画像診断学

画像診断学 · 08

核医学

Nuclear medicine

前提:正常
放射性崩壊の種類放射性医薬品の定義テクネチウムジェネレータの構成と機能ガンマカメラの構成と機能PETの構成と作動原理SPECTマルチモダリティ画像:PET/CTとSPECT/MRI

🧠 全体像:核医学は「どこが働いているか」を写す。臓器・細胞・分子に選択的に集まる化合物へを付けたを投与し、体内から出てくるを体外で数える。単一光子を出す核種はと、を出す核種はで撮る。機能画像は感度が高いがとに劣るため、・と重ねる画像(-、、-MR)で「何が・どこで」を同時に答える。同じ標的に・α線を出す核種を載せれば治療になり、診断と治療を一体化したに発展している。

1. 核医学とは何か

定義:密封されていない放射性核種を使う医療

核医学は、非密封のを体内に投与して、疾患の診断・治療・研究を行う医療分野である。X線撮影やが「外からX線を当てて透過した量を見る(透過)」のに対し、核医学は「体内に入れた核種から出る放射線を拾う(放出)」。したがって写るのは臓器の形ではなく、を取り込む機能の分布である。

たとえば頭部で、造影MRIのに〜頭蓋底付近の病変が写っていても、だけではそれが「機能している組織か」は分からない。同じ断面に核医学画像を重ねると、病変に一致して強い集積があり、そこがを取り込む活動的な組織だと分かる。核医学の問いは常に「機能している組織はどこか」である。

トレーサー原理とヘヴェシー

ハンガリー生まれの化学者ヘヴェシー(George de Hevesy、1885〜1966)は、をの過程を調べる目印として使い、原理を確立した。1943年にノーベル化学賞を受け、「核医学の父」と呼ばれる。下宿の女主人が前の週の残り物を料理に使い回していると疑い、残した肉にごく微量の放射性物質を混ぜておき、翌週の料理からを検出して確かめた、という逸話がよく語られる。

  • 原理:放射性の化合物は、放射性でない同じ化合物と同じように生理的過程に参加する。核種が付いていても体はそれを区別しない。
  • 放射性標識:物質の化学構造の中にを組み込んで「目印を付ける」。核種が崩壊すると放射線が出るので、それを検出すればその物質がどこにあるかが分かり、進行中の生化学的過程の情報が得られる。

💡 投与する物質の量はきわめて微量(量)なので、はほとんど起こさず、生理的な分布を乱さずに観察できる。これがのように大量投与する検査との大きな違いである。

2. 放射性医薬品:核種+特異的化合物

= + 特異的化合物。化合物(担体)が「どこへ行くか」を決め、核種が「外から見えるようにする」。

  • 臓器・組織・細胞・分子に特異的な化合物を核種で標識したもの
  • 標的特異的にでき、体外から追跡できる
  • 機能画像であり、正常な組織機能と異常な機能を同定・特徴づけられる
  • 生化学的過程を定量できる

診断と治療の全体図

flowchart TD
  A["核医学"] --> B["診断"]
  A --> C["治療<br>α線・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='beta radiation'>β線</span>を出す核種<br>例:131I、177Lu、223Ra"]
  B --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='in vitro diagnostics'>体外診断</span><br>検体中の物質を測る"]
  B --> E["体<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vaginal examination'>内診</span>断<br>患者に投与して撮像"]
  E --> F["単一光子法(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='scintigraphy'>シンチグラフィ</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='single-photon emission computed tomography'>SPECT</span>)<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='gamma ray'>ガンマ線</span>を出す核種<br>例:99mTc、123I、111In"]
  E --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='positron emission tomography'>PET</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='positron'>陽電子</span>を出す核種<br>例:18F、68Ga、11C"]
  F -.-> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='theranostics'>セラノスティクス</span><br>同じ標的を診断核種で写し<br>治療核種で叩く"]
  G -.-> H
  C -.-> H

⭐ 臨床で最も多く使われる核種は、単一光子法では99mTc、PETでは18Fである。

機能ごとの特異的化合物と集積機序

組織・臓器 見ている機能 特異的化合物 集積の機序
骨 骨芽細胞活性 ジホスホネート(、など) 骨表面への吸着
甲状腺 ヨウ素取り込み 過酸ナトリウム、ヨウ化ナトリウム イオン輸送(ナトリウム・ヨウ素)
腎 、EC 能動輸送
肺(換気) 換気 拡散による
肺(血流) 血流 () 毛細血管の一時的な塞栓
肝・脾 の機能 貪食
の発現 作動薬・拮抗薬 受容体‐
あらゆる臓器・組織 解糖 デオキシグルコース() 代謝:糖輸送体で取り込まれ、でリン酸化される
あらゆる臓器・組織 抗原発現 抗体 抗原抗体複合体の形成

💡 表の右端の「機序」を押さえると、所見の意味が読める。の集積は「骨があること」ではなく「骨芽細胞が働いていること」、シンチの欠損は「その区域に血流が届いていないこと」を意味する。

放射性医薬品が違えば全身分布が違う

同じ人の全身像でも、何を投与したかで写るものがまったく変わる。全身前面像で見える典型的な分布を覚えておくと、を病変と誤らない。

全身像で目立つ部位 何を反映しているか
131I 頸部の非常に強い集積(放射状のを伴う)、胃、膀胱 ヨウ素を取り込む甲状腺組織。にも生理的に集まり、尿へ排泄される
67Ga 肝、腸管、頭頸部が淡く描出 炎症・一部の腫瘍に集まる。全体にが低く、多くの用途が に置き換わった
123I- 肝が強く、全身は淡い ノルアドレナリン類似物質。交感神経・副腎髄質系の腫瘍やを評価する()
99mTc- 全身の骨格(脊椎・肋骨・骨盤・四肢骨)、腎・膀胱 骨芽細胞活性。尿へ排泄される
99mTc標識抗体 骨髄(脊椎・骨盤・近位)、肝・脾 白血球(顆粒球)に対する抗体なら骨髄と炎症巣に集まる
99mTc- 心筋、肝、胆道・腸管、膀胱、頭頸部 血流とミトコンドリアに依存。心筋血流や副甲状腺の検査に使う
111In- 肝、脾、腎、膀胱 。の検出()
18F- 脳が最も強く、心筋、腎、膀胱。四肢・肝は淡い ブドウ糖代謝。尿中へ排泄される

3. 放射性核種の物理

同位体と原子核の安定性

  • :(陽子数)が同じで、質量数(核子数=陽子数+中性子数)が異なる原子。
  • 原子核は、ある質量数のもとで、小さな原子核では中性子数と陽子数が等しいとき、大きな原子核では中性子数が陽子数より多いときに安定する(安定核:p=n または p<n)。
  • この釣り合いから外れた不安定な原子核がであり、放射性崩壊を起こして安定に向かう。

崩壊の型と出てくる放射線

原子核の状態 崩壊の型 出るもの 核医学での意味
陽子が不足(中性子過剰) β⁻崩壊 β粒子(電子)+ 組織内で短い距離にエネルギーを落とすので治療向き(131I、177Lu)
陽子が過剰 (β⁺崩壊) → 電子とし、ガンマ光子2個 PETの原理
陽子が過剰 電子 特性X線 単一光子の核種の一部(123I、111In、201Tl など)
大きな原子核 α崩壊 α粒子 がきわめて短く強力なので治療向き(223Ra)

は、粒子線(α、β、。崩壊の型で決まる)と(、X線)に分けられる。どの崩壊にも通常が伴う。

透過力との違いは被ばく管理の基本になる。

放射線 止めるもの
α粒子 紙1枚
β粒子 衣服1枚、または数mmのアルミニウム
厚い(数フィート)、または数インチの

💡 体外から撮像できるのは、組織を通り抜けて出てくる(と光子)だけである。逆に、α線・は体外へ出ずに近くの細胞にエネルギーを落とすので、診断には不向きで治療に向く。

代表的な核種

核種 主な用途の例
を出す核種
99mTc 140 6時間 骨・甲状腺・腎・肺・心筋など全般
131I 364 8日 甲状腺の治療、治療後の全身撮像
123I 159 13時間 甲状腺、
67Ga 93、185、296 78時間 炎症・腫瘍(多くは に置き換わった)
111In 172、247 2.8日
201Tl 31、135、167 73.5時間 心筋血流()
を出す核種
18F 511 109.7分 、、コリンなど
68Ga 511 1.2時間 、
124I 511 4.2日 甲状腺
11C 511 20.4分 、酢酸、チミジン
13N 511 9.96分 アンモニア(心筋血流)
15O 511 2.07分 水(血流)

⭐ 核種のエネルギーがすべて511 keVなのは、核種の性質ではなく電子とのでできる光子だからである。11C・13N・15Oは半減期が数分〜20分とごく短く、院内のが近くにないと使えない。

テクネチウム99m:単一光子核医学の主役

  • :ほぼ純粋なを出す。半減期6時間(検査には十分長く、被ばくが残らない程度に短い)。140 keVはでの検出に最適。
  • 化学的性質:非常に多くの化合物をで標識でき、を作って骨・腎・心筋・脳などへ送り分けられる。
  • 入手しやすさ:親核種の99Moを詰めたジェネレータを院内に置き、で99mTcを溶出して使う。原子炉やが院内になくても毎日使える。

4. 撮像装置と撮像法

ガンマカメラの検出の流れ

flowchart TD
  A["患者の体内から<br>あらゆる方向へガンマ光子が出る"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='collimator'>コリメータ</span><br>決まった方向の光子だけを通し<br>斜めの光子は隔壁で吸収する"]
  B --> C["正しく位置づけられたガンマ光子"]
  C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='scintillation crystal'>シンチレーション結晶</span><br>光子のエネルギーを光に変える"]
  D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='photomultiplier'>光電子増倍管</span><br>光を電子に変えて増幅する"]
  E --> F["信号処理<br>位置とエネルギーを計算する"]
  F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='PSP, postsynaptic potential'>電気信号</span>から画像を作る"]

💡 が要ることがの弱点である。方向をそろえるために大半の光子を捨てるので感度が下がり、も穴の大きさで制限される。はこの物理的なを使わないため感度が高い。

平面像(プラナー像)

(検出器ヘッド1つ)で撮る平面像は、体の厚み方向のをすべて足し合わせた二次元の重積像である。単純X線写真と同じく前後の構造が重なる。

撮像法 やり方 例
検査 投与後、分布が平衡状態に達して撮像中に変化しなくなってから撮る 全身(前面像・後面像)、
動態検査 投与直後から短い収集時間の画像を連続して撮り、代謝・排泄などの過程のを記録する 動態(レノグラフィ)

全身の前面像・後面像では、骨格全体が左右対称に写り、腎と膀胱も写る。動態腎シンチでは、一定間隔の連続画像で、はじめ両腎実質が明るく、時間とともに腎が暗くなって膀胱が明るくなる。この時間変化を曲線にしたものがレノグラムである(後述)。

SPECT

は、1つ以上の検出器ヘッドを患者の周りに回転させて多方向から投影像を集め、コンピュータで再構成して断層像を得る。を出す核種を使い、三方向の断面像と元像を作れるので、平面像で重なっていた病変を分離できる。

PET

を出す核種から出たは、数mm進んで電子と出会いし、511 keVのガンマ光子2個を互いにほぼ180°反対方向へ放出する。患者を取り囲むの検出器が、反対側の2つの検出器で同時に光子を捉えたとき()だけを事象として記録し、その2点を結ぶ線上に発生源があると判断する。多方向の情報から断層像・元像を再構成する。

💡 そのものが方向を決めるため、は物理的なが要らない。これが感度の高さの理由である。一方、がまでに数mm飛ぶことが、の理論的な下限になる。

PETとSPECTの比較

項目
の 2光子() 単一光子
感度 高い(なし) より低い
約4〜5 mm 約10 mm(約1 cm)
定量(mL/min/g、mol/min/g など) 可能 可能

なぜ核医学が必要か:CTとの相補性

放射線診断()
感度 機能を見る画像法の中で最も感度が高い。形の異常より先に機能の異常を見つけられる。正常組織と異常組織の生物学的が高い 形が変わるまで検出できない
特異度 病的組織に特異的に集まるを使えば高い 形態だけでは特異度が低い
情報 代謝情報。壊死(生存していない)組織と生存腫瘍組織を区別できる 形態情報、病変の位置と広がり
弱点 が低い、正確な位置が分かりにくい、撮像時間が長い 機能が分からない
撮像時間 長い 短い

画像法を「解剖 → 生理 → 代謝 → 分子」という情報の軸に並べると、X線・、、超音波は主に解剖、は生理、は生理〜代謝を受け持ち、/は生理から分子までを担う。画像(-、、-MR)はこの軸の全体をひとつの検査で覆う。

核医学 放射線診断
機能 形態
(病態)生理 (病態)解剖
線源は(静注・経口など) 線源はX線
放出(体内から出る放射線を検出) 透過(体外から当てて通り抜けた量を検出)
フィルム・紙、デジタル検出器
が限られる:約1 cm、 4〜5 mm が優れる:で約1 mm

原理の詳細は の原理、の基礎 を参照。

ハイブリッド画像

  • SPECT/PETとCT(またはMR)のを組み合わせる。
  • 1台の装置に2つのを載せる:-、、-MR、さらに-の三重装置もある。
  • 同じ体位のまま続けて撮像し、ソフトウェアで画像を位置合わせ(レジストレーション)して融合する。
  • の役割:
    1. 位置決め(解剖学的な場所を示す)
    2. 減弱補正(体の深部から出た光子ほど組織で吸収されて弱く写るのを補正する)
    3. PET/SPECTの特異度を上げる(か病変かを形で判断する)
    4. 条件によっては診断用としてし、放射線治療計画にも使う

💡 たとえ話:大勢の人や車が細かく描き込まれた絵から特定の1人を探すとき、は「絵の細部は全部見えるが、誰を探せばよいか分からない」、/は「絵はぼやけて何も分からないが、探している1人だけが光っている」状態である。重ねると「その1人が絵のどこにいるか」がすぐに分かる。

実例として、単独のでは、真っ暗な背景に小さな集積が1つだけ見え、前後左右の向きしか分からない(何が機能しているかは分かるが、どこか分からない)。同じ断面をと融合すると、その集積が左腋窩付近の胸壁外側の軟部組織にあると分かる(が場所を答える)。

5. 通常の核医学検査(シンチグラフィ)

検査の一覧

領域 検査
骨 (3相を含む)
甲状腺・副甲状腺 、副甲状腺、ヨウ素全身像(ヨウ素を取り込む腫瘍の検索、治療後撮像)
腎・尿路 、動態
脳・中枢神経 、脳脊髄液
肺・静脈 肺、核種
心臓 、心プール(核種心室造影)
内分泌腫瘍 、副腎皮質、副腎髄質
消化器 唾液腺、・の評価、肝脾、肝、
その他 、炎症、(、卵管)

以下、頻度と試験上の重要度が高いものを機序から説明する。症例の読み方は 核医学の症例検討 で扱う。

骨シンチグラフィ

  • 99mTc-ジホスホネート(、)を静注すると、骨芽細胞の活性に比例して骨に吸着する()。
  • ほとんどすべての骨疾患は骨芽細胞活性を上げるので、の集積が増える。
  • 感度がきわめて高い:X線で見える前にを検出できる。陽性・X線陰性の組み合わせは、を強く疑わせる。
  • 特異度は低い:骨折、炎症、、転移のいずれも集積する。
適応 ポイント
診断、病期(単発か多発か)、経過観察。全身を一度に撮れる。X線より約半年早く転移を示し得る
の多い癌 前立腺癌、乳癌、肺癌。・硬化性病変()で特に感度が高い
感度が下がる病変 集積しない「冷たい」():、、リンパ腫、
その他 、骨折、人工関節のゆるみ(3相)、骨髄炎、関節炎

の全身像では、正常例の左右対称な骨格像と違い、脊椎・肋骨・骨盤・大腿骨近位などのに、大小不ぞろいの集積が非対称に多発する。膀胱の強い集積は尿へ排泄された生理的なもので、病変ではない。

⚠️ はで見逃されやすい。 骨芽細胞がほとんど反応しない純粋なだからである。骨髄腫の評価には、、 を使う。

画像で確かめる

甲状腺シンチグラフィ

  • 99mTc-過酸を静注すると、ヨウ素と同じく甲状腺細胞のナトリウム・ヨウ素から取り込まれる。
  • ヨウ素取り込みを検出して甲状腺の機能を地図にする。99mTcの取り込み率(ヨウ素取り込みとほぼ同等)は定量できる。
  • 正常像では、左右の葉が蝶のような形で、ほぼ均一に集積する。
主な適応 読み方
の機能評価 (周囲より集積が低い)は機能がなく、悪性の可能性を否定できないので超音波と細胞診へ進む。熱結節()は自律的に機能する結節で、ほとんどが良性()
甲状腺機能亢進症の鑑別 はびまん性に集積が増加、は単一結節に集積して残りの腺が抑制される、は取り込みが低下する
その他 の検出

パターンの詳細は 、結節の扱いは を参照。

画像で確かめる

動態腎シンチグラフィ

  • (DTPAなど)や(、EC)で尿中へ出ていくを使う。
  • 尿がどの経路をどれだけの時間で流れるかを追え、腎実質の機能と尿の流れ(排泄)を別々に評価できる。

正常のレノグラム()は次の形になる。

曲線 正常の形 意味
左腎・右腎 投与後数分以内にに立ち上がって頂点に達し、その後なだらかにに下がり、30分でかなり低くなる。左右の曲線はほぼ重なる 前半のが取り込み(実質機能)、頂点後の下降が排泄
膀胱 腎の頂点よりやや遅れて上がり始め、30分まで上がり続ける 尿が膀胱にたまっていく

💡 腎の曲線が頂点を過ぎても下がらずに上がり続ければ、尿路の(など)を考え、利尿薬負荷で機能的な停滞か閉塞かを分ける。左右の取り込みの割合から分腎機能が分かる。()は皮質に留まる製剤で、を評価する。

心筋血流シンチグラフィ(核医学心臓病学)

  • では、冠動脈の動脈硬化性狭窄のため、負荷時に心筋の血流が低下する(虚血)。
  • は、心筋内の相対的な血流分布を調べる検査である。
  • 心筋への(99mTc-・テトロホスミン、201Tl)の取り込みは血流に比例するので、血流が低下・途絶した領域では集積も低下・欠損する。
負荷時 安静時 解釈
欠損 回復(集積あり) 可逆性欠損:負荷誘発性の虚血
欠損 欠損のまま 固定性欠損:梗塞・瘢痕(の評価は )
正常 正常 有意な血流制限なし

臨床での位置づけは () を参照。

肺換気血流シンチグラフィ

血流像は99mTc-MAAの粒子が肺の毛細血管に一時的に引っかかる(毛細血管塞栓)ことで血流の分布を写し、換気像はや放射性ガスを吸入させて換気の分布を写す。では、換気は保たれるのにの血流欠損がある換気血流が特徴になる(、の血流欠損)。が使いにくい患者や妊婦で、の代わりになる。

脳の核医学

()は脳局所の血流を写し、変性型認知症の血流低下パターンやてんかん焦点の評価に使う。では線条体のを写すが、パーキンソン病となどの鑑別に役立つ。脳脊髄液は髄液の流れやを調べる。

神経内分泌腫瘍とソマトスタチン受容体

  • の分子的性質(表現型)を画像化する機能的(分子)診断である()。
  • 標的特異性:を持つ腫瘍細胞にだけ集積が見える。
  • :をする腫瘍細胞にだけ特異的に結合するので、同じ標的に治療核種を載せれば腫瘍細胞だけを治療し、周囲の正常細胞は保たれる。

-の全身最大値投影像では、骨格が淡く背景に写るなかで、右上腹部(肝の領域)に多発する強い集積がまとまって見え、腫瘍の広がりが一目で分かる。

画像で確かめる

6. PET

PETが重要な理由

  • 感度:機能を見る画像法の中で最も感度が高く、形の異常より先に機能の異常を見つけられる。
  • 特異度:病的組織に特異的に集まる製剤を使えば高く、正常組織と異常組織の生物学的が高い。
  • 非侵襲的な病変の性状評価ができる。

の全身では、脳と頸部に強いがあり、腎・腸管・膀胱にも生理的な集積が見える。そのなかで体幹に孤立した強い集積が1か所あれば、それがの分布に当てはまらない異常所見として浮かび上がる。

腫瘍領域のPET製剤

見ているもの
18F- ブドウ糖の輸送と利用
18F-
68Ga- 前立腺腫瘍(前立腺特異的膜抗原)
18F-フルオロコリン 前立腺腫瘍(細胞膜合成)
124I 甲状腺機能
15O-水 血流
18F-ミソニダゾール 腫瘍の低酸素
11C- アミノ酸(蛋白)合成
11C-チミジン 合成
18F-FLT 合成
68Ga- 腫瘍の受容体()
18F- の分布

FDG PETの原理

18F-()は、ブドウ糖の2位のを18Fに置き換えたブドウ糖類似体である。腫瘍は・が盛んで代謝活性が高いので、で腫瘍のブドウ糖代謝を画像化できる(FDG-PET)。

flowchart TD
  A["血中のブドウ糖と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fluorodeoxyglucose'>FDG</span>"] --> B["糖輸送体(GLUT)で細胞質へ取り込まれる"]
  B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hexokinase'>ヘキソキナーゼ</span>でリン酸化<br>ブドウ糖 → ブドウ糖-6-リン酸<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='fluorodeoxyglucose'>FDG</span> → <span class='jp-term jp-term-diagram' title='FDG-6-phosphate'>FDG-6-リン酸</span>"]
  C --> D["ブドウ糖-6-リン酸は<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='glycolysis'>解糖系</span>へ進んで消費される"]
  C --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='FDG-6-phosphate'>FDG-6-リン酸</span>は<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glycolysis'>解糖系</span>へ進めず<br>細胞外にも戻りにくい"]
  E --> F["細胞内に閉じ込められて蓄積する<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='metabolic trapping'>代謝的捕捉</span>)"]
  F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glucose metabolism'>糖代謝</span>の盛んな細胞ほど強く光る"]

⚠️ は腫瘍特異的ではない。

  • 多くの悪性腫瘍に集まるが、炎症と腫瘍を区別できない(活性化した炎症細胞も糖を大量に使う)。
  • 脳は生理的にブドウ糖取り込みが非常に高いので、脳のはが付きにくい。
  • FDGは尿中へ排泄されるので、腎・尿管・膀胱に強いが出る。骨盤部の病変が膀胱に隠れることがある。
  • 心筋、腸管、、運動直後の筋も集積し得る。高血糖では腫瘍への取り込みが下がるため、撮像前の絶食と血糖確認が要る。

集積の強さ:SUV

集積の強さはSUV(体重と投与量で正規化した集積値)で半定量的に表す。腫瘍の種類でおおよその傾向がある。

集積 目安の 代表的な腫瘍
高い おおむね10〜15前後 悪性黒色腫、、、大腸癌、、、、
中等度 おおむね5〜10前後 、低分化、、、再発卵巣癌、低悪性度、、、
低い おおむね5未満 、、前立腺癌、原発卵巣癌、高分化、低悪性度肉腫、

「」は旧分類の名称で、現在の分類では置換性増殖を主体とする腺癌(・微少など)に相当する。は装置・撮像条件・血糖で変わるので、表の値は相対的な目安として使う。

FDGを取り込みにくい腫瘍

⭐ すべての腫瘍がを取り込むわけではない。 次の腫瘍は で偽陰性になりやすい。

  • 前立腺癌
  • (乳腺)

こうした腫瘍には、標的の違う製剤を選ぶ。たとえば前立腺癌では、 の骨盤で前立腺にほとんど集積がないのに、11C-酢酸では同じ前立腺に限局した明瞭な集積が見える。現在は68Ga・18F標識の製剤が前立腺癌のと再発検索の中心であり、にはを使う。

腫瘍領域でのPET-CTの使い道

目的 内容
() 、所属リンパ節、遠隔転移の評価。より成績がよく、で病期が変わる割合は20〜40%とされる(癌種と比較する検査で大きく変わる)
治療効果判定 化学療法・放射線治療に対する代謝の反応を見る
治療後変化との区別 化学療法・放射線治療後に残った塊が瘢痕か生きた腫瘍か
再発の診断 上昇時の再発巣検索など
良性と悪性の鑑別 の鑑別
その他 放射線治療計画、最適な生検部位の決定、大きな病変のうち最も代謝活性の高い部分の特定、悪性度の推定

💡 病期が変わるとも変わる。米国の(約2万3千件、8割以上が)では、の結果を見て主治医が予定していた方針を変えた割合が36.5%で、生検を予定していた患者の約7割で生検が不要になった。1 「病期の変化」と「方針の変化」は別の指標だが、どちらも3割前後の患者でが判断を動かすという桁の感覚を示している。

⚠️ 高集積は悪性の証明ではなく、は良性の証明ではない。炎症・感染・治療後変化は偽陽性に、()・型の腫瘍は偽陰性になる。必要なら生検で確定する。

画像で確かめる

  • EI-01-02 大腸癌の( ):上昇がある大腸癌の。上腹部横断の融合像で、辺縁に限局性の強い集積があり、隣ので同じ場所を見比べ、集積の位置を解剖に当てはめる。右腎の集積は尿へ排泄されたによる生理的なものである。「代謝の変化を全身で拾う」ことと「を病変と誤らない」ことを同時に学べる。
  • EI-02-02 乳癌の多発転移(肝・恥骨):乳癌のの 。肝の病変は辺縁がに強く光り中心が抜けており、を示す。恥骨にも集積があり、を示す。膀胱の強い集積は正常のである。
  • EI-03-02 と肺:長年の喫煙者で右がある患者。 融合像で右の腫瘤に強い集積があり、のでその腫瘤へを行っている。で「生検すべき代謝の高い病変」を示し、組織で確定する流れである(肺癌)。
  • EI-12-02 集積を示す転移疑いリンパ節:大腸癌の経過観察。造影CTで右沿いに短径16 mmの腫大リンパ節があり、10日後の で同じ位置に集積増加がある。形(大きさ)と機能(代謝)の両方が異常で、転移を強く疑う。経口造影剤の入った腸管を病変と取り違えない。

7. 核医学治療とセラノスティクス

治療には、組織内で短い距離にエネルギーを落とす・α線を出す核種を使う。標的に集まる担体に載せれば、腫瘍や機能亢進組織に選択的に大線量を与えられる。

治療 核種・製剤 主な対象
131I-ヨウ化ナトリウム(経口) 、結節、の術後の残存甲状腺・転移
陽性の
標的放射性リガンド療法 177Lu- 陽性の
α線治療 223Ra(塩化ラジウム) のある。ラジウムはカルシウムに似て部に集まる
flowchart TD
  A["診断用の核種で標的を写す<br>例:68Ga-<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prostate-specific membrane antigen'>PSMA</span> <span class='jp-term jp-term-diagram' title='positron emission tomography'>PET</span>、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='somatostatin receptor PET'>ソマトスタチン受容体PET</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='single-photon emission computed tomography'>SPECT</span><br>123I・131Iの全身像"] --> B{"病変に十分な集積があるか"}
  B -->|"あり"| C["同じ標的に治療用核種を載せて投与<br>例:177Lu-<span class='jp-term jp-term-diagram' title='PSMA-targeting ligand 617 (vipivotide tetraxetan)'>PSMA-617</span>、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lutetium-177 DOTATATE'>177Lu-DOTATATE</span>、131I"]
  B -->|"なし"| D["この治療の効果は見込みにくい<br>他の治療を選ぶ"]
  C --> E["治療後の撮像・画像で分布と効果を確認"]
  • ⭐ 陽性のでは、(7.4 GBqを8週ごとに4回)が高用量単独に比べて20か月を65.2%対10.8%へ改善した。重い骨髄抑制は10%未満だった。2
  • ⭐ 陽性の(との治療後)では、68Ga- で陽性を確かめたうえで177Lu-を標準治療に加えると、中央値が15.3か月対11.3か月に延長した。3 「診断用で標的があることを確かめてから治療する」というの考え方そのものである。
  • では、131Iの治療後にヨウ素全身像を撮り、ヨウ素を取り込む残存組織・転移の分布を確かめる。

⚠️ 妊娠はのである。 妊娠可能な女性では投与前72時間以内の血清で妊娠を除外し、早期妊娠が疑われれば延期する。治療後はおよそ4〜6か月妊娠を避ける。授乳中の女性は、乳腺がヨウ素を強く取り込んで被ばくするのを避けるため、治療の少なくとも6週間前に授乳をやめておく。4

💡 の前にはヨウ素を体に入れない。 甲状腺が非放射性のヨウ素で満たされていると、投与した131Iが取り込まれず治療が効きにくくなる。EANMの指針は、腎機能が正常なら水溶性のから6〜8週、甲状腺ホルモン薬(製剤)から3〜4週、から数日〜数週、ヨウ素を含むや海藻由来の食品から2〜3週、からは3〜6か月以上空けるとしている。4 の側から見た間はの原理で扱う。

8. 放射線防護・妊娠・授乳

外部被ばくを減らす3原則

放射線防護の基本は時間・距離・である。線源のそばにいる時間を短くし、距離を取り(は距離の2乗に反比例して下がる)、やで遮る。を投与された患者自身が線源になる点が、X線検査と違う核医学特有の事情である。

線量の目安

日常生活と医療のはおおよそ次の桁にある。線量限度は国際放射線防護委員会(ICRP)の2007年勧告(Publication 103)に基づき、国際原子力機関(IAEA)の国際基本安全基準が各国のの基準として取り入れている。5

状況
胸部X線1枚 0.05
香港から北米への航空機移動 0.08
0.13
腹部X線1枚 0.6
一般公衆の年間線量限度(医療被ばくを除く) 1(特別な場合は5年平均で年1)
自然放射線(年間:食物・飲料、地面からの、宇宙線、建物・土壌) 2.4
年800時間飛行する航空機乗務員(年間) 5
CT1回の平均 6.6
自然放射線が特に高い地域(ブラジルのグアラパリ市街、年間) 10
放射線業務従事者の線量限度 5年平均で年20(5年で100)、どの1年も50を超えない

検査ごとの成人の平均的なを並べると、は「と同じ桁」にある。下の表は2000年代の文献値で、桁の比較に使う(現行の代表値は画像診断学入門の線量表にまとめてある)。

放射線診断 mSv 核医学 mSv
胸部X線(2方向) 0.1 肺 2.2
腹部X線 0.7 2.6
2.0 3.1
骨盤 6.0 4.8
胸部CT 7.0 6.3
8.0 (99mTc、負荷) 9.4
腹部骨盤 14.0 全身 14.1
肺塞栓評価の胸部CT 15.0
胸腹部骨盤 21.0

⚠️ 線量限度は患者の医療被ばくには適用されない。 患者の被ばくは限度で縛るのではなく、検査のと線量の最適化で管理する。限度が守るのは放射線業務従事者と一般公衆(付き添い・周囲の人を含む)である。5

💡 核医学の線量は投与した量に比例し、では部分の線量がされる。上の値は2000年代の代表的な文献値で、同じ検査でも資料によって値が違う(たとえば北米の患者向け資料の最新値は約1.6 mSv、胸部CT約6.1 mSv、全身は部分を含めて約22.7 mSv)。6 成人の平均的なはでおよそ2〜20 mSv、多くので0.3〜20 mSvの範囲にある。7数値を覚えるより「も1回あたりと同程度の線量がある」「必要な検査をし、量を最適化する」という原則を押さえる。

妊娠

診断用のは、妊娠そのものを理由に一律には中止しない。母体の病気を診断しないことの危険と胎児線量を比べ、超音波・で代われるならそちらを優先し、行う場合は投与量を最適化する。の疑いでは、血流像だけの低用量を選ぶことがある。一方、131Iによる治療は妊娠中は絶対に行わない(前節)。胎児の甲状腺はの終わりごろからヨウ素を取り込み始め、で破壊され得るためである。

授乳

母乳へ出るの量は製剤によって大きく違う。乳児のを1 mSv以下に抑えることを目安にした推奨は次のとおりである。8

授乳の扱い
131I-ヨウ化ナトリウム 授乳を中止する(その子への授乳は再開しない)。投与量の約半分が母乳へ出る
99mTc-過酸(甲状腺シンチなど) 12時間中断。その間に少なくとも3回搾乳して捨てる
99mTc-(シンチ) 12時間中断。同上
125I・131I-ヨードヒプル酸 12時間中断
この研究で扱ったその他の製剤(多くの99mTc製剤など) 中断不要

⚠️ 授乳中の患者には、検査予約の時点で授乳の有無を確認し、中断が必要な製剤では事前に搾乳して保存しておくよう説明する。中断が不要な製剤でも、投与後しばらくは乳児と密着する時間を短くするなど、施設の指示に従う。

9. まとめ

  • 核医学は非密封ので機能を写し、治療も行う。原理(ヘヴェシー)が土台にある。
  • =核種+特異的化合物。化合物が行き先(骨=骨芽細胞活性、甲状腺=ナトリウム・ヨウ素、=毛細血管塞栓、=糖輸送体と)を決める。
  • の核種(99mTc:140 keV、6時間、ジェネレータ)は・、の核種(18F:511 keV、約110分)はで撮る。はで感度が高く、分解能は約4〜5 mm、は約1 cm。
  • 核医学は感度が高く形より先に異常を捉えるが、位置とに弱い。画像のは位置決め・減弱補正・特異度向上を担う。
  • は感度が高く特異度が低い。(骨髄腫など)は見逃しやすい。甲状腺のは悪性の除外が要り、熱結節はほぼ良性。
  • は腫瘍特異的ではない(炎症、脳・心筋・尿路の)。前立腺癌・・高分化・・小葉癌はになりやすく、や製剤を使い分ける。
  • :同じ標的を診断核種で写し、治療核種(131I、177Lu、223Ra)で叩く。
  • 被ばくは時間・距離・で減らす。131I治療は妊娠で、授乳は治療前に中止。後の授乳は、99mTc-過酸・で12時間中断、131Iでは中止。

出典

  1. 1.Impact of positron emission tomography/computed tomography and positron emission tomography (PET) alone on expected management of patients with cancer: initial results from the National Oncologic PET Registry(Journal of Clinical Oncology・2008)抄録で確認した。米国の全国腫瘍PET登録の1年分22,975件(83.7%がPET-CT)で、PETの結果を受けて主治医が予定していた治療方針を変えた割合が36.5%(95%信頼区間35.9〜37.2%)であり、生検を予定していた患者の約70%で生検が回避されたこと。閲覧 2026-09-26
  2. 2.Phase 3 Trial of 177Lu-Dotatate for Midgut Neuroendocrine Tumors(New England Journal of Medicine・2017)抄録で確認した。ソマトスタチン類似体治療中に進行した、ソマトスタチン受容体陽性の高分化型転移性中腸神経内分泌腫瘍229人で、177Lu-DOTATATE 7.4 GBqを8週ごとに4回投与(オクトレオチドLAR 30 mg併用)した群は、高用量オクトレオチドLAR単独群に比べ20か月時点の無増悪生存率が65.2%対10.8%、奏効率が18%対3%だった。グレード3〜4の好中球減少・血小板減少・リンパ球減少はそれぞれ1%・2%・9%で、観察期間中に腎毒性はみられなかった。閲覧 2026-09-25
  3. 3.Lutetium-177-PSMA-617 for Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer(New England Journal of Medicine・2021)抄録で確認した。アンドロゲン受容体経路阻害薬とタキサン系の治療歴があり、68Ga-PSMA-11 PET-CTでPSMA陽性の転移性去勢抵抗性前立腺癌831人を2対1で割り付けた。177Lu-PSMA-617(7.4 GBqを6週ごとに4〜6サイクル)を標準治療に加えると、画像上の無増悪生存期間中央値8.7か月対3.4か月、全生存期間中央値15.3か月対11.3か月と延長した。グレード3以上の有害事象は52.7%対38.0%だった。閲覧 2026-09-25
  4. 4.The EANM guideline on radioiodine therapy of benign thyroid disease(European Association of Nuclear Medicine・2023)PMC全文(PMC10542302)で確認した。妊娠は放射性ヨウ素治療の絶対禁忌で、妊娠可能な女性では投与前72時間以内の血清hCGで除外し、早期妊娠が疑われれば延期する。治療後は約4か月(別の節では4〜6か月)妊娠を避ける。乳腺への高い集積と被ばくを避けるため、授乳は治療の少なくとも6週間前に中止しておく。表1(SNMMI 2012年手順基準から改変)の休止期間として、腎機能正常を前提に水溶性ヨード造影剤6〜8週、脂溶性ヨード造影剤3〜6か月、サイロキシン3〜4週、トリヨードサイロニン10〜14日、ヨウ化物を含む栄養補助食品7〜10日、昆布・寒天・カラギーナン・ルゴール液・飽和ヨウ化カリウム液・外用ヨウ素(術野消毒など)2〜3週、アミオダロン3〜6か月以上、抗甲状腺薬は治療法により数日〜8週であること。閲覧 2026-09-25
  5. 5.Radiation Protection and Safety of Radiation Sources: International Basic Safety Standards (General Safety Requirements Part 3)(International Atomic Energy Agency・2014)発行元PDFの本文(序文とSchedule III)で確認した。ICRPの2007年勧告(Publication 103)を踏まえて改訂された国際基本安全基準であること。計画被ばく状況の線量限度が、18歳超の職業被ばくで5年平均の実効線量年20 mSv(5年で100 mSv)かつどの1年も50 mSv、公衆被ばくで実効線量年1 mSv(特別な場合は5年平均で年1 mSvを超えない範囲で単年の超過を認める)であること。閲覧 2026-09-26
  6. 6.Radiation Dose(Radiological Society of North America, American College of Radiology・2025)2025年4月15日最終レビューのページで確認した。成人の代表的な実効線量が頭部CT 1.6 mSv、胸部CT 6.1 mSv、全身プロトコルのPET/CT 22.7 mSvであり、値は体格や装置で大きく変わること。閲覧 2026-09-26
  7. 7.Effective doses in radiology and diagnostic nuclear medicine: a catalog(Radiology・2008)抄録で確認した。CT検査の平均実効線量はおよそ2〜20 mSv、多くの核医学検査の平均実効線量は0.3〜20 mSv、一般撮影は0.01〜10 mSvと1000倍以上の幅があり、自然放射線の年間平均実効線量約3 mSvと比較できること。閲覧 2026-09-26
  8. 8.Excretion of radionuclides in human breast milk after nuclear medicine examinations. Biokinetic and dosimetric data and recommendations on breastfeeding interruption(European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging・2016)授乳婦53人・16種類の放射性医薬品で母乳中の放射能を測定した研究の抄録で確認した。乳児の実効線量1 mSvを上限とし通常の投与量を前提にすると、131I-ヨウ化ナトリウムは授乳の中止、99mTc-過テクネチウム酸と99mTc-MAA(および125I/131I-ヨードヒプル酸)は12時間の授乳中断を勧め、その12時間に母乳を少なくとも3回搾って捨てる。この研究で扱ったそれ以外の製剤では授乳中断は不要とした。母乳へ出る割合は99mTc-過テクネチウム酸で投与量の19%、131I-ヨウ化ナトリウムで48%だった。閲覧 2026-09-25