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Imaging findings · Published

小脳萎縮

Cerebellar atrophy

臓器系
神経
科目
Neurology
トピック
神経内科 G2-09:小脳の機能系と小脳障害の徴候
関連疾患
ビタミンE欠乏性運動失調症歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症脊髄小脳変性症皮質性小脳萎縮症傍腫瘍性小脳変性

🧠 全体像:という所見そのものは「小脳がやられている」としか言わない非特異的所見である。で重要なのは2点——①正常なは早期の障害を除外しない(特に)、②萎縮の分布パターン(優位か、半球優位か、橋・まで含むか)が原因を絞る手がかりになる、という読み方の枠組みである。

所見の定義

小脳の拡大・狭小化と、それに伴う・小脳延髄槽の拡大で判定する。程度だけでなく、と半球のどちらが優位に萎縮しているかを分けて記載することが鑑別に直結する。

モダリティと写り方

・が評価の標準で、と半球を分離して観察できる。でも高度な萎縮は指摘できるが、早期の軽度萎縮や分布の評価はに劣る。一時点の画像だけでは加齢性の生理的萎縮との境界が曖昧なため、可能なら年齢相応の萎縮度と比較し、経過を追える場合は過去画像との比較を優先する。

分布パターンで鑑別する

分布 示唆する病態
前上部優位(舌葉・中心小葉) アルコール性・性の——、()、など。進行すると後部・隣接する外側半球へ広がる1
半球優位〜(原発) 、慢性フェニトイン中毒、常染色体優性の(SCA各型)
萎縮が先行し、は晩期の所見 ——早期は領域・脳幹・上の容積低下にとどまり、小脳・大脳灰白質の萎縮は病期が進んでから現れる2。小脳が保たれて見えるのに失調が強いという一見矛盾した所見を来す
橋・を含む(を伴う) (MSA-C)。小脳単独ではなく橋を含む点が鑑別点になる—— 2022年基準は臨床的確実MSA-Cのマーカーとして構造(橋および)の萎縮を挙げる一方、⚠️ 小脳単独の萎縮・の亢進はMSA-Cを支持しないと明記している(を呈する他の・遺伝性疾患と重複するため)3

💡 「だけが萎縮しているか、半球まで及ぶか、が先行するか、橋まで巻き込むか」という広がりの軸を意識すると、原因はおおむねこの4群に整理できる。⚠️ 遺伝性は一括りにできない——常染色体優性のSCA各型は小脳そのものが萎縮するのに対し、のは初期にがむしろ保たれる、という逆方向の所見を示す。

評価の進め方

flowchart TD
    A["亜急性〜慢性の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cerebellar ataxia'>小脳失調</span>"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='magnetic resonance imaging'>MRI</span>を撮像"]
    B --> C{"萎縮があるか"}
    C -->|"あり"| D["分布を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vermis'>虫部</span>優位・半球優位・<br>橋を含むかで評価"]
    D --> E["臨床像・自己抗体・遺伝歴と統合"]
    C -->|"正常"| F["⚠️ 早期の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='paraneoplastic cerebellar degeneration'>傍腫瘍性小脳変性</span>を除外しない"]
    F --> G["臨床像から<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neuronal autoantibody'>神経自己抗体</span>・腫瘍検索を進める"]
    G --> H["数か月後に再撮像し進行を確認"]

紛らわしいもの

⚠️ 正常はを除外しない。 発症早期のは通常正常で、萎縮が出現するのは病期が進んでからである4。亜急性に進行する失調で自己抗体・腫瘍検索を進める判断を「画像が正常だから」で崩してはならない。

  • 低形成と萎縮の区別:⭐ 小児例では特に重要な鑑別軸である。萎縮は「一度正常に発達した小脳が後天的に縮んだ」所見であるのに対し、低形成は「発生の時点から小脳が小さい」先天性の所見で、Joubert症候群やなどの発生異常が代表例になる。既往歴(、周産期経過)と可能なら過去画像の有無で区別し、なが確認できて初めて「萎縮」と呼ぶ。
  • 慢性フェニトイン中毒:フェニトインのによる眼振・失調はで可逆的だが、長期高用量への曝露は不可逆なに至ることがあり、可逆な機能性の失調と区別する。
  • 正常加齢:軽度のは加齢でも生じる。年齢不相応の萎縮度、急速な進行、特定分布への偏りがを疑う手がかりになる。
  • の:小脳そのものより橋の十字状が特徴的で、は随伴所見という位置づけになる。

まとめ

  • は非特異的所見で、①正常が早期のを除外しない点、②分布パターン(優位・半球優位・先行・橋を含む)が原因を絞る手がかりになる点の2つがの軸になる。
  • 前上部優位はアルコール性・性、半球優位〜は・常染色体優性のSCA各型、萎縮が先行しが晩期に出るなら、橋・を含めば(MSA-C)を示唆する。
  • 慢性フェニトイン中毒も不可逆なの原因になりうる。小児では低形成(発生異常)と萎縮(後天的な)の区別が優先される。

出典

  1. 1.Early-stage Alcoholic Cerebellar Degeneration: Diagnostic Imaging Clues(Journal of Korean Medical Science(Lee JHら)・2015)アルコール性小脳変性は初期には小脳虫部前部(舌葉・中心小葉)と前葉外側半球が優位に萎縮し、進行すると虫部後部・隣接する外側半球へ広がるという限定的な分布パターンを呈すること、この選択的な脆弱性パターンが他の脊髄小脳失調症・傍腫瘍性小脳変性・多系統萎縮症などのより広範な変性パターンと鑑別する手がかりになることを本文で確認した閲覧 2026-08-11
  2. 2.Friedreich Ataxia(GeneReviews(NCBI Bookshelf)・2025)Friedreich失調症のneuroimagingは、進行例で頸髄・小脳の萎縮がみられる一方、白質異常(特に皮質脊髄路)は中間的な特徴、小脳・大脳灰白質の萎縮は病期が進んでから出現する晩期の特徴であること、歯状核領域・脳幹・上下小脳脚の容積低下がFRDAの早期の特徴であることをClinical Description(Neuroimaging)節で確認した閲覧 2026-08-11
  3. 3.The Movement Disorder Society Criteria for the Diagnosis of Multiple System Atrophy(Movement Disorder Society(Movement Disorders誌、Wenning GKら)・2022)PMCで全文を閲覧した。MDS 2022年基準では構造MRIマーカーは臨床的確実(clinically established)MSAでのみ少なくとも1つが必須で、臨床的ほぼ確実(clinically probable)MSAでは不要であること、Table 1のMRIマーカー一覧が運動病型ごとに分かれており、MSA-Pでは被殻(鉄感受性配列での信号低下を伴う)・中小脳脚・橋・小脳の萎縮、hot cross bun sign、被殻および中小脳脚の拡散能亢進が挙がるのに対し、MSA-Cでは被殻の萎縮(鉄感受性配列での信号低下を伴う)、テント下構造(橋および中小脳脚)の萎縮、hot cross bun signと、被殻の拡散能亢進にとどまること、すなわち小脳の萎縮そのものがマーカーに数えられるのはMSA-Pの一覧だけであり、本文が「小脳単独の萎縮または中小脳脚の拡散能亢進は、小脳萎縮を呈する孤発性・遺伝性疾患(傍腫瘍性・遺伝性失調症など)との重複のため臨床的確実MSA-Cの診断を支持しない(An isolated atrophy of the cerebellum or increased diffusivity in the MCP do not support the diagnosis of clinically established MSA-C)」と明記していることを確認した閲覧 2026-08-11
  4. 4.Paraneoplastic Cerebellar Degeneration(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)傍腫瘍性小脳変性のMRIは通常正常で、病期が進むと小脳萎縮を呈するようになることをEvaluation節(Imaging Studies)で確認した閲覧 2026-08-11