腫瘍学

腫瘍学 · II-28

肺癌の外科治療と薬物療法

Surgical and pharmacological treatment of lung cancer

前提:病態
EGFR・ABL・BCL2遺伝子抗がん薬V(低分子シグナル伝達阻害薬・レチノイド)抗がん薬VI(高分子シグナル伝達阻害薬・免疫賦活抗がん薬)
前提:正常
胸部:胸膜と肺
疾患
肺癌

🧠 全体像:は解剖学的とリンパ節評価が根治の中心で、進行例は、PD-L1、組織型で薬物療法を選ぶ。SCLCは全身病として+を軸に治療する。

外科治療

術式 主な位置づけ
手術可能早期の標準的解剖学的切除
末梢2 cm以下の腫瘍ではと同等の。肺機能温存が必要な選択例にも
右肺でに応じて選択
他の術式で完全切除できない場合。高い周術期リスクを慎重評価

が平均的以下のI期では外科切除が最良の治療で、よりやなどの低侵襲アプローチが優先される。手術不適応のI期にはSBRTを用いる。1 術前には、、遠隔転移、完全切除可能性を評価する。

⭐ がと同等のを示したのは末梢の2 cm以下の腫瘍という条件下であり、しかもその試験結果を一般化するには術中の系統的な縦隔・サンプリングまたは郭清が前提となる。系統的リンパ節評価は病期決定と術後治療の判断に不可欠である。1

「IIIBは手術不能」「単発遠隔転移なら相対的手術不能」という単純分類は歴史的である。現在はを、浸潤臓器、、誘導療法反応、、心肺機能に基づき多職種で判断する。

NSCLCの周術期薬物療法

  • 病期・病理リスクに応じ、プラチナ併用術前/を用いる。
  • 手術単独では再発が多く、現在は術前/周術期免疫療法が主要な選択肢として前面に出ている。stage IIA〜IIIBでは、術前+化学療法から術後まで続ける周術期治療が18か月を70.2%対50.0%へ改善した。2
  • EGFR exon 19欠失/L858R陽性の完全切除例では、術後3年投与が無病生存を大きく延長し(stage II-IIIAでHR 0.23)、中枢神経再発も減らす。3

進行NSCLC

flowchart TD
  A["進行<span class='jp-term jp-term-diagram' title='non-small cell lung cancer'>NSCLC</span>の十分な組織採取"] --> B["広範な分子検査+PD-L1"]
  B --> C{"治療標的となるドライバー異常あり?"}
  C -->|"あり"| D["対応する分子標的薬"]
  C -->|"なし"| E["組織型・PD-L1・全身状態で免疫療法±化学療法"]
  D --> F["進行時に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='repeat biopsy'>再生検</span>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='liquid biopsy'>液体生検</span>で耐性評価"]
  E --> G["効果・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='immune-related adverse events'>免疫関連有害事象</span>を監視"]

検索対象にはEGFR、ALK、ROS1、BRAF V600E、MET exon 14 skipping、RET、NTRK、KRAS G12C、などがある。、、中心の薬剤一覧は歴史的であり、世代の新しいの高い薬剤を含め最新ガイドラインで選択する。ドライバー陰性例はPD-L1単独でなく、組織型・・症状を統合して免疫療法単独またはを選ぶ。

⚠️ KRAS G12Cは他の主要ドライバーと同列に扱わない。NCCNガイドラインでは、KRAS G12C陽性例は分子標的薬(、など)を一次治療として優先せず、むしろ免疫療法単独またはから利益を得やすいとされる。KRAS G12C阻害薬は主に既治療後の以降に位置づけられる。

SCLC

病期 薬物療法の考え方
シスプラチンまたは+と胸部RTをし、進行なくできればによるを追加する(ADRIATIC試験で中央値55.9か月対33.4か月)4
++PD-L1阻害薬が標準。CASPIAN試験で併用は中央値13.0か月対10.3か月と改善し、その後維持を続ける5
再発 タルラタマブ(tarlatamab、DLL3標的T細胞誘導)が既治療後の優先選択肢として追加された(10 mg隔週で40%、無増悪生存中央値4.9か月)。治療間隔、全身状態、既治療、などのリスクに応じ、、、再投与などとも個別に選択する6

⚠️ タルラタマブではが約半数に起こる。多くはgrade 1〜2で初回サイクルに集中するため、導入時の入院・観察と段階的増量が要る。6

「は化学療法のみ」「3サイクル後に照射」「CEVを」とする考え方は現在の標準を反映しない。

まとめ

  • 早期は肺機能を保ちながら完全切除し、リンパ節病期を正確に定める。
  • 進行はを先に確認し、標的薬または免疫療法中心の治療を選ぶ。
  • SCLCはを軸とし、病期に応じ胸部RTを統合する。

出典

  1. 1.Management of Patients With Early-Stage Non-Small Cell Lung Cancer: An American College of Chest Physicians Clinical Practice Guideline(2025)I期NSCLCでは手術が最良で低侵襲アプローチが優先されること、末梢2 cm以下では区域切除・部分切除が肺葉切除と同等の全生存を示すが術中の系統的な縦隔・肺門リンパ節サンプリングまたは郭清が前提であること、手術不適応のI期にはSBRTが優先されることを確認した。閲覧 2026-08-13
  2. 2.Perioperative Nivolumab in Resectable Lung Cancer(2024)切除可能stage IIA〜IIIB NSCLCで術前ニボルマブ+化学療法から術後ニボルマブまで行う周術期治療が、18か月無イベント生存を70.2%対50.0%へ改善したことを確認した。閲覧 2026-08-13
  3. 3.Adjuvant Osimertinib for Resected EGFR-Mutated Stage IB-IIIA Non-Small-Cell Lung Cancer: Updated Results From the Phase III Randomized ADAURA Trial(2023)EGFR exon 19欠失/L858R陽性の完全切除stage IB-IIIA NSCLCで術後オシメルチニブ3年投与が無病生存を延長し(stage II-IIIAでHR 0.23、4年DFS 70%対29%)、中枢神経再発も減らしたことを確認した。閲覧 2026-08-13
  4. 4.Durvalumab after Chemoradiotherapy in Limited-Stage Small-Cell Lung Cancer(2024)限局型SCLCで同時化学放射線療法後のデュルバルマブ地固めが全生存中央値55.9か月対33.4か月へ延長したことを確認した。閲覧 2026-08-13
  5. 5.Durvalumab plus platinum-etoposide versus platinum-etoposide in first-line treatment of extensive-stage small-cell lung cancer (CASPIAN): a randomised, controlled, open-label, phase 3 trial(2019)未治療の進展型SCLCでデュルバルマブをプラチナ+エトポシドに併用すると全生存中央値が13.0か月対10.3か月へ延長したことを確認した。閲覧 2026-08-13
  6. 6.Tarlatamab for Patients with Previously Treated Small-Cell Lung Cancer(2023)既治療SCLCでタルラタマブ10 mg隔週投与の奏効率が40%、無増悪生存中央値4.9か月であり、サイトカイン放出症候群が51%(多くはgrade 1〜2、初回サイクルに集中)に生じたことを確認した。閲覧 2026-08-13