解剖学

解剖学 · 2.3

胸部:胸膜と肺

Thorax — Pleura & lungs

応用トピック
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🧠 肺は「胸膜という二重の袋に包まれた気管支の樹」で読む。 気管が左右に分かれ、・と分岐して肺胞に至る。肺はに密着し、との間の潜在的なで摩擦なく動く。まず胸膜の構造と肺の区分を押さえる。

胸膜

胸膜は肺を包む漿膜で、連続した1枚の膜が折り返して二重の袋を作る。

胸膜 位置 感覚支配
肺表面に密着 自律神経(通常、鋭い局在痛を生じにくい)
胸壁・縦隔・横隔膜の内面 ・(部位により異なり、痛覚に鋭敏)

は部位により・・・()に分けられる。両胸膜はで移行する。

💡 胸膜性の鋭い痛みは主にから生じる。 は通常、鋭い局在痛を生じにくい。一方、は部位に応じてまたはの体性感覚支配を受け、の胸痛の主な発生源となる。1

胸膜陥凹

が折れ返る部位には、肺が入り込まない予備空間(陥凹)がある。深吸気時に肺が広がる余地になり、胸水が最初に溜まる場所でもある。

陥凹 位置
との移行部(最も深い)
との移行部(左付近)

⭐ 胸水はに溜まる。 立位では最も低い位置になるため、胸水・が最初に貯留する。のの理解に直結する。

肺の外形

肺は円錐状で、・・肋骨面・縦隔面をもつ。左右で葉の数が異なる。

肺 葉 裂
右肺 ・中葉・下葉(3葉) ・
左肺 ・下葉(2葉) のみ。・をもつ

💡 右肺が3葉、左肺が2葉なのは心臓のため。 心臓が左に偏るので左肺は容積を譲り、とができる。は太く短く垂直に近いため、誤嚥した異物は右に入りやすい。

肺門と肺根

はで肺に出入りする構造の束で、を胸膜が包む。

構造 配置の目安
後方
肺動脈 上方(左)/前方寄り
前下方
気管支動静脈・リンパ管・神経叢 内

肺動脈は静脈血を運び肺で酸素化、が動脈血をへ戻す。は肺実質そのものを養う()。

気管・気管支樹

気管はC6/喉頭下端から始まり、で左右のに分かれる。(T4/T5)は古典的な体表目安だが、成人では分岐部がその面より下方のT5–T6付近にある例が多く、も大きい。2以後、樹状に分岐する。

flowchart TD
  A["気管"]
  A --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='carina'>気管分岐部</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='sternal angle (of Louis)'>胸骨角</span>より下方が多い(T5–T6付近)"]
  B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='main bronchus'>主気管支</span>(左右)"]
  C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lobar bronchus'>葉気管支</span>(右3・左2)"]
  D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='segmental bronchus'>区域気管支</span>"]
  E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bronchiole'>細気管支</span> → <span class='jp-term jp-term-diagram' title='terminal bronchiole'>終末細気管支</span>"]
  F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='respiratory bronchiole'>呼吸細気管支</span> → <span class='jp-term jp-term-diagram' title='alveolar duct'>肺胞管</span> → 肺胞"]

気管支肺区域

各とそれに伴う肺動脈枝が支配する肺の区画を、という。教科書的には右10区域、左8–10区域と整理されるが、特に左肺では区域の融合やに変異が多い。3各区域は独立性の高い換気・血流単位で、外科的切除の単位になる。

⭐ 区域は外科切除の単位。 各区域は独立したと動脈をもち、区域静脈は区域の境界(区域間)を走る。はこの構造を利用する。

まとめ

  • 胸膜は(肺表面)と(胸壁側)の二重の袋で、間にがある。
  • 胸膜性の鋭い局在痛は主に(支配)から生じる。
  • は最も深い陥凹で胸水が溜まる。
  • 右肺3葉・左肺2葉。左肺は・をもつ。
  • は気管支・肺動静脈を含み、で出入りする。
  • はより下方のT5–T6付近にあることが多いががあり、まで分岐する。区域は切除単位。

出典

  1. 1.Respiratory chest pain: diagnosis and treatment(The Medical Clinics of North America・2010)呼吸器由来の胸痛の多くが壁側胸膜の刺激・炎症によって生じ、臓側胸膜は通常痛みを生じないこと閲覧 2026-08-24
  2. 2.A reappraisal of adult thoracic surface anatomy(Clinical Anatomy・2012)成人CTでは気管分岐部が胸骨角面より下方のT5-T6に位置する例が多く、正常変異が大きいこと閲覧 2026-08-24
  3. 3.Lung segments from anatomy to surgery(Folia Morphologica・2024)気管支肺区域には解剖学的変異が多く、区域切除では詳細な画像解剖が重要であること閲覧 2026-08-24