内科学

内科学 · H-18

免疫性血小板減少症

Immune Thrombocytopenia

前提:病態
凝固系の機能低下に関連する病態
前提:正常
止血と血小板の役割。
疾患
免疫性血小板減少症
症状
過多月経歯肉出血点状出血頭蓋内出血
検査値
偽性血小板減少

🧠 全体像:は、自己抗体と細胞性免疫によるの亢進および低下により、他に明らかな原因のない孤立性血小板減少を来す後天性疾患である。だけでなく、出血の程度、年齢、、、処置予定を合わせて治療を決める。1

分類

分類軸 区分
原因 一次性、基礎疾患や薬剤に伴う二次性
新規診断:3か月以内、持続性:3〜12か月、慢性:12か月超
臨床状態 重症出血の有無、治療反応性、生活への影響

二次性の背景には、、、、C型肝炎、、免疫不全、薬剤などがある。

病態

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='platelet membrane glycoprotein'>血小板膜糖蛋白</span>に対する自己抗体"] --> B["脾臓のマクロファージによる血小板除去"]
    A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='megakaryocyte'>巨核球</span>の成熟・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Thrombopoiesis'>血小板産生</span>を抑制"]
    D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cytotoxic T cell'>細胞傷害性T細胞</span>などの免疫異常"] --> B
    D --> C
    B --> E["末梢血小板数の低下"]
    C --> E
    E --> F["皮膚・粘膜出血"]

臨床像

  • 点状出血、紫斑、、、などの皮膚・粘膜出血が中心となる。
  • 消化管出血やはまれだが、生命を脅かす。
  • 脾腫、リンパ節腫脹、発熱、体重減少、貧血・を伴う場合は別の疾患を積極的に疑う。
  • と出血の重症度は完全には一致しない。

診断

はである。

  1. によるをや再採血で除外する。
  2. 血算、、肝腎機能、溶血所見を確認する。
  3. 病歴から感染、薬剤、飲酒、妊娠、自己免疫疾患、肝疾患、悪性腫瘍を評価する。
  4. ・検査を行い、地域や症状に応じても評価する。
  5. 典型的な孤立性血小板減少ではは必須ではないが、他系統の血球異常、、、治療抵抗性などがあれば行う。

血小板は感度が十分でなく、陰性でもを否定できない。所見や治療反応不良が生じたときは、他の原因を再評価する。2

治療

治療開始の考え方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='immune thrombocytopenia'>ITP</span>と診断"] --> B{"重篤または生命を脅かす出血か"}
    B -->|"はい"| C["入院して迅速な止血治療"]
    B -->|"いいえ"| D{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='platelet count'>血小板数</span>・出血・個別リスクを評価"}
    D --> E["軽い出血かつ概ね3万/μL以上:経過観察を検討"]
    D --> F["3万/μL未満または出血リスク高値:治療を検討"]

3万/μLは一つの目安であり、な境界ではない。抗凝固薬・、手術予定、高齢、、併存症、患者の生活や希望によって判断を調整する。

初回治療

状況 主な治療
治療が必要な非緊急例 短期間の副腎皮質ステロイド
迅速な血小板上昇が必要
生命を脅かす出血 高用量ステロイド++を組み合わせ、と支持療法を行う

長期のステロイド投与は毒性が大きいため避ける。は通常のでは効果が一過性であり、重大出血や緊急手術時に用いる。2

持続性・慢性ITP

  • :で優先的に検討されることが多い
  • リツキシマブ:一定期間の治療で寛解を目指す場合などの選択肢
  • :の可能性を考慮し、可能なら診断後少なくとも1年は延期する

では受容体作動薬をリツキシマブより優先する条件付き推奨があるが、長期投与と限定期間の治療、手術の利害を患者ごとに比較する。1

では、持続的な寛解を望むか、継続投与を許容できるか、感染・、妊娠希望などをする。前には必要なワクチン接種を行う。

妊娠時の要点

無症状でが安定していれば観察できることが多い。治療が必要な場合は副腎皮質ステロイドまたはを基本とし、分娩方法は産科的適応で決める。2 胎児・新生児にも一過性血小板減少が起こり得る。

難治例では受容体作動薬が例外的に検討されることがあるが、妊娠中のデータは限定的なため産科・血液内科の専門管理下で個別化する。3

まとめ

  • は孤立性血小板減少を示すで、による確認が重要である。
  • 治療はだけでなく、実際の出血と個別の出血リスクで決める。
  • 初回治療は短期ステロイド、迅速な上昇には、重大出血では両者とを組み合わせる。
  • 慢性例では-RA、リツキシマブ、を患者ごとの目標とリスクに合わせて選ぶ。

出典

  1. 1.American Society of Hematology 2019 guidelines for immune thrombocytopenia(2019)成人ITPでは出血と血小板数・個別リスクを統合し、必要時は短期ステロイドを用い、二次治療ではTPO受容体作動薬、リツキシマブ、脾摘を共有意思決定で選ぶことを確認した。閲覧 2026-08-13
  2. 2.Updated international consensus report on the investigation and management of primary immune thrombocytopenia(2019)ITPは他原因を除外して診断し、重大出血ではIVIG・ステロイド・血小板輸血を組み合わせ、妊娠ではステロイドまたはIVIGを中心に管理することを確認した。閲覧 2026-08-13
  3. 3.How we treat primary immune thrombocytopenia in adults(2023)ITPの病態と現行の段階的治療、および妊娠中の難治例でTPO受容体作動薬を例外的に検討する余地があることを確認した。閲覧 2026-08-13