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Drug Atlas · B9 Lipid-lowering drugs / 脂質異常症治療薬

ロバスタチン

lovastatin

分類
Lipid-lowering drugs / 脂質異常症治療薬
科目
PharmacologyClinical Pharmacology
トピック
B9: Drugs affecting lipid metabolism. Drugs controlling body weight16: Dyslipidaemia
承認適応
脂質異常症
副作用
筋肉痛
監視検査値
クレアチンキナーゼ
影響検査値
血糖HbA1c
相互作用
アミオダロンイトラコナゾールインジナビルクラリスロマイシンゲムフィブロジルシクロスポリンラノラジン

🧠 全体像:はから単離されたスタチンで、不活性なラクトンが体内でβ-ヒドロキシ酸になって効くである。肝のが大きく全身に届くのは5%未満、しかもCYP3A4の基質なので、強いCYP3A4阻害薬がになる。冠動脈疾患のない人のを示したAFCAPS/TexCAPSの薬である。覚えるのは3点——食事と一緒に服用する(他のスタチンと違う)、夕食時投与が朝投与より有効、添付文書は妊娠・授乳を禁忌とすることである。日本動脈硬化学会2022年版の薬剤表には載っていない。

薬効群の中での位置づけ

項目
活性型か 不活性なラクトン型の 活性型のまま投与 不活性なラクトン型の
代謝 CYP3A4の基質1 CYPでほとんど代謝されない CYP3A4の基質
への利用率 5%未満(活性阻害物質として)1 17% 5%未満
食事との関係 食事と一緒に服用する1 食事で曝露は下がるが、脂質低下効果は食事の有無で同等 では血中濃度が変わらない

はと同じくでCYP3A4の基質という共通点が大きい。強いCYP3A4阻害薬で曝露が増え、のリスクが上がる点も同じである。日本動脈硬化学会2022年版の薬剤表が挙げるスタチンは、、、フルバスタチン、、、の6剤で、は含まれない2。日本の電子添文は確認できなかったので、国内での承認や用量は本ノートで断定しない。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lovastatin'>ロバスタチン</span>(不活性なラクトン)を内服"] --> B["肝でβ-ヒドロキシ酸体に加水分解される"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='HMG-CoA reductase'>HMG-CoA還元酵素</span>を阻害<br>(コレステロール合成の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rate-limiting step'>律速段階</span>)"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intrahepatic'>肝内</span>コレステロール合成↓"]
    D --> E["LDL受容体の発現↑"]
    E --> F["血中LDL-C↓"]
    A -.->|"CYP3A4で酸化的に代謝される"| G["⚠️強いCYP3A4阻害薬・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='grapefruit'>グレープフルーツ</span>で曝露↑"]
    G -.-> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myopathy'>ミオパチー</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rhabdomyolysis'>横紋筋融解症</span>のリスク↑"]

添付文書の記載では、はHMG-CoAをメバロン酸に変える、の早期のである1。では肝への選択性が高く、標的でない組織より肝ではるかに高い濃度に達した。

薬物動態

項目 内容1
吸収・利用率 動物で量の約30%が吸収される。肝の抽出が大きく、活性阻害物質としてに届くのは経口量の5%未満。が大きい(AUCの約40%)
食事の影響 空腹時の総阻害物質の血中濃度は、標準的な食事の直後に投与したときの約3分の2。このため食事と一緒に服用する
分布 とβ-ヒドロキシ酸体はともに蛋白結合95%超。動物で血液脳関門と胎盤を通る
代謝 肝でβ-ヒドロキシ酸体、6′-などのになる。CYP3A4の基質
活性阻害物質・総阻害物質とも投与後2〜4時間
腎障害 10〜30 mL/分の重度の腎障害で、総阻害物質の血中濃度が単回投与後に約2倍
高齢者 70〜78歳で18〜30歳より約45%高い。は要らないとされるが、高齢はの素因
  • :ダブル濃度200 mLを1日3回飲み80 mgを服用した研究で、のAUCが15倍、β-ヒドロキシ酸体が5倍になった。通常濃度1杯(約240 mL)を3日間飲んで40 mgを服用した研究では、1.94倍、β-ヒドロキシ酸体1.57倍だった。飲む量の中間の影響は調べられていないので、回避を指示する。
  • (600 mg 1日2回を3日間、40 mg):の血中濃度は変わらず(AUC比0.96)、β-ヒドロキシ酸体が約2.8倍になった。

適応

米国の適応は次の4つである1。

適応 内容
症状のある心血管疾患がなく、・LDL-Cが平均〜やや高く、HDL-Cが低い人で、心筋梗塞・・のリスクを下げる
冠動脈疾患 の進展を遅らせる
で不十分な原発性(IIa型・IIb型)。・VLDL・IDLが主に高い型(I・III・IV・V型)では検討されていない
思春期のHeFH 10〜17歳の男女(女子は後1年以上)。後もLDL-Cが189 mg/dL超、または160 mg/dL超で若年発症の心血管疾患の家族歴や2つ以上の危険因子がある場合

の適応は、が主体でLDL-Cがむしろ低い人には適応がない。は、おそらく機能するLDL受容体がないため効きにくい1。

主な臨床試験

試験 対象と用量 結果
AFCAPS/TexCAPS() 冠動脈疾患のない男性5608例・女性997例、・LDL-Cは平均的でHDL-Cが低い。20〜40 mg/日または。平均5.2年(添付文書は中央値5.1年) 初回のが0.63(0.50〜0.79)で減少。心筋梗塞0.60、0.68、0.67。LDL-Cは25%低下して115 mg/dL、HDL-Cは6%上昇3
EXCEL(脂質低下の) 8,245例、48週、 LDL-Cの変化は20 mg夕方−24%、40 mg夕方−30%、20 mg 1日2回−34%、40 mg 1日2回−40%(+0.4%)。HDL-Cは+6.6〜+9.5%1

⭐ 同じ1日量でも夕方1回の方が朝1回より有効だった(コレステロールは主に夜間に合成されるためと考えられている)。最大の効果は4〜6週で現れる1。

用法・用量

項目 内容1
成人の開始量 20 mgを夕食と一緒に1日1回。LDL-Cを20%以上下げる必要がある患者は20 mgから。小さな低下でよい場合は10 mgも考える
用量範囲 10〜80 mg/日を1回または2回に分けて。最大80 mg/日。調整は4週間以上あける
思春期のHeFH 10〜40 mg/日、最大40 mg/日。20 mgから開始(小さな低下でよければ10 mg)
・・・併用 10 mgから開始、1日20 mgを超えない
併用 1日40 mgを超えない
重度の腎障害(30 mL/分未満) 20 mg/日を超える増量は慎重に
  • 治療前に標準的なを開始し、治療中も続ける。
  • 思春期の女子には避妊を含めて指導する。10歳未満や思春期前の患者では検討されていない。

禁忌・注意

禁忌 内容1
過敏症 成分に対する過敏症
肝 、または原因不明の持続的な
強いCYP3A4阻害薬 、、、、HIV、ボセプレビル、、、、、ネファゾドン、含有製剤
妊娠・授乳 禁忌。コレステロール合成の産物は胎児の発達に不可欠であるため。妊娠したら直ちに中止し、胎児への危険を説明する。妊娠可能な女性には、妊娠しにくい患者にだけ投与する

⚠️ 妊娠の扱いは薬ごと・文書ごとに違う。の添付文書は旧様式で、Xのまま禁忌を維持している。新しい様式のの添付文書(米国)のように妊娠を禁忌から外した文書もあるが、については禁忌のままである。

  • ・:で、CK上限の10倍超を伴う筋痛・圧痛・脱力として現れる。腎不全を伴うがまれに起き、死亡例もある。血漿中のが高いほど危険が増す。EXCEL(慎重に観察し、相互作用薬を一部除外した条件)では、20〜40 mg/日の4933例中1例、80 mg/日の1649例中4例に出た。
  • :近位筋の脱力とCK高値が中止後も続き、が陽性。生検は壊死性で、で改善する。他のスタチンへ切り替える前に危険を考える。
  • :早期ので、1年以上の投与の1.9%がの持続的上昇(上限の3倍超)を示した。多くは投与開始後3〜12か月に出て、黄疸や症状は伴わなかった。EXCELでの持続的上昇は、48週で20 mg群0.1%、40 mg群0.9%、80 mg群1.5%(0.1%)。投与前にを測り、必要に応じて繰り返す。
  • 血糖:HbA1cとの上昇が報告されている。
  • 高齢:65歳以上はの素因。慎重に処方する。

相互作用

相手 影響・指示1
強いCYP3A4阻害薬(、など) 禁忌
、 併用を避ける。はβ-ヒドロキシ酸体を約2.8倍にする
、、、 は1日20 mgまで
1日40 mgまで
避ける
、 (を含む)のリスクが上がる
への影響の報告がある。開始前と早期に頻回に測り、用量を変えたら同じ手順を繰り返す

副作用

頻度 内容1
EXCEL(8,245例)で薬剤関連と判断され1%以上 3.7〜4.5%(4.2%)、便秘2.0〜3.5%(1.9%)、腹痛2.0〜2.5%(1.6%)、下痢、悪心、頭痛2.1〜3.2%(2.7%)、筋肉痛1.8〜3.0%(1.7%)、発疹0.8〜1.3%(0.7%)、0.9〜1.2%(0.8%)。どの項目もと統計学的な差はなかった
中止 EXCELで48週までに4.6%(2.5%)
CKがの2倍以上になった患者が約11%(群は9%)。多くは心臓以外の分画の上昇
  • 重大な副作用は、・、、肝不全(まれな)である。重い肝障害が出たら中断し、他の原因がなければ再開しない。
  • CK上昇やの上昇は、胸痛の鑑別にも入る。

まとめ

  • はカビ由来のスタチンで、不活性な。肝のが大きく、全身に届くのは5%未満、CYP3A4の基質である。
  • AFCAPS/TexCAPSで、冠動脈疾患のない人の初回のを約37%減らした。EXCELでのはLDL-C −24%(20 mg)〜−40%(40 mg 1日2回)。
  • 食事と一緒に、夕食時に服用する。夕方1回が朝1回より有効。開始量は20 mg、範囲は10〜80 mg/日。
  • 禁忌は強いCYP3A4阻害薬、、妊娠・授乳、過敏症。、、は避け、・などは20 mgまで、は40 mgまで。
  • 妊娠・授乳の禁忌が残る点が、これを外したの米国添付文書との違い。
  • 日本動脈硬化学会2022年版の薬剤表に載らず、日本の電子添文は確認できなかったので、国内での使用可否を断定しない。

出典

  1. 1.LOVASTATIN tablets USP, 10 mg, 20 mg and 40 mg — Prescribing Information(DailyMed (NLM) / labeler BluePoint Laboratories(製造 Lupin Limited。一般名製剤)・2026)DailyMedのSPL全文(SPL版9、2026年10月公開、旧様式の添付文書)を取得して確認した。適応は症状のない人の冠動脈疾患の一次予防(心筋梗塞・不安定狭心症・血行再建の抑制)、冠動脈疾患での冠動脈硬化進展の抑制、原発性高コレステロール血症(IIa型・IIb型)、10〜17歳(初経後1年以上の女子を含む)のヘテロ接合体家族性高コレステロール血症であること、開始は20 mgを夕食と一緒に1日1回、用量範囲は10〜80 mg/日で最大80 mg、調整は4週間以上あけること、ダナゾール・ジルチアゼム・ドロネダロン・ベラパミルでは10 mgから開始して最大20 mg、アミオダロンでは最大40 mg、思春期は10〜40 mg/日で最大40 mg、重度の腎障害では20 mg超の増量を慎重に行うこと、禁忌は過敏症・活動性肝疾患または原因不明の持続的なトランスアミナーゼ上昇・強いCYP3A4阻害薬(イトラコナゾール、ケトコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール、HIVプロテアーゼ阻害薬、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、テリスロマイシン、ネファゾドン、コビシスタット含有製剤など)の併用・妊娠と授乳であること、ゲムフィブロジルとシクロスポリンは併用を避け、グレープフルーツジュースを避けること、不活性なラクトンでβ-ヒドロキシ酸体に加水分解されて活性型になること、肝初回通過が大きく全身循環に達するのは5%未満、蛋白結合95%超、最高血中濃度は2〜4時間、食事と一緒に投与すること(空腹時の血中濃度は食事直後の約3分の2)、CYP3A4の基質でありグレープフルーツジュースで曝露が増えること、重度の腎障害(クレアチニンクリアランス10〜30 mL/分)で総阻害活性が約2倍・高齢者で約45%増えること、夕方投与が同量の朝投与より有効で最大効果は4〜6週で現れること、EXCEL試験(8,245例・48週)でLDL-Cが20 mgで−24%・40 mgで−30%・20 mg 1日2回で−34%・40 mg 1日2回で−40%となったこと、AFCAPS/TexCAPSで初回の主要冠動脈イベントが37%減少したこと、ミオパチーは用量依存でCK上限の10倍超を伴う筋症状であること、免疫介在性壊死性ミオパチー、持続的な肝酵素上昇(早期の臨床試験で1年以上投与の1.9%)、HbA1cと空腹時血糖の上昇、EXCELで薬剤関連の有害事象に群間差がなく中止率が4.6%(プラセボ2.5%)であったこと、妊娠カテゴリーXを確認した。閲覧 2026-10-31
  2. 2.Japan Atherosclerosis Society (JAS) Guidelines for Prevention of Atherosclerotic Cardiovascular Diseases 2022(Japan Atherosclerosis Society・2024)Europe PMC(PMC11150976)から全文XMLを取得して確認した。薬効別の分類表Table 10と、続くスタチンの節(HMG-CoA reductase inhibitors)が挙げるスタチンはプラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチンの6剤であり、ロバスタチンは本文の薬剤表に載らず、文献一覧(思春期のヘテロ接合体FHの試験など)にのみ現れること。閲覧 2026-10-31
  3. 3.Primary prevention of acute coronary events with lovastatin in men and women with average cholesterol levels: results of AFCAPS/TexCAPS. Air Force/Texas Coronary Atherosclerosis Prevention Study(JAMA・1998)PubMed収載の抄録で確認した。冠動脈疾患のない男性5608例・女性997例(総コレステロール・LDL-Cは平均的でHDL-Cが平均より低い)で、ロバスタチン20〜40 mg/日またはプラセボを食事療法に上乗せして比較した無作為化二重盲検試験であること、平均5.2年の追跡で、初回の主要冠動脈イベント(致死的・非致死的心筋梗塞、不安定狭心症、突然の心臓死)が相対リスク0.63(95%信頼区間0.50〜0.79)で減少し、心筋梗塞は0.60、不安定狭心症は0.68、血行再建は0.67であったこと、LDL-Cは25%低下して115 mg/dLに、HDL-Cは6%上昇したこと、安全性に臨床的に意味のある群間差はなかったこと。抄録のみで確認した。閲覧 2026-10-31