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Drug Atlas · B25 GI & hepatobiliary drugs / 消化器・肝胆道薬

パンクレリパーゼ

pancrelipase

分類
GI & hepatobiliary drugs / 消化器・肝胆道薬
商品名(日本)
リパクレオン
商品名(EU)
Creon
科目
Pharmacology
トピック
B25: Drugs used in constipation (laxatives) and diarrhea. Drugs promoting digestion. Pharmacology of liver and biliary tract
承認適応
膵外分泌不全慢性膵炎嚢胞性線維症
副作用
腹痛悪心下痢便秘
監視検査値
尿酸
影響検査値
尿酸

🧠 全体像:は、ブタ膵臓から抽出したリパーゼ・プロテアーゼ・の混合物で、で足りなくなったを口から補う(PERT)の主薬である。体内に吸収される薬ではなく、食べ物と一緒に十二指腸へ届いて、そこで脂肪・蛋白質・を分解することが働きのすべてである。実地の要点は、①の被膜を壊さず(噛まない)、②食事に合わせて服用し、③用量をリパーゼ活性で調整し、④効かないときは「量が足りているか」を最初に疑う、の4点になる1。

薬効群の中での位置づけ

PERTは消化管内で完結する「置き換え」の治療で、を狙う薬とは性格が違う。呼び名は文献により異なり、欧州のガイドラインは主にパンクレアチン、米国の添付文書はと書くが、どちらもブタ膵臓の抽出物で、リパーゼ活性で標識される12。

項目 内容
第一選択 製剤(特にパンクレアチン)がの第一選択(1)
望ましい剤形 小粒径の(食物とよく混ざり、胃から食物と一緒に排出されやすい)
由来 ブタが一般的。服用前に患者へ説明する。非ブタ由来の製剤はでを達成せず、植物・真菌由来は有効性が確立していない
被膜のない製剤 酸で失活するため、の併用が必要
製品間の互換性 製品ごとに酵素含量が違うため、米国の添付文書は「他の製剤で代用しない」とし、切り替えるときは症状を見て用量を調整するよう求める

機序

flowchart TD
    A["膵疾患・膵切除などで<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='pancreatic enzyme'>膵酵素</span>の分泌が減る"] --> B["食物と酵素が混ざらず<br>脂肪・蛋白質の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dyspepsia (indigestion)'>消化不良</span>"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='steatorrhea'>脂肪便</span>・体重減少・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='malnutrition'>栄養障害</span>"]
    D["食事に合わせて<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='enteric-coated pellets'>腸溶性ペレット</span>を服用"] --> E["胃の酸から酵素を被膜が守る"]
    E --> F["十二指腸でpHが5.5以上になり<br>被膜が崩壊"]
    F --> G["食物と混ざった状態で<br>酵素が放出される"]
    G --> H["脂肪・蛋白質・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='starch'>デンプン</span>を分解"]
    H --> I["吸収が改善し<br>症状と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Malnutrition or obesity'>栄養状態</span>が回復"]

リパーゼは脂肪をとへ、プロテアーゼは蛋白質をペプチドとアミノ酸へ、はをや麦芽糖へ分解する。は胃酸で失活するため、製剤にはの被膜が施されている23。

薬物動態

  • 酵素は消化管からほとんど吸収されない。作用部位はで、CYPやトランスポーターの基質でもないため、これらを介した薬物相互作用は想定されない2。
  • そのため、妊娠中も胎児への曝露は想定されないと米国の添付文書は述べる。国内では、治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ妊婦に投与する。

適応

地域 適応
米国 成人・小児のの治療2
日本 におけるの補充。の、膵切除、嚢胞性線維症等を原疾患とし、等の症状を呈する患者に投与する3

臨床成績

  • 嚢胞性線維症(米国、クロスオーバー):7〜43歳、脂肪4,000リパーゼ単位/g/日をで投与したところ、脂肪吸収係数は、12〜43歳の群で89%(49%)、7〜11歳の群で83%(47%)に上昇した2。
  • 国内第III相:または膵切除の患者で、7日間の投与前後の脂肪の改善はプラセボ群8.5%、1,800 mg/日群27.4%だった。52週までの長期試験では栄養指標が改善・維持される傾向が示された3。

用法・用量

用量はリパーゼ活性で考える。国内の添付文書はFIP単位、米国はUSP単位で表示するので、単位をまたいで数値を比べない。

地域・出典 用法・用量
欧州ガイドライン(成人) 主食事にリパーゼ40,000〜50,000単位、間食にはその半量(20,000〜25,000単位)1
欧州ガイドライン(小児・乳児) 小児は500〜2,500単位/kg/食、または500〜4,000単位/g脂肪/日。乳児は授乳または100〜120 mLあたり5,000単位
4歳以上は500単位/kg/食から開始。・膵切除後の成人は500〜1,000単位/kg/食。12か月超〜4歳未満は1,000単位/kg/食。2,500単位/kg/食、10,000単位/kg/日、4,000単位/g脂肪/日を上限の目安とする2
日本(リパクレオン) 1回600 mgを1日3回、に投与し、年齢・体重・食事量・内容・回数を考慮して増減する3
  • 欧州ガイドラインは食事および間食とともに服用するとし、国内の添付文書はと記載する。いずれも「食物と一緒に腸管へ届ける」ことが目的である。
  • 噛んだり砕いたりしない。被膜が壊れると、口腔粘膜を刺激し、酵素が失活する。カプセルを飲み込めない場合は、内容物をpH 4.5以下の軟らかい食品(アップルソース、バナナ、ヨーグルト)に振りかけ、噛まずに服用する(米国)。
  • 酵素は吸湿で活性が下がるため、顆粒やカプセルは服用直前まで分包・PTPシートから出さない。
  • 反応が不十分なとき:まずと投与法を確認する。そのうえで開始量の2〜3倍まで段階的に増量し、必要ならを追加し、症状が似た他疾患を除外する。酵素の最大用量は定まっていない1。

禁忌・注意

禁忌

国 禁忌
日本 本剤の成分に対する過敏症の既往/ブタ蛋白質に対する過敏症の既往3
米国 なし。ただしブタ蛋白への過敏症の既往がある患者は過敏反応を監視する2

重要な注意

  • ⚠️ :高用量を長期に使った、嚢胞性線維症の小児に多い稀で重い副作用である。米国では6,000単位/kg/食を超える用量が12歳未満での結腸狭窄と関連した。上限の目安を超えて使うのは、の改善などで有効性が確認できる場合に限り、高用量中は症状を頻回に確認する。国内も、嚢胞性線維症で体重1 kgあたり1日150 mgを超える用量で注意を求めている。
  • ⚠️ ブタ由来:ブタ蛋白への過敏症(アナフィラキシー、喘息、じんま疹、そう痒)が報告されている。ブタ由来のウイルスが人に感染する理論的リスクも完全には排除できないが、感染伝播の報告はない。
  • :製剤はプリン体を含み、高用量で・が報告されている。痛風、腎障害、のある患者では尿酸をモニターする。
  • 口腔粘膜の刺激:噛んだり、pHの高い食品に混ぜたりすると、被膜が壊れて起こる。乳児では口に薬が残っていないか確認する。

副作用

分類 主な症状・所見
消化器(高頻度) 腹痛、異常便、、排便回数の増加、悪心、嘔吐、下痢、便秘、。多くは原疾患の症状と区別しにくい23
・膵切除後の成人で高血糖・低血糖(米国ので4%以上)
嚢胞性線維症の小児 嘔吐、、食欲低下、咳、めまい
過敏症 そう痒、発疹、じんま疹。重い場合はアナフィラキシー
AST・ALT・γ-GTP・LDH・ALPの上昇、BUN上昇、血中カリウム増加、(国内で頻度不明)。高用量では尿酸の上昇に注意
重大・まれ (大量投与)

欧州ガイドラインは、PERTに重大な副作用はなく報告される症状の多くは原疾患に一致する一方、嚢胞性線維症で高用量を使う場合や合併症がある場合は綿密な観察が必要としている1。

まとめ

は、ブタ由来のリパーゼ・プロテアーゼ・をにして、食事に合わせて十二指腸へ届けるの主薬で、の第一選択である。体内にはほとんど吸収されず、用量はリパーゼ活性で決め(欧州では成人の主食事に40,000〜50,000単位、間食はその半量)、噛まずに食事と一緒に服用する。効かないときは遵守と量を確認し、2〜3倍に増量してを追加する。注意点は、(高用量・嚢胞性線維症の小児)、、ブタ蛋白への過敏症で、日本ではブタ蛋白への過敏症が禁忌になっている。

出典

  1. 1.European guidelines for the diagnosis and treatment of pancreatic exocrine insufficiency: UEG, EPC, EDS, ESPEN, ESPGHAN, ESDO, and ESPCG evidence-based recommendations(United European Gastroenterology Journal・2025)全文(PMC11866322)を閲覧。膵酵素製剤(特にパンクレアチン)が第一選択(Statement 3.3.1)で小粒径の腸溶性ペレットが望ましく(3.3.2)、ブタ由来が一般的で服用前に患者へ説明すること(3.3.3)、被膜は十二指腸のpH 5.5以上で崩壊して酵素を放出し被膜のない製剤では酸分泌抑制が必要であること、非ブタ由来製剤は第III相で主要評価項目を達成せず植物・真菌由来の有効性は未確立であること、成人の開始量が主食事でリパーゼ40,000〜50,000単位・間食でその半量で、小児は500〜2,500単位/kg/食または500〜4,000単位/g脂肪/日、乳児は授乳または乳児用調製乳100〜120 mLあたり5,000単位であること(3.4)、食事および間食とともに服用すること(3.5)、反応不十分なら遵守と投与法を確認し開始量の2〜3倍への増量とプロトンポンプ阻害薬の追加を行い最大用量は定まっていないこと(3.7)、PERTは重大な有害作用と関連せず嚢胞性線維症の高用量などでは綿密な観察が必要であること(3.8)を確認した閲覧 2026-11-01
  2. 2.CREON (pancrelipase) capsule, delayed release — Prescribing Information(DailyMed (NLM) / AbbVie Inc.・2024)米国添付文書(Revised 2/2024)で、適応が成人・小児の膵外分泌不全の治療であること、禁忌がなく、用量がリパーゼ単位で表され開始量が4歳以上の成人・小児で500 U/kg/食・慢性膵炎または膵切除後の成人で500〜1,000 U/kg/食・12か月超〜4歳未満で1,000 U/kg/食、上限が2,500 U/kg/食・10,000 U/kg/日・4,000 U/g脂肪/日であること、間食は食事の約半量とすること、他の膵酵素製剤で代用しないこと、噛まずに服用し飲み込めない場合は内容物をpH 4.5以下の軟らかい食品に振りかけること、警告が線維化性結腸症(6,000 U/kg/食超で12歳未満に結腸狭窄)・口腔粘膜刺激・高尿酸血症・ウイルス伝播の理論的リスク・ブタ蛋白への過敏症であること、酵素は消化管からほとんど吸収されずCYPやトランスポーターの基質でないこと、嚢胞性線維症の第3相クロスオーバー試験で脂肪吸収係数が89%対49%・83%対47%に改善したことを確認した閲覧 2026-11-01
  3. 3.リパクレオン顆粒300mg分包/リパクレオンカプセル150mg 電子添文(ヴィアトリス製薬(日本の添付文書)・2025)2025年3月改訂(第3版)の電子添文で、効能が「膵外分泌機能不全における膵消化酵素の補充」で非代償期の慢性膵炎・膵切除・膵嚢胞線維症等を原疾患とし脂肪便等の症状を呈する患者に投与すること、用法が1回600 mgを1日3回食直後で適宜増減すること、禁忌が成分およびブタ蛋白質への過敏症の既往であること、活性値がFIP単位で示されていること、嚢胞線維症で1日体重1 kgあたり150 mgを超える用量では回盲部・大腸の狭窄(線維化性結腸疾患)に注意すること、砕いたり噛んだりしないこと、国内第III相の二重盲検試験(7日間)で脂肪吸収率の改善がプラセボ群8.5%・1,800 mg/日群27.4%であったこと、長期試験(最大52週)で栄養指標が改善・維持される傾向があったこと、吸湿で酵素活性が低下するため服用直前まで包装から出さないことを確認した閲覧 2026-11-01