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Drug Atlas · B21 Bronchodilators / 気管支拡張薬

ビランテロール

vilanterol

分類
Bronchodilators / 気管支拡張薬
商品名(日本)
レルベア(フルチカゾンフランカルボン酸エステル配合)アノーロ(ウメクリジニウム配合)テリルジー(フルチカゾンフランカルボン酸エステル・ウメクリジニウム配合)
商品名(EU)
Relvar ElliptaAnoro ElliptaTrelegy Ellipta
科目
PharmacologyClinical PharmacologyPulmonology and Thoracic Surgery
トピック
B21: Selective β2-stimulants and other bronchodilators33: COPD15: Inhalation pharmacotherapy
承認適応
慢性閉塞性肺疾患気管支喘息
副作用
動悸振戦頭痛
監視検査値
カリウム血糖
影響検査値
カリウム血糖
相互作用
クラリスロマイシンケトコナゾール

🧠 全体像:は、のを選択的かつ強力に刺激する(ultra-LABA)である。などのLABAが1日2回吸入を要したのに対し、は24時間にわたる持続的な気管支拡張効果を持ち、1日1回吸入で管理できる点が最大の特徴である。医学生が臨床で押さえるべき重要規則は、単剤の吸入薬は存在せず、必ず薬(ICS)または(LAMA)との配合剤として処方される点である。喘息治療におけるLABA単独投与はを増大させるため厳禁であり、は常にICS等と一体化した(エリプタ製剤)で安全に供給される。

薬効群の中での位置づけ

管支拡張薬はと分子標的によって分類される。はultra-LABAに位置づけられる。

系統 代表薬 作用発現 主な臨床的用途
短時間作用性β2作動薬(SABA) 数分以内(速効) 4〜6時間 急性発作時の頓用(薬)
長時間作用性β2作動薬(LABA) 10〜20分 約12時間 1日2回の長期管理・維持療法
速効・長時間作用性β2作動薬 数分以内(速効) 約12時間 1日2回維持療法、またはSMART療法
(ultra-LABA) 、 速やか(数分〜15分) 24時間以上 1日1回の維持療法(配合剤として)
(LAMA) 、 緩徐 24時間 COPDおよびの気管支拡張

は単剤ではされず、以下の3種ののとして広く用いられている。

  1. ICS/LABA配合剤(フランカルボン酸エステル/:レルベア/Breo)
  2. LAMA/LABA配合剤(/:アノーロ/Anoro)
  3. ICS/LAMA/LABA三剤配合剤(フランカルボン酸エステル//:テリルジー/Trelegy)

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vilanterol'>ビランテロール</span>吸入投与<br>(1日1回)"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='airway smooth muscle'>気道平滑筋</span>のβ2<span class='jp-term jp-term-diagram' title='adrenergic receptor, adrenoceptor'>アドレナリン受容体</span>に結合"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Gs protein'>Gs蛋白質</span>共役・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='adenylyl cyclase, AC'>アデニル酸シクラーゼ</span>活性化"]
    C --> D["細胞内cAMP産生増加"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='protein kinase A (PKA)'>プロテインキナーゼA</span>(PKA)活性化"]
    E --> F["細胞内Ca2+低下および<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myosin light chain kinase (MLCK)'>ミオシン軽鎖キナーゼ</span>不活性化"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='airway smooth muscle'>気道平滑筋</span>の弛緩・気管支拡張(24時間持続)"]
    B --> H["肥満細胞からの化学<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neurotransmitter release'>伝達物質遊離</span>抑制"]
    A -.->|"全身血流へわずかに移行"| I["心筋・骨格筋刺激(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='palpitations'>動悸</span>・振戦・低K血症)"]

はヒトに対して高い選択的親和性を持つ。のに結合すると、を介してを活性化しcAMPを増加させる1。上昇したcAMPはPKAを活性化し、細胞内カルシウム濃度低下と抑制を介してを強力かつ持続的に弛緩させる。の分子は脂溶性の高い長い側鎖を持ち、細胞膜のマイクロドメインに留まることで24時間に及ぶ持続作用を発揮する。

薬物動態

項目 特徴・数値1
吸収 肺組織から速やかに吸収。Tmaxは約5〜15分。吸入時のは約27%
分布 は約94%。全身組織へ広く分布
代謝 主に肝臓のCYP3A4で代謝され、低活性・へ変換される
排泄 糞便中に約30%、尿中に約70%が代謝物として排泄される
吸入後の見かけのは約21時間(1日1回投与を支持)

適応

配合剤の成分として以下の適応を有する1。

⚠️ 急性発作()には適応がない。 急性発作にはSABAを使用する。

SUMMIT試験

中等症COPDかつ心血管高リスク患者16,485例を対象としたSUMMIT試験では、フランカルボン酸エステル/はを有意に下げるには至らなかった(0.88、P=0.137)が、肺機能(FEV1)低下を抑制しを有意に減少させた2。心血管イベントの増加はなく良好な安全性が示された。

用法・用量

専用(エリプタ)を用いて吸入する1。

疾患 用法・用量
COPD維持療法 1日1回一定時刻に25 µg(配合剤として)を吸入
喘息維持療法 1日1回一定時刻に25 µg(ICS配合剤として)を吸入

1日1回を超える吸入はβ刺激副作用のリスクを急増させるため避ける。

禁忌・注意

重要な警告

  • ⚠️ における単独投与の禁止:喘息でLABAを単独投与するとや入院のリスクが有意に増加する。そのため喘息に対しては必ず十分な用量のICSと併用して投与しなければならない。は単剤製品が存在せず合剤としてのみ提供されるが、処方上の大原則である。
  • ⚠️ 急性発作への不適応:やCOPDの呼吸困難に対して頓用してはならない。

重要な注意点と副作用

  • への影響:β刺激作用により心拍数増加、、、不整脈、QT延長をきたすことがある。や高血圧、不整脈の患者では慎重に投与する。
  • および高血糖:カリウムの細胞内移行によるやに注意する。
  • :吸入直後にが出現した場合は直ちに中止しSABAで処置する。

相互作用

併用薬 相互作用の内容と機序1
強いCYP3A4阻害薬(、など) 代謝阻害により血中濃度が上昇し、・振戦などのβ刺激副作用が増大しうる
β遮断薬(非選択性など) 気管支拡張作用の減弱および重篤なの誘発リスク
カリウム排泄型利尿薬 のリスクが増大

副作用

分類 主な症状・所見1
(配合剤) 、嗄声、(ICSによる)、咳
、頻脈、不整脈、、
神経系 頭痛、振戦、めまい
代謝 、高血糖

まとめ

は、24時間持続する強力な気管支拡張作用を持つ1日1回吸入の(ultra-LABA)である。喘息でのの危険性を防ぐため単剤製品は存在せず、ICSまたはLAMAとの合剤(エリプタ)としてのみ使用される。速やかな作用発現と1日1回の利便性により、喘息・COPDの吸入維持療法の中核を担う。

出典

  1. 1.BREO ELLIPTA (fluticasone furoate and vilanterol trifenatate) inhalation powder — Prescribing Information(DailyMed (NLM) / GlaxoSmithKline LLC・2026)米国添付文書(SPL)で確認した。ビランテロールは超長時間作用性β2受容体作動薬(LABA)であり、気管支喘息およびCOPDの維持療法として1日1回吸入投与されること、単剤での販売はなく吸入ステロイドや抗コリン薬との配合剤として使用されること、急性気管支攣縮の寛解(レスキュー)には適応がないこと、気管支喘息におけるLABA単独投与は喘息関連死のリスクを高めるためICS併用が必須であること、CYP3A4基質であり強いCYP3A4阻害薬(ケトコナゾール等)との併用で全身曝露と心血管系副作用のリスクが増加すること、β刺激作用による動悸・頻脈・不整脈・振戦・低カリウム血症・高血糖に注意を要することを確認した。閲覧 2026-11-01
  2. 2.Fluticasone furoate and vilanterol and survival in chronic obstructive pulmonary disease with heightened cardiovascular risk (SUMMIT): a double-blind randomised controlled trial(The Lancet・2016)心血管疾患またはその高リスクを有する中等症COPD患者16,485例を対象とした多施設無作為化プラセボ対照二重盲検試験(SUMMIT)で、フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ビランテロール配合剤(100/25 µg、1日1回)は全死亡率を有意に低下させなかった(ハザード比0.88、95%信頼区間0.74-1.04、P=0.137)ものの、FEV1の年間低下率を抑制し中等度から重度のCOPD急性増悪を有意に減少させたこと、心血管有害事象の増加は認められず良好な心血管安全性が示されたことを確認した。閲覧 2026-11-01