薬剤ノート一覧へ

Drug Atlas · B25 Antidiarrheals / 止瀉薬 · 必修

活性炭、カオリン

active charcoal, kaoline

分類
Antidiarrheals / 止瀉薬
科目
Pharmacology
トピック
B25: Drugs used in constipation (laxatives) and diarrhea. Drugs promoting digestion. Pharmacology of liver and biliary tract
禁忌疾患
イレウス・腸閉塞
副作用
便秘下血
対象疾患
サリチル酸中毒

🧠 全体像:この2剤は「消化管内で何かを吸着する」という共通機序で束ねられているが、現在の重要度は正反対である。としてよりも急性経口中毒のとして今も臨床的に重要であり続けているのに対し、として長く使われてきたがエビデンスが乏しく現在では主要な位置づけを失っている。「同じ吸着薬」とひとくくりにせず、この立ち位置の差を先に押さえる。

薬効群の中での位置づけ

系統 代表薬 特徴
毒素・水分を非特異的に吸着 エビデンスは限定的。は中毒治療薬として別格の重要性を持つ
阻害→分泌↓ 蠕動を止めない
運動抑制性 腸管作動 感染性・血性下痢では避ける

」ではなく「=中毒治療薬」がこの薬の主戦場。 急性下痢に対する単独の効果は限定的で、実地でが使われる最大の理由は経口中毒・薬物過量摂取のである。は歴史的に・ペクチン配合剤)として使われてきたが、有効性を裏付ける質の高いエビデンスに乏しく、多くの国で配合剤自体が再処方(例:への置き換え)されるなど市場からしている。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='activated charcoal'>活性炭</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='porous (coating)'>多孔質</span>・巨大な表面積)を内服"] --> B["消化管内の毒素・薬物分子を<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='van der Waals force'>ファンデルワールス力</span>で非特異的に吸着"]
    B --> C["吸着された物質は吸収されず糞便中へ"]
    A -.->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Enterohepatic circulation'>腸肝循環</span>/腸腸循環する薬物では"| D["血中→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intestinal lumen'>腸管腔</span>へ再拡散してきた薬物も吸着<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='multiple-dose activated charcoal (MDAC)'>反復投与活性炭</span>=<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gastrointestinal dialysis'>消化管内透析</span>)"]
    E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='kaolin'>カオリン</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hydrated aluminium silicate'>含水ケイ酸アルミニウム</span>粘土)を内服"] --> F["毒素・水分・細菌を吸着し<br>腸粘膜表面をコーティング"]
    F --> G["便の水分含量が減り止瀉効果(有効性は限定的)"]

💡 が効かない中毒がある。 強酸・強アルカリなどの、金属(鉄・)、(エタノール・)はにほとんど吸着されず、の適応にならない。「中毒=とりあえず」という短絡は誤り。

💡 は特定の薬物で有効。 カルバマゼピン・キニンなど/受動的な腸管拡散が大きい薬物の中毒では、により血中からへ戻ってきた薬物を捕捉し続けることでのように排泄を促進できる。

適応

領域 使いどころ
中毒 急性経口中毒・薬物過量摂取の:摂取後早期、気道防御が保たれている場合)、による排泄促進(特定薬物)
消化器 急性下痢(として。エビデンスは限定的、対症療法の一つ)

用法・用量

中毒(:成人で1 g/kgを目安に単回投与。摂取後早期(一般に1時間以内)が最も有効とされるが、製剤や吸収遅延物質では時間が経っていても検討されることがある。は対象薬物・中毒の判断による。下痢:添付文書に応じて。実際の用量は施設のプロトコル・添付文書、中毒センターへの相談で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌イレウス・腸閉塞
  • ⚠️ は気道防御が不十分な意識障害例では誤嚥のリスクがあるため、気道が確保・保護されていない限り投与しない
  • ⚠️ (強酸・強アルカリ)のではを使わない。 内視鏡での観察を妨げ、嘔吐による誤嚥のリスクも上げる
  • 併用するの吸収を非特異的に妨げるため、他剤とは時間をずらして服用する

副作用

頻度 内容
高頻度 便秘による着色。真の(消化管出血)と見誤らないよう注意
注意 併用薬の吸収阻害
重篤・まれ (気道防御不十分例への投与)、腸閉塞の増悪

まとめ

  • は「消化管内で吸着する」という共通機序でまとめられるが、現在のは大きく異なる。
  • の主戦場はとしてより急性経口中毒のであり、摂取後早期・気道確保が前提になる。
  • 強酸・強アルカリ・金属・の中毒にはが効かない。
  • 特定薬物(・カルバマゼピンなど)ではとして排泄を促進する。
  • として使われてきたが、エビデンスが乏しく主要な位置づけを失っている。
  • によるは真の(消化管出血)と紛らわしいため鑑別が必要。