画像診断学

画像診断学 · 16

救急の腹部画像診断

Emergency abdominal imaging

前提:正常
腹部:局所解剖腹部:腹膜腹部:泌尿器と後腹膜

🧠 全体像:の画像は「痛む場所で疑う病気を絞る → その病気に一番強い検査を最初に選ぶ → 足りなければで確かめる」という順で選ぶ。右上腹部(胆嚢)・骨盤・液体は超音波、穿孔の遊離ガスと腸管の拡張・・異物は単純X線でまず拾い、原因・合併症・部位の特定はCTが担う。は救急では使いにくいが、妊婦と小児、そして胆道では強い味方になる。結石はの、膵炎は診断は臨床と採血、画像は原因探しと合併症の評価、と疾患ごとに「最初の一手」が違うことを押さえる。各検査の原理はX線撮影の基礎・の原理・臨床超音波で扱い、このノートは救急での使い分けに集中する。

1. 急性腹症とは何か

は、強い腹痛を主な症状とし、早い診断と緊急のの決定(手術か、手術以外か)を要する状態をまとめた臨床診断である(腹痛)。

1.1 診療の流れと時間の目安

flowchart TD
    A["病歴"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='physical examination'>身体診察</span>"]
    B --> C["血液・尿検査"]
    C --> D["画像検査"]
    D --> E{"手術か<br>手術以外の治療か"}
    E --> F["この判断までを<br>おおむね1〜3時間で"]

画像は、病歴・診察・検査で絞った鑑別に答えを出すためのである。「とりあえず全部撮る」のではなく、疑う病気によって最初の検査を変える。

1.2 命に関わるものから自然に治るものまで

の原因は、重さの幅が非常に広い。命に関わる側の疾患を見逃さないことが画像の最大の役割である。

命に関わる 中間 自然に治ることが多い
破裂 虫垂炎 胃腸炎
膵炎 胆嚢炎 リンパ節炎
S状結腸 炎
消化性潰瘍の穿孔 梗塞
の穿孔 盲腸

1.3 痛む場所から疑う病気

腹部を横の2本の線(上は幽門平面、下は結節間平面)と縦の2本の線で9つに分けると、場所ごとに疑う病気が決まる。

部位 疑う病気
胆石、胆管炎、肝炎、、心臓の病気、肺の病気
食道炎、消化性潰瘍、潰瘍穿孔、膵炎
左 脾膿瘍、急性脾腫、
右・左 尿管の疝痛(尿管結石)、腎盂腎炎
虫垂炎(初期)、、炎、リンパ腫
右腸骨窩() 虫垂炎、、盲腸の閉塞、、、ヘルニア
下腹部() 、尿閉、膀胱炎、
(左下腹部) 、、便秘、、ヘルニア

💡 の痛みに「心臓・肺の病気」が入っているのは、の心筋梗塞や右下葉の肺炎が上腹部痛として現れるからである。腹部の画像で異常がなければ、胸部にも目を向ける。

2. 検査法ごとの得意・不得意

検査 位置づけと得意なもの 限界
超音波 骨盤、腹水、液体貯留(膿瘍)、(腎・肝・脾)、胆道の第一選択 腸管ガスが多い()、肥満、術後の・ドレーンで見えにくい
超音波でが出ないとき、合併症を疑うとき。ほぼすべての病態に高い感度 被ばく、の
(遊離ガス)、腸管の拡張、、異物。小腸追跡造影の土台 ・軟部の病変はほとんど分からない
軟部組織の分解能が高い。妊婦・小児の代替、胆道をより詳しく描く 救急ではたいてい使えない、検査時間が長い
flowchart TD
    A["急性腹痛"] --> B{"痛みの場所と<br>疑う病気"}
    B -->|"右上腹部・胆道<br>骨盤・液体"| C["超音波"]
    B -->|"穿孔・腸閉塞<br>異物"| D["単純X線<br>(立位・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lateral position'>側臥位</span>)"]
    B -->|"側腹部痛<br>結石を疑う"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='low-dose'>低線量</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='noncontrast CT'>単純CT</span>"]
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='right lower quadrant'>右下腹部</span>痛<br>成人の虫垂炎疑い"| F["造影CT"]
    C --> G{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='conclusion'>結論</span>が出たか"}
    D --> G
    G -->|"いいえ・合併症疑い"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='computed tomography'>CT</span><br>(妊婦・小児は<span class='jp-term jp-term-diagram' title='magnetic resonance imaging'>MRI</span>も)"]

⭐ 腹痛の画像選択では、ACRの適切性基準が「通常適切・適切な場合がある・通常不適切」の3段階で検査を評価している。以下の各節ではこの評価を表で示す。相対的な被ばくは、ACRの相対被ばくレベル(成人の)に合わせて、なし(0 mSv)・低い(0.1〜1 mSv)・中等度(1〜10 mSv)・高い(10〜30 mSv)で表す1。小児ではより低い線量範囲で同じ段階をつける(例:中等度は0.3〜3 mSv)。被ばくの目安は医用画像の導入(腹部骨盤 7.7 mSv など)を参照。

3. 右下腹部痛:急性虫垂炎

想定する場面:強い痛、発熱、()。

3.1 超音波所見

のリニアで、で押しながら(段階的圧迫法)虫垂を探す。

所見 意味
に終わる構造 腸管ではなく虫垂であることの確認
押しても潰れない 正常な虫垂は圧迫で潰れる。炎症で内圧が上がると潰れない
外径6 mm以上 一般に使われる腫大の目安。見逃しは少ないが特異度は低い
虫垂周囲の液体・膿瘍 穿孔・膿瘍形成を示す
血流の増加(ドプラ) 壁の炎症

炎症を起こした虫垂は、で厚く、の管として長軸・短軸の両方で見える。膿瘍を作ると、先端の周りに境界のはっきりしないの液体貯留が加わる。代表的な例では、虫垂の外径は約12 mm、先端の膿瘍は約4.4×2.9 cmに達していた。正常な虫垂は細く、層構造が保たれ、圧迫で潰れる。

⚠️ 6 mmは「超えたら虫垂炎」という確定の線ではない。よく引用される外径6 mmのは、の研究で感度97.5%に対し特異度59.6%にとどまった1。6 mmをわずかに超える程度の境界域では、潰れないか・周囲の脂肪織や液体の変化があるかを合わせて判断する。

3.2 CTが役立つ場面

超音波で虫垂が見つからない・が出ないときにへ進む。

  • 肥満、盲腸の後ろにある虫垂(後盲腸位。超音波では腸管の陰に隠れる)、腸管ガスが多い、膿瘍を疑うときはが必要になる。
  • は膿瘍や穿孔の検出にも役立つ。成人と思春期の系統的レビューでは、の感度94%・特異度95%、超音波の感度86%・特異度81%であった2。
  • で見る所見は、虫垂の腫大(壁肥厚)と虫垂周囲の脂肪織の濃度上昇(炎症で脂肪にすじ状の濃い影が混じる)の2つが基本である。でも、・の再構成で腫大した虫垂と周囲の脂肪織の変化を追える。1枚で見つけにくいときは、・で盲腸から続く管をたどる。
  • 後盲腸位の正常な虫垂もならそのまま見える。「で正常な虫垂が見えた」ことは虫垂炎を否定する強い材料になる。

3.3 成人の初期画像の推奨

痛・発熱・で虫垂炎を疑う成人の初期画像(ACR、2022年改訂)1:

検査 評価 相対的な被ばく
造影腹部骨盤 通常適切 中等度
腹部骨盤 適切な場合がある 中等度
腹部超音波、 適切な場合がある なし
腹部骨盤(、造影あり) 適切な場合がある なし
と造影の両方の 通常不適切 高い
通常不適切 低い
白血球 通常不適切 高い
下の 通常不適切 中等度

💡 米国の基準は成人でまずを置くが、欧州の救急外科学会()の指針は成人・小児ともに超音波をまず行う立場をとる3。どちらも「超音波でが出なければ(妊婦・小児では)」という流れは共通である。

3.4 妊婦と小児では被ばくを避ける

対象 最初の画像 超音波でが出ないとき
妊婦 腹部超音波(段階的圧迫法) (利用できれば)。は「適切な場合がある」にとどまる
小児() の超音波 または造影MRI、あるいは造影CT。利用できればを優先

妊婦ではACRが腹部超音波とを「通常適切」とし1、は超音波を初期画像として、が出なければを提案する3。小児ではACRが例の初期画像を超音波とし、超音波で判定できなければか造影CT、合併症を疑えば造影CTとする4。

⚠️ 妊婦ではを原則として使わない。で虫垂と周囲の炎症を探す(の扱いはの基礎)。

画像で確かめる

  • EI-01-05 虫垂周囲膿瘍を伴う:標準体重の若い女性の急性痛。リニア(7.5〜10 MHz)ので、径12 mmの潰れないの構造(腫大した虫垂、黄矢印)があり、先端の周りにの液体貯留(膿瘍、緑矢印)がある。径12 mmは6 mmの目安の2倍で、挿入図の細い正常な虫垂と見比べると腫大がよく分かる。

4. 右上腹部痛:胆石・胆嚢炎・胆管結石

想定する場面:突然の右上腹部痛()。

4.1 超音波が第一選択

の初期画像は腹部超音波である5。

所見 見え方
胆石 強く反射する。奥にを引く
胆嚢壁の肥厚 厚く層状になったの壁。ドプラで壁の血流が増える
超音波 で胆嚢の真上を押したときに最も強い痛みが出る

⭐ の2大所見は「胆石」と「超音波」。両方がそろうとは約92%、結石+壁肥厚では約95%である6。逆に、結石がなくも陰性ならは95%で、超音波だけで約8割の患者の診断が決まる6。

💡 食後は胆嚢が収縮して壁が厚く見えるので、腹部超音波は絶食で行う(は超音波実習)。

4.2 CTの強みと弱み

造影CTは胆嚢炎の診断にも使える。感度・特異度を90〜95%とする記載もあるが報告による差が大きく、ACRが紹介する2018年の比較研究ではの検出感度は 85%・超音波68%だった5。一方で胆石がすべてとは限らない。カルシウムを含まない結石(など)は胆汁と同じ濃度()か、それより低い濃度(低吸収)になり、ほとんど見えないことがある。の胆石そのものに対する感度は約75%にとどまる5。

超音波
カルシウムを含まない胆石 描出できる 確実には描出できない
、胆嚢周囲のガス 劣る より感度が高い
胆管内の結石 劣る より感度が高い
被ばく なし あり

造影CTで見る所見:

  • 胆嚢壁の中等度の肥厚と胆嚢周囲の液体:胆嚢炎の所見。
  • :造影される壁に囲まれ、中は液体の濃度。
  • 胆嚢の穿孔:壁のが途切れ、肝周囲・骨盤など腹腔内に液体が広がる(で全体像がつかみやすい)。
  • 石灰化した胆石は、辺縁が白く中が抜けた多角形の粒が集まって見えることがある。一方、低吸収の結石は胆汁とほぼ区別がつかない。

⚠️ で胆石が見えないことは、胆石がないことを意味しない。胆嚢炎を疑えば、の後でも超音波で結石を確かめる。

4.3 MRIとMRCP

は救急ではめったに使えないが、妊婦の代替になり、特に慢性のや結石ではより精密に描く。

  • :胆汁(液体)は白く、胆石は信号のない黒い粒として浮かび上がる。高速エコー法のでは脂肪も明るく写る。
  • MR胆道膵管撮影():非常に強いで、液体で満たされた胆管・膵管だけを白く描く。静注の造影剤は要らない。胆管と膵管を非侵襲的に描く信頼できる方法で、結果はとよく一致する。ただしと違い、結石除去などの治療はできない。

では、胆嚢と、右・左肝管、、、膵管、のあたり、十二指腸のC字ループを1枚で追える。シーケンスの詳細はの基礎を参照。

4.4 胆管拡張:総胆管結石の間接的なしるし

そのものが見えなくても、上流の胆管が拡張していれば閉塞を疑う()。

検査 拡張した胆管の見え方
超音波 に枝分かれするの管。ドプラで血流がないことで門脈・と区別する
CT 低吸収で造影されない、枝分かれする構造
のに信号の欠損(結石)、その上流の胆管がびまん性に拡張し高信号
flowchart TD
    A["右上腹部痛"] --> B["腹部超音波"]
    B -->|"胆石+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Murphy sign'>Murphy徴候</span><br>壁肥厚"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute cholecystitis'>急性胆嚢炎</span>"]
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bile duct dilatation'>胆管拡張</span>"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='common bile duct stones'>総胆管結石</span>・<br>閉塞を疑う"]
    B -->|"陰性・不明瞭"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='magnetic resonance cholangiopancreatography'>MRCP</span>を含む<span class='jp-term jp-term-diagram' title='magnetic resonance imaging'>MRI</span><br>または造影CT"]
    C -->|"膿瘍・穿孔を疑う"| F["造影CT"]
    D --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='magnetic resonance cholangiopancreatography'>MRCP</span>で結石と<br>閉塞部位を確認"]
    G -->|"治療が必要"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='endoscopic retrograde cholangiopancreatography'>ERCP</span>で結石除去"]

4.5 初期画像の推奨

右上腹部痛でを疑う初期画像(ACR、2022年改訂)5:

検査 評価 相対的な被ばく
腹部超音波 通常適切 なし
造影腹部 適切な場合がある 中等度
を含む(、造影あり) 適切な場合がある なし
胆道 適切な場合がある 低い
腹部 適切な場合がある 中等度
と造影の両方の 通常不適切 高い

超音波が陰性・不明瞭なら、を含むか造影CTへ進む。発熱やがあれば胆道も候補になり、無石胆嚢炎を疑うときは胆道が中心になる5。の原理は核医学を参照。

画像で確かめる

  • EI-09-06 胆石を伴う胆嚢炎:発熱・悪心・強い右上腹部痛。コンベックス(3.5〜5 MHz)の右下で、胆嚢内にを伴う(結石)があり、壁は厚く層状でである。縦断と横断の2方向で結石と壁の両方を確かめる。
  • EI-06-06 ():慢性の右上腹部痛。のと3D ので、白い液体で満たされたの中に黒い充填欠損(結石)がある。

5. びまん性の腹痛と腹部膨満:イレウス

想定する場面:びまん性に強くなる腹痛と腹部膨満、3日間の便秘、嘔吐2回、発熱なし(イレウス・腸閉塞、腹部膨満)。

5.1 画像で答えるべき問い

flowchart TD
    A["腸管の拡張を見つけた"] --> B{"機械的か<br>機能的(麻痺性)か"}
    B --> C{"小腸か大腸か"}
    C --> D{"原因は何か"}
    D --> E{"壊死はあるか<br>穿孔はあるか"}
    E --> F["手術か<br>保存的治療か"]

5.2 単純X線:拡張と鏡面像を拾う

胸部と腹部の単純X線(立位)で、拡張した腸管と(ガスと液体の水平な境界)を探す()。この症例では大腸が著しく拡張し、立位の腹部像で大きなを作っていた。立位の胸部像でも、横隔膜の下に拡張した結腸のガスが見えることがある。

小腸と大腸の拡張の見分け方(位置・径・ひだ)はX線撮影の基礎の表で扱う。のも単純X線の所見である。

5.3 造影CT:部位と原因を突き止める

造影CTは、閉塞の部位と原因を決める検査である。・で拡張した腸管をたどり、拡張した腸管と拡張していない腸管の境目(移行部)で原因を探す。

⭐ 拡張していない正常な腸管が残っていれば、(麻痺性ではない)を強く示す。では腸管が全体に一様に拡張する。

この症例では、左のの中に腸管ループがあり、左の嵌頓が大腸イレウスの原因だった()。

閉塞の部位 多い原因
小腸 癒着、、ヘルニア、腫瘍(頻度は低い)
大腸 大腸腺癌(小腸よりはるかに多い)、、ヘルニア、

💡 のでは、液体で満たされて拡張したが並び、ひだ(ケルクリングひだ)が壁から内腔へ横切る。ガスが少なく液体が多い閉塞では、単純X線でが目立たないことがあり、のほうが確実である。

5.4 小腸追跡造影

口から造影剤を飲ませ、時間を追って腹部X線を撮る検査である(X線撮影の基礎)。

  • 閉塞の程度と高さについて追加の情報が得られる。
  • ・・で使える。治療効果を持つことがある(が閉塞の解除を助ける)7。
  • 限界:検査に6〜24時間かかる。重症で飲めない患者には使えない。

撮影前・5分後・1時間後・3時間後と追うと、3時間たっても造影剤が大腸に届かず、拡張した小腸に留まるなら小腸イレウスである。の保存的治療中は、の投与24時間後の腹部X線で、造影剤が結腸に届いていれば閉塞の解除、届いていなければ保存的治療の失敗を強く示唆する7。

5.5 初期画像の推奨

急性発症の疑いの初期画像(ACR、2019年版)8:

検査 評価 相対的な被ばく
造影腹部骨盤 通常適切 中等度
腹部骨盤 適切な場合がある 中等度
腹部骨盤(、造影あり) 適切な場合がある なし
腹部骨盤単純X線 適切な場合がある(の意見が割れた) 中等度
下の小腸追跡造影 適切な場合がある 中等度
と造影の両方の 通常不適切 高い
エンテロクリーシス、 通常不適切 高い
MR、MRエンテロクリーシス 通常不適切 なし
下の小腸注腸法 通常不適切 中等度
腹部 通常不適切 なし

💡 ・エンテロクリーシスはや間欠的な閉塞の精査に向く撮り方で、急性の閉塞には向かない(の)。

画像で確かめる

  • EI-10-06 嵌頓による機械的小腸イレウス:嘔吐・急性腹痛・の腫れ。立位の腹部X線で、上腹部に径2〜3 cmの拡張したが並びを作る。大腸のガスは正常より少ない。「の腫れ+小腸イレウス」で、まで画像を確かめる必要がある。
  • EI-11-06 卵巣癌のS状結腸浸潤による機械的大腸イレウス:骨盤腫瘍の既往がある高齢女性。立位の腹部X線で、上行・横行・が大きく拡張し、径10〜15 cmに及ぶ大きながある。小腸のガスは少ない。EI-10-06と並べて、拡張の位置と径で小腸と大腸を見分ける。

6. 消化管穿孔:腹腔内遊離ガス

消化管が破れると、腹腔内に漏れたガスが体の最も高い所に集まる(、消化性潰瘍)。

6.1 単純X線:多量の遊離ガスを拾う

体位 遊離ガスの見え方
立位(胸部正面) 両側の横隔膜の下にの
(水平方向のX線) 上になった側の腹壁と肝の間に帯状の

撮り方と、を選ぶ理由はX線撮影の基礎で扱う。

⚠️ 開腹・の後は、遊離ガスが正常所見として残る。従来「術後およそ1週間は正常」と教えられてきたが、術後30日以内に腹部を撮った344例では、遊離ガスは術後0〜6日で53%、7〜13日で41%、14〜20日で23%、21〜27日で13%に見られ、28〜30日では0%だった9。1週間という目安は短すぎ、では3週間近く残る例もある。術後の遊離ガスは、量が増えていくか、(腹膜炎・発熱)を伴うかでを疑う。

6.2 CT:少量のガスまで拾う

  • 空気は−1000 と非常に低いので、でもはっきり見える(値はの原理)。
  • は単純X線よりはるかに感度が高い。肝の前面(腹壁の直下)や肝門部の小さな泡まで拾える。
  • ⭐ で見る。腹部の軟部条件では、脂肪と空気がどちらも黒くつぶれて小さな遊離ガスを見落とす。ウィンドウを広げると、脂肪(灰色)と空気(真っ黒)が分かれる。
  • 消化性潰瘍の穿孔を疑うときは、まず、すぐにが使えなければ胸腹部の単純X線を行う10。
flowchart TD
    A["突然の強い腹痛<br>穿孔を疑う"] --> B{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='computed tomography'>CT</span>がすぐ使えるか"}
    B -->|"はい"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='computed tomography'>CT</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='lung window'>肺野条件</span>で遊離ガスを探す"]
    B -->|"いいえ"| D["立位胸部X線<br>立てなければ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lateral position'>側臥位</span>"]
    D -->|"遊離ガスなし・疑いが続く"| C
    C --> E["ガスの位置・液体・<br>周囲の炎症で穿孔部位を推定"]
    A --> F{"最近の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='surgical history'>手術歴</span>"}
    F -->|"あり"| G["術後の遊離ガスと区別<br>量の増加・腹膜炎の所見"]

画像で確かめる

7. 心窩部痛:急性膵炎

想定する場面:長年の大量飲酒、強い、血清リパーゼが基準値上限の4倍()。

7.1 診断は画像ではない

⭐ の診断は、臨床像と血液検査で行う。画像は必須ではない。 診断は「膵炎に合う腹痛」「血清またはリパーゼが基準値上限の3倍超」「画像の」の3つのうち2つで下す11。この症例は腹痛とリパーゼ4倍で、すでに2つを満たす。

画像の役割は次の3つである。

  1. 原因を探す:胆石・(か)
  2. 診断に迷うときに確かめる:病像がなとき
  3. 合併症を評価する:壊死、液体貯留、膿瘍、

7.2 早期(発症48〜72時間以内):超音波

  • 胆石・を早期に見つけられる。入院時に胆石性かどうかを調べるため超音波を行う11。
  • ただし膵炎そのものへの感度は低い。腸管や胃のガス、肥満で膵が見えにくい。壊死の広がりは超音波では評価できない。
  • 見えれば、炎症を起こした膵は正常より腫れて幅が広く、になる。正常な膵は、脾静脈の前を細く弓なりに走る均一な帯として見える。

典型的な初発の膵炎で発症48〜72時間未満なら、初期画像として「通常適切」なのは腹部超音波だけである12。

検査(初発・典型的・発症48〜72時間未満) 評価 相対的な被ばく
腹部超音波 通常適切 なし
造影腹部骨盤 適切な場合がある 中等度
を含む(、造影あり) 適切な場合がある なし
腹部の 適切な場合がある なし
と造影の両方の 通常不適切 高い
腹部骨盤 通常不適切 中等度
通常不適切 なし

7.3 造影CT:いつ、何のために撮るか

造影CTが必要になるのは、合併症(膿瘍、、)を疑うときと、治療しても臨床状態がよくならないときである。

⚠️ 発症直後に造影CTを撮っても、壊死の広がりは正確に分からない。 造影CTは「発症48〜72時間以降」と説明されることが多いが、現行の指針は、重症例の最初の造影CTは症状発現から72〜96時間後が最適としている11。ACRも、発症48〜72時間を超えた重症例や経過中の悪化例で造影CTを「通常適切」としている12。

所見 意味
膵周囲の脂肪織の濃度上昇 炎症のしるし
造影される膵実質 生きている組織
造影されない膵実質 壊死
膵実質内のガスの泡 (の感染を疑う)膵炎
境界のはっきりした液体貯留 膵周囲液体貯留、のちに・へ
重症例で伴いやすい

は、局所合併症を膵周囲液体貯留・壊死(膵実質および膵周囲、無菌性か感染性か)・・と定義する。重症度は、臓器不全も合併症もなければ軽症、一過性の臓器不全か局所合併症があれば中等症、48時間を超えて続く臓器不全があれば重症である13。つまり重症かどうかを分けるのは画像ではなく臓器不全の持続で、画像は局所合併症(中等症の根拠になる)の種類と広がりを示す。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='epigastric pain'>心窩部痛</span>+<br>リパーゼ3倍超"] --> B["臨床で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute pancreatitis'>急性膵炎</span>と診断<br>(画像は必須でない)"]
    B --> C["入院時に腹部超音波<br>胆石・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bile duct dilatation'>胆管拡張</span>を探す"]
    C -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bile duct dilatation'>胆管拡張</span>・原因不明"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='magnetic resonance cholangiopancreatography'>MRCP</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='common bile duct stones'>総胆管結石</span>を探す"]
    B --> E{"改善しない<br>合併症を疑う"}
    E -->|"はい"| F["造影CT<br>最初は発症72〜96時間後が最適"]
    F --> G["壊死・液体貯留・<br>膿瘍・血腫の評価"]
    G -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular complication'>血管合併症</span>"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='angiography'>血管造影</span>で<br>診断と塞栓術"]
    G --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pseudocyst'>仮性嚢胞</span>・液体貯留は<br>超音波で経過観察"]

7.4 急性膵炎での各検査の役割

検査 役割
超音波 胆石・の描出。と液体貯留の経過観察
造影CT 合併症(液体貯留、壊死の広がり、膿瘍、血腫)の検出と経過観察。治療しても改善しないとき
利用できればの代替。は胆嚢・胆管結石の検出でより感度が高い
(からの出血など)の診断と治療

原因不明の膵炎では、の潜在結石を探すためにかを考える11。の値はの、疾患の全体像はを参照。と塞栓術は血管放射線医学で扱う。

画像で確かめる

  • EI-14-03 急性:発熱、背部へ放散する上腹部痛、・リパーゼの著明な上昇。との造影CTを並べて読む。膵は腫大し輪郭が不明瞭(造影CTの青矢印)。造影CTで膵頭部は造影される(生きた組織、黄矢印)が、体部・尾部は低吸収で造影されず壊死を示す。周囲の腸間膜脂肪はのため濃度が上がっている。で肝の濃度が低い()ことも合わせて読む。

8. 側腹部痛:尿路結石

想定する場面:の既往がある86歳男性の、突然の左の(、側腹部痛)。

8.1 低線量の単純CTが基準

  • はではほぼすべてに写る。のは感度・特異度とも高いで、(3 mSv未満)のでは97%・特異度95%である14。感度95〜100%・特異度94〜96%という幅で示されることもあり、どちらも同じ水準を指している。
  • 造影剤は結石と紛らわしいので最初は使わない。必要なら後から静注造影を追加できる(尿路のはの)。
  • では、尿管内のの結石と、その上流の(腎盂・)の拡張を同時に確かめる(水腎症)。

💡 単純X線はなぜ弱いか:結石が石灰化していても、①骨や腸管ガスと重なる(重積)、②静脈石など周囲の他の石灰化と区別しにくい、③小さな結石は写らない。またはX線を通しやすく単純X線に写りにくい。

⚠️ 単純X線の見逃しの多さは、「結石の30%を見落とす」と表現されることがあるが、を基準にした現行の評価はもっと厳しく、単純X線の感度は全体で29%、5 mm以下の結石では8%にすぎない14。「約3割しか見つからない」と覚えるほうが実態に近い。

8.2 超音波

コンベックス(3〜5 MHz)で腎と膀胱を見る。

見つけやすいもの 見つけにくいもの
腎盂の結石、膀胱近くの尿管(膀胱移行部)の結石:でを伴う(径4 mmほどの移行部結石でも描出できる) 後腹膜を走る尿管の結石(尿管そのものが見えない)
の拡張(水腎症) 腎の小さな結石

水腎症は拡張の程度で段階をつけて表す。模式図では、Ⅰ度=正常(・腎盂が拡張しない)→Ⅱ度=軽度(腎盂が拡張)→Ⅲ度=中等度(まで丸く拡張)→Ⅳ度=高度(が大きく膨らみ、実質が薄くなる)の4段階で示される。

超音波の結石診断の精度は報告によって大きく異なる。救急外来ののでは、70.2%・特異度75.4%と中等度にとどまったが、中等度以上の水腎症があれば特異度は94.4%と高い15。被ばくがないため、妊婦では超音波が最初の検査になる14。

8.3 各検査の位置づけ

検査 位置づけ
の 感度・特異度が非常に高い。必要なら静注造影を追加
超音波 水腎症を検出。腎盂・・膀胱近くの尿管の結石は見える。後腹膜の尿管は見えない
見逃しが多い(が高い)。既知の結石の経過観察向き
診断はに置き換わった。経過観察には使える

の既往がない、または遠い既往しかない急性側腹部痛の初期画像(ACR、2023年版)14:

検査 評価 相対的な被ばく
腹部骨盤 通常適切 中等度
腎・膀胱の超音波(含む) 適切な場合がある(の意見が割れた) なし
腹部骨盤単純X線 適切な場合がある 中等度
通常不適切 中等度
腹部骨盤、 通常不適切 なし
造影腹部骨盤、と造影の両方の、尿路造影 通常不適切 中等度〜高い

画像で確かめる

9. 外傷と血管性の急性腹症

1.2節の「命に関わる」側に並ぶ外傷と血管の病気も、画像の選び方の型が決まっている。

9.1 鈍的腹部外傷:FAST

外傷の(FAST)は、肝腎境界()・脾周囲・骨盤()・心嚢に液体(出血)を探す(手技は超音波実習、)。

⚠️ FASTは陽性なら確定に強いが、陰性でも除外できない。腹腔内遊離液のは74%、特異度は98%である16。循環が安定していれば造影CTで臓器損傷と出血源を調べる。

  • EI-02-05 後の腹腔内遊離液体(FAST):。肝と右腎の間、脾の周囲、腸管ループの間、にの液体があり、を疑う。複数の断面で液体を探すのがFASTの考え方である。

9.2 腹部大動脈瘤破裂

急な腹痛・低血圧・の三つがそろえば破裂を疑う()。の読み方とは血管放射線医学で扱う。も「命に関わる」側の疾患で、造影CTで評価する()。

  • EI-15-04 破裂:急な腹痛・低血圧・・の高齢者。で壁の石灰化(黄矢印)を伴う拡張したがある。静脈相の造影CTでは、瘤内の低吸収の(青矢印)と、後腹膜の液体貯留(赤矢印)が見える。はに濃くなり(造影剤の)、平均60〜80 とな血腫に合う。大きな血腫が右腎を腹側へ押している。

10. まとめ

場面 最初の画像 次の一手・注意
成人の痛(虫垂炎) 造影CT(米国)または超音波(欧州) 超音波で径6 mm以上・潰れない・周囲の液体。で腫大と周囲の脂肪織の変化
妊婦・小児の虫垂炎 超音波 が出なければ(小児はか造影CT)
右上腹部痛(胆道) 超音波 胆石+。陰性ならを含むか造影CT。は非石灰化胆石を見落とす
イレウス 単純X線、造影CT 正常な腸管が残れば。で部位・原因・壊死・穿孔
穿孔 ()、なければ立位・X線 術後の遊離ガスはで3週間近く残りうる
超音波(胆石探し) 診断は臨床と採血。造影CTは合併症疑い・改善しないときに、最初は発症72〜96時間後
の 単純X線は見逃しが多い。妊婦は超音波
外傷 FAST 陰性でも除外できない。安定なら造影CT
  • 単純X線:全体像、遊離ガス、腸管のと拡張、異物。
  • 超音波:胆石・腹腔内の遊離液などで優れた感度。被ばくがない。
  • CT:ほぼすべての病態で高い感度。
  • MRI:軟部組織の分解能は高いが、救急ではたいてい使えず、検査時間が長い。妊娠中・小児で役立つ。

出典

  1. 1.ACR Appropriateness Criteria® Right Lower Quadrant Pain: 2022 Update(American College of Radiology(J Am Coll Radiol)・2022)発行元(acsearch.acr.org)の本文(Revised 2022)で確認した。成人の右下腹部痛・発熱・白血球増多で虫垂炎を疑う初期画像(Variant 2)は造影腹部骨盤CTが「通常適切」、非造影CT・腹部超音波・骨盤超音波・MRI(造影あり/なし)は「適切な場合がある」。妊婦の同じ状況(Variant 3)では腹部超音波と非造影腹部骨盤MRIが「通常適切」で、CTは「適切な場合がある」こと。CT所見の研究として、よく引用される虫垂外径6 mmのカットオフは感度97.5%・特異度59.6%だったこと。相対被ばくレベルは成人の実効線量でO=0 mSv、☢=0.1 mSv未満、☢☢=0.1〜1 mSv、☢☢☢=1〜10 mSv、☢☢☢☢=10〜30 mSv、☢☢☢☢☢=30〜100 mSvと定義され、小児ではより低い範囲(☢☢☢=0.3〜3 mSv、☢☢☢☢=3〜10 mSv)が使われること。閲覧 2026-09-26
  2. 2.Systematic review: computed tomography and ultrasonography to detect acute appendicitis in adults and adolescents(Annals of Internal Medicine・2004)Europe PMC の抄録(PMID 15466771)で確認した。成人と思春期の急性虫垂炎の検出で、CTの統合感度0.94(95%CI 0.91〜0.95)・特異度0.95(0.93〜0.96)、超音波の感度0.86(0.83〜0.88)・特異度0.81(0.78〜0.84)であったこと。閲覧 2026-09-26
  3. 3.Diagnosis and treatment of acute appendicitis: 2020 update of the WSES Jerusalem guidelines(World Society of Emergency Surgery・2020)Europe PMC の全文(PMC7386163)で確認した。妊娠中の虫垂炎疑いでは段階的圧迫法の経腹超音波を初期画像として提案し(2C)、超音波で結論が出なければ利用できる施設ではMRIを提案する(2B)。小児では超音波を第一選択の画像とし、超音波で結論が出ないときの第二の画像は施設の設備と経験で選ぶが、利用できればCTよりMRIを優先すること(2B)。閲覧 2026-09-26
  4. 4.ACR Appropriateness Criteria® Suspected Appendicitis-Child(American College of Radiology(J Am Coll Radiol)・2019)発行元(acsearch.acr.org)の評価表(2018年作成版)で確認した。臨床的に中間リスクの小児の初期画像は腹部(右下腹部)超音波が「通常適切」、超音波が判定不能・所見不明瞭なときの次の画像は非造影または造影MRIと造影CTが「通常適切」、合併症を疑うときは造影CTが「通常適切」であること。閲覧 2026-09-26
  5. 5.ACR Appropriateness Criteria® Right Upper Quadrant Pain: 2022 Update(American College of Radiology(J Am Coll Radiol)・2023)発行元(acsearch.acr.org)の本文(Revised 2022)で確認した。右上腹部痛で胆道疾患を疑う初期画像(Variant 2)は腹部超音波が「通常適切」。超音波が陰性・不明瞭で発熱や白血球増多があるとき(Variant 4)は、MRCPを含むMRI・胆道シンチグラフィ・造影CTが「通常適切」、発熱も白血球増多もないとき(Variant 3)はMRCPを含むMRIと造影CTが「通常適切」、無石胆嚢炎を疑い超音波が陰性・不明瞭なとき(Variant 5)は胆道シンチグラフィが「通常適切」であること。本文では、CTの胆石の検出感度は約75%にとどまり、コレステロール結石は胆汁と等吸収・低吸収になりうること、急性胆嚢炎の検出感度をCT 85%・超音波68%とした2018年の比較研究を紹介していること。閲覧 2026-09-26
  6. 6.Real-time sonography in suspected acute cholecystitis. Prospective evaluation of primary and secondary signs(Radiology・1985)Europe PMC の抄録(PMID 3890007)で確認した。急性胆嚢炎疑いの497例を前向きに解析し、結石+超音波Murphy徴候陽性の陽性的中率は92.2%、結石+胆嚢壁肥厚は95.2%であったこと。結石がなく超音波Murphy徴候も陰性の陰性的中率は95.0%で、超音波単独で約80%の患者の診断が確定したこと。閲覧 2026-09-26
  7. 7.Bologna guidelines for diagnosis and management of adhesive small bowel obstruction (ASBO): 2017 update of the evidence-based guidelines from the world society of emergency surgery ASBO working group(World Journal of Emergency Surgery(World Society of Emergency Surgery)・2018)Europe PMC の全文(PMC6006983)で確認した。癒着性小腸閉塞では単純X線の感度は約70%と低く、閉塞の原因が不確かなときや非手術管理の禁忌が疑われるときはCTが第一選択。水溶性造影剤の投与24時間後の腹部X線で造影剤が結腸に届いていれば閉塞の解除を示し、届いていなければ非手術管理の失敗を強く示唆する。水溶性造影剤には手術の必要性を減らす治療的役割があるとする報告があること。閲覧 2026-09-26
  8. 8.ACR Appropriateness Criteria® Suspected Small-Bowel Obstruction(American College of Radiology(J Am Coll Radiol)・2020)発行元(acsearch.acr.org)の評価表(2019年作成版)で確認した。急性発症の小腸閉塞疑いの初期画像(Variant 1)は造影腹部骨盤CTが「通常適切」。非造影CT・非造影または造影MRI・小腸追跡造影は「適切な場合がある」、腹部骨盤単純X線は「適切な場合がある(意見の不一致あり)」。腹部骨盤超音波、CT・MRエンテログラフィ、CT・MR・透視下の小腸注腸法、非造影と造影のCTは「通常不適切」であること。閲覧 2026-09-26
  9. 9.Postoperative pneumoperitoneum: is it normal or pathologic?(Journal of Surgical Research・2015)Europe PMC の抄録(PMID 25940159)で確認した。腹部手術後30日以内に腹部CTを撮った344例のうち39%に腹腔内遊離ガスがあり、術後0〜6日で53%、7〜13日で41%、14〜20日で23%、21〜27日で13%、28〜30日で0%に見られたこと。遊離ガスはドレーンの存在と関連したが、開腹か腹腔鏡かとは関連せず、介入を要したのは6%(多くは吻合部縫合不全)だったこと。閲覧 2026-09-26
  10. 10.Perforated and bleeding peptic ulcer: WSES guidelines(World Society of Emergency Surgery・2020)Europe PMC の全文(PMC6947898)で確認した。消化性潰瘍の穿孔を疑えばCT(1C)、CTがすぐ使えなければ胸腹部の単純X線(1C)、遊離ガスが見えず疑いが続けば水溶性造影剤を追加する(2D)こと。閲覧 2026-09-26
  11. 11.2019 WSES guidelines for the management of severe acute pancreatitis(World Society of Emergency Surgery・2019)Europe PMC の全文(PMC6567462)で確認した。急性膵炎の診断には、膵炎に合う腹痛、血清アミラーゼまたはリパーゼが基準値上限の3倍超、画像の特徴的所見の3つのうち2つ以上を要する(1C)。入院時に病因(胆石性)を調べるため超音波を行う(1C)。重症急性膵炎は全例で造影CTまたはMRIで評価し、最初の造影CTの最適な時期は症状発現から72〜96時間後である(1C)。診断に迷うときはCTが膵炎の有無の良い証拠になる(1C)。原因不明例では総胆管の潜在結石を探すためMRCPまたは超音波内視鏡を考慮する(1C)こと。閲覧 2026-09-26
  12. 12.ACR Appropriateness Criteria® Acute Pancreatitis(American College of Radiology(J Am Coll Radiol)・2019)発行元(acsearch.acr.org)の評価表(2019年作成版)で確認した。初発で典型的な急性膵炎疑い・発症48〜72時間未満の初期画像(Variant 1)は腹部超音波だけが「通常適切」。非典型的な病像(Variant 2)ではMRCPを含むMRIと造影CTが「通常適切」。発症48〜72時間を超えた重症例(Variant 3)、7〜21日で全身性炎症が続く例、壊死性膵炎の悪化例、4週以降の液体貯留の評価では造影CT(多くは造影MRIも)が「通常適切」であること。閲覧 2026-09-26
  13. 13.Classification of acute pancreatitis--2012: revision of the Atlanta classification and definitions by international consensus(Gut・2013)改訂アトランタ分類は急性膵炎を早期・後期の2相に分け、重症度を軽症(臓器不全も局所・全身合併症もない)・中等症(一過性の臓器不全、局所合併症、併存症の増悪のいずれか)・重症(48時間を超える持続性臓器不全)の3段階と定義する。局所合併症は膵周囲液体貯留、膵実質および膵周囲の壊死(無菌性または感染性)、仮性嚢胞、被包化壊死(無菌性または感染性)と定義される。Europe PMC の抄録(PMID 23100216)で確認した。全文は未取得。閲覧 2026-09-26
  14. 14.ACR Appropriateness Criteria® Acute Onset Flank Pain-Suspicion of Stone Disease (Urolithiasis)(American College of Radiology(J Am Coll Radiol)・2023)発行元(acsearch.acr.org)が配信する現行の本文PDFで確認した。尿路結石の既往がない急性側腹部痛の初期画像は非造影腹部骨盤CTが「通常適切」で、腹部単純X線は「適切な場合がある」、静脈性尿路造影は「通常不適切」。非造影CTは感度97%に達する基準検査とされ、低線量(3 mSv未満)CTのメタ解析でも統合感度97%・特異度95%であること。腹部単純X線は非造影CTを基準にすると全体の感度29%、5 mm以下の結石は8%しか検出できず、静脈石などの石灰化と1方向の像では区別しにくいこと。妊婦では超音波が「通常適切」な初期検査であること。閲覧 2026-09-26
  15. 15.The Accuracy and Prognostic Value of Point-of-care Ultrasound for Nephrolithiasis in the Emergency Department: A Systematic Review and Meta-analysis(Academic Emergency Medicine・2018)Europe PMC の抄録(PMID 29427476)で確認した。救急外来のポイントオブケア超音波による尿路結石の診断は、メタ解析(5研究1,773例)で統合感度70.2%(95%CI 67.1〜73.2%)・特異度75.4%(72.5〜78.2%)と中等度の精度にとどまり、中等度以上の水腎症の特異度は94.4%であったこと。閲覧 2026-09-26
  16. 16.Diagnostic accuracy of eFAST in the trauma patient: a systematic review and meta-analysis(CJEM・2019)Europe PMC の抄録(PMID 31317856)で確認した。75研究24,350例のメタ解析で、統合感度・特異度は気胸69%・99%、心嚢液91%・94%、腹腔内遊離液74%・98%だった。eFASTは確定(rule in)には有用だが除外(rule out)の道具としては支持されないと結論している閲覧 2026-09-26