検査値ノート一覧へ

Lab values · Published

アミン試験

Whiff test

別名
whiff試験アミンテストwhiff test
臓器系
生殖・産婦人科感染症
科目
GynecologyDermatology
トピック
婦人科 13:外陰・腟の炎症性疾患皮膚科 2-11:細菌性腟症皮膚科 2-02:腟分泌物の診断と管理
関連疾患
細菌性腟症
スコア
Amsel基準

🧠 全体像は、で嫌気性菌が産生するを、10% KOH添加による揮発化を利用して嗅覚で検出するである。上昇と同じ現象を、別の経路から確かめる手技と捉えるとよい。

何を測っているか

腟内の嫌気性菌が優位になると、細菌としてなどのアミンが産生される1。酸性の腟内ではこれらのアミンは塩の形をとり不だが、10% KOHを加えてアルカリ性にするとへ変わり揮発する。この揮発したアミンを鼻腔で感知するととして認識される——これがの原理である2。つまりこの検査が実際に測っているのは「魚の臭い」そのものではなく、腟内環境が酸性から離れているかどうかであり、上昇と同じの変化を嗅覚という別の入口から捉えた所見にすぎない。

判定基準

であり、数値のは存在しない。

  1. または上のに10% を1〜2滴加える
  2. 直後に生じるの有無を判定する3
  3. 様のがあれば陽性、なければ陰性

⚠️ 患者自身が申告する「がする」という訴えだけでは陽性とみなさない。 KOH添加後に検者が判定して初めて成立する所見である3

陽性の意味

の4項目(分泌物の性状・>4.5・陽性・クルー細胞20%以上)のうち3項目以上を満たせばと臨床診断する。単独はその1項目にすぎない。

陽性=の確定ではない。 アミン産生をもたらす微生物としてGardnerellaMobiluncusと並んでTrichomonasも挙げられており、でもが陽性になりうる2。分泌物の性状(状)や、鏡検所見を合わせて判断する必要がある。

陰性の意味

ではが酸性に保たれ、アミン産生を伴う嫌気性菌の増殖もないためは陰性となる。陰性はを否定する方向に働くが、の他の3項目と切り離して単独でに用いるものではない。

⚠️ 測定上の注意

  • 検者の主観・嗅覚に依存する。 判定の主観性はの限界として指摘されており、報告される感度には37%という低い値も含め大きな幅がある。ただしこの食い違いの理由は明らかになっておらず、低感度の原因が主観性にあると確かめられたわけではない3
  • 精液(アルカリ性)やの混入で偽陽性になりうる。
  • KOH添加から時間が経つとアミンが揮発しきり、偽陰性になる。判定はKOH添加の直後に行う。
  • 同じ10% は、酵母・の確認にも流用できる。ただしクルー細胞の判定はではなくで行う別の操作であり、両者を混同しない。同じ検体から、クルー細胞用の標本と用のを別々に作る4
  • ⚠️ 10% KOHはアルカリ性の刺激物であり、眼・皮膚への飛散を避ける。

経時変化とモニタリング

は単回の診断用所見であり、治療効果判定には用いない。研究上の基準法である標本を鏡検してラクトバチルス形態・ガードネレラ/バクテロイデス様形態・の3つを採点する別の判定系で、を採点項目に含まない。両者は独立に運用される。

まとめ

  • は、嫌気性菌が産生するなどのを10% KOHで揮発させ、の有無で判定するである。
  • 分泌物に10% KOHを加えた直後に判定する。患者の「がする」という自己申告だけでは陽性としない。
  • 4項目の1つであり、でも陽性になりうるため単独ではを確定しない。
  • 検者の主観に依存し、精液・の混入で偽陽性、判定の遅れで偽陰性となる。クルー細胞の判定はKOHでなくで行う別の操作である。
  • 単回の診断用所見であり、標本を用いる)とは別の判定系で、治療効果判定にも用いない。

出典

  1. 1.Vaginitis(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2025)KOHのアルカリ性が腟内で産生されたアミンを揮発させ魚臭を生じさせることがwhiff試験の原理であること、アミン産生をもたらす菌としてGardnerella・Mobiluncusと並べてTrichomonasも挙げられていることを確認した閲覧 2026-08-04
  2. 2.Amsel Criteria(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2026)whiff試験は湿式標本に10% KOH溶液を加えた直後に生じる魚臭様臭気の有無で判定し、患者自身が申告する「魚臭がする」という訴えだけでは陽性とみなさないこと、Amsel基準全体の感度に37%という低い報告があり判定の主観性が限界として別途指摘される一方でこの感度の食い違いの理由は不明とされていることを確認した閲覧 2026-08-04
  3. 3.Bacterial Vaginosis(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2026)clue cellの判定は生理食塩水(NaCl)を加えた湿式標本で行うとされており、whiff試験に用いる10% KOH標本とは別の検体操作であることを確認した閲覧 2026-08-04
  4. 4.Bacterial Vaginosis: A Comprehensive Narrative on the Etiology, Clinical Features, and Management Approach(Cureus・2022)細菌性腟症の魚臭の原因が嫌気性菌の代謝産物であるトリメチルアミン・プトレシン・カダベリンなどのアミンであることを確認した閲覧 2026-08-04