Anesthesiology

Anesthesiology · B-11

生命を脅かす神経疾患の集中治療(脳卒中・ギラン・バレー症候群)

Intensive care of life-threatening neurological disorders (stroke, Guillain-Barré-syndrome)

前提:病態
髄鞘疾患(脱髄性疾患)
前提:正常
冠循環・脳循環・脳脊髄液・血液脳関門活動電位の発生と伝導
疾患
ギラン・バレー症候群
症状
筋力低下

🧠 全体像:生命を脅かすでは、まず気道・呼吸・循環を安定化し、低血糖やけいれんなど可逆的原因を除外する。そのうえで脳卒中は「発症時刻・画像・再灌流適応」、(Guillain–Barré syndrome:GBS)は「呼吸筋・嚥下・」を時間依存的に評価する。

初期対応

意識障害を見たら、診断名より先にを防ぐ。

flowchart TD
    A["意識障害・急性神経症状"] --> B["ABCDE・血糖・体温"]
    B --> C["低酸素・低血圧・けいれんを是正"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='last known well'>最終健常確認時刻</span>と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='medication history'>薬歴</span>を確認"]
    D --> E["神経診察・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='National Institutes of Health Stroke Scale'>NIHSS</span>・瞳孔"]
    E --> F["緊急頭部画像・血管画像"]
    F --> G["虚血・出血・その他を分類"]
  • 気道確保はGCSの数値だけで機械的に決めない。気道反射、分泌物、嘔吐、、換気不全、急速な悪化、搬送・処置の安全性を総合する。
  • 酸素投与は低酸素血症を是正するために行い、正化患者への一律の高濃度酸素投与は避ける。
  • 低血圧、発熱、低血糖を速やかに是正する。高血糖は予後不良と関連するが、低血糖を招く厳格なは行わない。
  • 、抗凝固薬、最近の手術・出血、基礎ADLを並行して確認する。

脳卒中

脳卒中は、により急性のを来す病態である。を画像で直ちに区別する。

は、現在は「急性梗塞を伴わない一過性の局所神経機能障害」という組織学的定義で理解する。24時間以内という旧来の時間定義だけでは判断しない。

診断

評価 目的
NIH脳卒中尺度(NIH Stroke Scale: 神経障害を定量化し、を追う
単純頭部CT を迅速に除外する
/MR 、動脈瘤、血管解離を評価する
画像/MR拡散・ 発症時刻不明例や遅い時間枠でを選別する
血糖、血算、電解質、腎機能、凝固 と治療上の禁忌・リスクを評価する
ECG・心電図モニタリング 心房細動などを検索する

血液検査の結果待ちで、適格患者の画像・再灌流治療を不必要に遅らせない。ただし抗凝固状態が不明など、結果が適応判定を左右する場合は確認が必要である。

急性虚血性脳卒中

flowchart TD
    A["急性局所神経症状"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='noncontrast CT'>単純CT</span>で出血を除外"]
    B --> C["発症時刻・障害性・禁忌を評価"]
    C --> D["4.5時間以内なら静注血栓溶解を検討"]
    C --> E["大<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular occlusion'>血管閉塞</span>なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mechanical thrombectomy'>血栓回収療法</span>を検討"]
    D --> F["再灌流後の血圧・出血・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neurological findings'>神経所見</span>を監視"]
    E --> F
  • 障害性症状を伴う適格患者では、発症4.5時間以内にまたはによるを検討する。
  • は通常0.9 mg/kg、最大90 mgとし、10%をして残りを60分で投与する。は0.25 mg/kg、最大25 mgの単回が標準的である。実施時は施設プロトコルと最新適応・禁忌を確認する。
  • 発症時刻不明または4.5〜9時間でも、MRIやで選別された患者は血栓溶解の候補となり得る。
  • ではを速やかに検討し、画像選別により最終健常確認から24時間まで適応となり得る。選択された大梗塞コアやにも適応が拡大している。
  • 血栓溶解前は血圧を185/110 mmHg未満、施行後24時間は180/105 mmHg未満に管理する。EVT後を含め、を一律に140 mmHg未満へ強力に下げる治療は推奨されない。
  • 非障害性の軽症例では血栓溶解より短期(dual antiplatelet therapy:DAPT)が適する場合がある。出血除外と病型評価を経て選択する。

救済可能組織と二次性脳損傷

後、不可逆的壊死に陥ったの周囲には、血流が低下して機能を失っているものの再灌流で救済できる虚血性が残り得る。コアとは固定した単一血流閾値で分けず、発症からの時間、、CT・MRIを統合して評価する。

二次障害・合併症 予防・監視の要点
脳浮腫・頭蓋内圧亢進 意識・瞳孔・を反復し、頭位、酸素化、換気、体温、血糖を適正化する。悪化時は緊急画像と評価を行う
誤嚥・肺炎 嚥下評価前は経口摂取を避け、口腔ケア、体位、必要な栄養経路を計画する
、出血リスクを踏まえた薬物予防を検討する
けいれん 臨床・で確認した発作を治療し、発作のない患者へ一律に予防薬を用いない
転倒・ 、認知、能力を評価し、を行う

脳内出血

  • 抗凝固薬関連出血では薬剤を直ちに中止し、薬剤別の拮抗薬を遅滞なく投与する。
  • 発症早期、150〜220 mmHgの軽症〜中等症では、急激な変動を避けながら140 mmHgを目標とし、130〜150 mmHgに維持する戦略が妥当である。130 mmHg未満への過度なは避ける。
  • 神経外科と早期に連携し、小水頭症、進行する意識障害ではを検討する。
  • 嚥下評価前の経口摂取を避け、を予防する。けいれんは治療するが、発作のない患者への予防的は一律には用いない。

くも膜下出血

突然発症の、嘔吐、意識障害を手掛かりとする。

  • を第一選択とし、臨床疑いが残る場合は発症時刻とCT精度を踏まえてまたは血管画像を追加する。
  • 動脈瘤性では、再出血を防ぐためまたは血管内コイル塞栓を可能なら24時間以内に行う。
  • を減らすため、経腸を早期に開始する。
  • を保つ。予防的な療法は有害となり得る。

ギラン・バレー症候群

GBSは、多くが感染後に生じる多発根である。典型例では左右対称性の上行性筋力低下と・消失を示す。

診断と重症度評価

項目 ・目的
症状 四肢筋力低下、、顔面・、疼痛
髄液 。早期は正常でもよい
脱髄型または軸索型を支持する
呼吸 、咳嗽力を反復評価する
自律神経 不整脈、血圧変動、尿閉、イレウスを連続監視する

単回のSpO2や動脈血ガスだけではを早期検出できない。急速な進行、、弱い咳、分泌物排出不良、FVC低下傾向があればICU管理と早期挿管を検討する。

治療

  • 独歩不能または進行例では、またはを行う。両者を一律に併用しない。
  • 副腎皮質ステロイド単独は有効ではない。
  • 予防、予防、、栄養・嚥下管理を行う。
  • では急なに対する過剰反応に注意し、短時間作用薬を慎重にする。

参考ガイドライン

まとめ

  • 神経救急ではABCDE、血糖、発症時刻、神経診察、緊急画像を並行して進める。
  • は静注血栓溶解とEVTの適応を時間・障害性・画像で判断する。
  • では抗凝固拮抗、滑らかな的適応の評価が重要である。
  • では早期動脈瘤治療、維持を基本とする。
  • GBSでは呼吸筋・を反復評価し、IVIGまたはを行う。