免疫学

免疫学 · 10.3

イムノアッセイ(手法 II)

Immunoassays (Methods II)

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W4Seminar / 演習
検査値
CEAMPO-ANCAPR3-ANCAヘリコバクター・ピロリ抗体直接蛍光抗体法便中H. pylori抗原検査免疫反応性インスリン

🧠 は「検体の種類」で手法が決まる、と読む。 体液検体→・・RIA/IRMA、単離タンパク検体→、固形→()。いずれもという同じ土台の上に、検出方法(酵素発色・放射性標識・)だけが異なる。

診断法の統計学的特性

感度=真の患者のうち検査陽性となる者の割合。特異度=健常者のうち検査陰性となる者の割合。

ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)— 3つの主要な型

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='enzyme-linked immunosorbent assay'>ELISA</span>の3型"]
  A --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='indirect'>間接法</span><br>コーティング→洗浄→ブ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='locking'>ロッキング</span>→検体中の1次抗体→2次抗体(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='enzyme label'>酵素標識</span>)→発色基質"]
  A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sandwich method (immunoassay)'>サンドイッチ法</span><br>捕捉抗体+検出抗体で抗原を挟み込む"]
  A --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='competitive'>競合法</span><br>抗原量と発色強度が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='inverse correlation'>逆相関</span>"]

⭐ 競合は「発色が強いほど抗原が少ない」という直感に反する関係をもつ。 検体中に抗原が多いほど、と検体中の抗原が結合部位を奪い合いが減少し発色は弱くなる。逆に抗原が少なければが多く残り発色は強くなる——この性により、の微量検出に特に有用。

⚠️ 方式が分かれば、干渉の「向き」まで予測できる——干渉。 の免疫測定の多くは標識抗体とストレプトの結合を設計に組み込んでいるため、等で血中が高濃度になると測定値が狂う。その向きは方式で決まっていて、では(正の干渉)、では(負の干渉)になる——・遊離T4()が、()がとなり甲状腺機能亢進症とされるのが最も多い型である1。物質・・自己抗体・高濃度と並ぶ、免疫測定の主要な干渉要因として整理しておく2。

ELISAの臨床応用(多岐にわたるパネル検査)

分野 代表的な検査項目
自己免疫診断 c-・p-、抗IgG/IgM、抗ss/dsDNA、抗Jo-1、抗ヒストン、、抗ミトコンドリア、SSA/SSB、/Sm、抗、抗IgG/IgA/IgM
内分泌 ・・hGH・、エストラジオール・、プロゲステロン、、コルチゾール、・T3・T4
、CEA、、/β-、PAP、/遊離
感染症 抗HBsAg、抗、抗、抗 IgM、抗 IgM/IgG、抗IgG、抗梅毒、抗、抗

💡 感染症診断では「ウイルスそのもの」ではなく「ウイルスに対する抗体」を測ることが多い。 活性化B細胞が形質細胞へ分化し抗ウイルス性を産生する——この抗体を体液から検出することが、を直接検出するよりも実務上の標準になっている。

結核診断とQuantiFERON試験

Th細胞・が抗原刺激でIFN-γを産生する→でIFN-γを検出(QuantiFERON試験)。1mLの血液を3本の(結核抗原ペプチド3種)で刺激培養し、血漿中に放出されたIFN-γをで測定——24時間以内に結果が出て、特別な検査室基盤を必要としない利点をもつ(07-3-hypersensitivity-ii-ivのも参照)。

⭐ QuantiFERON試験の強みは特異度であって感度ではない——そして「活動性かか」は区別できない。 の統合値は、感度がQuantiFERON-TB Goldで78%(95%信頼区間73〜82%)、QuantiFERON-TB Gold In-Tubeで70%(63〜78%)、T-SPOT.TBで90%(86〜93%)と十分とは言えない一方、特異度はQuantiFERON両者とも未接種者で99%(98〜100%)、接種者でも96%(94〜98%)——と違い接種の影響を受けないのが最大の利点である3。裏返せば、陰性でもを否定できないし、陽性でもの診断にはならない。

症例:HIV診断(ELISA+ウェスタンブロットによる確認)

35歳女性、一時的な交際相手が2人。陽性か?陽性なら相手に感染させた可能性は?——間接で抗 IgG抗体を検出し、陽性例はで確認するという2段階アルゴリズムをたどる。

⚠️ ただしによる確認は、現在の標準アルゴリズムではない。 米国では2014年の/APHL検査アルゴリズムにより、第4世代/2でスクリーニング→反応性なら/2抗体鑑別→鑑別が陰性・なら という流れに置き換わっており、この第4世代検査を起点とするアルゴリズムのほうが急性感染の検出に優れる4。抗体しか見ない検査は、p24抗原が出てから抗体が立ち上がるまでの期間を取りこぼす。以下のの原理と判定基準は、手法の考え方として押さえる。

⚠️ の各ステップを飛ばすと、何が起こるかを推論できることが理解度を測る。 二次抗体(抗ヒトIg結合体)を洗い流さずに基質を加えれば、全ウェルが等しく強い発色を示してしまう(洗浄不足→非特異的シグナル)。逆に検体(患者血清)を加え忘れた場合、抗ヒトIg結合体は結合できず洗浄で除去されるため、発色は起こらない——「陰性に見えるが手技ミスによる偽陰性」を見抜く視点が重要。

ウェスタンブロット法

①タンパクを(硫酸ナトリウム・)でサイズ分離、②膜へ転写、③免疫検出(immunodetection:患者血清を1次抗体として、あらかじめ膜上に固定されたウイルスタンパクと反応させる)。

⭐ の判定基準は「と外被タンパクの両方」を要求する。 バンドなし=陰性。p31またはp24()と、gp160またはgp120(外被糖タンパク)のバンドが同時に存在して初めて陽性——片方だけではというルールが、偽陽性を減らす仕組みになっている。

ラテラルフロー技術(迅速イムノクロマト法)

単一ステップの検査()は数分で結果が出る(従来法は数時間)、安価で検査室の専門知識を要さない。

応用例: HIV、モルヒネ(尿検査)、抗体/、尿中(妊娠検査)、ライム病病原体抗体、小麦粉の含量測定。

抗原検出型ラテラルフロー

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nasopharynx'>鼻咽頭</span>検体を溶解緩衝液に投入<br>ウイルスタンパクを細胞外に放出"]
  A --> B["抗Sタンパク抗体で被覆した着色微粒子と混合"]
  B --> C["検体中のS/N抗原が微粒子上の抗体に結合"]
  C --> D["テストラインの別エピトープ特異的抗体に捕捉 → 発色"]
  D --> E["コントロールライン(抗ヒトIg抗体)で手技の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='validity'>妥当性</span>を確認"]

抗体検出型ラテラルフロー

病原体に対するIgM・IgG抗体を検出する。IgMは感染後平均7日、IgGは平均14日で出現する。

⚠️ IgM・IgG両方陰性でも「感染していない」とは言い切れない——の罠。 IgM−/IgG−は抗体が以下なだけで、現在の感染を除外する根拠にはならない()。IgM+/IgG−またはIgM+/IgG+は現在の感染を示唆し、IgM−/IgG+は既感染を示唆する——この4パターンの解釈を誤ると、急性期の感染者を「陰性」としかねない。

免疫放射定量法と放射免疫測定法

手法 原理 抗原量とシグナルの関係
RIA() 放射が非と抗体結合部位を奪い合う 抗原が多いほどシグナルは弱い
IRMA() 放射標識抗体を使用 抗原が多いほどシグナルは強い

💡 測定法の感度は「下限」で比較でき、現在ではRIA/よりの方が高感度になっている。 コルチゾール測定を例にとると、蛍光測定法(最も低感度)→→蛍光法/液体→→RIA→→希釈→(最高感度)という順にが向上する——を用いる古典的手法が、必ずしも最高感度とは限らない時代になっている。

免疫組織化学と免疫蛍光法

とがあり、一般に上の抗原を検出する(例:膵上のの同定)。

⭐ では「抗原」が実は抗体そのものであることがある——自己抗体検出の。 培養肝細胞上で患者血清中の抗RNP(核リボ核タンパク)自己抗体を検出する場合、検出対象(=「抗原」的に扱われるもの)は患者自身の抗体である。スクリーニング(、08-3-screening-methods-for-autoantibodies参照)はまさにこの原理に基づく——1:40陽性・1:160で判定確定という力価判定と、その後のパネル(SSA/SSB/Scl-70/Jo-1/Sm/RNP/ヒストン/dsDNA等)による特異が、実際の臨床検査レポートでも連動して運用されている。

検体別・手法まとめ

検体 手法
、、RIA/IRMA、細胞液上の
単離タンパク
固形 ・

まとめ

  • は・・の3型があり、は「抗原が多いほど発色が弱い」という性ゆえに微量抗原の検出に向く。自己免疫・内分泌・腫瘍・感染症と極めて広範なパネル検査に応用される。
  • 診断は(スクリーニング)→(確認、p24/p31+gp120/gp160の同時陽性が判定基準)という2段階アルゴリズムをとり、手技ミス(洗浄不足・検体添加忘れ)の帰結を推論できることが理解の鍵。
  • は数分で結果が出る迅速検査で、抗原検出(現在の感染)と(IgM/IgG、に注意)の2種類があり、後者は出現時期(IgM約7日、IgG約14日)を踏まえた解釈を要する。
  • RIA(、抗原量とシグナル)とIRMA(、抗原量とシグナル正相関)は対照的な原理をもち、現在ではがこれらを凌ぐ感度を実現している。
  • ・は固形組織上の抗原(または自己抗体を「抗原」として扱う自己抗体検出)を検出し、スクリーニングと特異抗体パネルの連動運用はそのの典型例。

出典

  1. 1.Immunoassay design and biotin interference(Advances in Clinical Chemistry・2022)ビオチン標識抗体を組み込んだ免疫測定では、血中ビオチンが高濃度だと競合法で偽高値(正の干渉)、サンドイッチ法で偽低値(負の干渉)となる。遊離T3・遊離T4(競合法)の偽高値とTSH(サンドイッチ法)の偽低値により甲状腺機能亢進症と誤診される例が最も多い。閲覧 2026-08-25
  2. 2.The investigation of interferences in immunoassay(Clinical Biochemistry・2017)免疫測定で臨床像と合わない値が出る原因として、交差反応物質・異好抗体・自己抗体・高濃度フック効果が挙げられ、疑いを持たなければ干渉は見逃されると指摘している。閲覧 2026-08-25
  3. 3.Systematic review: T-cell-based assays for the diagnosis of latent tuberculosis infection: an update(Annals of Internal Medicine・2008)インターフェロンγ遊離試験の統合感度はQuantiFERON-TB Goldで78%(95%信頼区間73〜82%)、QuantiFERON-TB Gold In-Tubeで70%(63〜78%)、T-SPOT.TBで90%(86〜93%)。統合特異度はQuantiFERON両者ともBCG未接種者で99%(98〜100%)、BCG接種者で96%(94〜98%)であり、BCG接種の影響を受けない。閲覧 2026-08-25
  4. 4.Comparison of turnaround time and total cost of HIV testing before and after implementation of the 2014 CDC/APHL Laboratory Testing Algorithm for diagnosis of HIV infection(Journal of Clinical Virology・2017)第4世代HIV抗原抗体検査とHIV-1/2抗体鑑別検査を用いる2014年のCDC/APHL検査アルゴリズムが、急性HIV感染の検出に寄与することを確認した。閲覧 2026-08-25