臨床薬理学

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COPDの薬物療法

COPD

前提:病態
選択的β2刺激薬およびその他の気管支拡張薬気管支抗炎症薬・鎮咳薬・去痰薬

🧠 全体像:COPDの薬物療法は「長時間作用性のが土台、ICSは増悪歴と数で選んでする」という構造をもつ。喘息とは主従が逆である。初期治療は増悪歴と症状によるA・B・E群で決め、その後は「呼吸困難が残るのか、増悪が続くのか」というで調整する。増悪時は短時間作用性、短期の全身ステロイド、適応を絞った抗菌薬で対処する。 2023年版の骨格は2026年版でも同じだが、E群の入口が低くなり、生物学的製剤などの選択肢が加わった。

診断

次のいずれかがある患者では、を考える。

  • 呼吸困難
  • 慢性の咳または喀痰
  • の反復
  • 危険因子(喫煙、、の粉じんなど)への曝露歴

診断にはが必須で、(か、またはその両方)の吸入後に/が0.70未満であれば、持続性のがあると確定する。1回の測定で比が0.60〜0.80なら別の機会に再検し、0.60未満なら自然に0.70を超えることはまれである1。

💡 を吸ってから測るのは、薬で戻る部分を除いて「戻らない閉塞」を見るためである。 はここでは治療薬ではなく、診断のための薬理学的な負荷として使われている。

重症度の総合評価

評価は4つの手順で行う。

  1. での重症度を判定する( 1〜4)。
  2. 呼吸困難をmMRCで、または症状全体をCATで評価する。
  3. 過去1年の増悪の回数と重症度を記録する。
  4. /CATと増悪歴から患者群(A・B・E)を決める。

気流閉塞の重症度

/が0.7未満の患者を、投与後のの予測値に対する割合で分ける(分類)。

グレード 重症度 (予測値比)
1 軽度 80%以上
2 中等度 50%以上80%未満
3 高度 30%以上50%未満
4 最重度 30%未満

の正常値は人によって違うため、実測値を、同じ年齢・人種・身長・性別の平均的な健康人の基準から求めた予測値と比べる。この「人種」の項目については見直しが進み、現行のは人種・民族を区別しないGLI-Global式を基準の予測式として勧めている。人種補正が重症度の過小評価や、栄養不良・小児期の疾患が肺の発育に及ぼした影響の「正常化」につながるという指摘による2。

A・B・E群

過去1年の増悪歴 0〜1かつCAT 10未満 2以上またはCAT 10以上
2回以上、または入院に至った増悪1回以上 E群 E群
0〜1回(入院に至らない) A群 B群

2023年版は、旧ABCD分類のC群とD群をまとめてE群とし、症状の程度にかかわらず増悪の重みを示した1。

論点 2023年版 2026年版
E群の入口 2回以上、または入院に至った増悪1回以上 中等度または1回以上。1回のでもその後の増悪が増えるという観察研究による
A・B群 0〜1回(入院なし) 中等度・0回
症状の CAT 名称がに改められた(得点の区切りは10のまま)

出典:2026年版欄は2

💡 のグレードで薬を選ばないのはなぜか。 はかつての重症度も総合評価に入れていたが、集団では予後と相関しても個々の患者の転帰を予測する精度が低く、分類を複雑にするだけだったため外した2。薬の選択を決めるのは「症状(呼吸困難)」と「増悪」である。

⚠️ の程度と症状が大きく食い違う場合は、肺の力学・構造と併存症を詳しく評価する(例えば軽い閉塞なのに強い呼吸困難なら、心不全・貧血・肺高血圧などを探す)。

flowchart TD
  A["呼吸困難・慢性の咳や痰<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='lower respiratory tract infection'>下気道感染</span>の反復・危険因子の曝露"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bronchodilator'>気管支拡張薬</span>投与後の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='spirometry'>スパイロメトリー</span>"]
  B --> C{"FEV₁/FVC < 0.70?"}
  C -->|"いいえ"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic obstructive pulmonary disease'>COPD</span>とは確定しない<br>境界例は再検"]
  C -->|"はい"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease'>GOLD</span> 1〜4<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='forced expiratory volume in one second'>FEV₁</span>の予測値比"]
  E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='modified Medical Research Council dyspnea scale'>mMRC</span>かCATで症状を評価"]
  F --> G["過去1年の増悪歴"]
  G --> H{"増悪の基準を満たす?"}
  H -->|"はい"| I["E群"]
  H -->|"いいえ"| J{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='modified Medical Research Council dyspnea scale'>mMRC</span> 2以上<br>またはCAT 10以上?"}
  J -->|"はい"| K["B群"]
  J -->|"いいえ"| L["A群"]

初期の薬物療法

群 初期治療 補足
全員 発作治療用の短時間作用性 すぐに症状を和らげるため、維持薬とは別に処方する
A群 1剤(短時間作用性でも長時間作用性でもよい) 多くの患者では長時間作用性が望ましいが、呼吸困難がごくまれな患者は例外。効果が確認できれば続ける
B群 + 併用が適切でなければかの1剤。どちらを優先すべき根拠は無く、患者が感じる症状の軽減で選ぶ。強いがある患者では2剤のを考慮してよい、という旧来の記載もある
E群 + が300/µL以上なら++ICSを考慮
  • +などの併用は、1つの吸入器にまとめた単一吸入器療法のほうが、複数の吸入器より簡便で効果的でありうる。
  • 表の「増悪」は1年あたりの回数を指す。

2023年版は、B群の初期治療を単剤から2剤のへ改め、E群でも同じ2剤を基本とし、好酸球300/µL以上なら三剤での開始を考慮できるとした1。

2026年版は、この骨格を保ったまま次の条件と注意を明記している2。

群 2026年版での補足
A群 長時間作用性の優先は「入手でき費用が許すなら」
B群 +は入手性・費用・副作用に問題が無い限り推奨される初期選択。B群は併存症が症状と予後に影響しやすく、探して治療する
E群 +ICSは勧めない。ICSの適応があれば、+ICSより優れる++ICSを選ぶ。喘息を併存すれば喘息として治療し、ICSは必須
単一吸入器 単一吸入器はも改善する

💡 とを併用する理由。 はのβ₂受容体からを増やして平滑筋を弛緩させ、はへのアセチルコリンの作用を遮って収縮を防ぐ。では迷走神経の緊張がに大きく寄与するので、の異なる2剤を足すと効果がされる。

COPDで使う薬の臨床薬理

分類 代表薬 押さえる有害事象・相互作用
SABA 、、 β₂刺激で安静時、感受性のある患者で不整脈、高齢者の振戦。はとの併用で起こりやすい
SAMA 口渇。苦い金属のような味。との併用はそれぞれ単独よりと症状を改善する
LABA 、(1日2回)、、、(1日1回) と同じ系統の有害事象。では吸入後の咳。ではβ₂刺激薬と肺機能低下・死亡増加との関連は報告されていない
LAMA 、、、 吸収が少なく安全性は高い。主な副作用は口渇。で溶液を吸入すると、目に触れて急性緑内障を起こしうる。より増悪の減少効果が大きい
・と併用するICS 、など 定期使用で肺炎が増え、重症例で目立つ。2%未満も肺炎の危険因子。ICS単剤では長期の低下も死亡も変えない
(経口1日1回) 直接の気管支拡張作用は無い。下痢、悪心、食欲低下、体重減少(平均2 kg)、腹痛、睡眠障害、頭痛。体重を監視し、の患者では避け、うつ病では慎重に使う
マクロライド アジスロマイシン(1日250 mgまたは週3回500 mgを1年) 細菌の耐性化、延長、聴力検査の悪化。1年を超える有効性・安全性のデータは無い
治療域が狭く、効果はの近くでしか出にくい。心房・、けいれん。、、、、、との相互作用(アジスロマイシン、、は影響しにくい)

出典:2

フォローアップの薬物療法

すでにを受けているすべての患者に、当初の群にかかわらず適用する。まず反応を「見直し・評価」し(症状と増悪、と、、他の疾患)、必要なら「調整」する。呼吸困難と増悪の両方を狙う必要があれば、増悪の経路を使う2。

GOLD 2023年版のアルゴリズム

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='maintenance therapy'>維持治療</span>中で<br>呼吸困難または増悪が残る"] --> B{"主な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='treatable traits'>治療可能特性</span>は?"}
  B -->|"呼吸困難"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='long-acting beta2-agonist'>LABA</span>か<span class='jp-term jp-term-diagram' title='long-acting muscarinic antagonist'>LAMA</span>の単剤"]
  C --> D["LABA+LAMAへ"]
  D --> E["吸入デバイスか薬剤分子の変更<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='Non-pharmacological'>非薬物療法</span>の導入・強化<br>呼吸困難の他の原因を検索・治療"]
  B -->|"増悪"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='long-acting beta2-agonist'>LABA</span>か<span class='jp-term jp-term-diagram' title='long-acting muscarinic antagonist'>LAMA</span>の単剤"]
  F -->|"好酸球 300未満"| G["LABA+LAMA"]
  F -->|"好酸球 300以上"| H["LABA+LAMA+ICS"]
  G -->|"好酸球 100以上"| H
  G -->|"好酸球 100未満"| I["次の追加を検討"]
  H -->|"なお増悪"| I
  H -.->|"肺炎など大きな副作用<br>ICSの減量"| G
  I --> J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='roflumilast'>ロフルミラスト</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='forced expiratory volume in one second'>FEV₁</span> 50%未満かつ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic bronchitis'>慢性気管支炎</span>"]
  I --> K["アジスロマイシン<br>できれば元喫煙者で"]
  • 呼吸困難が続く:単剤なら+の併用へ。併用でも残るなら、吸入デバイスか薬剤分子の変更を勧める。あわせて(など)を始めるか強め、呼吸困難の以外の原因を探して治療する。
  • 増悪が続く:単剤なら+へ。好酸球が300/µL以上なら単剤から直接++ICSへ進める。
  • +で増悪が続く場合の分岐は好酸球100/µLである。100以上ならICSを足して三剤に、100未満ならかアジスロマイシンを検討する。
  • ++ICSでもなお増悪するなら、( 50%未満かつ)かアジスロマイシン(とくに元喫煙者)を加える。アジスロマイシンでは耐性化の危険を考える。
  • 三剤から+へ戻る矢印はICSの減量を表す。肺炎などの大きな副作用があれば考慮できるが、好酸球300/µL以上では減量後に増悪しやすい1。

💡 がICSの効き目の目安になる理由。 好酸球性の気道炎症はステロイドによく反応する炎症なので、ICSの増悪予防効果は数と連続的に関連する。100/µL未満ではほとんど効果が無く、300/µL以上が最も利益を得やすい。逆に好酸球が少ない患者では、ヘモフィルスなどの細菌が気道に多く、細菌感染と肺炎が増える傾向がある2。そこへICSを足しても、増悪予防の利益は乏しく肺炎の危険だけがされやすい。

GOLD 2026年版での違い

論点 2023年版 2026年版
呼吸困難の経路 デバイス・分子の変更、、他の原因の検索 同じ3つに、入手できればの追加が加わった
三剤でも増悪 かアジスロマイシン 2回か1回があり、かつ好酸球300/µL以上なら生物学的製剤(があれば、有無を問わず)も選択肢
の条件 50%未満かつ 同じ2条件に加え、+からは入院に至った増悪の既往、三剤からはの既往
アジスロマイシン できれば元喫煙者で 図は「できれば元喫煙者で」のまま、本文は「現在喫煙していない患者で」と書く
ICSの減量 アルゴリズム上の戻りの矢印 注記として同じ内容。ICSを外すのは、開始が不適切だった、反応が無い、大きな副作用や重症・反復性の肺炎がある場合に限る

出典:2026年版欄は2

ICSを加えるかどうかを考えるとき、 2026年版は次の因子を並べる。による適切なを行っていても増悪する場合の目安で、は連続量として扱い、変動しうる2。

判断 因子
強く使う方向 増悪による入院歴、年2回以上の、300/µL以上、喘息の既往・併存
使う方向 年1回の、100以上300/µL未満
使わない方向 肺炎の反復、100/µL未満、抗酸菌感染の既往

2026年版の全体の流れと、生物学的製剤・の詳細は喘息との薬物療法を参照。

増悪の管理

の増悪は呼吸器症状の急性の悪化で、主にウイルス感染が引き金となり、細菌や物質によることは少ない。

治療内容による従来の重症度分類

重症度 治療 補足
軽症 短時間作用性(単独、または+) —
中等症 短時間作用性+抗菌薬との一方または両方 全身ステロイドを5〜7日使うと、と酸素化が改善し入院期間が短くなる。適応があるときの抗菌薬5〜7日は、入院期間を短くし早期再発の危険を減らす
重症 入院、酸素投与 傾眠、の低下、、チアノーゼ、重い併存症、在宅支援の不足がある

⚠️ (、)の静注は勧めない。 効果が乏しく副作用が大きい2。

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic obstructive pulmonary disease'>COPD</span>患者の症状の急性悪化"] --> B["短時間作用性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bronchodilator'>気管支拡張薬</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='short-acting β2-agonist'>SABA</span>単独か<span class='jp-term jp-term-diagram' title='short-acting β2-agonist'>SABA</span>+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='short-acting muscarinic antagonist'>SAMA</span>"]
  B --> C{"重症度"}
  C -->|"軽症"| D["短時間作用性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bronchodilator'>気管支拡張薬</span>のみ"]
  C -->|"中等症"| E["全身ステロイド5〜7日<br>適応があれば抗菌薬5〜7日"]
  C -->|"重症<br>傾眠・低酸素・呼吸不全<br>チアノーゼ・重い併存症・支援不足"| F["入院・酸素投与"]
  E --> G["回復後に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='long-acting bronchodilator (LABA/LAMA)'>長時間作用性気管支拡張薬</span>を<br>開始・最適化して再発を予防"]
  F --> G
  D --> G

現行の考え方との違い

「どの治療をしたか」で重症度を後から決める分類は、には使えても治療を選ぶ現場では役に立たない。は2023年版から、呼吸困難の視覚的評価尺度・呼吸数・心拍数・SaO2・と、得られればで受診時に判定するローマ提案を採用した1。項目と閾値はを参照。

論点 従来の整理 現行(2026年版)
全身ステロイド 5〜7日 換算40 mg/日を5日(章の要点では「最長5日」)。経口は静注と同等。短期の使用でも後の肺炎・敗血症・死亡の増加と関連するので、意味のある増悪に限る
抗菌薬の適応 適応があるとき(「主に元喫煙者で」とする記述もある) 喀痰膿性化を含む2つ以上(呼吸困難の増悪、発熱、喀痰量の増加、喀痰膿性化)、過去の増悪で陽性、人工呼吸(侵襲的・非侵襲的)を要する
抗菌薬の期間 5〜7日 本文では5〜7日とし、外来では5日以下を勧める。章の要点では「合計5日」とまとめている
抗菌薬の選択 — 地域の耐性状況に基づき、配合、マクロライド、テトラサイクリン、選択例でキノロン
— をできるだけ早く開始する。中等度・があり好酸球が高ければ、退院時に2剤のへICSの追加を考える

出典:現行欄は2

⚠️ 喫煙状況が条件になるのは、急性期の抗菌薬ではない。 現行のの抗菌薬の適応に、喫煙歴は入っていない。「現在喫煙していない」ことが条件になるのは、増悪予防のためのアジスロマイシン長期投与のほうである2。取り違えやすいので分けて覚える。

非薬物療法

患者群 必須 推奨 地域のガイドラインによる
A群 禁煙(薬物療法を含みうる) インフルエンザ、肺炎球菌、百日咳、、帯状疱疹のワクチン
B群・E群 禁煙(薬物療法を含みうる)、 同上

その他の要点

従来の整理 2026年版の記述
治療の主目標は症状と将来の増悪リスクを減らすこと 同じ
長時間作用性のを短時間作用性より優先する(呼吸困難がまれな患者と、即時の症状緩和は除く) 同じ(エビデンスA)
吸入のを経口より優先する 同じ(エビデンスA)
長時間作用性で始めるなら+が望ましく、単剤で呼吸困難が続けば併用へ 同じ(エビデンスA)
は、他のが手に入らない場合を除き勧めない の気管支拡張効果は小さく(エビデンスA)症状改善もわずか(エビデンスB)。治療域が狭く、効果が出るのはの近くで、不整脈・けいれん・相互作用が多い
クロモン系のネドクロミルと拮抗薬は、で十分に検討されておらず使用を支持する根拠が無い 同じ
ICS単剤やの長期使用は勧めない は長期使用で副作用(ステロイド筋症など)が多く利益の証拠が無いため、慢性の連日治療に役割は無い
作用のあるは選択された患者に限る 同じ(エビデンスA)。エルドステイン、カルボシステイン、の定期投与は選択された集団で増悪を減らす(エビデンスB)
重症の遺伝性で肺気腫が確立した患者は、補充療法の候補になりうる 静注の補充療法は肺気腫の進行を遅らせうる(エビデンスB)。非喫煙者・元喫煙者でが予測値の35〜60%の患者が最も適するとされるが、高価で入手できない国も多い
は勧められない でが有益という決定的な根拠は無い(エビデンスC)
一次性肺高血圧の治療薬は、に続発するには勧めない 同じ(エビデンスB)。は転帰を改善せず酸素化を悪くしうる

出典:2026年版欄は2

💡 がで酸素化を悪くする理由。 では換気の悪い肺胞領域の血管がで絞られ、血流が換気の良い領域へ振り向けられている。はこの調節を外し、換気の悪い領域へ血流を戻すので、の不均等が悪化する。現行は、が同じ理由でガス交換を悪化させでは禁忌とし、はの効果を高めなかったとしている2。

喘息との対比

論点 喘息
治療の土台 のICS
単独の 使わない 全員に処方してよい
単独 使わない 使ってよい
ICSの位置づけ 全ステップで必須 増悪歴と好酸球で選んで(喘息併存なら必須)

喘息のステップ治療は喘息の薬物療法を参照。

まとめ

  • 診断は投与後の/ 0.70未満。のグレード( 1〜4)は重症度の記述に使い、薬の選択には使わない。
  • 初期治療はA・B・E群で決める。A群は1剤、B群とE群は+、E群で好酸球300/µL以上なら三剤を考慮。全員に短時間作用性の発作治療薬を渡す。 2023年版のE群は「2回以上か入院1回以上」、2026年版は「中等度・1回以上」。
  • +ICSは勧めない。ICSが要るなら三剤にする。ICSは肺炎を増やすので、好酸球の少ない患者で漫然と続けない。
  • は呼吸困難と増悪の2経路。増悪の経路は好酸球300(単剤から)と100(+から)で分岐し、その先に( 50%未満・)とアジスロマイシン(現在喫煙していない患者、耐性化・・聴力に注意)、2026年版では生物学的製剤が続く。
  • 増悪は短時間作用性、全身ステロイド(現行は換算40 mg/日を5日)、適応を絞った抗菌薬(5〜7日、外来は5日以下)。静注は使わない。
  • 拮抗薬、ICS単剤やの長期使用、、肺高血圧治療薬は勧めない。は他のが手に入らない場合に限る(効果は小さく、治療域が狭い)。・は選択例、補充は重症欠乏症の肺気腫で考える。

出典

  1. 1.Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease 2023 Report: GOLD Executive Summary(European Respiratory Journal・2023)Europe PMCの全文(PMC10066569)で、2023年版がABCDの旧C群・D群をE群へ統合し症状と増悪の閾値を従来どおりとしたこと、B群とE群の初期治療をLABA+LAMAとし好酸球300以上のE群で三剤を考慮できるとしたこと、気管支拡張薬投与後のFEV1/FVC 0.7未満で診断し1回の測定で0.60〜0.80なら再検、0.6未満なら0.7を超えることはまれとすること、フォローアップを呼吸困難と増悪の2つの治療可能特性で行い、ICSの減量は肺炎など大きな副作用で考慮でき好酸球300以上では増悪を招きやすいとすること、医療資源の使用による増悪の重症度分類を現場では役に立たないとしてローマ提案を採用したこと、全身ステロイドはプレドニゾン換算40 mg/日を5日、抗菌薬は5〜7日とすること、静注メチルキサンチンを勧めないこと、ワクチン(インフルエンザ、肺炎球菌、COVID-19、百日咳、帯状疱疹)を確認した。閲覧 2026-09-26
  2. 2.Global Strategy for the Diagnosis, Management, and Prevention of Chronic Obstructive Pulmonary Disease: 2026 Report(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease (GOLD)・2026)2026年版報告書の全文(図は該当ページを画像として取得して確認)で次を確認した。E群が過去1年の中等度増悪1回でも該当するよう改められたこと(Figure 3.8は中等度または重度増悪1回以上をE群、0回をA・B群とし、症状尺度をCAAT™と表記)、気流閉塞の重症度が個人レベルの予測精度の低さから総合評価から外されたこと、GLI-Global式を基準の予測式として勧めること、A群の長時間作用性優先とB群・E群のLABA+LAMAに入手性・費用・副作用の条件が付くこと、LABA+ICSを勧めず三剤を優先すること、喘息併存ではICS必須、全員に短時間作用性の発作治療薬を処方すること、単一吸入器が服薬遵守を改善するという脚注、Figure 3.9のフォローアップ(呼吸困難経路にエンシフェントリン、増悪経路で単剤からは好酸球300未満でLABA+LAMA・300以上で三剤、LABA+LAMAからは100以上で三剤・100未満でロフルミラストかアジスロマイシン、三剤で中等度2回か重度1回かつ好酸球300以上なら生物学的製剤、ICS減量の脚注)、Figure 3.10のICS追加を考える因子、ICSを外す条件、両方を狙うなら増悪の経路を使うこと、Figure 3.15の非薬物療法(RSVワクチンを含む)、増悪で全身ステロイドはプレドニゾン換算40 mg/日を5日、短期でも肺炎・敗血症・死亡の増加と関連すること、抗菌薬の適応3条件と5〜7日(外来では5日以下)、静注メチルキサンチンを勧めないこと、退院時に好酸球が高ければICS追加を考えること、β2刺激薬・抗コリン薬・ロフルミラスト・アジスロマイシン・テオフィリンの有害事象と相互作用、Figure A3.2〜A3.4(吸入の気管支拡張薬を経口より優先、長時間作用性を短時間作用性より優先、ICSの肺炎リスク、経口ステロイドの長期使用に利益が無いこと、去痰・抗酸化薬は選択例のみ、ネドクロミルとロイコトリエン修飾薬は検討不十分、α1アンチトリプシン補充療法、鎮咳薬の根拠が無いこと、肺高血圧治療薬を勧めないこと)、血管拡張薬が換気血流の調節を乱し吸入一酸化窒素が安定期COPDで禁忌であること。2026-09-27の監査で同じPDFを再取得し、第4章の要点が全身ステロイドを「最長5日」、抗菌薬を「合計5日」とまとめていること、Figure 3.9ではICS減量が矢印ではなく脚注(肺炎など大きな副作用で考慮、好酸球300以上では増悪を招きやすい)として書かれ、アジスロマイシンの枠は「できれば元喫煙者で」、本文は「現在喫煙していない患者で」と書いていることを確認した。閲覧 2026-09-26