画像診断学

画像診断学 · 15

救急の胸部画像診断

Emergency chest imaging

前提:正常
胸部:縦隔胸部:胸膜と肺

🧠 全体像:救急の胸痛・呼吸困難では、まず命に関わる6疾患(、、肺塞栓症、、心タンポナーデ、・)を想定し、血行動態が安定しているかで検査の道筋を分ける。不安定なら画像を待たずにベッドサイドで判断する(は減圧、肺塞栓症・解離・タンポナーデの疑いは心エコー)。安定していれば、速くどこでも撮れるが主役で、肺塞栓症では肺動脈の中の、ではと・を探す。胸部X線は「診断を決める」より「ほかの原因を除外する」検査、はを避けたい安定例の代替、DSAは治療と一体の検査である。

1. 胸痛の鑑別と画像の役割

胸痛は外来受診のの1〜2%、救急外来受診の5〜10%を占めるとされ、の幅が非常に広い。見逃すと死に至る疾患を先に拾い上げる。

区分 疾患
命に関わるもの 、、肺塞栓症、、心タンポナーデ、()
消化器 消化性潰瘍、膵炎、胆嚢炎、
呼吸器 肺炎、
筋骨格・皮膚 外傷、、帯状疱疹、胸壁症候群
心臓(非冠動脈) 心筋炎、
その他

救急の胸部画像で中心になる検査は、()、DSA()、胸部X線、の4つである。どれを選ぶかは、次の4点で決まる。

  1. 血行動態が安定しているか(検査室へ移動し、息止めに協力できるか)
  2. 疑っている診断
  3. 禁忌(、の金属など)
  4. その施設ですぐ使えるか
flowchart TD
    A["急性の胸痛・呼吸困難"] --> B["病歴・診察・心電図・採血<br>命に関わる6疾患を想定"]
    B --> C{"血行動態は安定しているか"}
    C -->|"不安定"| D["ベッドサイドで判断<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='tension pneumothorax'>緊張性気胸</span>:画像を待たず減圧<br>肺塞栓症・解離・タンポナーデ:心エコー"]
    C -->|"安定"| E{"最も疑う疾患は何か"}
    E -->|"ST上昇・高<span class='jp-term jp-term-diagram' title='troponin'>トロポニン</span>"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='coronary angiography'>冠動脈造影</span>(DSA)へ"]
    E -->|"肺塞栓症"| G["臨床的確率と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='D-dimer'>Dダイマー</span><br>→ 肺動脈<span class='jp-term jp-term-diagram' title='computed tomography'>CT</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='angiography'>血管造影</span>"]
    E -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aortic dissection'>大動脈解離</span>"| H["頸部〜骨盤の<br>大動脈<span class='jp-term jp-term-diagram' title='computed tomography'>CT</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='angiography'>血管造影</span>"]
    E -->|"低〜<span class='jp-term jp-term-diagram' title='medium risk'>中リスク</span>で3疾患が並ぶ"| I["トリプルルールアウト<span class='jp-term jp-term-diagram' title='computed tomography'>CT</span>を検討"]
    D --> J["安定化できれば<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='computed tomography'>CT</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='angiography'>血管造影</span>で確定"]

💡 胸部X線は数分で撮れ、被ばくもごく少ない(胸部X線の線量は医用画像の基礎)。ただし肺塞栓症・・をX線で否定することはできない。役割は、気胸・肺炎・胸水・肺水腫のような他の原因を見つけることにある。の手順は胸部X線写真のが正本である。

画像で確かめる

  • EI-05-01 肺水腫:甲状腺切除後のAP像。の頭側への、両側の周囲の、(0.5超)がそろう。呼吸困難の原因が心不全による肺水腫なら、胸部X線だけで答えが出ることを確かめる。本体と電極、のクリップ、心電図の電極も写っているので、を病変と取り違えない。

2. 検査法の選び方とヨード造影剤

2.1 4つの検査の役割

検査 強み 弱み 胸痛での主な使いどころ
速い、24時間使える、血管と周囲(肺・縦隔・胸膜)を同時に見る、他の診断も見つかる 被ばく、が必須 肺塞栓症、・、トリプルルールアウト
DSA(・大動脈造影) が最も高い、診断に続けて治療できる 侵襲的、内腔しか見えない ST上昇型の、の計画と実施
胸部X線 速い、ベッドサイドで撮れる、 血管の病気は写らないことが多い 気胸・肺炎・胸水・肺水腫の検出、他の原因の除外
被ばくがない、が要らない 時間がかかる、救急では使いにくい、金属の確認が要る 血行動態が安定した例の代替(妊婦、のアレルギー、小児)

各検査の原理と一般的な・短所は、がの原理、血管の検査全般が血管の画像診断とにまとまっている。造影剤の到着を大動脈で監視して撮影を始める法と、目的の血管ごとの撮影は03とのを参照。

2.2 救急でのヨード造影剤の禁忌

もDSAもを使う。救急では「造影しない危険」と「造影する危険」を比べて決める。

区分 内容 考え方
過去の軽い造影剤反応、・腎不全、副作用の危険因子(甲状腺機能亢進症、アレルギー体質、喘息) 利益と危険を比べ、超音波やなどの代替を考える
従来「禁忌」とされたもの 過去の重症反応の記録(アナフィラキシー、、) 現行の米国放射線学会のマニュアルは、同じ系統の造影剤のと位置づけ、ほかに手段がなければを考え、蘇生に熟練したチームをさせて行うとしている1

⚠️ 過去の重症反応を「禁忌」とする教え方は古い。現在は、同じ系統の造影剤をなるべく避けて代替検査を探すが、命に関わる疾患の診断に不可欠なら準備を整えて造影する。喘息だけ、季節性アレルギーだけを理由に造影をやめたりしたりはしない。1 腎機能(の基準、緊急時は結果を待たないこと)、甲状腺、、の具体的な方法はの原理の「の安全性」が正本である。

💡 は、のアレルギー、妊婦、小児で、血行動態が安定していて、すぐ撮れる施設なら代替になる。ただし妊婦へのはルーチンには行わず、強い適応があるときに限る(の基礎)。造影剤を使わない撮り方も選択肢になる。

3. トリプルルールアウトCT

トリプルルールアウトは、心電図同期の1回ので、(低〜)・・肺塞栓症を同時に評価するの撮影法である。冠動脈(などを曲面再構成で1本ずつ伸ばして見る)、大動脈、肺動脈を1回の撮影で描き出し、の閉塞のような所見も拾える。

条件 内容 理由
装置 64列以上の検出器 心臓・大動脈・肺動脈を1回の息止めで撮り切る
造影剤 通常より多い 冠動脈・大動脈・肺動脈を同時に十分に白くする
β遮断薬で心拍数を60/分以下に下げる 心臓の動きによるぶれを減らす(β遮断薬の注意点は04)
使わない場面 スクリーニング 被ばくと造影剤に見合う利益がない
使わない場面 著しく不規則な心拍(心房細動など) 心電図同期がずれて冠動脈が評価できない
使わない場面 協力できない患者(息止めの指示に従えない) 体動で画像が崩れる
使わない場面 ST上昇や高い値(の高リスク) を挟まずへ進むべき

⚠️ 3疾患を1回で見られる便利さの反面、被ばくと造影剤量が増える。現行の米国放射線学会の適切性基準では、陽性で肺塞栓症を疑う場面でもトリプルルールアウトは「適切な場合がある」(の意見も割れている)にとどまり、肺塞栓症のが高い場面では「通常不適切」とされる。2 最も疑わしい疾患が一つに絞れるなら、その疾患向けの撮影を選ぶ。

の撮影技術(心電図同期、、)はので扱う。疾患としてはを参照。

4. 肺塞栓症

4.1 典型的な来院像

40歳の女性が胸痛と呼吸困難で来院し、が上昇している。心拍数120/分、血圧110/70 mmHg、89%(低酸素血症)。呼吸音は正常だがを使っており、腹部に圧痛や腫瘤はない。

呼吸音が正常なのに頻脈と低酸素血症があることが肺塞栓症を示唆する。肺炎・気胸・胸水ならやで異常が出やすい。

4.2 胸部X線は「肺塞栓症を見る検査」ではない

この患者の胸部X線(PA像)では、・・に明らかな異常がない。つまり「異常なし」であり、同時に「肺塞栓症の診断には不適切な検査」でもある。

  • 肺塞栓症の所見が胸部X線に出ることはまれで、出ても非特異的である。
  • 胸部X線は、血行動態が安定した患者で他の胸部疾患を除外するために使う。3
  • 胸部X線が正常であることは、を選ぶ条件の一つにもなる(に陰影があると血流欠損の解釈が難しくなる)。

4.3 肺動脈CT血管造影の所見

で肺動脈に造影剤が届いた瞬間に撮影する(撮影の遅延時間は04)。

  • を静注し、造影剤で白くなった肺動脈の中に低吸収の(血栓)を探す。この例では、左右の肺動脈の一次・にがある(黄矢印)。
  • の再構成でも両側の肺塞栓が分かる。複数の断面で血管の走行に沿って追うと、欠損が血管の中にあることを確かめやすい。
  • またはそれより中枢のがあれば、中等度〜高い臨床的確率の患者ではそれだけで診断が確定する。3

⭐ 肺動脈は肺塞栓症の基準となる検査である。かつてのはカテーテルによるだったが、侵襲が大きく、同等の精度をもつに置き換わって今ではまれにしか行わない。3

💡 塞栓の源は多くが下肢の深部静脈血栓なので、下肢の圧迫超音波(ドプラ)でを探す検査が重要な補助になる。肺塞栓症を疑う患者で近位の深部静脈血栓が見つかれば、として治療を始めてよい。3 圧迫法の手順は超音波のを参照。一方、に続けて下肢の静脈までで撮るは、被ばくが増える割にの価値が小さく、勧められない。3

4.4 検査の進め方

現行のの指針は、血行動態で道を分ける。3

flowchart TD
    A["肺塞栓症を疑う"] --> B{"血行動態は不安定か<br>(ショック・低血圧)"}
    B -->|"不安定"| C{"肺動脈<span class='jp-term jp-term-diagram' title='computed tomography'>CT</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='angiography'>血管造影</span>が<br>すぐ行えるか"}
    C -->|"はい"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='computed tomography'>CT</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='angiography'>血管造影</span>で確認"]
    C -->|"いいえ"| E["ベッドサイドの心エコー<br>右室機能不全があれば<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='high-risk pulmonary embolism, PE'>高リスク肺塞栓症</span>として治療"]
    B -->|"安定"| F["臨床的確率を評価<br>臨床判断またはWells・改訂ジュネーブ"]
    F -->|"低〜中等度"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='D-dimer'>Dダイマー</span><br>50歳超は年齢×10 µg/Lの<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='age-adjusted cutoff'>年齢調整カットオフ</span>も可"]
    G -->|"陰性"| H["肺塞栓症を否定<br>画像は撮らない"]
    G -->|"陽性"| I["肺動脈<span class='jp-term jp-term-diagram' title='computed tomography'>CT</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='angiography'>血管造影</span>"]
    F -->|"高い"| I
    I -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='segmental branch'>区域枝</span>以上の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='contrast defect'>造影欠損</span>"| J["肺塞栓症と確定し治療"]
    I -->|"正常"| K["肺塞栓症を否定"]

4.5 米国放射線学会の適切性基準:旧版と現行版

米国放射線学会の適切性基準は、ごとに検査を「通常適切」「適切な場合がある」「通常不適切」に分け、相対被ばくレベル(O=被ばくなし、☢が多いほど高線量)を添える。旧版では「中等度の確率で陽性、または高い」を一つの状況として1〜9点で採点していたが、2022年の改訂で状況が分けられ、評価も変わった。

検査 旧版の評価(1〜3点が通常不適切、4〜6点が適切な場合がある、7〜9点が通常適切) 現行版:低〜中等度で陽性2 現行版:高い2
肺動脈 9(に最適化して撮る) 通常適切 通常適切
胸部造影CT 9(に最適化すればの代わりになる。両方は行わない) 通常不適切 通常不適切
胸部X線 9 評価対象外 評価対象外
7(の代わりになる。両方は行わない) 通常適切 通常適切
下肢の 7(の前の最初の検査になりうる) 通常不適切 適切な場合がある(意見不一致)
単純+造影(旧版は胸部、現行版は肺動脈) 6 適切な場合がある 適切な場合がある
+下肢の 5 通常不適切 通常不適切
3 通常不適切 適切な場合がある
() 3 通常不適切 通常不適切
胸部、単純+造影CT 2 通常不適切 通常不適切
2(感度が限られ、特殊な状況に限る) 通常不適切 通常不適切
2 通常不適切 通常不適切
トリプルルールアウト (項目なし) 適切な場合がある(意見不一致) 通常不適切

旧版の相対被ばくレベルは、胸部X線が☢、・胸部CT・が☢☢☢、が☢☢☢☢、超音波とがOである。現行版でも肺動脈は☢☢☢(成人の1〜10 mSv)である。2

💡 どちらの版でもとが主役という点は変わらない。変わったのは、陽性の場面で下肢超音波を「最初の検査」に置かなくなったことと、妊婦では下肢超音波と胸部X線を「通常適切」として別に扱うようになったことである。2

画像で確かめる

  • EI-11-03 両側肺塞栓症:帝王切開後の上昇・呼吸困難・。肺動脈分岐部の高さの肺動脈ので、両側の肺動脈に大きな低吸収の(黄矢印)がある。は造影剤濃度が最も高く、を生じている(青矢印)ので、これを血栓と取り違えない。
  • EI-05-05 :外傷で中に右下腿の痛みと腫脹が出た例。下肢静脈の超音波で、浅とがの血栓で満たされ、押してもつぶれず、で血流信号がない。その深部のには正常な血流がある。肺塞栓症のを探す検査として対で覚える。

5. 胸部大動脈瘤

5.1 典型的な来院像

85歳の女性。高血圧、シェーグレン症候群、、肺塞栓症の既往がある。の胸痛で入院を繰り返したが、では有意な病変がなかった。心拍数115/分、血圧112/68 mmHg、85%。大動脈の拍動が広い範囲で触れる。腹部は柔らかく異常はない。

冠動脈に原因がない胸痛と、広く触れる大動脈の拍動から、を疑い、大動脈のを行う。

5.2 CT血管造影の所見

  • 下行胸大動脈に、造影剤で満たされたのがある。では、瘤がから横へ袋状に突き出す形が分かる。
  • では瘤が椎体に接し、の骨が圧迫で侵食(骨の吸収・破壊)されている。瘤が長く拍動で骨を押し続けた結果である。

💡 瘤は、大動脈全周が均等に膨らむ瘤と違い、壁の一部が突出する形で、破裂の危険を径だけで判断しにくい。骨の侵食は、瘤がゆっくり大きくなってきた証拠でもある。

5.3 治療:ステントグラフト内挿術

周術期の危険が高いため、手術ではなく低侵襲の内挿術(胸部では)を行った。治療後のでは、での中に状の金属の輪(の骨組み)が見え、ではがに沿って置かれ、造影剤がその内腔を流れる。瘤の袋はで血流から外される。治療法の一覧は血管の画像診断とを参照。

5.4 DSAで見る大動脈瘤と、その落とし穴

のDSAでは、より下のが大きく膨らんで造影される。内挿術()の後は、の下から両側のへ伸びる二股のの中を造影剤が流れる。

⚠️ DSAは内腔しか写さないので、瘤の本当の大きさが分からないことがある。 瘤の壁に沿って血栓()がたまると、造影剤が流れる内腔は細く見え、瘤の外径は過小評価される。瘤の径の測定と経過観察には、壁と血栓まで見える超音波・・を使う。

5.5 腹部大動脈瘤を疑うときの検査

検査 役割
超音波 スクリーニングと経過観察に十分。肥満や腸管ガスで感度が下がる
手術やの計画に必要
の代替(、造影剤アレルギー)
DSA 手術・の計画に使え、そのまま1回で治療できる

米国放射線学会の適切性基準(の腹部腫瘤でを疑う場面)も、旧版から現行版で評価が一部変わった。

検査 旧版の評価(9点満点、括弧内は相対被ばくレベル) 現行版(2023年)4
の超音波 9(O) 通常適切(O)
腹部 8(☢☢☢) 通常適切(腹部骨盤、☢☢☢☢)
単純+造影 8(O) 通常適切(O)。現行版は造影のみも通常適切
7(O) 通常適切(O)
・造影CT 7(☢☢☢) 適切な場合がある(☢☢☢)
単純+造影CT 7(☢☢☢☢) 適切な場合がある(☢☢☢☢)
(単純・造影・単純+造影) (項目なし) 適切な場合がある(O)
造影 4(☢☢☢) 通常不適切(☢☢☢)
2(☢☢☢☢) 通常不適切(☢☢☢☢)
腹部骨盤の単純X線、 (項目なし) 通常不適切

💡 超音波は被ばくがなく(相対被ばくレベルO)、は旧版の腹部で☢☢☢、骨盤まで含める現行版で☢☢☢☢である。まず超音波で瘤を見つけて径を測り、治療を考える段階でに進む。カテーテルで造影するだけの大動脈造影は、診断のためには使わなくなった。4 修復を考える径の基準は血管の画像診断とが正本である。

画像で確かめる

  • EI-15-04 破裂:急性腹痛・低血圧・の高齢者。で壁の石灰化(黄矢印)を伴う拡張したがあり、静脈相の造影CTで瘤内の低吸収の(青矢印)と後腹膜の液体貯留(赤矢印)が見える。はに濃くなり(造影剤の)、平均60〜80 とな血腫に合い、大きな血腫が右腎を腹側へ押している。の分だけ、造影される内腔は瘤の外径より細いことも確かめる。

6. 大動脈解離

6.1 典型的な来院像:心筋梗塞や脳卒中に見える解離

75歳の女性。高血圧、、がある。自宅で朝食中に胸痛を訴え、その後突然意識を失った。心拍数75/分、血圧100/68 mmHg、意識障害(の各項目が3-2-1と記録)。心電図でのST上昇とV1〜V5の、左上肢の麻痺があり、痛み刺激への反応は保たれ、右側に異常はない。

心電図はの、左上肢の麻痺は脳卒中を思わせる。しかし、胸痛に続くと神経症状が同時にある場合は、が冠動脈や頸部の血管に及んだ可能性を考える。

⚠️ 解離を見落として、心筋梗塞やとして・を始めると致命的になりうる。胸痛を伴う、胸痛を伴うST上昇では、解離を必ず鑑別に入れる。

6.2 検査の流れ

検査 所見 分かること
正常 冠動脈の動脈硬化性閉塞ではない
頭部 急性の虚血性病変も出血もない は否定。ただし発症直後の梗塞はに写らないことがある(救急の診断)
頸動脈・大動脈の 胸痛・心電図変化・神経症状を一つで説明できる

💡 脳卒中を疑う場面の画像の選び方(で出血を除外し、ので早期の虚血を見る)は17が正本である。この例のように胸痛が先行する神経症状では、頭部に加えて頸動脈と大動脈までで撮ることが決め手になった。

6.3 CT血管造影の所見

  • :大動脈の内腔を二つに分ける低吸収の薄い膜。
  • と:ので、フラップを挟んでとが並ぶ。
  • がから出ている:そのための造影剤の充満がより遅れる。これがのST上昇(領域の虚血)の説明になる。
  • 少量のの:心嚢への出血・滲出を示し、進めば心タンポナーデになる()。
  • で大動脈を基部からへ追い、解離がに及ぶかを確かめる。この例はから分岐部に及ぶスタンフォードA型解離だった。

6.4 分類と治療の方針

スタンフォード分類はに解離があるかで決まる(入口部の位置や範囲の長さではない)。

スタンフォード ドベーキー 解離の範囲
A型 I型 から・を越えて広く
A型 II型 に限局
B型 III型 を含まず、より遠位のから
型 危険 現行の5
A型 冠動脈の閉塞、心タンポナーデ、大動脈弁逆流、突然死。内科治療だけでは最初の48時間の死亡率が約50%(1時間あたり1〜2%)とされる 緊急の心臓科への相談と直ちの手術。臓器の灌流障害があっても直ちに手術
B型・合併症なし — 全例に鎮痛と(静注β遮断薬を中心に、120 mmHg未満・心拍60/分以下を目安に下げて大動脈壁へのを減らす)。高リスクの特徴があれば亜急性期(14〜90日)にを考慮
B型・合併症あり(破裂、臓器の灌流障害など) 、破裂 緊急の介入が必要で、第一選択は

⚠️ 「B型は保存的に治療できる」は、合併症のないB型に限った話である。破裂や臓器の灌流障害を伴うB型は緊急のの対象になる。5 の2024年指針は、スタンフォード分類に入口部と灌流障害の情報を加えた型・入口部・灌流障害(TEM)分類も示している。5

6.5 どこまで撮るか

  • 画像はからの分岐部まで撮り、解離の範囲をしてを計画する。3次元のボリュームレンダリング像では、から分岐部まで続くA型解離の全体像を1枚で示せる。
  • 腸管と腎臓を養う分枝(、、)がとのどちらから出ているかを1本ずつ確かめる。から出る分枝は灌流が落ちやすく、の予測に直結する(の例は血管の画像診断と)。
  • 現行のの指針も、第一選択を頸部から骨盤までのとし、入口部・範囲・合併症(灌流障害・拡張・破裂)を評価するよう求めている。5

6.6 解離を疑うときの検査の選び方

の2024年指針は、臨床的な危険度の点数(検出リスクスコア)とを組み合わせる。5

3つの項目(該当があれば各1点) 例
高リスクの背景 、大動脈疾患の家族歴、既知の、最近の大動脈の手技、既知の
高リスクの痛み 胸・背・腹の痛みが突然発症、激烈、引き裂かれるよう
高リスクの診察所見 血行動態の不安定(低血圧・ショック)、脈拍の欠損・血圧の左右差、、新たな大動脈弁逆流の雑音
flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute aortic syndrome'>急性大動脈症候群</span>を疑う"] --> B["心電図で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ST-elevation myocardial infarction'>ST上昇型心筋梗塞</span>を除外<br>胸部X線・採血・可能なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bedside ultrasonography'>ベッドサイド超音波</span>"]
    B --> C{"血行動態は不安定か"}
    C -->|"不安定"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transthoracic'>経胸壁</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transesophageal echocardiography (TEE)'>経食道心エコー</span>を<br>最初の画像として考慮"]
    C -->|"安定"| E{"リスクスコア"}
    E -->|"2点以上"| F["ただちに頸部〜骨盤の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='computed tomography'>CT</span><br>(心電図同期の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='computed tomography'>CT</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='angiography'>血管造影</span>)"]
    E -->|"2点未満"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='D-dimer'>Dダイマー</span>・胸部X線・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='bedside ultrasonography'>ベッドサイド超音波</span>で判断"]
    G -->|"いずれか陽性"| F
    G -->|"すべて陰性"| H["他の診断を考える"]
  • 胸部X線は大動脈疾患の診断で感度64%・特異度86%と限られ、正常でも解離を否定できない。一方で胸水や気胸など他の胸痛の原因を見つけうるので撮る価値はある。ただし撮影でを遅らせない。5 の拡大はを参照。
  • が500 ng/mL未満なら急性の可能性は低い。5
  • が使えないときの代替は心血管である。5

米国放射線学会の適切性基準(急性胸痛で解離を疑う場面)は、旧版では次のように採点していた。

検査 旧版の評価(9点満点) 相対被ばくレベル 旧版の注釈
胸部X線 9 ☢ ベッドサイドですぐ撮れ、・を遅らせない場合に行う。他の胸痛の原因が見つかることがあるが、解離の確定診断の検査ではない
胸腹部の 9 ☢☢☢☢ 解離を疑うほとんどの患者で確定診断の検査として推奨
胸腹部の単純+造影 8 O が使えない、同じ症状で胸部CTを繰り返している、血行動態が安定している場合のの代替。装置とが限られ、診断が遅れる恐れがある
8 O 熟練したがすぐいれば考慮する
胸腹部の 7 O もも使えない(腎不全など)場合の代替。条件は上と同じ
胸腹部の大動脈造影 5 ☢☢☢☢ —
4 O —

現行版(2021年)では、胸部X線・・胸部または胸腹骨盤の・胸部造影CT(単純+造影を含む)・胸部または胸腹骨盤の単純+造影がいずれも「通常適切」、・大動脈造影・・胸腹骨盤の・胸部・が「適切な場合がある」、胸腹骨盤の単純+造影MRIが「通常不適切」とされる。相対被ばくレベルは、胸部X線が☢、胸部CTと胸部大動脈造影が☢☢☢、胸腹骨盤のが☢☢☢☢☢、超音波とがOである。6

⭐ 血行動態が安定していて、すぐ撮れる施設なら、はの代わりになる。

画像で確かめる

  • EI-10-02 スタンフォードA型:突然の激しいと。大動脈のの・で、からに低吸収の(黄矢印)、の(緑矢印)、楕円形の(青矢印)がある。の方が造影剤濃度が高く白い。解離は(赤矢印)に及ぶ。A型かB型かはに解離があるかで決まるので、目立つ・だけで終えず、まで追う。

7. 緊張性気胸

7.1 典型的な来院像

の後、患側の呼吸音が消失し、で(太鼓のような音)、血圧80/50 mmHg、頸静脈の怒張がある。

にのように空気がたまり続け、が上がって縦隔を押し、静脈還流が妨げられてに陥る。頸静脈の怒張は静脈還流の障害を示す。

7.2 胸部X線の所見

ポータブルのAP像で、

  • 右の胸郭にのない大きな透亮域が広がる。
  • 右肺はへ向かって虚脱している。
  • 縦隔は反対側(左)へ偏位し、気管もへ押される。

気胸の見つけ方(線、の縁との区別、臥位での見えにくさ)は胸部X線写真の、超音波での見つけ方は超音波のを参照。

7.3 画像より先に減圧

⚠️ は急性で命に関わる臨床診断であり、ほとんどの場合、画像を撮る時間はない。ごく一部の患者でだけ、X線で確かめて部位を確定してから処置する方がよい場合がある。治療は太い針(14または16ゲージ)による直ちの減圧で、その後にを入れる。

と針の長さは教育課程によって異なる。の第10版は第4または第5肋間の前に成人で5〜8 cmの針、欧州外傷コースは第2肋間のに14または16ゲージの長いを勧めており、針が短いほど減圧に失敗しやすい(針が1 cm長いごとに失敗率がおよそ8ポイント下がる)。左側では第5肋間に長い針を刺すと心臓を傷つけるおそれがあるとして、このの著者らは左の減圧を第2肋間で行うよう提案しているが、研究間のが大きく、での検証が必要とも述べている。7 疾患としては気胸を参照。

画像で確かめる

  • EI-04-01 左:若年者の後のPA像。左の外側にのない透亮域(黄矢印)と線(黄線)があり、縦隔はわずかに右へ偏位する。左横隔膜と外側のは胸水で消え、水平な液面がある。外傷後の気胸で縦隔がへ押される方向を確かめ、青線で示されたの縁をと取り違えない。偏位が軽い点で、上のと比べる。

8. 心タンポナーデと縦隔炎・食道破裂

命に関わる6疾患のうち、この2つも胸痛の鑑別で必ず挙げる。

疾患 最初に選ぶ画像 見るもの
心タンポナーデ ベッドサイドの心エコー の量と、心臓の拡張が妨げられているか。では心臓を取り囲む液体として見え、解離に伴うはA型解離の危険な合併症である()
() (必要に応じてのを加える) 縦隔の空気()、縦隔の液体貯留、胸水、食道外への造影剤の漏れ。胸部X線でもやが手がかりになる

💡 激しい嘔吐の後の胸痛でがあれば、特発性を疑う(特発性、)。の読み方は胸部X線写真のを参照。

まとめ

  • 急性胸痛はありふれたで、病歴・診察・に加えて画像が命に関わる疾患の見極めに決定的な役割をもつ。
  • 検査を選ぶ最重要の因子は血行動態の安定性である。胸部X線やを撮る時間があるかを先に考える。
  • は速く、たいていの施設で使えるので、急性胸痛の中心となる検査である。
  • トリプルルールアウトは、低〜の・・肺塞栓症が同時に疑われる場面で役立つが、心房細動・協力不能・高リスクの・スクリーニングには使わず、疑う疾患が絞れるなら疾患別の撮影を選ぶ。
  • (DSA、、造影CT)の過去の重症反応は、かつて禁忌とされたが、現在は同じ系統の造影剤のとして扱い、代替がなければ準備を整えて造影する。
  • は、妊婦・アレルギー・小児で、安定していて施設で使えるなら代替になる。
  • 肺塞栓症:胸部X線は用。安定例は臨床的確率→→肺動脈、不安定例は。下肢の超音波でを探す。
  • :超音波でスクリーニングと経過観察、で治療計画。DSAはのせいで瘤の大きさを過小評価しうる。
  • :と・を探し、の有無でA型・B型を決める。A型は緊急手術、合併症のないB型は内科治療、合併症のあるB型は。撮影はからまで、腹部分枝の起始を確かめる。
  • は臨床診断で、画像を待たずに太い針で減圧する。

出典

  1. 1.ACR Manual on Contrast Media(American College of Radiology・2026)発行元が配信している現行PDFの本文で確認した。患者の状況にかかわらず、過去の重症の造影剤反応は同じ系統の造影剤の相対的禁忌であり、同じ系統が必要で代替がなければ可能なら前投薬を考慮すること、その場合は蘇生に熟練したチームが投与中に待機すべきこと。喘息は反応の可能性を高めるが、喘息だけを理由に造影を制限したり前投薬したりはしないこと。季節性アレルギーや多数の薬物・食物アレルギーを理由にした前投薬は推奨しないこと閲覧 2026-09-26
  2. 2.ACR Appropriateness Criteria® Suspected Pulmonary Embolism: 2022 Update(American College of Radiology(J Am Coll Radiol)・2022)発行元(acsearch.acr.org、文書69404)の評価表で確認した。低〜中等度の検査前確率でDダイマー陽性(Variant 2)の初期画像は、肺動脈CT血管造影と換気血流シンチグラフィが「通常適切」、肺動脈の単純+造影MR血管撮影とトリプルルールアウトCT血管造影が「適切な場合がある」(後者はパネル内で意見不一致)、下肢のデュプレックス超音波・経胸壁心エコー・経食道心エコー・肺動脈造影・非造影MR血管撮影・通常の胸部CT(造影・単純・単純+造影)・CT血管造影+下肢CT静脈造影は「通常不適切」。高い検査前確率(Variant 3)では肺動脈CT血管造影と換気血流シンチグラフィが「通常適切」、下肢デュプレックス超音波(意見不一致)・経胸壁心エコー・単純+造影MR血管撮影が「適切な場合がある」、トリプルルールアウトCT血管造影は「通常不適切」。低〜中等度の確率でDダイマー陰性(Variant 1)ではどの画像も「通常不適切」。妊婦(Variant 4)では下肢デュプレックス超音波・胸部X線・肺動脈CT血管造影・換気血流シンチグラフィが「通常適切」。肺動脈CT血管造影の相対被ばくレベルは☢☢☢(成人1〜10 mSv)閲覧 2026-09-26
  3. 3.2019 ESC Guidelines for the diagnosis and management of acute pulmonary embolism developed in collaboration with the European Respiratory Society (ERS): The Task Force for the diagnosis and management of acute pulmonary embolism of the European Society of Cardiology (ESC)(European Society of Cardiology / European Respiratory Society・2019)誌上版PDF(Eur Heart J 2020;41:543-603)の本文で確認した。血行動態が不安定な高リスク肺塞栓症の疑いではベッドサイド心エコーまたは緊急の肺動脈CT血管造影で診断し(Class I、C)、図4ではCT肺動脈造影がすぐ行えなければ経胸壁心エコーで右室機能不全を確かめて治療に進むこと。血行動態が安定した例では臨床的確率(臨床判断または改訂ジュネーブ・Wellsなどの予測ルール)に基づいて診断を進め(I、A)、低〜中等度の確率または「肺塞栓症らしくない」群でDダイマーを測り(I、A)、50歳超では固定値500 µg/Lに代えて年齢×10 µg/Lの年齢調整カットオフを考慮し(IIa、B)、高い臨床的確率ではDダイマーを測らない(III、A)こと。低〜中等度の確率でCT肺動脈造影が正常なら肺塞栓症を否定し(I、A)、中等度〜高い確率で区域枝以上の造影欠損があれば確定する(I、B)こと。血流シンチグラフィが正常なら否定し(I、A)、CT静脈造影の追加は推奨しない(III、B)こと。肺塞栓症を疑う患者で圧迫超音波が近位の深部静脈血栓症を示せば静脈血栓塞栓症と診断してよい(I)こと。胸部X線はしばしば異常だが所見は非特異的で、呼吸困難・胸痛の他の原因の除外に役立つこと。臨床的確率ごとの肺塞栓症の割合が低10%・中等度30%・高65%であること。肺動脈造影は歴史的な基準検査だが現在はまれにしか行われないこと閲覧 2026-09-26
  4. 4.ACR Appropriateness Criteria® Pulsatile Abdominal Mass, Suspected Abdominal Aortic Aneurysm: 2023 Update(American College of Radiology(J Am Coll Radiol)・2023)発行元(acsearch.acr.org、文書69414、New 2023)の評価表で確認した。拍動性腹部腫瘤で腹部大動脈瘤を疑う初期画像は、腹部大動脈の超音波、腹部骨盤のMR血管撮影(造影・単純+造影・非造影)、腹部骨盤CT血管造影(造影・単純+造影)が「通常適切」、腹部骨盤のMRI(3種)と通常のCT(造影・単純・単純+造影)が「適切な場合がある」、血管内超音波・腹部大動脈造影・腹部骨盤単純X線・FDG-PET/CTが「通常不適切」。相対被ばくレベルは超音波・MR血管撮影・MRIがO、腹部骨盤CT血管造影が☢☢☢☢、造影CT・単純CT・大動脈造影が☢☢☢、単純+造影CTとFDG-PET/CTが☢☢☢☢閲覧 2026-09-26
  5. 5.2024 ESC Guidelines for the management of peripheral arterial and aortic diseases(European Society of Cardiology (ESC)・2024)誌上版PDF(Eur Heart J 2024;45:3538-3700、リエージュ大学リポジトリ)で確認した。急性大動脈症候群が疑われる場合、大動脈解離検出リスクスコア(ADD-RS)を用いた多面的な診断アルゴリズムを推奨し(Class I、B)、第一選択の画像は頸部から骨盤までの心電図同期CTで、入口部・進展範囲・合併症(臓器灌流障害・拡張・破裂)が分かること(I、C)、初期評価で焦点を絞った経胸壁心エコー(I、C)、周術期の管理と合併症の検出に経食道心エコー(I、C)、CTが使えない場合の代替として心血管MRI(IIa、C)。初期治療の要は収縮期血圧を120 mmHg未満、心拍数を60/分以下に下げて大動脈壁への負荷を減らすことで、静注β遮断薬(第一選択はラベタロール、エスモロールも有用)が最善とされること。図30でADD-RSは高リスク病態(マルファン症候群、大動脈疾患の家族歴、既知の大動脈弁疾患、最近の大動脈手技、既知の大動脈瘤)・高リスクの痛み(突然発症・激烈・引き裂かれる痛み)・高リスクの診察所見(血行動態不安定、脈拍欠損・血圧の左右差、局所神経脱落、新たな大動脈弁逆流雑音)を各1点とし、2点以上は高リスクでただちにCT、2点未満はDダイマー・胸部X線・ポイントオブケア超音波で判断し、血行動態が不安定なら経胸壁・経食道心エコーを第一選択の画像として考慮すること。胸部X線は大動脈疾患の診断で感度64%・特異度86%と限られ、正常でも急性大動脈症候群を否定できないが、胸水や気胸など他の原因を見つけうること。Dダイマー500 ng/mL未満なら急性大動脈解離の可能性は低いこと。急性A型解離では緊急の外科相談と直ちの手術を推奨し(I、B)、内科治療のみでは最初の48時間の死亡率が高い(約50%、1時間あたり1〜2%)とされること、臓器灌流障害を伴うA型解離でも直ちに手術すること(I、B)。急性B型解離では全例に鎮痛と血圧管理を含む内科治療(I、B)、合併症を伴う例では緊急介入(I、B)とその第一選択としてのTEVAR(I、B)、合併症のない例でも高リスクの特徴があれば亜急性期(14〜90日)のTEVARを考慮すること(IIa、B)。スタンフォード分類を更新した型・入口部・灌流障害(TEM)分類を示していること閲覧 2026-09-26
  6. 6.ACR Appropriateness Criteria® Suspected Acute Aortic Syndrome(American College of Radiology(J Am Coll Radiol)・2021)発行元(acsearch.acr.org、文書69402、New 2021)の評価表で確認した。急性胸痛で急性大動脈症候群を疑う場合、経食道心エコー・胸部X線・胸腹骨盤の造影MR血管撮影・胸部の造影MR血管撮影・胸部造影CT・胸部単純+造影CT・胸部CT血管造影・胸腹骨盤CT血管造影が「通常適切」、経胸壁心エコー・大動脈造影・非造影MR血管撮影・非造影MRI・胸部単純CT・冠動脈CT血管造影が「適切な場合がある」、胸腹骨盤の単純+造影MRIが「通常不適切」。相対被ばくレベルは胸部X線☢、胸部CT血管造影・胸部CT・胸部大動脈造影・冠動脈CT血管造影☢☢☢、胸腹骨盤CT血管造影☢☢☢☢☢、超音波・MR血管撮影・MRIがO閲覧 2026-09-26
  7. 7.Meta-analysis of the optimal needle length and decompression site for tension pneumothorax and consensus recommendations on current ATLS and ETC guidelines(World Journal of Emergency Surgery・2025)全文(PMC12087068)で確認した。ATLS(第10版学生用マニュアル)が小柄な成人で5 cm・大柄な成人で8 cmの針を第4または第5肋間の前中腋窩線へ、欧州外傷コース(ETC)が14または16ゲージの「超長」カニューレを第2肋間鎖骨中線へと推奨しており、部位も針も食い違っていること、針長が1 cm増えるごとに減圧失敗率がおよそ7.76ポイント下がること、左側の緊張性気胸では心損傷の危険から第5肋間中腋窩線での減圧を避けるよう著者らが提案していること、ただし研究間の異質性が大きく前向き多施設試験による検証が必要と著者ら自身が述べていること閲覧 2026-09-26