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Drug Atlas · B9 Lipid-lowering drugs / 脂質異常症治療薬

プラバスタチン

pravastatin

分類
Lipid-lowering drugs / 脂質異常症治療薬
商品名(日本)
メバロチン
科目
PharmacologyClinical Pharmacology
トピック
B9: Drugs affecting lipid metabolism. Drugs controlling body weight16: Dyslipidaemia
承認適応
脂質異常症
禁忌疾患
肝硬変
副作用
筋肉痛
監視検査値
クレアチンキナーゼ
影響検査値
血糖HbA1c
相互作用
クラリスロマイシンゲムフィブロジルシクロスポリン

🧠 全体像:は水に溶けやすく、活性型のまま飲むスタチンである。LDL-C低下は中等度(−30〜−20%)にとどまるが、CYPでほとんど代謝されず薬物相互作用が少ないのがで、冠動脈疾患の(WOSCOPS・MEGA)と(LIPID)のエビデンスが厚い。覚えるのは3点——日本は妊婦・が禁忌だが米国は禁忌でないこと、高用量が使えないこと(日本は20 mgまで)、併用で問題になるのはCYPでなくOATP1B1と・であることである。

薬効群の中での位置づけ

項目
LDL-C低下の段(日本動脈硬化学会2022) ↓↓(−30〜−20%) ↓↓(−30〜−20%) ↓↓↓(−50〜−30%)
・代謝 水溶性。CYPでほとんど代謝されない 脂溶性。CYP3A4の基質 脂溶性。CYP3A4の基質
活性型か 活性型のまま投与 不活性な 活性型

日本動脈硬化学会2022年版の分類表は、スタチンをLDL-C低下作用で2段に分け、を・フルバスタチンと同じ↓↓の段に置く。脂溶性のスタチンはCYP3A4や2C9の基質だが、水溶性のとはCYPでほとんど代謝されない1。

⚠️ 効きが穏やかなことは「弱くて不要」を意味しない。は(WOSCOPS、日本のMEGA)と(LIPID)でイベント抑制が実証されたスタチンである。ただしLDL-Cを大きく下げる必要がある患者(高リスクのなど)では、より強い段のスタチンを選ぶ。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pravastatin'>プラバスタチン</span>を内服(活性型)"] --> B["肝細胞へOATP1B1などの輸送体で取り込まれる"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='HMG-CoA reductase'>HMG-CoA還元酵素</span>を可逆的・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='competitive'>競合的</span>に阻害"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intrahepatic'>肝内</span>コレステロール合成↓"]
    D --> E["LDL受容体の発現↑"]
    E --> F["血中LDL-C↓(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='maximal effect'>最大効果</span>は約4週で得られる)"]

はのである。はこれを特異的に阻害し、作用は合成の主要な場である肝臓と小腸に選択的で、ホルモンを作る臓器での阻害は非常に弱い(の成績)2。LDL-Cの最大低下は通常4週間で得られ、以後維持される3。

薬物動態

項目 内容
吸収 活性型で投与する。34%、17%。は1〜1.5時間。食事でAUCが31%、Cmaxが49%下がるが、脂質低下効果は食前1時間でも食後でも同等3
日本人(空腹時単回10・20 mg) まで約1.1時間、半減期2.5〜2.7時間2
分布 蛋白結合は約50%(米国)、53.1%(日本)。肝臓・小腸に高濃度に分布し、脳や生殖器への分布は極めて低い(動物)32
代謝 肝の抽出率0.66。と水酸化で、主代謝物の3α-iso体は活性がの2%(日本)または1/10〜1/40(米国)で、未変化体が主な活性体。CYP3A4で代謝されず、・・の影響を受けない32
排泄 したの尿中約20%・糞中70%。半減期は1.8時間3
輸送体 OATP1B1の基質。OATP1B1の阻害薬でが大きく上がる3
  • 服用時刻は国で違う。日本の電子添文は、メバロン酸のが夜間に亢進するので1日1回なら夕食後が望ましいとする。ただし朝投与と夕投与の比較(77例)では、有効率は84.4%と91.2%で有意差がなかった2。米国の添付文書は食事に関係なく1日のどの時間でもよいとする。就寝時投与はが朝投与より60%低いが、夕方投与の方がわずかに有効だった(有意差なし)3。
  • 腎障害:重度の腎障害ではの曝露が上がるが、自体のには影響がなかった。肝硬変では曝露のが非常に大きい(AUCの変動が18倍)3。

適応

承認されている効能
日本(メバロチン、第一三共) 、。適用前に検査で確認し、が主な異常であるによく反応する2
米国(一般名製剤) ①冠動脈疾患のない高LDL-C成人の心筋梗塞・・心血管死の抑制、②冠動脈疾患のある成人の冠動脈死・心筋梗塞・・脳卒中/TIAの抑制との進展抑制、③成人の原発性、④8歳以上の、⑤成人の・3

の第一選択はスタチンだが、日本は心血管イベント抑制を効能に掲げず、米国は掲げる。日本の電子添文は小児を対象としたを実施していない。米国は8歳からの小児HeFHを承認しており、日本動脈硬化学会2022年版は、FDAがを8歳から、他のスタチンを10歳から承認していると述べる1。

主な臨床試験

試験 対象と用量 結果
WOSCOPS() 心筋梗塞のない45〜64歳の男性6595例、LDL-C 156〜254 mg/dL、40 mg、中央値4.8年 初回の冠動脈イベント(冠動脈死または非致死的心筋梗塞)が31%減少。が37%、心血管死が32%減少し、非心血管死は増えなかった3
LIPID() 心筋梗塞またはの既往がある9014例、40 mg、平均5.6年 冠動脈死が24%、総死亡が23%、脳卒中が19%減少3
MEGA(日本の) 冠動脈疾患・脳卒中の既往がない7832例、10〜20 mg+を単独と比較、平均5.3年、 冠動脈疾患の発症は併用群3.3/千人・年、単独群5.0/千人・年で有意差あり2
J-STARS(日本の) 非の 脳卒中・TIAの再発というには差がなかったが、は有意に減り、は非スタチン群と同等1

用法・用量

内容
日本2 成人は1日10 mgを1回または2回に分けて。年齢・症状により増減し、重症では20 mgまで。1日1回なら夕食後が望ましい
米国3 成人の開始量は40〜80 mg 1日1回。小児HeFHは8〜13歳で20 mg、14〜18歳で40 mgから。LDL-Cは開始4週間以降に測り調整する。80 mgでも目標に届かない、または高強度のスタチンが要る患者には別の薬を考える
  • 高度の腎障害(米国):10 mgから開始し、最大40 mg。軽度〜中等度の腎障害では用量を変えない3。
  • :・での曝露が約51%・47%下がる。吸着薬の1時間以上前または4時間以上後に服用する3。

⚠️ 日本と米国で用量の枠が大きく違う。日本の上限は1日20 mgで、米国の開始量40〜80 mgの範囲は日本では使えない。国を書かずに用量を覚えない。

禁忌・注意

項目 日本(メバロチン)2 米国3
過敏症 禁忌 禁忌
肝 禁忌ではない。重篤な・その既往は慎重投与 または肝硬変は禁忌
妊娠・授乳 妊婦・妊娠の可能性のある女性・は禁忌 禁忌ではない。妊娠が判明したら中止する、または治療上の必要性を考慮する。授乳は勧められない
  • のリスク因子:日本は甲状腺機能低下症、遺伝性の筋疾患(など)またはその家族歴、薬剤性の筋障害の既往、、を挙げる。米国は65歳以上、コントロール不良の甲状腺機能低下症、腎障害、併用薬、高用量を挙げる。(CK上限の10倍超を伴う筋症状)はで0.1%未満だった23。
  • ⚠️ 重症筋無力症:・全身型が悪化または再発することがある2。
  • 肝機能:開始前にの測定を考え、や黄疸を伴う重篤な肝障害が出たら直ちに中止する3。
  • 血糖:スタチン全般でHbA1cとの上昇が報告されている。の改善を徹底する3。
  • 急性の重い状態:敗血症、ショック、高度の脱水、大手術、外傷などで腎不全の危険が高いときは、一時的に中止する3。

相互作用

はCYP3A4で代謝されず、日本の電子添文はやの併用でも代謝に有意な影響がなかったとする2。のように強いCYP3A4阻害薬で曝露が跳ね上がる型の問題は小さく、問題になるのはOATP1B1を介した輸送と・である。

相手 影響
・のリスクが上がる。米国は併用を避ける3
米国は10 mgから開始し最大20 mg。日本は併用注意で、急激な腎機能悪化を伴うが起こりやすい32
・ 米国は最大40 mg。アジスロマイシンなど他のマクロライドも曝露を上げうる3
(など) 日本は併用注意。やむを得ない場合にだけ併用し、定期的に腎機能を調べ、筋肉痛・CK上昇があれば直ちに中止する2
・ 米国は、どちらも・の報告があり、利益が上回る場合に限り症状を監視して併用する。日本もを併用注意に挙げる32
・ の曝露が約51%・47%下がる。服用時刻をずらす3

副作用

頻度 内容
米国の短期プラセボ対照試験(902例) 悪心・嘔吐7.4%(7.1%)、下痢6.7%(5.6%)、頭痛6.3%(4.6%)、発疹4.5%(1.4%)、CPK上昇4.1%(3.6%)、ALT上昇2.9%(1.2%)、筋肉痛2.3%(1.2%)。有害事象による中止は、プラセボ対照試験1313例で1.2%、3.3%3
日本の電子添文(11.2) 1%以上に入るのはAST・ALT・γ-GTP上昇とCK上昇だけ。発疹・そう痒・蕁麻疹、胃不快感・下痢・腹痛、LDH・ALP上昇、尿酸値上昇は1%未満。筋脱力・筋肉痛・、BUN・クレアチニン上昇、めまい・頭痛は頻度不明2
重大(日本) 、、血小板減少、、、、末梢神経障害、などの過敏症状、重症筋無力症(いずれも頻度不明)2
  • :近位筋の脱力とCK高値が中止後も続き、抗抗体が陽性になる。で改善した報告がある23。
  • 日本のの副作用発現は2.3〜2.9%で、主なものは発疹だった2。

まとめ

  • は水溶性で活性型のスタチン。LDL-C低下は−30〜−20%(日本動脈硬化学会の分類で↓↓)にとどまるが、WOSCOPS・LIPID・MEGAで心血管イベント抑制が示された。
  • CYPでほとんど代謝されず、相互作用が少ない。問題になるのはOATP1B1の阻害薬、、、マクロライド。
  • 日本の用量は1日10 mg(重症で20 mgまで)、米国の開始量は40〜80 mg。服用時刻も日本は夕食後が望ましいが、米国は1日のどの時間でもよい。
  • 禁忌は日本が過敏症と妊婦・、米国が過敏症と・。妊娠中の扱いは国で逆向き。
  • 小児は米国で8歳以上のHeFHに承認があり、日本の電子添文は小児のを実施していない。
  • 重大な副作用は・肝障害・・重症筋無力症の悪化。CK上昇や筋症状があれば中止を考える。

出典

  1. 1.Japan Atherosclerosis Society (JAS) Guidelines for Prevention of Atherosclerotic Cardiovascular Diseases 2022(Japan Atherosclerosis Society・2024)Europe PMC(PMC11150976)から全文XMLを取得して確認した。薬効別の分類表Table 10がスタチンをLDL-C低下作用で2段に分け、↓↓(−30〜−20%)の段にプラバスタチン・シンバスタチン・フルバスタチンを、↓↓↓(−50〜−30%)の段にアトルバスタチン・ピタバスタチン・ロスバスタチンを置くこと、スタチンのうち脂溶性のものはCYP3A4や2C9の基質だが、水溶性のロスバスタチンとプラバスタチンはCYPでほとんど代謝されないこと、J-STARS(脳梗塞の二次予防)でプラバスタチンは脳卒中・TIAの再発という主要評価項目には差がなかったがアテローム血栓性脳梗塞を有意に減らし頭蓋内出血は非スタチン群と同等だったこと、米国FDAが小児FHにプラバスタチンを8歳から、他のスタチンを10歳から承認していること。閲覧 2026-10-31
  2. 2.メバロチン錠5/メバロチン錠10/メバロチン細粒0.5%/メバロチン細粒1% 電子添文(医薬品医療機器総合機構(製造販売元 第一三共株式会社)・2023)電子添文の全文を取得して確認した(2023年7月改訂・第2版。YJコード2189010F1039ほか)。効能は高脂血症と家族性高コレステロール血症、成人は1日10 mgを1回または2回に分けて投与し重症では20 mgまで、1日1回なら夕食後が望ましい(メバロン酸の生合成が夜間に亢進するため)こと、禁忌は成分への過敏症の既往と妊婦・妊娠している可能性のある女性・授乳婦の2項目であること、横紋筋融解症を起こしやすい背景(甲状腺機能低下症、遺伝性筋疾患、薬剤性筋障害の既往、アルコール中毒、腎機能障害)と重症筋無力症の悪化、フィブラート系薬剤・シクロスポリン・ニコチン酸との併用注意、重大な副作用(横紋筋融解症、肝機能障害、血小板減少、間質性肺炎、ミオパチー、免疫介在性壊死性ミオパチー、末梢神経障害、過敏症状、重症筋無力症)、小児を対象とした臨床試験は実施していないこと、健康成人で最高血漿中濃度到達約1.1時間・半減期約2.5〜2.7時間・血清蛋白結合率53.1%、肝臓で代謝されるがCYP3A4で代謝されずイトラコナゾール・ジルチアゼム・グレープフルーツジュースの影響を受けないこと、朝投与と夕投与の比較で有効率に有意差がなかったこと(84.4%と91.2%)、MEGA Study(7,832例、平均5.3年)で冠動脈疾患の発症が併用群3.3/千人・年、食事療法単独群5.0/千人・年であったこと、主代謝物の3α-iso体の活性は2%・6-epi体は80%で少量のため未変化体が主な活性体であることを確認した。閲覧 2026-10-31
  3. 3.PRAVASTATIN SODIUM tablets, for oral use — Prescribing Information(DailyMed (NLM) / labeler Aurobindo Pharma Limited(一般名製剤)・2026)DailyMedのSPL全文(2026年9月の版)を取得して確認した。適応は冠動脈疾患のない高LDL-C成人の心筋梗塞・血行再建・心血管死の抑制、冠動脈疾患のある成人の冠動脈死・心筋梗塞・血行再建・脳卒中/TIAの抑制と冠動脈硬化進展の抑制、成人の原発性高脂血症のLDL-C低下、8歳以上のヘテロ接合体家族性高コレステロール血症、成人の原発性異常βリポ蛋白血症・高トリグリセリド血症であること、成人の開始量は40〜80 mg 1日1回で食事の影響を受けず1日のどの時間でもよいこと、小児は8〜13歳で20 mg・14〜18歳で40 mgから、高度の腎障害では10 mgから開始し最大40 mg、シクロスポリン併用では10 mgから開始し最大20 mg、クラリスロマイシン・エリスロマイシン併用では最大40 mg、ゲムフィブロジルは併用を避けること、胆汁酸吸着薬は1時間前または4時間後に服用すること、禁忌は急性肝不全または非代償性肝硬変と過敏症であること、ミオパチー(CK 10倍超の筋症状)は臨床試験で0.1%未満でありリスク因子が65歳以上・甲状腺機能低下症・腎障害・併用薬・高用量であること、HbA1cと空腹時血糖の上昇、妊娠が判明したら中止するか治療上の必要性を考慮し授乳は勧められないこと、OATP1B1の基質、経口吸収率34%・絶対的バイオアベイラビリティ17%・食事でAUC 31%低下とCmax 49%低下だが脂質低下効果は同等、就寝時投与は朝投与より全身曝露が60%低いが夕方投与の方がわずかに有効(有意差なし)、蛋白結合約50%、肝初回通過の抽出率0.66、半減期1.8時間、尿中約20%・糞中70%、3α-ヒドロキシ異性体の活性は親化合物の1/10〜1/40、WOSCOPS(6595例・40 mg・中央値4.8年)で初回冠動脈イベントが31%減少、LIPID(9014例・40 mg・平均5.6年)で冠動脈死が24%・総死亡が23%減少したことを確認した。閲覧 2026-10-31