  • 紫外線防御の欠如によりのリスクが著明に上昇し、報告によっては一般集団の約1,000倍とされる。悪性黒色腫は色素を欠くため早期発見が難しい。
  • 根治療法はなく、生涯にわたる紫外線防御の徹底と、・眼科による定期的なが管理の中心である。

出典

  1. 1.Oculocutaneous Albinism and Ocular Albinism Overview(GeneReviews(University of Washington, Seattle; Thomas MG, Zippin J, Brooks BP)・2023)TYR・OCA2・TYRP1・SLC45A2・SLC24A5・LRMDA・DCTなど原因遺伝子ごとに8亜型(OCA1〜OCA8)へ分類され、世界的にはOCA1(TYR、全体の42%)が最多でありOCA1Aはチロシナーゼ活性を完全に欠く重症型・OCA1Bは活性が残存する軽症型に分かれること、OCA2(全体の28%)がサハラ以南アフリカで最多の亜型であること、OCA4(SLC45A2)が日本で最多の亜型で視力・中心窩構造が正常であることが多いこと、非症候性OCAは常染色体劣性遺伝であること、眼所見として加速相をもつ水平性眼振・中心窩低形成(94-100%)・視交叉での誤交叉(84-100%)・虹彩透光性欠損(91-100%)・斜視(全体で約71%、OCA1では100%)を高頻度に認めること、全患者が紫外線関連皮膚疾患のリスク増加にあり黒色腫は色素を欠くため早期診断が特に困難であること、SPF15以上の日焼け止め・遮光衣類・2時間ごとの塗り直し・毎年の皮膚科診察が推奨されることを確認した。閲覧 2026-08-11
  2. 2.Oculocutaneous Albinism and Squamous Cell Carcinoma of the Skin of the Head and Neck in Sub-Saharan Africa(Journal of Skin Cancer・2015)サハラ以南アフリカの黒人アルビノは一般集団と比べて皮膚有棘細胞癌の発生リスクが約1,000倍高く、頭頸部が最も高頻度に侵される部位であり、人生の20代(第3の10年)までに多くが潜在的に致死的となりうる有棘細胞癌を発症すること、正常色素を持つ人と比べて再発率が高いこと、日焼け止め・遮光衣類・ピーク時間帯の外出制限による予防と早期発見のための地域スクリーニングが推奨されることを確認した。閲覧 2026-08-11