薬剤ノート一覧へ

Drug Atlas · B35 Targeted cancer therapy / 分子標的薬 · 必修

ブリグチニブ

brigatinib

分類
Targeted cancer therapy / 分子標的薬
商品名(日本)
アルンブリグ
商品名(EU)
Alunbrig
科目
Pulmonology and Thoracic Surgery
トピック
32: Chemo-, immune- and targeted therapy of lung cancer
承認適応
肺癌
副作用
呼吸困難咳徐脈霧視
監視検査値
クレアチンキナーゼアミラーゼリパーゼ

🧠 全体像:は第2世代で、と並んで耐性後のの多くをカバーする。この薬を特徴づけるのは「7日間リードイン」という独特の法——90mgで7日間開始してから180mgへ増量するのは、投与開始1週間以内に起こりうるを軽減するための設計であり、他のにはこの形のはない。

薬効群の中での位置づけ

世代 代表薬 特徴
第1世代 ALK・ROS1・METを阻害。は限定的
第2世代 、 ALKへの選択性・力価が高く、の多くに対応。も改善
第3世代 第2世代耐性後のALKにも対応するが副作用プロファイルが異なる

⭐ とはどちらも初回治療で使われる第2世代薬だが、には「7日間リードイン」という独自のがある点で区別する。 ALTA-1L試験(未治療の進行275例)で、はに対しの0.49(疾患進行又は死亡のリスクを51%低下)と大きく上回った1。

用法・用量(7日間リードインが最大の特徴)

⚠️ 投与開始1週間以内にGrade3-4の()が約3〜5%に生じるため、これを軽減する目的で以下のが設計されている2。

flowchart TD
    A["投与開始:90mgを1日1回"] --> B["7日間投与を継続"]
    B --> C{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='early-onset pulmonary toxicity'>早期発症性肺毒性</span>の<br>徴候(呼吸困難・低酸素)は?"}
    C -->|"なし・軽度で回復"| D["8日目から180mgへ増量"]
    C -->|"Grade1-2が持続"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='drug holiday (treatment interruption)'>休薬</span>し回復を待つ<br>回復後も180mgへの増量は見合わせる"]
    C -->|"Grade3以上"| F["永続中止"]
    D --> G["180mgを1日1回で維持"]

⭐ 「なぜ7日間だけ低用量から始めるのか」という問いへの答えがそのもの。 症状は投与開始48時間以内に出ることが多く、この時期を低用量で乗り切ることで180mgへの増量を安全に行う設計になっている。では90mgのみで開始した患者の4%に投与開始7日以内の肺イベントが観察された2。

適応

米国添付文書の適応はALK融合遺伝子陽性転移性の①未治療例への初回治療、②既治療例への治療の2つ2。

禁忌・注意

項目 内容
投与開始1週間以内にGrade3-4が約3〜5%。Grade1-2はし180mgへの増量を見合わせる、Grade3以上は永続中止
/ とは別に発生しうる。呼吸器症状があれば直ちに評価しを検討する
高血圧 定期的な血圧モニタリングが必要
徐脈 心拍数モニタリングが必要
などの視覚症状に注意する
CPK上昇・ 定期的な血液検査モニタリングが必要

副作用

(・)が最も注意すべき有害事象で、他のと比べても投与開始早期の管理が独特である。呼吸困難・咳・高血圧・徐脈・・消化器症状などが報告される。

まとめ

  • は第2世代で、に対しALTA-1L試験での0.49という大きな優位性を示した。
  • 最大の特徴は「90mgで7日間リードイン後に180mgへ増量」という法——(投与開始1週間以内、多くは48時間以内に発症)を軽減する目的で設計されている。
  • Grade1-2のは・増量見合わせ、Grade3以上は永続中止という重症度別対応を、通常の/とは別に管理する。
  • と同じ第2世代だが、この独自ので区別される。第3世代のは第2世代耐性後の選択肢になる。
  • 高血圧・徐脈・・CPK上昇・も定期モニタリングが必要な有害事象。

出典

  1. 1.Brigatinib versus Crizotinib in ALK-Positive Non-Small-Cell Lung Cancer(The New England Journal of Medicine(ALTA-1L試験)・2018)ALK阻害薬未治療のALK融合遺伝子陽性進行非小細胞肺癌患者275例を、ブリグチニブ180mg1日1回(90mgで7日間リードイン後に増量、n=137)またはクリゾチニブ250mg1日2回(n=138)に1:1で割り付けた第3相試験(ALTA-1L)。盲検独立中央判定による無増悪生存期間はブリグチニブ群で有意に優れ(ハザード比0.49、95%CI 0.33〜0.74、log-rank p=0.0007)、疾患進行又は死亡のリスクを51%低下させた。閲覧 2026-09-26
  2. 2.ALUNBRIG (brigatinib) tablets — full prescribing information(U.S. Food and Drug Administration / DailyMed(Takeda)・2026)改訂表示2026年1月19日の米国添付文書。適応はALK融合遺伝子陽性転移性非小細胞肺癌の①未治療例への初回治療、②クリゾチニブ既治療例への治療の2つ。用法・用量は**90mgを1日1回7日間投与した後180mgを1日1回に増量する「7日間リードイン」レジメン**——この漸増法は早期肺毒性を軽減する目的で設計されている。警告は早期発症性肺毒性(投与開始1週間以内にGrade3-4の肺毒性が約3〜5%に生じる。重症度に応じ休薬・減量)、間質性肺疾患/肺臓炎(呼吸器症状の即時評価と休薬の検討)、高血圧、徐脈、視覚障害、CPK上昇、膵酵素上昇の血液検査モニタリングが必要。閲覧 2026-09-26