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Symptoms · Published

標的病変

Target lesion

別名
標的状病変虹彩状病変target lesion
臓器系
皮膚
科目
Dermatology
トピック
皮膚科 3-27:血管炎・多形紅斑・結節性紅斑皮膚科 3-02:スティーヴンス・ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死症
関連疾患
マイコプラズマ肺炎(非定型肺炎)薬疹(SJS・TENを含む)

🧠 全体像は「それらしい見た目」ではなく「層構成・境界・触知」で読む所見である。typical target(3層・境界明瞭)か atypical target(2層以下・境界不明瞭)か、atypicalならraised(隆起)かflat(平坦)か——この記述の精度がそのままSJS/TENの鑑別に直結する。typicalとraised atypicalは側、flat atypicalはSJS/TEN側に対応する1。分布と粘膜・の有無を合わせて評価し、原疾患の重症度評価につなげる。

定義と用語の整理

用語 意味
3層の病変を指す本来の用語。分類上は typical target がこれにあたる
の同義語。の紋様に例えた呼び方
targetoid病変 に類似するが層構成が2層以下の病変を指す包括語。atypical targetはここに含まれる

層構成・境界・触知の3点でtypicalとatypicalを区別する。

分類 層構成・境界 触知 対応する疾患
typical target 3層(中心:壊死・水疱→中間:淡い浮腫性帯→外側:紅色輪)、径3cm未満、境界明瞭な円形1 平坦〜軽度隆起
atypical target(raised) 2層以下、境界不明瞭 隆起・ (EM major含む)
atypical target(flat) 2層以下、境界不明瞭 平坦・触知不可 SJS/TEN

病態生理

3層構造は病理と対応する。中心の暗調部は表皮壊死・、中間の浮腫性帯は真皮の浮腫、外側の紅色輪は血管拡張による紅斑を反映する2

層が保たれるか崩れるかは、のアポトーシスが限局性かかで決まる。 ではを中心に限局した主体の反応にとどまるため3層構造が保たれるのに対し、SJS/TENでは薬剤特異的な・NK細胞がgranulysin・を介して表皮全層のを傷害し、層構造が崩れてflat atypical targetやへ移行する。

原因も非対称である。は大半が感染に対する反応で、感染などが続く一方、SJS/TENは大半が薬剤性である。関連では、皮膚病変が乏しく粘膜病変が優位という逆のパターンを取るも区別して考える。

⚠️ 見逃してはいけないもの

  • ⚠️ 陽性・拡大する・2部位以上の粘膜侵襲は、の枠組みで様子をみてよい境界を超えている。 これらを認めたらSJS/TENとしてを中止し緊急評価する3
  • ⚠️ に見える他疾患と混同しない。 蕁麻疹は個々の皮疹が24時間以内に移動・消退するのに対し、は同じ部位に数日以上固定する。様皮疹を伴う、同一部位に反復し色素沈着を残す発疹、ライム病(必ずしもではなく、日ごとに拡大する点が鑑別点になる)も紛れ込む。
  • ⚠️ 「粘膜病変があるからSJS/TEN」と即断しない。 MIRMは粘膜病変優位・皮膚病変軽微という逆のパターンを取り、皮疹の見た目だけでと同一視すると原因薬の不要な中止につながる。

鑑別の進め方

flowchart TD
    A["標的様皮疹"] --> B{"層構成と境界"}
    B -->|"3層・境界明瞭"| C["typical target"]
    B -->|"2層以下・境界不明瞭"| D{"隆起し触知できるか"}
    D -->|"隆起・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='palpable'>触知可能</span>"| E["atypical target(raised)"]
    D -->|"平坦・触知不可"| F["atypical target(flat)"]
    C --> G["分布:四肢末梢優位・左右対称"]
    E --> G
    F --> H["分布:体幹優位"]
    G --> I{"粘膜侵襲2部位以上<br>またはNikolsky陽性か"}
    H --> I
    I -->|"いいえ"| J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='erythema multiforme, EM'>多形紅斑</span>として評価"]
    I -->|"はい"| K["SJS/TENとして<span class='jp-term jp-term-diagram' title='culprit (suspected) drug'>被疑薬</span>中止・緊急評価"]

対応の考え方

そのものを治療する手段はない。介入は原疾患側に委ねる——では原因治療とHSV関連反復例への抗ウイルス薬予防投与、SJS/TENではの即時中止と多職種支持療法(重症度評価にはなどのスコアを用いる)、MIRMでは感染への対応を優先し不要な中止を避けることが、それぞれ中心になる。

まとめ

  • はtypical(3層・境界明瞭)とatypical(2層以下・境界不明瞭、raised/flat)に分け、typicalとraised atypicalは側、flat atypicalはSJS/TEN側に対応する。
  • 3層構造はのアポトーシスが限局性かかを反映し、限局性ならならSJS/TENに寄る。
  • 分布はが四肢末梢優位・左右対称、SJS/TENが体幹優位という違いが鑑別の軸になる。
  • 原因はが大半HSV、SJS/TENが大半薬剤という非対称な構造を持ち、MIRMは粘膜優位・皮膚軽微という逆パターンを取る。
  • 陽性、拡大する、2部位以上の粘膜侵襲はSJS/TENへの転換点であり、蕁麻疹・・ライム病などの他疾患との混同にも注意する。

出典

  1. 1.Target and Targetoid Lesions in Dermatology(Indian Journal of Dermatology, Venereology and Leprology・2022)typical target(3層・境界明瞭・径3cm未満・円形)とatypical target(2層以下・境界不明瞭で、隆起するraised型と平坦なflat型に分かれる)というBastuji-Garin分類の定義、およびtypicalとraised atypicalが多形紅斑側、flat atypicalがSJS/TEN側に対応する対応関係を確認した。閲覧 2026-08-03
  2. 2.Erythema Multiforme(DermNet NZ・2022)典型的標的病変の3層構造(中心の暗調な壊死・水疱部、淡い浮腫性帯、外側の紅色辺縁)、四肢伸側優位で左右対称という分布、単純ヘルペスウイルスが原因の約9割を占めることを確認した。閲覧 2026-08-03
  3. 3.Stevens-Johnson Syndrome(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2026)SJS/TENの皮疹が標的状・環状・紫斑様斑から弛緩性水疱・表皮剥離へ進展すること、軽い側方圧・牽引で表皮剥離するNikolsky徴候が陽性になること、Bastuji-Garinの分類が体表面積に占める剝離割合で病型を分けることを確認した。閲覧 2026-08-03