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Microbe Atlas · 細菌

Francisella tularensis

野兎病菌

分類
G− 球桿菌 / Gram− coccobacilliFrancisella
性状
Gram陰性 (G−)球桿菌 Coccobacilli
科目
Medical Microbiology
トピック
2/23: Pasteurella multocida, Francisella tularensis, Bartonella species5/1: Bacteria causing skin and wound infections (list) and their diagnosis5/3: Bacteria and viruses causing ophthalmic (eye) infections (list) and their diagnosis
自然耐性薬
ペニシリンG
原因となる疾患
リンパ管炎

🧠 全体像を理解する出発点は臨床像ではなく感染力の桁違いの強さである。わずか10〜50個の菌体が皮膚接種・吸入のいずれでも発症させうる——この低感染量ゆえにに指定され、のリスクも高いため培養を試みる前に必ず検査室へ連絡する。曝露歴はウサギ・ノウサギとダニが軸で、によってなどに姿を変えるが、いずれもマクロファージ内で増殖しを作るという同じ機序に行き着く。

微生物学的な特徴

小型のが高く、システインを添加した特殊培地でなければ発育しない。

項目 内容
培養 (ブドウ糖・システイン・ウサギ血を含む)やでの——コロニーは小型・円形で金属光沢のある青色を呈する
感染力 極めて低い感染量(10〜50個程度)で発症しうる——に分類される所以
細胞内 ——マクロファージ内に侵入し増殖する
BSL-3相当の取り扱いを要する。ルーチンの自動同定システムでの発生がの主因となるため、疑う場合は培養検体を提出する前に必ず検査室へ連絡する

病原性の仕組み

マクロファージに取り込まれた菌はファゴソームからの脱出・細胞内増殖を経て、の局所と所属リンパ節に性中心を持つを形成する。

段階 内容
侵入 ダニ咬傷部・皮膚の小さな傷・・気道粘膜など
局所 侵入部に有痛性潰瘍を形成
播種 マクロファージに取り込まれリンパ系を介して所属リンパ節()へ運ばれる
病理 壊死性乾酪様中心を持つを形成——結核に類似した組織像を呈する

⚠️ ヒト-ヒト感染はない。 感染経路は動物・節足動物からの直接曝露に限られ、患者からのは基本的に想定しなくてよい(ただし検体そのものの取り扱いはBSL-3が必要)。

感染経路と疫学

  • 直接接触ウサギ・ノウサギが主要な保菌動物)の解体・皮剥ぎ、感染肉の摂食
  • 間接接触マダニ・の咬傷、汚染された分泌物・塵埃の吸入)、眼への接種()、汚染された水・食物の摂取(
  • 米国では中南部の州に多く、夏季(ダニの)と冬季(狩猟期)に発症が増える二峰性の季節性を示す

起こす疾患

によって6つの臨床病型に分かれるが、いずれも同じ病理機序()に基づく。

病型 頻度・特徴
最多。ダニ咬傷・動物接触部に有痛性潰瘍+限局性リンパ節腫脹
腺型 潰瘍を伴わないリンパ節腫脹
への接種による炎+同側の
汚染された水・食物の摂取による咽頭炎+
限局する所見に乏しい全身性感染。致死率が最も高い
吸入による原発性肺炎、または他病型からの二次性播種。の主要な懸念病型

診断

⚠️ 培養は危険。 に分類され、培養操作自体が検査者への感染リスクとなる。ルーチンの生化学的同定システムはを発生させうるため、疑う場合は検体を提出する前に必ず検査室へ連絡し、BSL-3対応が可能な施設で扱う。

検査 内容
血清学 抗体:4倍以上の上昇、または単一血清での高力価(目安として1:160以上)で診断的
病変検体からの迅速抗原検出
PCR 培養を避けたい場合の選択肢として有用性が高まっている
)——現在は疫学調査的な位置づけ

治療と予防

⚠️ βラクタム系は本質的に無効。 内因性のβラクタマーゼを産生し、は分解されて効かない——グラム陰性桿菌に対するの定番である・アンピシリン系が、この菌に限っては選択肢から外れる理由である。

まとめ

  • 極めて低い感染量(10〜50個程度)で発症するの菌——培養は検査室に事前連絡のうえBSL-3対応で行う。
  • 曝露歴の軸はウサギ・ノウサギとダニにより(最多)・(最も致死的)・で懸念)に分かれるが、いずれもという共通の病理に基づく。
  • ヒト-ヒト感染はない。
  • 内因性βラクタマーゼによりは無効——治療はアミノグリコシド()が中心、軽症・曝露後予防はドキシサイクリン・
  • 予防はダニ・動物接触対策が中心で、ワクチンは高リスク検査室職員向けの扱いにとどまる。